ダートエミュー戦争勝利
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これでもかと言うように、後ろから前へ突進が繰り返される。その度に、前のダートエミューが悲鳴を上げて、藻掻く。が、動けまい。自分たちの長所を逆手に取った作戦だからな。
突進は止まらない。後ろからどんどんとやってくる波が防塁と圧し合う。その波が横へ横へ広がっていく。まだだ。まだ止まらない。もっと殺せ。自分たちで自分たちを殺せ。
圧されはみ出し、横へと動いて行く。幅3キロの防塁は伊達じゃない。そんなに簡単に逃がしてはくれない。迫りくる自分たちの仲間が、仲間を殺していく。
これが、ダートエミューの弱点であり、死因の第一番である。普通の時のダートエミューも良く圧死するんだ。それで、数が増えない様になっている。自然とはそういうものなんだ。
だが、稀に今回の様な事が起きる。走り出したダートエミューは止まらない。対処さえ間違えなければ、脅威にはならない。それを1時間ほど繰り返して、漸く両翼の所まで辿り着いた。
後は、両翼の冒険者に任せればいい。ここにいる4000は必要なのかとは思うだろうが、必要なんだよ。死体の上を走り込んで来る可能性があったからな。
そして、現に走り込んできている。それを対処するのが、4000の冒険者。実質は2000だけだがな。長期戦をするつもりは無いとはいえ、交代要員は必須だからな。普通なら、3人1組を組ませるところなんだが、そんな悠長な事をやっている暇はない。
それに、ここに居るのは、半分が魔法使いだ。両翼には、魔法使いを配置していない。魔法使いの役割は、ダートエミューの足を狙う事。それは、正面でこそ発揮される。
足を狙い、転倒させる。それだけでいいんだ。それで、ダートエミューの本領は、発揮できなくなるからだ。足を取られて転ぶ。これだけでいい。それで、突進は終わるのだから。
絶え間なく魔法を乱射し、どんどんとダートエミューの足を絡め取っていく。この場に、弓兵は不用である。最終手段の近接戦闘が可能な者が残っていればいい。
ダートエミューの突撃は、6時間にも及んだ。足元には、死体の山。圧死した死体と、首を刎ねられた死体のみ。本陣は何一つ被害は無かった。これで無事、討伐は終了した。
総勢2万8164人の兵士が居たが、死者は34名。重傷者0名。軽傷者2519名となった。行方不明者は無しである。34名の死者は、どうやら、初心者冒険者だったようだ。
というよりも、初心者冒険者が結構な割合居たんだよ。まあ、仕方が無い事ではある。Lv上げに丁度いいからな。早く強くなりたいのであれば、危険を承知で戦いに来る。
それを拒むことはしない。拒んでいたら、成長しないからな。冒険者とて、仕事なんだから。依頼が達成されたあかつきには、報酬という対価が待っている。
重症であれば、エリクサーで何とかなるんだ。だからエリクサーを躊躇なく使った。合計541本のエリクサーを使ったぞ。その位は持ってきているし、時間はたっぷりとあったからな。
さて、勝ってやる事と言えば何か。勿論大宴会だ。勝鬨を上げる。対魔物であろうと、それは変わらない。大宴会の準備は、自分たちでやらないといけないが。
村に3万人弱の人間を宴会させるだけの食べ物はあるのかと、心配になるかもしれないが、あるんだよ。今日倒したばかりの、新鮮な肉があるんだよ。それを頂く。
ダートエミューの肉は、あっさりとしているが、足の肉はジューシーで美味い。色んなところで焚火をして、即席の調理場が出来ている。肉を焼いて食べる。それだけだ。
だが、用意の良い者も居る。酒を持ち込んできたものも居るんだ。肉をかっ喰らい、酒を飲む。それだけで、時間を忘れられる。宴会は、真夜中を過ぎて、朝方まで続いた。
朝になると、冒険者ギルドから派遣された商人が沢山来ていた。そして、冒険者総出で、解体作業をして、使い物になるものと、使い物にならないものに、分けた。
ダートエミューで使えるものは、肉と羽毛である。圧死したものについては、使い道が無いが、首を刎ねただけのものであれば、十分に使用可能だ。それをどんどんと剥ぎ取っていく。
冒険者にとっては、慣れたものだ。冒険者ギルドに、そのまま納品するものも居るんだが、自分で解体した方が、価値としては高い。だから、初心者の頃は、誰もが解体の経験をしている。
だからと言って、500万匹のダートエミューの群れだ。1日で終わる訳もなく。そのまま、2日目の宴会に突入した。ここからが本番といっても良いのかもしれないな。
なんせ商人が来ているんだからな。当然ながら、ギルドから持っていけと頼まれているものがある。酒に調味料、その他色々と持ち込んできている。それで、大宴会2日目だ。
破目を外す冒険者も居れば、それを止める兵士もいる。混沌とした宴会は、村の大迷惑だろうが、そんな事は誰も考えていない。村人には悪いが、これは、仕方が無い事なんだ。
その後、4日目の途中で解体も終わり、解散となった。当然だが、ゴミは魔境に捨てていく。この近辺のゴブリンの餌になるのだろう。ここで稼いでいる冒険者は頑張ってくれ。
防塁や堀も埋めて行く。作ったものはちゃんと戻していかないとな。土魔法使いがある程度はやってくれたんだけど、まあ、どうしても、血の跡は残ってしまうよな。
これについては、仕方がない。ここを守る冒険者諸君には頑張って貰いたい。暫くの間は、血の臭いに釣られた魔物が多少やってくるだろうからな。
そんな訳で、遠征は終わりだ。快勝だからな。策を練った甲斐もあるってものだ。一緒に考えてくれた文官には感謝しかない。推定500万の群れは姿を消した。それもあっけなくな。




