5 いっしょにトレーニング
今日も新しい朝が来た。 希望に満ち満ちた朝である。
……今なら、何星人が相手だろうと戦えそうな気がするぜ!
『まずは、手足を伸ばして大きく背伸びの運動ーーー!!』
朝っぱらから気合いを入れて声を出してみたつもりだが……。
「あーぅー、ぃあーぉーあーーぅーー~~~うーーー~~!!」
端から見ればあーうー言ってるだけで、まるでどっかの元総理大臣である。 でも気にしない。
大きくなってからではありません、小さな頃からコツコツと。
異世界のエラい人も、そう言っていたではないか。
……ちょっと違うような気もするが、やはり気にしてはいけない。
そんな事を考えつつ。
あーうー言いながら、手足をもぞもぞ動かす俺。
「きゃぁあ~~♪ う~ぅ~~」
隣の妹様も大層お喜びだ。
図らずもお気に召したようで、俺の方こそお喜び申し上げます。
更には、妹様も何やらおててあんよを動かされているご様子。
「ぇあーー、あーーぁーーーぇあーーーぅーーぃ?」
――姐さんも、アッシの体操に参加されやすかい?
「きゃ~~~~~あ~~~~~~♪」
――アンタこそ、アタシの動きについて来れるかい?
まあ、俺のネタ振りに妹様がどう返してくれたかは想像でしかないが。
俺の想像通りでないことは間違いないだろう。 切にキボンヌ。 ……本当に希望していいのか?
今ここに、ジャス流ブー○キャンプが始まったのであった。
……これ、客観的に見たらかなりシュールな光景じゃね?
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――――ドアの向こうから、ジャスパー様とセレスティア様のお声が聞こえる。
おふたりは、とてもお利口さんな赤ちゃんだ。
夜泣きをすることもなく、最近は私たちが話しかけるとお喜びになり、積極的に反応を返していただけるようになった。
特にジャス様は顕著で、あまりに絶妙なタイミングでお返事をくださるので――。
『もしや、私達の言う事をご理解されているのでは!?』
と、思ってしまう程だ。
先日チャロも、『ジャスさまがお返事してくれたの~~~♪』と言いながら駆け込んで来た。
決して広いお屋敷ではないのに、そんなにバタバタしては奥様のお耳に入る。
注意すると、ピンと立っていた耳と尻尾をしおれさせて、しゅんとしていた……嬉しい気持ちはとてもよく分かるけどね。
ほら……尻尾を激しく動かしすぎて、付け根のリボンが曲がっているわよ?
部屋の中からは、ますます楽しそうなお声が聞こえてくる。
まるで、ご兄妹で内緒のお話をされているようだ。
おふたりのお楽しみを邪魔してはいけない。
――だから、こっそり覗いちゃえ♪
にわかに湧き上がってくるそんな誘惑を全力で振り切って、私は部屋の前をそっと後にする。
次に伺う時には、何か絵本でも読んでお聞かせしてみようかしら――そんな事を思いながら。
「お姉ちゃん? スキップなんかして、すごくゴキゲンだね! 何かあったのー?」
……あの時の、チャロの気持ちがとてもよく分かりました。
うん。




