第三十三話 新武装、WとR!
今回も生産回となります。
ミオンの武装がさらに強力になるので、どうぞお楽しみください。
さて、昨日は色々と作ったけど、今日は大本命。
飛行ユニットをそろそろ作ろうと思う。
重要な素材となる重力鉱石は三つ。他にも風鉱石なんかを使うけど、この重力鉱石がないと作れないと思うから失敗はできない。
形だけど、このマギアグライダーを元に作っていこうと思う。多分だけど、まだ翼型とかの飛行ユニットは作れないような気がするからね。それはもう少しいい素材が手に入ってからということで。
マギアグライダーの形を参考に、まずは外枠を作っていく。折りたためるように可動域を決めて、それに合わせてアーティファクト・インゴットを伸ばしていく。《パーツクリエイト》だと金属がぐにゃんぐにゃんに曲げられるから不思議だね。
メインの重力鉱石と魔導石をはめ込む中心部分を作り、本体に取り付ける左翼と右翼も作っていく。
イメージとしては、魔機人の背中に戦闘機がそのままくっついてる形。翼の部分と合体部分を可動可能にして、できる限りの軽量化と小型化をはかる。
磨きに磨いた八九式魔導石を本体部分に三つ、それぞれの翼に一つずつ使い、重力鉱石もある程度の形を整えてそれぞれの場所にはめ込んでいく。
それらを魔鉄インゴットで作った導線で結び、魔力の伝導性を上げる。
また、本体の余った部分にはマギアコンデンサを組み込み、余剰魔力を貯め込んでおけるようにした。さらにマギアタンクを接続できるジョイントも追加し、EN切れが起きないように細心の注意を払う。
次に方向転換のためのスラスターと、風を噴き出すことで加速や減速、方向転換が可能な風鉱石を取り付ける。これで機首があれば、完全にどこぞの戦闘機のように見えるね。
最後に、試しに作った小型のゴーレムコアを搭載し、ちょっとしたロマンとして変形する機首を取り付けた。これが上手く行けば、私の思った通りに動いてくれる合体できる戦闘機が完成したわけだけど。
『まずは起動からね』
私は新しく作った操縦桿のような起動スイッチのトリガーを引くと、そこに寝かせておいた戦闘機がふわりと浮かび上がる。よし、起動はおっけーだね。
『次に、この状態での操作』
私は操縦桿を握ったまま、戦闘機がどんな風に動くかをイメージする。そのすぐ後、目の前の戦闘機は私が思い描いたイメージの通りに動いていく。少し反応が遅いけど、そこはゴーレムコアの性能を上げていけば問題なしだね。
とりあえず、このゴーレムコアを使用した遠隔操作は人型でなくても可能で、ある程度は意思通りに動いてくれると。
『そして、合体』
私は戦闘機を私の背後に着かせて、背中のジョイントと合体するようなイメージを思い浮かべる。戦闘機はその場で機首を畳み、きれいにすっぽりと私の背部パーツと合体した。
これ、これよ。これなのよ! ついに私はロマンの一つを完成させたわ!
おっと、喜ぶのはまだ早いかな。この状態で私自身が空を飛べるか確認しないと。
逸る気持ちを抑えつつ、私はガレージの外へと出た。
空は雲一つない快晴。と言うより、この浮遊大陸の周りでは雲を見かけたことがないね。始まりの浮遊大陸だと普通に雲があったような気がする。
そんなどうでもいいことを考えつつ、私は操縦桿を握り背中の戦闘機を起動させた。
瞬間、ふわりと浮かび上がる感覚。
地から足が離れていく。そのまま浮かび上がり続けた私は、ある程度の高さまで上昇したところでストップさせた。
……消費ENはこの時点で全体の約1%で、マギアコンデンサに貯めておける分とマギアタンク増設分を考えたら、かなりの時間浮かんでいられるようだね。
次は速度を出す。私は空を自由に飛び回るイメージを思い浮かべる。
その一瞬後、私の身体は思い描いた通りのルートを通り、空を飛び回った。
急停止、旋回、下降、上昇、加速。一通りの操作を終え、私は地面に足を着ける。
『〜〜〜〜〜〜〜〜っ!』
私はその場で声にならない叫びを上げた。やった、ようやく飛べた、飛べたんだ、私!
嬉しさのあまりENが枯渇するまで辺りを飛び回った私は、この変形式戦闘機に名前をつけることにした。うーん、マギア、マギユナイト……フローター、フロート? システム……あ、ウィング!
この戦闘機の名前は、マギユナイト・フロートウィングだ!
[武装・兵器]マギユナイト・フロートウィング レア度:EX 品質:B+ 魔力伝導率:A− 魔力保有量:18000/18000 魔力チャージ量:1000/12000
スキル:《飛行》《変形》《遠隔操作》《魔力自動吸収》
《飛行》:空を自由に飛ぶことができる。また、これを装着した者も空を飛ぶことができるようになる。
《遠隔操作》:対となるコアを持つものの思った通りに動く。
魔力保有量が高いね。あとは、魔力チャージ量っていうのが、マギアコンデンサに貯められる量なのかな。
む、兵器扱いなのか。ということは、これ自体にもなにかしらの武装を付けることができるのかな。バルカンとか、小型ビーム砲みたいなのは付けてもいいかもね。こう、支援戦闘機みたいな感じで。
考えたのなら即断即決。ガレージに戻って機首に取り付けられる小型のビーム砲と、合体した時にちょうど肩の位置にビームバルカンが来るように調整し、新たな武装を増やした。
これによりマギユナイト・フロートウィングは戦闘能力を有する可変式遠隔操作型支援戦闘機となったのだ!
それにしても可変式遠隔操作型支援戦闘機って聞くとなんかロボットアニメにありそうな響きだね。聞くだけでワクワクしてくるのでグッド!
さて、とりあえず作りたいものは作ったわけだけど、マギユナイト・フロートウィングを作り上げたことで他にも作れるものに目処が立ってしまった。
そう、ゴーレムコアを使用した遠隔操作兵器。いわゆる、フ〇ンネルやドラグ〇ン、ビッ〇兵器なんかのロマン武器ですよ!
実剣も作っておこうかと考えてたけどそれはおいおい!
まずはこの想いを素材たちにぶつけなければ!
まずはどんな形にするかを考えよう。個人的にはそれ単体で攻撃できて、かつこっちの攻撃を増幅できるようなものがいい。
となると、リング型の遠隔操作兵器がピッタリかな?
リング型にすれば大きさ次第ではそこまで幅も取らないし、持ち運びも手足に着けるだけで済むかもしれない。
そうとなれば早速作っていこう。現在手元に残ってるゴーレムコアは四つなので、それぞれを対となるように設定するとして二つが限界かな。
まずは遠隔操作する側のゴーレムコアを加工していく。ゴーレムコアはある程度の小ささまで削ってもその機能をなくすことはない不思議な素材でできているようだ。なので、それを利用してブラッドラインの手の甲にはめ込めるように形を整える。
露出したゴーレムコアを防護するために新しく手の甲の装甲を一枚増やし、次に遠隔操作される側のゴーレムコアを加工していく。
《パーツクリエイト》を使えばゴーレムコアと言えど好きな形に加工できるので、それを利用してブラッドラインの手首より少し大きいくらいに加工する。
その上から動力源になる魔導石と、輪っかの中心に増幅力場を作り出すための魔力増幅石、装甲になるアーティファクト・インゴットと魔鉄インゴットの合金、リングの外側にビーム刃を生み出すための機構などを拵えた。
ちなみに、リングの内側は受けたビームを増幅させるだけでなく、リング自身からもビームを発射することが可能。つまり、遠近両用のトンデモ兵器になってしまったわけだ。もちろん反省はしていないけどね!
最後に、手首側にこのリングと接続する可動式のジョイントを作り上げ、完成となる。
[武装・兵器]マギブラスト・リング レア度:EX 品質:B+ 魔力伝導率:B+ 魔力保有量:6000/6000
ビームエッジのダメージ:1500 ビームガンのダメージ:1000 ビーム増幅倍率:2倍
スキル:《増幅》《飛行》《遠隔操作》《魔力自動吸収》
《増幅》:受けた攻撃を増幅して発射する。物理的な攻撃は増幅できない。
HAHAHA! できちゃったね!! 作れちゃったね!!! やっちゃったね!!!!
これもロマンのためだよ。それに、まだまだ改良するべき点はいっぱいあるしね。
実際に試して見たところ、マギブラスト・リングで増幅できるのはマギユナイト・ライフルやマギアサーベルなどのビーム兵器のみだ。魔法の類は使えないから分からないけど、もしそれも増幅できるならかなり強い武器になってくれそうだね。
心配な消費魔力量だけど、これはなにに使うかによって大きく変わってくる。マギユナイト・ライフルの増幅には保有魔力量のほとんどを使ってしまうようで、ブラッドラインの腕に戻ってくる分の魔力しか残らないようだ。
ビームサーベルへの増幅には、そんなに魔力は使わないようだ。かなりの時間その強化サーベル状態を保つことができている。
マギブラスト・リングのビーム刃はマギアサーベルに繋げた時よりもさらに消費量が軽い。逆に、ビームガンはマギアサーベルよりも消費が重く、そう何度も使えないほどだった。
ま、試作で作ったものだからね。これから先いい素材が手に入る度に手を入れていくつもりだ。とりあえずはマギブラスト・リングの数を両足分、つまりあと二個は増やしたい。
そうすれば、マギブラスト・リングの並列斉射だったり、四つを真っ直ぐに並べての超々高火力ビームだったりをできるからね。夢は広がるばかりだよ!
ちなみに、マギブラスト・リングはただ飛ばすだけならほとんど消費魔力はかからない。なので戦闘中は浮かばせておいて、必要な時にスっと使えるようにしておこうかな?
あー、でもマギブラスト・リングは私の切り札でもあるからそう簡単に見せちゃダメだね。必要な時に射出するようにしよう。
『……ってやば、もうこんな時間!?』
新しい兵器開発はとんでもなく時間を奪っていくようで、既にいつも夕飯を食べるくらいの時間になっていた。これ以上ログインし続けるのはまずい。
兄さんは優しいけど、ゲームのやり過ぎには厳しいからなぁ……明日は学校もあるし、とりあえずさっさとログアウトしちゃおう。
急いで使ったアイテム類を片付けて、セーフティーエリア扱いのガレージ内でログアウトした。夕飯にはなんとか間に合ってよかったよ……。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
続きもどうぞお楽しみください。




