ミッチェルハーロウ公爵領領都の報告書
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ミッチェルハーロウ公爵家の領都から帰ってきた。長旅でしたね。早速で悪いが、兵士諸君には報告書を作って貰っていた。得たものをなるべく還元したいからな。
そんな訳で、色々と報告書を読んでいた訳なんだけど、まずは大きく違うのが食文化。全然違うと言っても良い。これは真似できないなとは思った。
まずは肉が少ない。アルローゼンが異常なだけなんだけど、普通は肉が少ないんだよ。そして麦が主流だ。主食はパンだな。これは一緒なんだけど。ただ、パンの他に麺なるものがあるらしい。スキルでは作れないんだそうだ。
それの作り方は秘密なんだそうだ。どうやって作るのかは解らない。解らないんだけど、食べた感じだと麦じゃないのかと思うって事らしい。
秘密じゃしょうがないよな。教えてくれと言って、直ぐに教えてくれるものではないらしいので、今回は諦めた形だ。どうしようもないことはどうしようもない。
それと、高級品ではあるんだが、卵を食べられていたと書いてあった。卵ってのはあれだな。鶏の卵で良いと思うんだよ。鶏かあ。確かマクファウスト侯爵領でも飼っていたと思うんだけど、大規模にはやっていないんじゃないか?
まずもってだが、卵は産む日と産まない日がある。そして、餌代もかかる。更に対応した職業が無かったはずなんだよな。ラウレーリンに聞いたことがある。
マクファウスト子爵家ではたまに食べられるんだけど、それを普通の飯屋が使っていたと言うんだから驚きだろう。どれだけ大規模にやらないといけないのか。
美味しいのは解るんだよ。毎日食べたいくらいには美味しいんだよな。それが平民でも食べられるとは凄いことだぞ。畜産に力を入れていると言う事なんだろうな。
勿論だが、農業を強くしないと無理だ。鶏の餌も作らないといけないからな。卵の分の餌も必要になってくる。餌が卵になるんだが、量的には10分の1以下になるんだよな。
それだけ食料を増産していないと無理だと言う事なんだよ。流石はミッチェルハーロウ公爵家、農業に関しては王国トップだろうな。だから、真似しようと思うと、まずは鶏を増やさないといけない訳なんだが、増やしたとして、餌と土地をどうするのかだよな。
畜産に力を入れるには、色々と条件が必要になってくるんだけど、アルローゼンでやるのは無理がある。土地が圧倒的に足りないんだよ。
土地を何とかする方法があるのであれば良いんだろうが、そんな方法は無いと思うぞ。面積はどうしても確保しないといけないだろうからな。
だから、卵も無理だと思う。平民には行き渡らない。こればかりは仕方が無いとは思うけどな。俺は有り難く食べさせて貰うけど。
そして、味付けなんだが、夜会でも食べたが、味の豊富さがやばいんだよな。何を使っているのかが解らなかったんだよ。ラウレーリンに聞いても知らないと言っていたんだよな。
ミッチェルハーロウ公爵家がまだ派閥内にも出していない農作物があるというのが解った。極秘に生産をしているのか、土地柄無理なのかは解らない。
土地柄無理という可能性もあるんだよな。大魔境は北に繋がっている。ミッチェルハーロウ公爵家は王都に近い海の近く。南側にある。比較的暖かいんだよな。
その気候が大切だという可能性はあるんだよ。昔もそうだったんだけど、北と南では食べているものが違うんだよな。でも、昔ほど遠くもないから、作れないことは無いとは思うんだけどな。職業もあるんだし、何とかなるとは思う。
秘匿しているのは何処も同じと言う事なんだよ。マクファウスト侯爵家でも、ポーションの作り方は秘匿しているしな。皆何かしら秘匿しているんだと思うぞ。
最後に、これは正直な所、どうなんだとは思うんだけど、キノコを食べていたんだよな。キノコは魔境でも取れるんだけど、素人にはおススメ出来ない。
そもそもの話だが、キノコは生で食べるという事は厳禁の食べ物なんだよな。誰も生では食べないとは思うが、生で食べたら死ぬと思ってくれればいい。
そして、火を通しても食べたら死ぬものがある。しかも見た目はほぼ同じだが、死ぬものと死なないものがある。毒なんだよな。単純に。
まあ、対処法がない訳ではない。耐毒ポーションを飲んでから食べればいい。聞いた話によるとだが、毒のあるキノコの方が美味しいらしいんだよな。そこまでして食べたいのかとは思うが、食事に執着のある人は居るからな。
アルローゼンでは、当然のようにキノコは食べない。食べるにしても、鑑定系の人の協力が必要不可欠になってくる。鑑定しても毒があるかどうかは解らない。
食べてみて、毒がないと1度確認しないといけない。名前さえ控えておけば、安全に食べられるものがあるんだろうが、そこまでして食べたいのかというのがあるんだよな。野菜で良くないのか? という疑問は残る。
そんな訳でだな、食文化の方は取り入れるにはかなりの困難があると解った。キノコは簡単に出来るのかもしれないが、毒かもしれないと思って食べたいかというのがある。
だから、現実的では無いんだろうな。情報を聞きかじった冒険者が毒キノコを食べてしまったという事件を増やしかねない。
食文化は豊かな方が良いんだろうが、実行するとなると、色々と障害が残っている。偏見からどうにかしないといけないのかもしれないが。
それと、スラムの方も見て貰ったんだが、スラム化はしているが、食べ物に困っているような風でも無かったらしいんだよな。荒んではいたらしいが。
痩せこけた様な人を見なかったと書いてあった。常に誰かに見られていたみたいだが、悪意のある視線では無かったらしい。
よそ者を受け入れない感じなのかね? 定住しようと思うと排除されるのかもしれないが、観光と言うか、見て回るくらいなら良いんじゃないかと思うんだよな。
スラムにはスラムのルールがある。それを乱すような奴らはスラムにも入れないんだよな。どうするかって、新しいスラムを作るのか、無法地帯のスラムを見つけるのかだ。何方にしても厄介な事には違いがないんだけどな。
昔住んでいた町にもスラムはあったぞ。主に仕事が無い奴らが集まっていたんだけど。あそこは無法地帯だったな。入ったら身ぐるみ剥がされて何も残らないだろうな。
で、ミッチェルハーロウ公爵領領都のスラムは秩序はあったと。恐らくだが、纏め上げているのは公爵家側の人間だろうな。そういう気がする。
仲介人が居る筈だ。仕事の斡旋や食べ物の収集をやる人たちがいると思われる。これはラウレーリンとも話したことがあるんだが、スラムが出来たときの対処法は知っておいた方が良いと言われて教えられたんだよな。
見捨てはしないんだよ。ギリギリの所で支えるんだよ。労働力が欲しい時は絶対にあるからな。その時のために確保しておくのが普通なんだよ。まあ、助けてやれよとも思わなくもないんだけど、それが当たり前になった時が怖いんだよな。
そして、スラムにも薬は無かったそうだ。そういう人が居れば直ぐに解るからな。そんな人はいなかったらしい。公爵家では流行っていないのか。まあ、流行っていたら大問題だろうから、スラムの管理人が動くんだろうが。
最後に娯楽だ。娯楽も色々とあったみたいなんだが、大体は同じらしい。娼館に賭け事とその辺が一式あるって感じだな。特に娼館が凄かったらしい。
娼館街になっているくらいには大きかったそうだ。その通りは殆どが娼館。男も女もなんでもござれの娼館の街。規模はアルローゼンの10倍ほどらしい。
そして、そこには風呂屋があったんだそうだ。風呂は体を洗う所だな。ぬるま湯を貯めて、そこに入るんだよ。貴族になってから初めて使ったけど良かったぞ。
それが平民でも使える様な値段でやっていたらしい。娼館街にあったが、普通の平民も使っているんだそうだ。娯楽扱いだな。これなら真似できるかもしれないな。




