第百十三話 サラマンドラ大鉱山②
続きです。
それでは引き続き本作品をお楽しみください。
もしかしたら投稿曜日から水曜日も外すかもしれません……。
先ほどのドーム状の部屋にあった坑道の一つを歩くことしばらく。
私たちはようやく、いくつかの採掘ポイントを見つけることに成功した。
《採掘》スキルを持った四人でかわりばんこにつるはしを振るい、鉱石を採掘していく。
『お、ミスリル鉱石だ』
「こちらは上質な鉄鉱石だね……品質が高い鉄は嬉しいよ」
『んー、まてつこうせき』
『私はっと……おや?』
私が振るったつるはしが採掘ポイントを砕き、コロコロと鉱石がこぼれ落ちてくる。それを拾った私は、見覚えのない名前に反応した。
[素材・アイテム]ライトミスリル鉱石 レア度:SR 品質:A-
ミスリル鉱石によく似た鉱石。ミスリルより多少は効果が落ちるものの、ミスリルよりも加工がしやすく扱いやすいため、市場ではこちらの方が高いことがある。非常に柔軟性に優れた金属。
ほうほうほう。新しい鉱石だ。しかも、ミスリルよりも扱いやすいと来た。
効果自体はミスリルに劣るとしても、扱いやすい鉱石っていうのはそれだけで価値のあるものだからね。このライトミスリルはできればたくさん掘っておきたいところだ。
『ライトミスリル……』
「ふむ。これはなかなか」
『わたしもらいとみすりる、ほる』
私の掘り当てたライトミスリル鉱石を見たことで、みんなのやる気が上がったみたい。さ、ここの採掘ポイントも掘り尽くしたし、さっさと次のポイントを探そうか。
新しい採掘ポイントを目指しつつ、この鉱山のマップを埋めていく。さっきライトミスリル鉱石を掘り当てた採掘ポイントにはきちんと印をつけてある。
どの位置に採掘ポイントがあるかをいちいち探すのも面倒だからね。うちのギルドでは、発見した採掘ポイントはマップに記載して、みんなで共有することになっている。
その後私たちはある程度のライトミスリル鉱石や有用な鉱石を掘り当て、一度休憩するためにドーム状の部屋のところまで戻ってきていた。
そこら辺の地面に腰を下ろし、全員で今までの釣果ならぬ掘果を確認する。
『じゃあまずは私からね。ライトミスリル鉱石がそこそこ、ヌルタイト鉱石やマギタイト鉱石なんかの微レア鉱石がいくつか……あとは上質な鉄鉱石、魔鉄鉱石くらいかな』
「私も似たようなものかな。ライトミスリル鉱石が多く掘り出せたのがよかったよ」
『ったく、羨ましいぜ。あたしはライトミスリル鉱石じゃなくて普通のミスリル鉱石の方が多かったからな……』
「ん、りべりおるとこうせき」
『リベリオルト鉱石?』
聞き慣れない鉱石の名前を言ったアイちゃんに釣られてそちらを見ると、確かにアイちゃんの手のひらには見たことのない鉱石が置かれていた。
「新しい鉱石……だね?」
『おま、いつの間にそんなもんを……』
『えっへん』
『アイちゃん。その鉱石なんだけど、ちょっと見せてもらってもいい?』
『ん』
アイちゃんは手のひらの上に置かれていたリベリオルト鉱石を手渡してくれる。
さて、このリベリオルト鉱石とやらは一体どんな鉱石なのかなっと。
[素材・アイテム]リベリオルト鉱石 レア度:SR 品質:A
別名、解放鉱石とも呼ばれ、あらゆる呪いの類いを弾き、呪いから解放する力を持つ。また、闇属性に強い。
この鉱石を使った装備には《呪い耐性》スキルが付き、稀に《呪い祓い》スキルが付くことがある。
また、加工には聖属性の魔力が必要で、一般的な鍛冶職人では扱うことすらできないほどの鉱石。
また、加工の仕方によっては性質を反転させることもできると言われているが、定かではない。
これはまた。対呪い装備のための鉱石か。
この説明文にある、あらゆる呪いの類いを弾き……ってのは、この《呪い耐性》のことで、呪いから解放する力っていうのは、《呪い祓い》スキルのことを指してる感じだね。
これはかなりのレア鉱石だ。名前もかっこいいね。
しかし最後の文、性質を反転させるか……そんなことができたら、私たちのビーム系武装に強い装備ができあがっちゃうかもね。これは、PvP前に見つけたくなかった鉱石でもある。
まぁ、まだ私たち以外はこのサラマンドラ大鉱山に来てないはずだし、確実にこの鉱石が掘れると決まったわけでもないんだけど……これは少し対策が必要かもしれないね。
「アイ、リベリオルト鉱石はどれくらい掘り出せたんだい?」
『ん、ふたつ』
『《採掘》スキルを育ててる四人で一時間ほど掘って二つか……確率としてはそんなに高い確率じゃないけど』
『ああ。他のギルドにこの鉱石が流れたら、PvPイベントでやばいかもしれねぇな』
『反転させる加工にも特殊なやり方が必要みたいだし、PvPイベントまでに間に合うかは微妙だよね……』
「でも、対策されることを考えてビーム系武装だけでなく実体を持つ剣を作ったりしているんだろう?」
『それはそうだけど……ビーム系武装が使えることに越したことはないからね。ここの鉱石を掘りまくって、色々開発していこうと思うよ』
「ふふ、魔機人の方はミオンに任せておけば十分だろう。非魔機人のための新武装は、親方とこちらで考えておこう」
『お願い。っと、じゃあいい感じに休憩も取れたし、次の坑道に進んでいくよ!』
『ん』『おう』「そうだね」
地面から立ち上がって土や汚れを落とした私たちは、先ほど向かった坑道とは反対側の坑道を進んでいく。
しばらく歩けば新たな採掘ポイントに当たり、そこでもライトミスリル鉱石やリベリオルト鉱石、さらに新しくブルーメタル鉱石やレッドメタル鉱石などの新しい属性鉱石を掘り当てることができた。
カラー系のメタル鉱石は、純粋にいままでの属性鉱石とは違い、加工することで真価を発揮するような設定になっているようだ。
今までみたいに燃料みたいな使い方はできなさそうだね。ま、純粋な上位互換の鉱石はまだまだ先だろうし、今は新しい鉱石を手に入れられたことを喜ぶべきかな。
襲い来るモンスターを蹴散らしつつ、レッド、ブルーに続きイエローとグリーン、ホワイトにブラックメタル鉱石なんかを掘り当てたところで、再びドーム状の部屋まで戻ってきた。
一つ前の坑道と違い、今回向かった坑道にはモンスターがわんさかいたというのも、途中で切り上げて戻ってきた要因の一つでもある。
とにかく湧くスピードが尋常じゃなく、人が掘ってる間に三人がかりで周囲のモンスターを殲滅しなきゃいけないほどの量が襲ってきた。
モンスターの種類としては、つるはしを持ったモグラのケイブモール、石や土、鉱石なんかを好んで食べる特性を持つミミズ、ケイブワーム。あとは、防御力だけは高いストーンスライムに、前も戦ったケイブバットたちがわんさかとやってきてね……ケイブワームなんかは口の中もかなりリアルに描写されててちょっと気持ちが……。
『ほんと、あの、ワームが、気持ち、わりぃ……っ!』
『そう? かわいいよ?』
『お前の感性にはついていけねーよ……でもま、無理してモンスターと戦い続けたかいはあったな』
「そうだね。やはり最新ダンジョンの敵だけあって、スキルの経験値が美味しい。あれだけの戦闘でかなりスキルのレベルが上がったよ」
『私も、新しく取ったスキルがかなりレベルアップしててビビったね』
「ま、ミオンはスキルの更新を忘れる癖があるからね。気づいたらカンストしたままだったってこともよくある」
『いやほんと、開発に夢中になってるとスキルに無頓着になっちゃってさ……』
『ん、すきるはだいじ』
『そうだぜ? むしろ大将はなんでそんなスキルレベルでそれだけの火力を出せるんだって話だよな。今はちゃんとスキルを確認してるみたいだけどさ』
『ははは、そこは武装パワーってことで……』
しばらくスキルの更新を忘れてたんだけど、ヴィーンに気付かされて色々といじった私のスキル欄がこれだ。
[所持スキル]
《蒼天機姫》Lv.20(19up↑)《魔機人》Lv.99(MAX)《上級武装》Lv.5(New)《銃》Lv.7(New)《パーツクリエイト》Lv.--《黄昏の戦乙女》Lv.20(12up↑)《自動修復》Lv62(14up↑)《自動供給》Lv.97(21up↑)《魔力剣》Lv.21(12up↑)《片手剣》Lv.54(37up↑)《盾》Lv.41(14up↑)《鑑定》Lv.-- 《感知》Lv.50(MAX)《直感》Lv.50(MAX)《遠視》Lv.64(21up↑)《敏捷強化》Lv.97(21up↑)《魔力視》Lv.--(New)《上級採掘》Lv.26(New)《上級鍛冶》Lv.32(New)《裁縫》Lv.46
残りSP140
まず変わったところといえば、《武装》スキルが《上級武装》スキルに強化されたことかな。20SPもかかったけど、SPは余り気味だったから大した痛手じゃないね。
あとは《上級武装》スキルを取得したことで《銃》スキルが開放されたので、それも取った。この《銃》スキルは、ライフルなどの威力がスキルレベルに応じて上昇するパッシブスキルだ。
パッシブにしては大きめの10SPを持っていかれたけど、火力の向上に大きな貢献をしてくれている。
そして、《採掘》と《鍛冶》スキルをそれぞれ上級スキルに派生させた。これによって、《採掘》の効率や《鍛冶》の効率がグッと上昇した。
《感知》と《直感》がカンストしたままなのは、ここからの派生先を考えているからだね。なににするかは、スキルを派生させる時にまた話すよ。
で、だ。残りのSPがかなり減っているのは、ユニークスキルである《蒼天機姫》のせいだね。
なんとこのユニークスキル、通常の方法ではスキルレベルが上がらないときた。10SPを消費することで、スキルレベルを1上昇させることができるという鬼畜仕様。
SP余り気味だなーと思ってたらこれですよ。
え? さっきSPは余り気味だったから痛手じゃないとか言ってただろって?
うん。痛手じゃないと思ってたんだよね……ユニークスキルのレベルを上げるまではさ。
で、《感知》と《直感》以外にカンストしてる《魔機人》スキルの派生先なんだけど、これもそれぞれに癖があって悩んでるんだよね。
そっちの方も派生先を決めたら話すつもりだ。
とまぁ、私のスキル構成についてはこんなものだね。これからは、ユニークスキルを育てるためってのと、派生先のスキルを獲得するためにSPを集めていくつもりだ。有用そうなスキルがあれば、ドンドン取得していってもいいかもしれないね。
『ほらほら。休憩終了! 次の坑道に向かうよー!』
『っし、やるか!』『おー』「もう少し鉱石を集めたいところだね」
地面から立ち上がった私たちは、まだ先を見ていない坑道を選び、その坑道の先に進んでいく。
今日の採掘作業でどれだけの鉱石が掘れるのか……腕の見せどころだね。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
続きもどうぞお楽しみください。




