第百十七話 開催!PvPイベント!
投稿間隔が空いてしまってすみません。
続きとなります。
引き続き本作品をお楽しみください。
『うっわ。すっごいプレイヤーの数』
「ふむ。ここまで始まりの町が賑わったのは、第一陣がはじめてこのゲームをプレイし始めた時くらいじゃないかな」
『人数的にはそれ以上いてもおかしくねーよなぁ。だって、第一陣から第三陣のプレイヤーがこの始まりの町に詰めかけてるんだぜ?』
『むう。ぎゅうぎゅう』
「あらあら。さすがはフリファン、ってところかしら」
第三回目のイベントにして、フリファン初のPvPイベントの開催日。私たちはチーム戦に出るPTのみんなと集合していた。
開催場所に直接向かえる始まりの町では、PvPイベントの開始を今か今かと待つプレイヤーたちでごったがえしている。
見渡せば、様々な装備に身を包んだプレイヤーたちが、時間まで思い思いに過ごしているようだ。
初めて開催されるPvPイベントというだけあって、人の数は凄まじいものだ。話によれば、開催場所である特設フィールドに向かうためのゲートが出現する中央広場の方は、人がいすぎて身動きが取れないほどだという。
んー、これでも早めにログインした方なんだけど、上には上がいるってことか。もしかしたら、徹夜してる人とかもいそうだ。というか、絶対いる。
私だって、兄さんがいなかったら徹夜してたかもしれない。そんなコンディションで勝てるほど、このゲームのPvPは甘くないって分かってはいるんだけどね。
『んで、どうするんだ?』
『んー。どうしようか。そろそろゲートが開く時間ではあるんだけどさ』
「とりあえず、歩きながら考えよう。と言っても、歩みは遅々として進まないけどね」
『ひとがおおすぎ』
「ここまでぎゅうぎゅうなのは、ちょっとね」
『まぁ、今さら始まりの町のお店を見て回ってもって気はするけどね』
『お、なんだ大将。知らないのか? ここ数日は、PvPイベントに備えてってことで、前線組のトッププレイヤーたちがこの町に詰めかけてたんだぜ? それに引っ付いて、トップ生産プレイヤーたちもやってきて、暇つぶしに露店なんかをやってたんだ』
『マジ?』
『マジマジ。まぁ、俺らが使えるような魔機人用の装備じゃなくて、それ以外の種族で使う用の装備がほとんどだけどな』
「それも、初心者でも使えるそこそこ高性能な装備が破格の値段で売られてたのもあって、第三陣の人たちでもある程度の狩り場には行けるようになっているんだ」
「私たちが初心者の時にあの装備があれば……なんて、思っちゃうわ」
『たられば』
「分かってるわよ。言いたかっただけ」
『ああ。それで、明らかに初心者っぽい人たちがよさげな装備をつけてるんだね』
『そそ。あとは、PvPの雰囲気を感じたいってんで、個人戦の方には第三陣のプレイヤーがそこそこいるみたいだ。ま、記念出場ってやつだな』
「おっと。どうやら中央広場の方にゲートが開いたみたいだ。人の流れに乗っていこう」
『りょーかい』
私たちが話している間に、イベント専用の特設フィールドに繋がるゲートが開き、プレイヤーたちが次々に移動していってるみたいだ。中央広場でおしくらまんじゅうしてたプレイヤーたちがいなくなったからなのか、心なしか進むスピードが速い。
さて、改めて確認しておこう。
今回のPvPイベントは、個人戦とチーム戦の二つに分けられている。
個人戦は予選のバトルロイヤルから始まり、それぞれのブロックで残った一名が本戦であるトーナメントに出場できるわけだ。
ブロック数は十六で、それぞれAブロックからPブロックまである。
予選、本戦ともに時間制限はない。つまり、決着がつくまで戦い続けることになる。これも、フリファンの時間加速があるからこそなせる技だね。
勝利条件は二つ。対戦相手のHPを0にすることと、対戦相手が降参を宣言することだ。
基本的に降参を宣言することはなさそうだけど、なにが起こるか分からないからね。人によっては、装備の耐久値が0になってほしくないから降参する、なんて人もいそうだ。
耐久値のある装備は、1でも残っていれば生産スキルを用いて修理することができるけど、0になったらその場でパリン、と砕けてしまう。
イベントだから試合後に壊れた装備が戻ってくるよ! なんてことはない。もし、お気に入りの装備だったり、これからの攻略に必要な装備が壊れるのが嫌だって人がいれば、降参もありえるだろう。
私としては、どうせ戦うなら力を出し切った戦いをしたいけどね。その結果装備が壊れることになっても、私は後悔しない。
ま、そこは人それぞれだから、私がどうこう言うことじゃないけど。
そんなこんなでやって来ました中央広場。そういえば、ゲームを始めた頃って森の中にいたから、始まりの町をあんまり利用してなかったりする。
広場の中心に、光の柱のようなものかそびえ立っていた。おそらくあれが、特設フィールドに繋がるゲートなんだろう。中央広場に歩いてきたプレイヤーたちが談笑しながら光の柱に飲み込まれていくのが見える。
『じゃ、行こっか』
光の柱に飲み込まれると、転移ポータルをくぐった時の、あのなんとも言えない感覚が全身を襲い、数瞬後には見覚えのない、草原のようなところに立っていた。もちろん、みんなも一緒だ。
『ここが特設フィールド……』
『一面の原っぱに、店を広げるプレイヤーたち……それに、東京ドームなんか目じゃねぇってくらいでけぇコロシアム……』
「恐らく、あそこが戦いの舞台なんだろうね。それに、コロシアムの向こう側にはプレイヤーが泊まるための宿屋やホテルがあるみたいだ」
『まずは、やどかくほ?』
「その必要はないみたい。このフィールドに来てからお知らせが更新されたんだけど、PvPイベントの出場者はコロシアムに併設されてある選手用の部屋が用意されてるみたいね。もちろん、負ければ追い出されるみたいだけど」
『コロシアムに併設? そんなスペースがあるようには見えないけど……まぁ、フリファンの建物って外見詐欺ってことがあるからね。見た目小さいなって思っても、中に入ってみると凄い広かったりとか』
「ゲーム的だね。さて。私たちは当日登録をしなくていいわけだから、イベントが始まるまでは存分に出店を楽しもうじゃないか」
『おっ。冷やかしにいくかあ〜』
『美味しそうな食べ物があったら買っておきたいな。あとは、もしかしたら修理用の素材を売ってる人がいるかもしれないし、そこら辺も確認しておきたいね』
「ふむ。確かに装備を売るプレイヤーがいるのだから、修理用の素材を売るプレイヤーがいてもおかしくはないか」
『ん、ありそう』
「ふふ。じゃ、時間まで冷やかしにでも行きましょうか」
『おう』
こうして私たちは、PvPイベントの開始時間まで、コロシアム付近の出店を見て回るのだった。
ちなみに、一番の収穫は美味しいホットドッグが買えたことかな。
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