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電車の中でもう一度手紙を読み終えると、僕は途中の鶴見駅で席を立った。
(もう祐美は死んでいる。急いで向かう必要はない)
僕はそう思った。
確かに僕は女性じゃない。
女性のように生理も来なければ子宮もない。
女として生まれた祐美が子供を作れないという事実を受け入れられないくらい辛いという気持ちは察することは出来る。
でも、だからといって命を絶つ必要はない。
僕が現れたことで祐美を追いつめたのかもしれない。
ただ命を絶つというのはあまりにも安直すぎるだろう。
きっとうつ病だったのかもしれないが、僕には祐美の短絡さに腹が立った。
(果たしてそれだけか?)
いや、そうじゃない。
僕は今の状況に喜びを感じていた。
祐美が僕のことを大嫌いだということは元々知っていた。
でも僕だって祐美のことが好きなわけじゃなかった。
何かと僕らはずっと比べられて生きてきたのだ。
祐美は僕より勉強ができ、そして祐美は僕より人に好かれていた。
よく父は「祐美ちゃんはお前と違っていい子だ」や「祐美ちゃんはお前より頭がいい」などと僕を否定する言葉をすぐに口にした。
他人からそんな言葉や態度で祐美と比べられる度に僕は祐美のことを憎んだ。
祐美さえいなければいい。
祐美さえいなければこんなに比べられる必要もない。
そう思って生きてきた。
同時に僕は祐美にあこがれていた。
僕は祐美になりたかった。
子供のころからずっと祐美になれたらと思っていた。
だから僕は整形手術を受ける時にも、祐美の顔や祐美の声を参考にした。
そんなあこがれの祐美がもうこの世からいないのだ。
不思議と安堵感がした。
そして僕は思ったのだ。
祐美の人生を奪ってやると。
主人公がまだ家にまで帰ってないのですが。。。
とりあえずここまでで一旦、物語を終了致します。
また機会がありましたら続きを書くかもしれません。
最後まで読んで頂き本当にありがとうございました!
なお、Pixivでもこの作品を投稿しています。




