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そだ☆シス  作者: Mie
園児編
71/744

62 どこの世界も女性は強い

挿絵(By みてみん)





 幼児園に偶然集いし、家族同然の付き合いである三人。


「われら、うまれた日はちがえども……あ」


 しまった! 二人は生年月日まで全部一緒だった!


「おにぃ~?」

「んぅー?」


「な、なんでもないおー」



 どうでもいい○国志ネタは適当に流すことにして、今日は幼児園(ここ)でのエンカウント率が意外に低いエミーちゃんに出会った。 というか初めて。

 昨日も遊んだばかりではあるけど、ハイタッチで再会を喜んだ。

 ちなみに、今日はお姫様はいない。 部屋に入った瞬間に分かる。

 そして。


「まてー!」

「きゃあああああん♪」


 すぐに始まる鬼ごっこ。 最近の、妹様とエミーちゃんのお気に入りなのである。

 ここはウチの部屋よりも障害物が少ないので、最高速度で端っこまで駆けていく。


「ひゃう~ん!」


 壁際に置いてあるオモチャ箱に、背中を預けるようにして置かれている大きなぬいぐるみ。 どうやら犬っぽい。

 セーレたんは全力疾走のまま、そのぬいぐるみに背中を向けて体当たりすると、ぼよーんと跳ね返ってスピードを落とすことなくこっちへ走ってくる。 見事なターンだ。


「うああっ!? ……へぶっ!」


 その真後ろを追走していたエミーちゃんは、妹様の背中で見えなかったんだろう。 いきなり目前に現れたお犬様に、正面衝突してへばり付いた。

 きっとエミーちゃんからは、妹様の姿が消えたように見えたと思うぞ。


「き~~~~~~~ん、へやぁ♪」

「おおっと」


 そして俺の方に向かって真っ直ぐ、止まることなく飛び込んでくる。

 しかし、俺は受け止めない!


「そりゃー」


 伸ばしてきたセーレたんの両手を掴むと、俺は身体を横にずらし、走って来た勢いを円運動に変換!

 つまり、一八〇度振り回して再度エミーちゃんの元へ送り返す。


「ひゅ~~~~~~~ん!」


 たった今命名「せれホークミサイル」は、エミーちゃんをロックオンして飛んでいく。 「せれドン」ではないからな?


「ふびゃー」


 お犬様と熱いベーゼを交わしていたエミーちゃん、ようやく解放して振り返ったところに。


「どぉ~~ん!」

「わばっ!?」


 そのまま抱き付いてお犬様とサンドイッチ、勢い余って二人共ひっくり返った。


「もくひょー、げきは」


 腕を組んで大仰(おおぎょう)に頷く俺。 保護者席からは『うわー』『すごいわねー』という声が聞こえてきた。

 まあ、るーちゃんと一緒にお姫様してた子が、実はあんなにアクティブだったとは思わないわなー。


 二人が追いかけっこを始めると、特にセーレたんはこの俺さえうまく利用してしまう。 俺も、目を見ればどうして欲しいかなんてすぐ分かるし。

 残念ながら、エミーちゃんとはそこまで息が合わないので、同じ状況になると大抵ぶつかって俺が吹っ飛ばされるのだが。

 ……むしろ、俺をブレーキ代わりにしているような節もあるけどなー。


 でも、最近は髪が耳にかかるくらいまで伸びてきて、段々女の子らしく見えるようになってきたエミーちゃん。 背は俺より高いけど。

 だけど面白いもので、髪が伸びると、目つきが鋭くて余計に男の子っぽく見えてた表情も、おてんばな女の子という印象に変わってきて……そうなるとやっぱり、エルネちゃんに似てるなーと思えるようになってくる。

 そんな女の子達二人は今、取っ組み合って上になったり下になったりしている。

 巻き込まれると危険なので、俺は退避するとしよう。



「お」


 と思ったら、隅っこの方で座り込んで、ぽかーんと口を開けたままキャットファイトを観戦している知り合いを発見。

 折角だから言ってみるか。


「よーチミ、げんきしてるかねー?」


 どこのオッサンだよ? という感じのセリフと共に、横から肩を叩く。


「うひょ!?」


 尻が浮くほど飛び上がる男の子。


「おっす! えーっと、えーっと……」


 ――あれ、なんて名前だったっけ? この濃い藍色の髪をした普通君。

 そう言えば、この前はカオスのまま終わってしまって、結局聞いてなかったような気がする。


「あなたのお名前、なんてーの?」


「ぅえ?」


「な・ま・え」


「んと……にこー」


 いや、笑えって言ったんじゃなくって。


「なまえだよー」


「ぼく、にこー」


「ん? にこ、君?」


「うん!」


 おおう、名前だったのか。 だったら、イ○コーとかサ○コンとかもいるのか? ……ま、いっか。

 確か、俺も名乗ってなかったよな。


「おれはジャスなー」


「やすー?」


 おい、俺はどこの連続殺人犯だ?


「ジャスー」


「じゃふー?」


 レッカー移動するぞ、このヤロー!?


「ジャスー!」


「じゃすー」


「うむ、よしよーし」


「ふゎ」


 おっと、野郎相手になでなでしてしまった。 別にいいか。


「なにしてんのー?」


「んー」


 まっすぐ腕を伸ばして指差す方を見ると――。



「ぅわあああーーーーーーーーー」



「ぬおっ!?」


 ものすっごい勢いでトラック……もとい、エミーちゃんが俺に向かって突っ込んでくる!? 俺をまた転生させる気か!

 そうはいかんぜよ!!


「身替わりのじゅちゅー」


「どーーーーん!」

「モルスァ」


 普通君こと、ニコちんを引っ張り起こして入れ替わった次の瞬間、エミーちゃんにクロスチョップされてすごい勢いで飛んで行った。

 つーかエミーちゃん、「どーん」って。


「へぶらばぁ」


 面白い声を出しながら転がっていくニコちん。 君、やられ役の才能あるね?

 で、エミーちゃんが来たということは……。


「おにぃぃぃいいいいいいい」


「おっしゃあ!」


 案の定、振り返ると走ってくるセーレたんが!


「いやあぁん♪」


 はい、見事にキャッチ! ……って!?


「どどーん!」


「ぐわっ!」

「にゃうん!?」


 エミーちゃんに、二人まとめて押されてダウン。

 その突っ張りはいらんですよ!


「とあーーーっ!」


「ぐべぺっ」


 俺達を倒して満足したのか、その次は転がって行ったニコちんに乗っかって、これでもかとばかりにマウントパンチを繰り出し始めた。

 いつも俺達兄妹を相手にしてきたせいか、まったく遠慮や容赦というものがない。


「いあ! いあ!」

「ろぺ! ろぺ!」




「コラーー! 何やってんのーーーーっ!!?」


 気付いたアナさんが止めに入るまで、フルボッコにされていたのだった。

 アナさんがニコちんのお母さんに平謝りしたのは、言うまでもない。


 今度ちゃんと、手加減を教えなければ……。





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