幕間 その十九 運営とファン(AI)
今回は運営幕間なのて短めです。
それでは引き続き本作品をお楽しみください。
「二回目のイベントも無事に終わり、第二陣までの受け入れ状態も良好。攻略の進みも、少し早いくらいで問題はなさそうですね」
「これなら予定通りに次の大型アップデートもできそうっすね。で、その後に第三陣の受け入れっすか」
「ですね。そして、これまでに問題を起こしているプレイヤーが何人か見受けられますが……まぁ、これくらいなら予想の範疇でしょうか」
「基本的には警告を出して、度が過ぎるようならアカウント停止にしてるっすからね。一発退場のバカが出てないだけマシっすよ」
「で、いつもあのミオンってプレイヤーを見てる主任は?」
「なんか開発主任に連れてかれてたっす。新しいなにかでも投入するんじゃないっすかね?」
「仕事はしているようでよかった……って、えぇ?」
「どうしたんすか、そんな素っ頓狂な声出して」
「えっと、これ、元イベントフィールドの第十一サーバーだった浮遊大陸なんだけど……見てもらえる?」
「いいっすよ。んで、十一サーバーって言えばあのミオンがいた……ぶほっ!」
「……これ、どう見てもあの子よね?」
「ごほっごほっ……どう見てもあの子っす。どうしてフィールドにいるのかは分かるっすか?」
「んー、どうやら普通に出ていって、クリムのところに遊びに行ったみたいね。で、そこであの子がご執心のミオンとばったり」
「偶然……ってわけじゃなさそうっすね。多分、元々クリムのところにミオンが向かってて、それを察知したあの子が押しかけた…。ってところっすかね」
「……まぁ、ミオンならいいんじゃない?」
「……そうっすね。下手に言いふらすこともなさそうだし、それ以上にクリムの素材アイテム貰って舞い上がってるっすからね」
「あら、クリムの方も結構ミオンのことを気に入ってるのね。素材の量が多いわ」
「……もう気にしないことにしたっすよ。あのプレイヤーが規格外なのは今に始まったことじゃないっす」
「それもそうね」
「さて、もうしばらくしたらあの子のところに行ってくるっすよ。はぁ、もう少し待ってくれって言っておいたんすけどねぇ」
「仕方ないわよ。あの子はまだ成長途中の子供みたいなものなんだもの。あまり締め付けすぎるのもよくないわ?」
「分かってはいるんすけどねぇ……ま、これからは気軽にとは言えないっすけど、定期的にガス抜きさせてあげるべきっすかね。じゃ、行ってくるっす」
「てらてら。ついでに交代の人呼んどいて」
「はいっすよー」
「……やっぱり、自我を持つと想定外な行動を起こすものなのねぇ。そこが面白いところなんだけど」
*************************
「おかえりっすよ。見てたっすけど、だいぶ話し方も変わってきたっすね。いい調子っす。それで、外は楽しかったっすか?」
『……ええ。楽しかった』
「それはよかったっす。でも、次からは一言言ってから行ってほしいっすよ」
『え……?』
「ん、どうしたんすか、その反応は。もしかして勝手に行動して怒られるとでも思ったんすか?」
『……うん』
「まぁ、勝手なことしてー! って気持ちがないとは言わないっすけど、君の願いを後回しにしてたのは事実っすからねぇ。それで今回の出来事に繋がったって言うなら、君だけを怒るわけにはいかないっすよ」
『でも』
「いいんすよ。てなわけで、毎日とは言えないっすけど、お仕事の合間くらいなら遊びに行ってもいいっす。ただ、今回みたいにプレイヤー側に正体を明かさないことっすよ? 今回はミオンだったからよかったものの、他のプレイヤーだったら大変なことになってたかもしれないんすからね。そこだけは、気をつけてほしいっす」
『……ごめんなさい』
「うん、謝れるならヨシっす。で、その身体は一体誰に貰ったんすか? 開発の方にお願いしてた君専用の魔機人アバターだったんすけど」
『えっと、主任? って人が渡してくれたの。これで、君が会いたい人に会ってくるといい……って』
「あんの人は本当にもう……はぁ。すでに完成してたんすね。えっと、さすがに武装までこっちで作るわけにもいかなかったんで、もしビームとか撃ちたいなら自分でミオンたちにお願いするっすよ?」
『分かってる。ありがとう』
「いいっすいいっす。で、早速仕事の話で悪いんすけど、これからのフリファンの方針なりなんなりをアップしといたんで、後で確認しておいてほしいっすよ」
『大丈夫。見ておく』
「お願いするっす」
「さて、とりあえず主任のところに行くっすかね。勝手なことするなって言っておかないと……はぁ、頭が痛いっす」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
続きもどうぞお楽しみください。




