表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/25

20

クリーニング店をやめてもすぐには困ることはなかった。

はるちゃんに出会う前とは異なり、お金もあるし、住む家もあった。

だがそれも永久ではなく有限であることにはかわりなかった。

僕は女性として生きることに限界を感じた。

けれども男に戻って生きるのは死んでも嫌だった。

このまま女性として生き続けたい。

性同一性障害者として自分の戸籍を女性に変えて女性になろう。

男性器を失うのは嫌だったが、その道しか僕には考えられなかった。

そのためにはまずは親に相談をするべきだろう。

そう思ったのは夏から秋に入りかけた、10月頃のことだった。

家に戻って説得するにはどうしたらいいだろうか。

親を説得する際に、誰か傍にいてもらえたら・・・・

そう考えたとき、ふと頭に浮かんだのが祐美だった。

もしかしたら祐美なら味方になってくれるのではないだろうか。

そう思ったからだ。


直接電話を掛けると祐美は出てくれた。

手術で声が高くなっているので僕はワザと低い声色を使った。

「たかちゃんなの?」

そう尋ねる祐美の問いに僕は「うん」と答えた。

それから色々質問攻めにあった。

「何をしていたの?」

「今どこにいるの?」

「何で学校をやめたの?」

「何で急にいなくなったの?」

僕は一つ一つ丁寧に答えた。

ただ僕は二つだけ嘘をついた。

一つは性同一性障害者であるということ、そして二つ目に同性が好きだということだ。

嘘をついた理由は僕の現状を言っても普通の人間には僕の思考を簡単には受け入れてくれないと思ったからだ。

だったら性同一性障害者とした言った方が分かりやすいし、同性が好きだと答えた方が状況を把握し易いと僕は考えた。

電話口から次第に祐美の声が小さくなっていくのを感じた。

(ああ、きっと祐美には受け入れてはもらえないのだろう)

そう僕は悟っていた。

それでも祐美は直接会いたいと言ってきた。

僕は拒否する必要はなかったので、僕たちは翌日会うことになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ