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第三十五話 発見、隠された浮遊大陸-ファンタジア-!

今回は短めです。

それでは、本作品をお楽しみください

『マギアサーベルとマギブラスト・リングを連結!』


 私はふわふわ浮いてるリングたちに命令を出し、輪っかの部分をマギアサーベルの刀身に通す。そうするとマギアサーベルの出力が上がり、長さと太さが増した。さしずめ、強化マギアサーベルってところかな?


 マギユナイト・フロートウィング……長いからウィングにしようか。私はウィングのスラスターを噴かせて、一気に高度を上げていく。

 あっという間に黄昏の(トワイライト)戦乙女(・ヴァルキュリア)を追い越した私は周囲に展開するメカ鳥たちを見下ろした。


『悪いけど……速攻で行かせてもらうよ!』


 私は一番近くにいるメカ鳥に狙いを定めて、急降下する。すれ違うように振り抜かれた強化マギアサーベルは、メカ鳥のその鋼鉄の身体を両断した。

 身を翻し、次の獲物に近付く。速度の乗った強化マギアサーベルの一撃は、再びメカ鳥の身体を両断する。


 そこで周囲のメカ鳥から鋭い爪やくちばしによる攻撃が飛んでくるものの、私はスラスターを噴かせて急上昇することでそれらを回避した。

 ……うん、実戦でもちゃんと飛べてるね。ただ、やっぱりEN(エネルギー)の消費は激しいかな。


 私はメカ鳥の射程範囲外に移動すると、インベントリからマギアタンクを二つ取り出し、それぞれをウィングに取り付けていく。これでしばらくENの心配をしなくていいね。


『っ、今です! ミオンさんに翻弄されてるメカ鳥に攻撃!』

『っと、見惚れてたわ。すまねぇ、今って戦闘中だったもんな!』

『そ、そうよね。うん。でも、いいなぁ……空飛びたいなぁ』

『なんの素材でできてるんだろうか……気になる』

『……まぁ、手を止めないで話す分には大丈夫でしょう』


 どうやらみんなもメカ鳥たちに反撃を開始したようだ。じゃあ私はせめてこいつらの気を引き付けながら倒すとしますか!

 前後から挟むように襲ってくるメカ鳥をそれぞれの強化マギアサーベルで切り払い、隙ができた瞬間にその身体を一刀両断する。うーん、無双ゲームやってるみたいな感じで気持ちいいね!


『まだまだ行くよ!』


 私はスラスターを噴かせ、加速してメカ鳥を切り捨てる。背後から襲いかかってくるメカ鳥を紙一重で避け、すれ違いざまに切った。

 みんなの援護攻撃もあってみるみるうちにメカ鳥の数が少なくなっていく。

 そのタイミングで、《直感》スキルが警告を出す。


『っ、シールド展開!』


 左腕を前方に突き出し、ENを込めてパーツを展開。そこからビーム状のシールドが現れ、突如襲い来る火球から身を守る。

 シールド越しに見てみると、どうやらメカ鳥たちの口から火球や水球、風球などが吐き出されているようだった。全体的に数が減ったから、それが発動のトリガーかな?


 でも、その攻撃は私たちには効かないよ!

 私は展開したシールドを畳み、メカ鳥たちの視線を集めるように飛び回り、上空へ急上昇する。

 狙い通りメカ鳥たちは私にヘイトを集めて、上を飛ぶ私に様々な遠距離攻撃を放ってきた。この距離なら避けるのも簡単だ。高低差ってのは遠距離戦においで大事なものだからね。


『マギアサーベルとマギブラスト・リングとの連結解除。同時にマギブラスト・リングを前方に展開!』


 強化マギアサーベルから通常のマギアサーベルに戻した私はそれらをしまい、マギユナイト・ライフルを取り出す。持ち手の近くのボタンを押し、マギスティアモードへ変形させるのも忘れない。


 マギブラスト・リングをマギユナイト・ライフルの直線上に並ぶように動かし、《遠視》スキルで眼下のメカ鳥たちを視界に入れる。ほぼ全部のヘイトが私に向いてるから、散開せずにいい感じに固まってるね。

 私はトリガーに指をかけ、マギユナイト・ライフルのチャージを始める。


『EN充填率、10……35……60……85……』


 私に向かって色とりどりの球を吐き出してくるメカ鳥たちだけど、私は小刻みに動きながらその攻撃を避けていく。どんどん近づいてくるメカ鳥たちを視界に入れたまま、私はその時を待った。


『100……110……120%! 私一人だからイベントの時ほどの火力は出ないだろうけど、それでも君たちにこの攻撃を耐えることができるかな!? マギスティア・マキシマム! オーバーシューーーーート!』


 メカ鳥たちが重なった瞬間、私はトリガーを引く。

 四つの銃身に集められた魔力が渦を巻き、バチバチと音を立てながら一つのビームと化す。そのビームの奔流は事前に配置しておいたマギブラスト・リングへと吸い込まれていき、その勢いを、その威力を高めてメカ鳥たちに向かっていく。


 そして、私が配置しておいたマギブラスト・リングは二つ!

 一つ目のリングを通り抜けたビームは二つ目のリングに吸い込まれていき、さらに威力と勢いを増す!

 目を開けていられいないほどの光量のビームがメカ鳥たちを包み込んでいく。


 先頭にいたメカ鳥は接触と同時に光の粒子に変わった。他のメカ鳥も同様で、触れただけでその身体を光の粒子に変えていく。

 その場にいたメカ鳥のほとんどがビームの中に消えていき、その全てが光の粒子と化し、消滅した。

 役目を終えたマギブラスト・リングが家に帰るように私の手首に収まり、接続される。

 私自身は、その威力の高さにポカンとしていた。


『えっと、120%チャージして、それの2倍の2倍……?』


 とりあえず、イベントの時よりは威力は低いとは言え、それでもこの火力なのか……反動もあの時ほどはなかったし、一発でリングが待機状態になってしまうのを抜きにしても、とんでないものを作ってしまったのでは?


『な、なんだ今の!?』

『まるでイベントの時の最後の一撃みたいな……』

『え、十数人でやったあれを今度は一人でやったの?』

『さすがはミオンさんです!』

『……はぁ。またとんでもないものを……頭が痛いね』

『ガハハ! いいじゃねぇか! ロボットはロマンの塊! ロマンに犠牲は付き物だろう!』

『しかしだね……ふぅ。殲滅機姫(デストロイプリンセス)という呼び名も、あながち間違いじゃないのかもしれないね……』


 繋いだままのギルドチャットからみんなの声が聞こえてくる。またヴィーンが頭抱えてるね……いやほんと、ごめん。

 その場で小さく頭を下げて、私は高度を下げていく。

 冷却装置が作動しているマギユナイト・ライフルは使えないので、ボタンを押してモードを変えてから腰に戻す。


『ほらほら、まだほんの少しだけど残ってるんだから、まずはあいつらを掃討!』

『『『『『了解!』』』』』


 そんなこんなでメカ鳥たちを全て破壊し尽くした私たちは、新たな素材に喜びながらもあいつらが出てきた辺りを調べていた。

 もちろん帰投した際にウィングやリングについては根掘り葉掘り聞かれたけど、ウィングについては話して、リングについては細部は秘密にした。数人はメカ鳥の素材を見て新しい装備の開発をし始めてしまったのだから、本当にこの人たちは……って感じだね。もちろん親方もその一人なわけだけど。


 新しく生産活動を始めてしまった人たちは放っておいて、私たちは隠された浮遊大陸(ファンタジア)を探しているところだ。

 なにもない空間からあのメカ鳥が現れたってことは、大陸自体は光学迷彩か透明化か、なんらかの手段でその姿を消しているということになる。


 そしてマスターが東の空で大陸を見たってことは、その光学迷彩なり透明化なりが解ける瞬間が必ずあるって事。私たちにはそれを待ってる時間はないから、どうにかして見えないまま探さないといけない。


「ふむ……一応この辺りが先ほどのポイントのはずだが」

『ま、見えないよね。そろそろ使った分のENも回復してきたし、私が飛んでみてくるよ』

「頼めるかい?」

『任せて!』


 というわけで再び出撃です。今回はウィングを付けた状態でカタパルトハッチから出撃する。ハッチを飛び出した私はウィングを起動させて、黄昏の戦乙女から離れるようにして飛ぶ。


 えーっと、さっきのスクショどこだっけ……あった!

 あの位置でここから出てくるように見えたってことは、この位置には射出口というか、ハッチのようなものがあるって考えていいのかな?

 私はある程度の速度を出しつつ、なにかにぶつかってもいいようにシールドを展開しながら周囲を飛び回る。


 しばらく飛び回っていると、シールドの端になにかが当たる感触があった。ゆっくりとその位置に近付いて行くと、バチバチとシールドが弾ける音が聞こえる。ここになにかあるみたいだね。


 恐る恐るシールドを解除して手で触れると、そこから広がるように空間が揺らいでいく。

 その揺らぎはどんどん大きくなり、ガラスが割れるような音を立てて弾け飛んだ。


 そこに広がるのは、大地。

 それは空に浮かぶ大地の塊であり、世界そのもの。

 大陸自体はそこまで大きくないけど、その大地に広がるのものは、ファンタジーの世界に似つかわしくない姿をしていた。


『これは……工場?』


 大量のマシニング・ファルコンを吐き出したその隠された大陸には、一つの大きな工場が立っていた。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

続きもどうぞお楽しみください。

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― 新着の感想 ―
[一言] ロマンはいいものだ… 種とか運命世代かな?
[一言] ちょっと残念だったね(☞゜∀゜) メカファルコンや機械王は遊戯王なのだ(≧▽≦)
[一言] スタビルの極太ゲロビか…ロマンだな
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