幕間その七 運営とイベント後
今回で『黄昏の戦乙女と第一回イベント編』は終了となります。
それでは、本作品をお楽しみください。
「さて、と。まずはイベントが終わったわけだが……」
「さすがに難易度が高すぎるっすねこれ。もう少し調整しないとやばいっすよ……」
「でも完全クリアされてるわよ?」
「そりゃ魔機人プレイヤーたちが間に合えばそうなるっすよ。あの単体性能ですもん。やっぱりいくらイベントの進行を全てAIに任せてるって言っても、こっちで少しでも調整とかしないと次のイベントも大変っすよ?」
「それもそうだな……人増やせないか相談してみるか……」
「人を増やすのは急務っす。しかもなんだったらそろそろじゃないっすか、第二陣」
「そうよねぇ……あ、大型アップデートの方はどう?」
「そっちは順調っすよ。とりあえずイベント終了から一週間後くらいに大型アップデートを入れて、その一週間後に第二陣って流れっす」
「開発からは?」
「んー、特になにもって感じっすね。ちゃんと仕事してくれてるっす」
「そうか……」
「次のイベントは特別フィールドかなんかでやった方がいいかもっすね。時間設定を弄れば一週間くらいなら行けるっすよ」
「うむ。通常フィールドだと、もしかしたら魔機人のプレイヤーたちが地形を壊すかもしれないしな……ある程度は破壊不能オブジェクトにはなっているが」
「わざと破壊可能にしてる箇所とかありますからね。ピンポイントでそこ抜かれたら、隠し要素が簡単に持っていかれちゃいますし……」
「既に一箇所壊れてるっすけどね……」
「ん、なにか言った?」
「いえ、なにも。とりあえず、そういうことで話を進めるっす。第二陣用のキャンペーンも進めないといけないっすからね」
「そうだな。今回のイベントの反省点を活かして、次に繋げていこう。他の人にも伝えておいてくれ」
「はい」「はいっす」
「しかし……最後のジャンケン大会は驚いたな……」
「いやー面白いっすね。腹抱えて笑ったっす! 広告用の映像もバッチリ撮れたっすよ!」
「私も参加したくなるくらい楽しそうでしたね。映像の方も、いいCMになりそうでなによりですよ」
「そうだな」
「あ、管理AIにもイベント全体の映像データを送っとくっすよ。後で見たいって言ってたんで」
「分かった。その作業は頼むぞ」
「了解っすー」
「では、私は人員の手配の確認に行ってきますね」
「てらっすー」
「頼む」
「……それにしても、やっぱこのプレイヤー面白いっすねー」
「ミオンか。普通のプレイヤーじゃないことは確かだな」
「結構ファンになってるっすよ。次はなにしでかしてくれるか……って」
「運営側としては頭が痛いがな……」
「またまたー。主任も楽しんでるくせにー」
「ごほん。では、私は開発の方に顔を出してくるとするかな。あとは頼んだぞ」
「はいはいっすー」
**************************
「で、どうっすか? この映像」
『……むぅ。ジャンケン、奥が深い』
「楽しんでくれてるようでなによりっすよ」
『出せる手札は三種類なのに、どうしてここまで奥が深いのか……』
「ジャンケン気に入ったっすか?」
『誰でも勝てるけど、誰でも勝てないのが凄い』
「そんなものっすかね」
『あと、このビーム。かっこいい。私も撃ちたい』
「あー……アバターを魔機人で作れば使えるっすよ? 管理AIだからって、ゲームを楽しむ権利くらいはあるっす。なんなら、今度ゲーム世界に降りてみるっすか?」
『今はまだ、止めておく。その代わり、ミオンの気を引けるようなアバターで会いたい』
「あのプレイヤーの気を引く……ねぇ。開発と相談してちょっと考えてみるっすかね」
『お願い』
「いいっすよ。今回任せ切りで負担をかけたお詫びみたいなものっす。これからも、あの世界のことをよろしく頼むっすよ」
『任せて。それが私の仕事。じゃあ私は行くから』
「てらーっす……まるで人間と喋ってるみたいっすねぇ。さて、AIちゃんのおねがいを聞いてあげますかっと。あー班長? ちょっといいっすか……その呼び方は止めてくれって……いいじゃないっすか。俺との仲なんだしー。それで、ちょっと相談が――」
ここまで読んでくださりありがとうございます。
次回から新しい章が始まります。
続きもどうぞお楽しみください。




