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そだ☆シス  作者: Mie
乳児編
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6 ヘル&ヘヴン

 御仏のような、清らかなお心でお読みください。

 余計なことを考えてはなりません。



挿絵(By みてみん)





 ――――時は満ちた。


 天を仰げば、創世の女神が大いなる慈愛を以て我々を見守ってくださってるかのような神々しい光。

 一方、断崖より目を落とせば奈落が待ち受けている。


 しかし、神々のご加護があれば何も恐れることはない!

 我らは目指す先、(もや)がかる白き神山(しんざん)の頂に見える桃源郷に思いを馳せ、固唾を飲み込む。


 女神に選ばれた者だけが到達できる、常春の花々の薫る聖地。


 あと少し、あと少し。

 オアシスを求める砂漠の旅人のように、我々は(おもむろ)に手を伸ばす。



 最早目前に迫った、天上の泉に向かって……。




*********



「はぁ~い♪ たくちゃん飲んで、早くおっきくなってね~~♪♪」



 隣でもう一人に抱かれている妹様は、天国の気分であろうが――。

 ――――俺にとっては、天国(ヘヴン)であると同時に地獄(ヘル)である。


 これは実戦(しょくじ)である。 訓練(プレイ)ではない!

 繰り返す、これは訓練(プレイ)ではない!!


 どんな極みにも一瞬で目覚めそうな無我の境地に至りつつ、本日最初の食事に取りかかっている俺。

 今の俺の表情は、それはもう見事なアルカイックスマイルに違いない。

 ……先日は『もう慣れた』と大見得を切って見せたが。



 慣れるわけねぇだろコンチクショウ!!



 見てみろよ! 見た目高校生か、下手をすると中学生だぞ!?

 まあ、一部分に至ってはそれはもう立派な大人ではあるが……。

 前世の記憶を持つ精神年齢約二十歳(ハタチ)の俺にとって、可愛すぎて未だに自分の親とは思えない白ワンピ+パツキン美少女の柔肌……しかも、最もアレな部分を無防備に晒され、あまつさえ……ちゅ、ちゅーちゅー、だなんて。

 違う意味で早く(おっ)きくなってしまいそうで、今すぐ壁に頭を打ち付けて死んでしまいたい程の罪悪感に襲われ胸がオッパ……イッパイである。

 ――今打ち付けた所で、ぽよんと弾き返されるのが関の山だろうが。

 し、死ぬ事さえ叶わぬとは……。

 絶望した! 俺の汚れてしまった悲しみに、とても絶望した!! 悲しい時だー!!!

 肉体年齢的な理由で、まだ大きくなる心配がないのが唯一の救いである。


 ホント、これとオムツ換えだけは何時まで経っても慣れん……。

 ネットで見た、異世界転生の先人達の苦悩……心よりお察しする。 そして察してくれ。


 数多くの作品において、この手の場面の描写がしばしば省かれるのも納得である。



「んん~? ジャスちゃん、またお顔が赤いわよ~?」


 ……ああ、そうだろうとも。

 今俺を機関車の炉に放り込めばたちまち超加速、大気の壁さえ超えて(そら)を飛べるのではなかろうか、という位に赤熱している事だろう。


 アイキャンフラーイ?

 イエス、アイ キャン!

 嬢ちゃん。 俺に触ると、火傷するぜ?


 今、俺の頭が非常に残念な事に……いや既に○元突破して哀れな事になっているのは自分自身でも承知の上だが、まともなテンションではやってられないのである。

 無邪気に至福を堪能している妹様が、この時だけは憎らしい。



「あははははっ! ……もしかしたら、いっちょ前に恥ずかしがってるんじゃない、セフィ?」


 隣で妹を抱いているメイド服の女性が、からからと笑いながら話しかける。


「あらあら? ……アナ、そうなの?

 ジャスちゃ~ん、はじゅかちぃのかちら~?」


 お袋が俺の頭を撫でながら話しかけてくるのだが。

 ……俺にしてみれば、その赤ちゃん言葉が尚更に恥ずかしいかしらー。



「きゃあ~♪ かわいい~~♪♪」


 上目遣いで抗議の視線を送ったら、ぎゅっとされました。





 そんな、春の日のできごと。

 ありふれた日常のひとコマ。





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