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第十一話 魔機人プレイヤーのためのギルド

掲示板回、読むのは好きですけど作るのって難しいですね……。

それでは、引き続き本作品をお楽しみください。

 ギルド。

 他のゲームやライトノベルでもよく使われる単語で、このゲームにおいてはプレイヤー同士で結成するチームのようなもの。


 ギルドに入ると、ギルド専用のチャットが使えたり、スキルの獲得経験値が微上昇したりする。

 あとは、初回のギルド設立時に貰えるギルドホームかな。そんなに大きくはないらしいとはいつも兄さんの談。売ればそこそこのお金になったと言ってたね。


 そして、私がギルドを作る大きな理由としては、魔機人(マギナ)プレイヤーの援助にある。

 違うゲームにはなってしまうけど、ギルドによっては初心者プレイヤーへの援助を行う場合がある。よりゲームを好きになってもらうためであったり、自分のギルドに勧誘しやすくするためだったり。

 初心者を歓迎するギルドというのは実はかなり多い。他のゲームでも「初心者歓迎!」というギルドはよく見かける。


 そこで私は、魔機人の援助を行うギルドを作ろうと思った。言わば、魔機人プレイヤーのためのギルド。

 序盤の苦しい段階を脱却できない人にそのための方法を教える。そのために、まず私のギルドに入ってもらうわけだ。


 魔機人でまともにプレイできるようになったら、ギルドを辞めてもらってもいい。あくまで初心者魔機人の援助を目的としたギルドだからね。

 もし、このギルドに残りたいっていうプレイヤーがいるのなら、その人にはギルドを運営する側に回ってもらう。そして、新規の魔機人プレイヤーに援助を行ったり、この世界を自由に冒険してみたり。


 私たちと一緒に魔機人の辛い序盤を乗り越えて、このゲームの楽しさに目覚めてほしい。

 ロボットが好きなのに、好きなロボットを動かせない……作れないって言うのは、とても辛いことだからね。


 邪な気持ちがないとは言わないよ。私だって他のプレイヤーがどんなパーツを作るのか知りたいし、参考にもしたい。というより、それがメインだよ。まだ見ぬ色々なロボットを見たい。ロボットオタクが頑張るのに、それ以上の理由なんてないよね?


 ギルドを作りたい理由、そして、私のやりたいことを二人に伝えると、ヴィーンは呆れたような、凄いものを見るような、そんな顔で見つめてくる。


「いやはや。君は面白いと思っていたが。魔機人プレイヤーを救うためにギルドを作りたい、か」

『……私情の方が大きいけどね。おかしいかな?』

「いや、君ほどこのゲームを楽しく遊んでいるプレイヤーはいないんじゃないかなと思っただけだよ……ふふ、では、そのギルドにはエルフのお手伝いさんはいらないかい?」

『えっ、ヴィーン、手伝ってくれるの?』

「当たり前じゃないか。それに……その方が、面白そうだからね」

『ありがとう!』


 私は思わずヴィーンの両手を包み込む。私の感謝の気持ちを伝えるためだ。

 びっくりしたような表情を浮かべたのは一瞬で、老若男女を魅了する笑みに変わる。うう、その笑みは反則です……!


「ふふ、それで、カノン君はどうするのかな」


 そうだ。そもそも、カノンが首を縦に振ってくれないとこの話自体が難しくなってしまう。

 恐る恐るカノンの方を向くと、その身体がプルプルと震えていた。えっと、大丈夫……?


『ミオンさん!』

『は、はい!』


 カノンに思いっきり肩を掴まれる。Whyなにごと!?


『絶対にフレンドを連れてきます。だから、僕を……僕たちを、貴女のギルドに入れてください』

『え、ええ。元々そのつもりだからね』

『魔機人のためのギルド。素晴らしいです。凄いです。僕はそんなこと、考えもしなかった。たしかにギルドを組めば、魔機人プレイヤー同士での交流もしやすくなりますね』

「カノン君、口調が戻っているよ」

『え、あ、ああ。ごめん。取り乱したね。でも、ミオンさんがしようとしていることは、それほど凄いことだ。ギルドは本来、自分たちの利益のために作るものだ。それを、見ず知らずの他人のために、その他人がゲームを楽しくプレイできるように作ってくれるなんて……』


 えーっと。

 とても感動されてるみたい……色んな人のロボットが見たいっていう、私の下心がかなり見えていると思うんだけど、そこはいいのかな?


『あっ、でも、ギルドを作るためにはギルドクエストとお金が……』

『お金ならなんとかなるんじゃない?』

「ふむ。そう言えば〈散華の森・中層〉の素材がかなり余っていたね」

『ギルドクエストを受けに行くついでに、売っちゃおうか』

「掲示板でも、南の素材はあまり取れないって言っていたからね。そこそこの値段になりそうだよ」

『なんとかなりそうだね!』

「実際に売ってみないと分からないけど、まあ大丈夫だろう。それで、今日のところは一度拠点に戻って、カノン君のパーツでも作ろうじゃないか。ギルドクエストはボスモンスターの討伐クエストだし、カノン君が強化されるなら百人力だよ」

『えっ、僕のパーツですか!?』

「ああ。そうだね、言わば、君はギルドを作ることになったきっかけだ。それに君のパーツが新しくなるのならば、ミオンの言葉が嘘じゃないという証明にもなるだろう?」

『確かに……』

『そうと決まれば、ガレージに戻ろうか。カノンは戻ってる最中にどんな機体にしたいか決めておいてね』

『あ、いえ、どんな機体にしたいかは決まってるんだけどね。僕、重装甲で重火器を乱射する機体が好きなんだ』

『となると、ヘビー〇ームズ派ってこと?』

『ちょっと古い作品だけど、そうだね。だけど、できれば装甲は分厚く重い方がいい』

『それだと移動しづらいんじゃ?』

『ホバー移動なんかがあれば、一番いいね。移動砲台、みたいな感じで』

『ド〇みたいな?』

『いいね。カラーリングは――』


 移動している間もカノンの作りたい機体のイメージを聞いていく。詳しく話を聞くと、彼は遠距離武装全般が好きみたいで、初期スキルにも弓スキルを選んでボウガンのようなものを手に入れたようだ。


 となると、ビームライフルの作製を急がないといけない。少なくとも、イベントには間に合わせたいね。

 モンスターを適度に倒しつつ、例のダンジョンの前まで戻って来た。カノンは、ダンジョンを見てキョトンとしている。


『こんなところにダンジョンが……』

『ここをソロで攻略できたおかげで、今の私があるの』

「そう言えば、私がミオンと出会ったのもこのダンジョンの前だったな」

『そうなんだ』

「ああ。私が彼女にダンジョンへの入り方を聞いたのが出会いだったよ」

『最初はちょっと怖かったけど、今は私の大事なパーティーメンバーだよ。もちろん、カノンもね』

『ミオンさん……』

『とりあえずガレージに入ろう。そこで、詳しい話をするよ。イベントまであまり時間がないからね。できることなら、みんなで楽しみたいし』

『……そうだね。うん。その通りだ』


 私はカノンを自分のガレージへと案内する。ちなみにヴィーンは少し休むって言ってログアウトした。

 そして、魔機人に必須のプレイヤースキルと、このブラッドラインを作るために必要なゲーム内スキルを一つ一つ説明していく。その際、カノンから彼の魔機人のモデルデータを受け取るのも忘れない。これがないと、どういう見た目で作ればいいのか分からなくなるからね。


『《鍛冶》に《裁縫》……』

『うん。いろんな生産スキルが必要になってくるね。部品によっては、《木工》や《細工》なんかも必要になるかも』

『なるほど。とりあえず、様々な生産スキルを覚えた方がいいわけだね。そして、《敏捷強化》か……』

『《敏捷強化(それ)》があるとないのとだと、錆び朽ちたパーツの動かしやすさが違うからね。もし取ってない人がいたら取るように言ってほしい』

『分かった。そして極めつけは、EN(エネルギー)消費による魔機人の仕様……こんなの、よく見つけたね』

『たまたまだよ。スキルとも違うし、仕様って言うのが分かりやすいかなって』

『いいと思うよ。うん、これだけの情報があるなら、明日にでもあいつらを引っ張ってくる!』

『ありがとう。それまでに、なんとかカノンのパーツも作っておくね』

『楽しみにしてるよ。じゃあ、僕は勧誘に行ってくるね』

『頑張ってね!』


 カノンの肩をガン、と叩いて彼を送り出す。さて、私は私でやることをしないとね。

 ブラッドラインに使った数よりも多い数の装甲板を取り出し、それらにENを込めていく。


 取り出した装甲板全てにENを込めて素材庫に戻した後、アーティファクト・ソードマンの残骸を取り出し、ENを込めて炉に突っ込む。

 しばらく熱していた残骸を取り出し、鎚でトンテンカンカンホイカンカンとリズムを刻む。叩いている間にも鎚を通してENを込め続けている。こうすることで最終的な品質を上げることができるからだ。


 そうして熱して叩くを繰り返していくうちに、アーティファクト・ソードマンの残骸は一つのアイテムに変わっていた。


 [素材・アイテム]アーティファクト・インゴット(S) レア度:SR(スーパーレア) 品質:B+ 魔力伝導率:A-


 レア度も品質も魔力伝導率も問題なし!

 名前の(S)っていうのは、ソードマンの略だろうね。なるほど、アーティファクト・ソードマンの他にもアーティファクトなんたらって言うモンスターがいるのかな。いつかはそいつらも素材にしたいものね。

 早速アーティファクト・インゴットを素材庫に放り込み、パーツ作成に入る。


 ブラッドラインを作った時と同様にプラモデル方式でパーツを組み合わせていく。フレームに合わせてアーティファクト・インゴットで作り上げた部品と磨き上げた活性八八式魔導石・(きわみ)――研磨魔導石、合成蛇皮の魔導ケーブルと組み合わせていく。ちなみにまだ八九式の魔導石は使わないよ。もう少しこの八八式で扱いに慣れてからね。


 そうやってパーツを作っていると、ご飯の時間になったのでログアウト。急いでご飯をかきこんで再びログイン。ちなみに今日も兄さんがご飯を用意してくれていました。ありがとう兄さん!

 そして私は、カノンのパーツ作りを再開した。




 [所持スキル]

 《魔機人(マギナ)》Lv.41(3up↑)《武装》Lv.35(2up↑)《パーツクリエイト》Lv.--《自動修復(オートリペア)》Lv22《自動供給(オートリチャージ)》Lv.32(1up↑)《片手剣》Lv.6《鑑定》Lv.-- 《感知》Lv.16《直感》Lv.25《敏捷強化》Lv.31(2up↑)《採掘》Lv.21《鍛冶》Lv.46(4up↑)《裁縫》Lv.20(1up↑)


 残りSP(スキルポイント)68

ここまで読んでくださりありがとうございます。

金土日にも最新話を投稿する予定です。

それでは、続きをお楽しみください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 同好仲間作るために、自分の財産ばら撒くとか、無償で奉仕するとか主人公が気持ち悪い。
[気になる点] カノンのパーツの素材までミオンもちで作成となるとカノンと呼ばれる知り合いがただの寄生虫にしか思えない 主人公がピュアな分ヴィーンには忠告なり発言して欲しかったかなこのままだと掲示板に晒…
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