謎繊維の衣服が出来る
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「手に入れられましたが、もの凄く同情されました。向こうも苦労をしたみたいですね。こちらは、苦労をしていると言うよりも、何をされているのか解らない状態なんですけども」
「ですわよね。魔石を貰っても仕方がないですし、特には用事が無いんですが。家庭で使う分は、普通に購入できますし、衣服を作る時に使うのかと言われましても、困ってしまいます」
地竜魔銀については、あっさりと入手が出来てしまった。鍛冶師に理由を話せば、簡単に作って貰えたのだ。入手が楽だったのは、良い話ではあるのだが、本当に使えるのかと再三言われた。
それも当然の事である。糸を作りたければ、それ相応の素材が必要になるのは、誰もが知っている事ではある。綿が必要なのだ。毛が必要なのだ。まさか金属を使うとは思っても居なかった。
鍛冶師的には、そんな訳があるかと、一蹴したかったのだが、貴族から頼まれているのには経験があったため、同情的に協力してくれたに過ぎない。鍛冶師的には、金属は糸にはならないと思っている。
普通はそうだろうな。だが、魔石が糸になったのだ。金属がならないと決めつけるには早すぎる。もしかしたらがあるかもしれない。そうして、スキルを使ってみたのだが。
「紡糸! ……出来てしまいましたわね。まさか、金属から糸が出来るだなんて、思ってもみませんでしたが。鉄でも出来るのでしょうか? これが特殊なだけでしょうか?」
「特殊だと考えるのは早計ではないですか? そもそもの話、金属を糸にしようなどと、誰も考えたことがないのですから。鉄でも出来ると考えておいた方が良いですわね」
「しっかし、本当に金属が糸になるとはなあ。しかも結構な量が出来るのな。大分細いが、確かに糸だ。そして、硬くねえが、千切れることは無さそうだな」
「だな。もっと別の物になるかと思ってたぜ。思ったよりも硬くない。簡単に曲げられるな。まあ、金属だけあって、曲げたら、そのままみたいだがな」
「ですわね。これで衣服が出来上がっても、少しも嬉しくないですわね。柔らかく艶やかな物が良いと思うのですが。そもそも、着られるのかしら?」
まあ、思ったようにはいかなかった。半分は成功と言った感じだろうか。確かに糸状にはなった。なったが、所詮は金属である。ただの針金になっただけであった。
だが、そもそもの話、針金なんてものはない訳で。この度、初めてこの世界に針金が出来たとは思ってもいない。認識もしていない。色々と便利なのだが、それ以上に便利なスキルがあるからだ。
「まあ、糸になったんだし、これも合成してみようぜ。ヴェノムスパイダーの糸は、十分に集めてきているからよ、多分だけど、合成で何とかなるだろ」
「一応、魔石の糸も合成してみませんか? そっちの方が、魔石を消費出来ていいではないですか。何の効果があるのかは、解りませんが、とりあえず、合成しておいてはどうですか?」
「良いのではないかしら? 特に困る事も無さそうですし、それではいきましょうか。合成! ……出来上がりましたわね。あら? ちゃんと糸の様になってますね」
「金属を使ったから、硬くなるかと思ったのですが、そうでもないのですね。不思議ですが、これはこれで良い色になったと思います。空色と申し上げるのが良いのでしょうか?」
「色はそんな感じだな。空の青よりも白が混じっている気もするが、空色で間違っては無いだろうな。……しかし、金属は何処にいったんだろうな?」
「……いや、これは金属だろ。引っ張ってみろ。千切れる気配がねえ。頑丈さだけは金属由来のものだろう。これはちょっとやそっとじゃあ痛まねえんじゃねえか?」
「そうなると、子供服にするのが良いのかしら? 子供って、直ぐに服を駄目にするのよね。ちょっとやそっとじゃ痛まないのであれば、子供に着せるのが丁度いいのかしら?」
「いえ、何方かと言えば、冒険者では無いかしら? 攻撃されても痛まないのであれば、冒険者の衣服に最適ですわね。あの方たちは、直ぐに破いてしまいますから」
「冒険者か。まあ、鎧下には丁度いいかもな。丈夫だしよ。冒険者に売りに出したら、多少は楽になるんじゃねえか? ……値段の事に目を瞑れば、だけどよ」
「そうよねえ。値段がおかしなことになるわね。地竜魔銀も凄い値段なんでしょ? それにヴェノムスパイダーの糸も使っているのだから、結構な値段になるわよね?」
「まずは、貴族様方の意向を聞かないと、どうにもできないんじゃないか? とりあえずは、出来た衣服を貴族様用に送ったらどうだ? ついでに報告書も」
「そうね。これで一着作ってしまいましょうか。装飾は、今回は無しで良いでしょう? お試しのものだもの。これでどうかの判断を仰ぎましょう。裁縫!」
こうして、謎の素材で作られた衣服が誕生した。それについての、詳細な報告書を商業ギルドに預けて、貴族様まで届けて貰う。それで依頼は終了だと皆が納得した。
困ったのは、発注をした貴族様なだけなのだが、自分が発注したものをどうにかしないといけないのだが、色々と試してみるのは、服飾職人の仕事ではない。
服飾職人の仕事は、衣服を作る事。それの耐久テストなんかは、専門外である。そうして、小さな執務室に報告書と一緒に衣服が届けられたのであった。




