貰えるものは貰ってしまおう
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何事もなく時間が過ぎていくのであれば平和なんだけどな。そうも言っていられないんだよ。年を越しそうな時期になって、漸くお隣のスタンピードが収まった。
長い事かかり過ぎだろう。こっちが半分くらい処理しているんだぞ。それによって受けた損害について、謝罪と賠償を要求する。
と息巻いたのは良いんだけど、損害って殆どないんだけどな。冒険者を動かした費用くらいしかかかってないんだよな。あ、ポーションの費用も請求できるのか。それだったら結構な額を使っていると思うぞ。水のように使っていたからな。
装備の代金なんかは請求してもだろう? 冒険者の報酬の中に入っていることだからな。兵士の分を請求するんだろうか。武器も防具も特殊だから、代金はちょっとおかしな事になってくるんだけど。
地竜魔銀製の武器と防具、更には地竜魔銀毒糸による鎧下。これの金額が解らない。一体いくらになるんだろうか。武器は冒険者に流通はしているんだけど。
武器は売り出しているんだよな。白金板15枚で普通の剣が買えるぞ。大剣になれば費用はかかるし、槍も費用が嵩む。斧になるともっとだな。
そんな装備の代金を請求しても大丈夫なんだろうかと思っていたんだが、ラウレーリンは請求する気満々で居るんだよな。タダよりも高いものは無いという感じで賠償金額を算出していっているんだよな。勿論、エリクサーもポーションの代金として請求するぞ。
兵士1人に付き、最低でも白金板100枚は費用がかかっている。冒険者1人に付き白金貨5枚はかかっている。
兵士が3000人、冒険者が50万人。今回だけの出動でこれだ。前回のも合わせて請求するんだけど、ラウレーリンが必死に計算をしている。
ちゃんと根拠を算出してから賠償金として10倍にして貰おうとしているんだから、もの凄い事を考えているんだなと思った次第だ。そのまま請求するんじゃないのかよとは思ったが、賠償金なんだから高く見積もるのは当然なんだそうだ。
何故ならここから費用を安くする代わりに何かしらの便宜を計って貰うつもりなんだそうだ。便宜ってなんだろうな? 何か必要な事はあったんだろうか。
値段を安くする代わりに差し出せるものだろう? 特に無いように思うんだけどな。何が欲しいってあるのか? 別段必要な物って無いと思うんだけど。
お金で貰っておいた方が何かと替えが利くんじゃなかろうか。詳しい事は解らないけどさ。何を請求するんだろうか。割と楽しみなんだけど。
「なあ、欲しいものってあるのか? 向こうの貴族家からというよりは派閥から貰うんだろうけど、そんなに重要な物ってあるのか?」
「重要かは微妙な所だけれど、替えが効かないという点では重要なのよ。そこまで多く要求すると面倒ごとも抱えるから、5つくらいが妥当な所ね」
「5つって言っても、何を貰う気なんだ? そんなに重要な物って特に思い付かないんだけど。5つも何か貰う事が出来るのか?」
「ええ、村や町を貰うのよ。どうせ人もいない土地なんだから貰えると思うわ。表立って戦闘をしたのは私たち子爵家だから、5つ分くらいは貰う権利があるわね」
「土地かあ。土地を貰ってもって感じはするんだけど。飛び地になるだろう? そこまで良いようには思えないんだけど。特に人がいない領地を貰っても嬉しくないと思うんだよな。魔物の掃討もしないといけないだろうし、管理するまでに時間がかかりそうじゃないか?」
「ええ、だから転封をしてもらうのよ。領地替えと言った方がいいかしら? マテスターン伯爵家の土地を5つ貰って、それをマクファウスト侯爵家と交換をするのよ」
「ああ、そういうことか。今あるマクファウスト侯爵家の村と交換してもらうのか。近くの村の方が良いだろうからな。それができるのであれば貰っても大丈夫かな」
「ええ、ある程度は金銭で貰わないといけないでしょうけれど、土地を明け渡すくらいで3割近くの値引きは出来るでしょうね。それ以上の土地を明け渡すようであれば、マテスターン伯爵家の転封が難しくなるでしょうから」
「伯爵家の土地が無いのに、伯爵を名乗らせるのもどうかって事になるんだよね。それは解らなくもないから、5つかあ。村だけで5つ貰うつもりなのか?」
「1つは町も貰っても良いと思うわよ。とはいっても、何処まで機能しているのか解らない土地だから、村と大差がない可能性もあるけどね。無いよりは良いでしょうって事よ」
「まあ、その辺は自由にしてもらったら良いけど。でも、村を5つも貰ってどうするんだ? 税金は増えるかもしれないけど、税金が増えてもだろう? 今更じゃないか?」
「税金は確かに増えるけれど、それ以上に野菜類が自給できるようになるわね。これでも都市の人口が多いから、足りないのだけれど。それでも全く自分たちで作らないよりはマシにはなるわね。村の運営も見直せるでしょうし」
「うん? 村の運営って見直すのか? 今まで通りでいいんじゃないのか? 何か問題でもあるのか? そう言うのは解ってないから教えてくれると嬉しいが」
「そうね。今まで通りでも良いでしょうけど、見直すわよ。具体的には村長宅の機能を増強しようって話になるんだけれど。今は何をやっているのか知っている?」
「村長の家か? 確か冒険者ギルドの役割と商業ギルドの役割を担っていたよな。だから農村でも買い物が出来るし、肉も食えているはずだけど」
「そうね。そこに魔境に応じた産業の仕事もやって貰うわ。具体的に言うと、ゴブリンの出る魔境が隣接しているのであれば、皮紙を作る事までやって貰う事になるわね」
「今までは解体してそのまま町に持ち込んでから加工をしていたんだっけ? 村で完結させる方が確かに効率的ではあるんだろうけど、そこまでやらないといけないことなのか?」
「そうね。村で行うのには理由があるのだけれど、村の方が人口が増えやすいって解っているかしら? 町よりも人口が増えるのが早いのよ」
「あー、あれか。農家が出るまで子供を産み続ける謎のあれ。まあ、確かに農家が出てくれた方が良いのは解るけど、女性側に大きな負担になるだろう? 本当にそれでいいのかって事になって来るんじゃないのか?」
「女性の負担が増えるのは仕方がないわ。だけれど、死ぬ可能性は限りなく低くなったもの。ポーションが流通しているでしょう? あれで死亡数は1割程までに減っているのよ?」
「え? そんなに減っているのか? あれ? じゃあ今後はもっと農村の人口が増えるのか? 子供が産まれやすくなる訳ではないけど、死ぬわけじゃなくなるんだから」
「そうね。それに重婚が解禁されたわ。農家にお嫁さんが3人も4人も居て良い事になるのよ。それも周知していくから、どんどんと子供が増えるでしょうね。そして、その人口がそのまま都市へ流れ込んでくることになるの」
「子供が、増える? でもそれは町でも同じことだよな? あれ? これってもしかしなくても人口がもの凄く増えるのでは?」
「そうよ。人口が増えるの。それももの凄くね。生涯で結婚する男性と女性は7割と言われているの。3割の男女が結婚しないのよ。それが女性側だけが10割になってくれれば、子供は増えるわね。男性の結婚者は減るかもしれないけど」
「そもそも、男性の3割って殆どが冒険者だから、結婚も何も無いって言うか、女性の冒険者がいなくなりそうな気がするんだけど、気のせいじゃないよね? そこまでして女性に子供を産んでもらう事にするのか?」
「ええ、人口は力ですもの。多いに越したことは無いわ。もし余ってもバズビーテイラー辺境伯家に送り出せば良いもの。その頃になったら、飛び地を貰えているとは思うけどね」
ええ……。女性側に負担が増えるだけじゃないのか? ラウレーリンはそれを良しとしているんだろうか。しているからこんなことになるんだろうけど。
子供を産むって大変な事だと思うんだけどな。ラウレーリンも簡単に産んでいるけど、もっとこう、何かあっても良いと思うんだけど、男の俺には解らない世界なんだろうか。




