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そだ☆シス  作者: Mie
幼児編つづき
52/744

45 嵐の深夜、館の惨劇?

挿絵(By みてみん)




 夜になった。


 窓の鎧戸は頻繁にガタガタ鳴ってるし、風や雨の音も聞こえてくる。 今がピークみたいだな。

 特に、風呂に入ってた時の音が凄かった。 反響が凄くて雨音が万雷の拍手みたいに聞こえるから、あたかも巨大なコンサートホールを埋め尽くす(おびただ)しい観衆が、俺の全裸を賞賛しているみたいで快感……って、そんな訳あるか! そこまで変態じゃねぇよ。 そこまで?

 それは冗談だが、TVのニュースのレポーターが屋外で必死にレポートしてる映像は実際に頭に浮かんだ。 当然、こっちにそんな人はいないだろうが。

 いたとしても、「保安隊」とかいう警察みたいな人が見回ってるくらいだろう。 ……ご苦労様です。

 そんな事を考えながら自分でパジャマを着て、とことこと自分の部屋へ……って、何故引き留めるマールちゃん?


「ジャス様っ。 今夜はみんなで奥さまのお部屋で寝ましょう、という事になったんですよ♪」


 なるほど、そういや夜通し看病してもらったことはあったが、メイドちゃんズと一緒に寝たことはないな。

 あのベッドなら、詰めれば全員寝られないこともないだろう。 あのベッドなら……。

 っと、これ以上考えるのは危険だ。 嵐なのに太陽を拝む事になる。 神々しい太陽神様をな……。


「はいっ、セーレさま、よくできましたねー♪」


「おにぃ~! おきかぇ~!」


 俺が悟りの扉をノックしていると、横から妹様の声が。

 ちゃんとお着替えできましたかー♪ えらいでしゅねー!


「せーれたん、えらいおー」


「きゃあん♪」


 抱き付いてきたセーレたんの、まだちょっと湿っている髪をなでなで。

 ピンクのパジャマを(まと)った湯上がりのマイハニーは、お顔もピンクである。 可愛いっ!

 では、いざ二階へ参ろうぞ!

 うんしょ、うんしょと、両手も使いながら頑張って階段を上がっていく俺達。

 段差は低めだし後からメイドちゃんズが付いて来てくれているので、安心してチャレンジ。


「せーれたーん、がんわれー!」


「おにぃ~! ぎゃんわう~っ!」


 俺達にしてみれば奥穂高にも等しい登山ルートだが、メイドちゃんズは俺達の様子を微笑ましげに見つめている。


「ジャスさまー、セーレさまー! ガンバってー♪」


「その調子ですよー! ……ああっ、なんて勇ましいっ♪」


 若干遠い目をしている人がいるが、そこは気にすまい。


「せーれたーん、ねうなー! ねたは(ねたら)しにゅ(しぬ)じょー!」


「お、おにぃ~!」


「ぷっ! ……じゃ、ジャスさまっ」


「はぁ……♪」


 チャロちゃんにはウケた。 よっし!

 マールちゃーん、どこまでイってるんだー? 戻って来ーい。

 そんなボケを挟みつつ、何とか登頂成功。 用意してくれていたおしぼりで汚れたおててを拭いてもらってから、俺達は廊下の突き当たりのドアまで一直線。

 チャロちゃんにドアを開けてもらうと、シックな色調のお袋達の寝室へ。



「いらっしゃ~い♪」


 髪をかき上げながらお出迎えしてくれたお母様。

 ……○枝師匠ですか? もしくはサブロー。

 恐らく二年目だろう新婚さんにいらっしゃいされた俺達兄妹は、よっこいしょーと抱き上げられてベッドへ。

 お恥ずかしながら、再びこのベッドへ戻って来てしまいました!


「それでは、私達も支度をして参りますね……♪」

「すぐ戻りますねー!」


 ばいばーい♪ とセーレたんと一緒に見送ると、俺達の横でベッドに腰掛けていたお袋に二人一緒に撫でられた。


「ふふふっ。 二人共、すぐ戻ってきますからね~」


 普段から白系の服の多いお袋は、珍しく黒のネグリジェを着ている。 しかも生地が薄くて袖がなく、キャミソールに近い。

 金髪グラマー美少女に黒い薄着というのは……か、かなりヤバイ。


「ジャスちゃ~ん? 目の焦点がおかしいけれど……もうおねむなのかしら~?」


 さっきから『この人お袋この人お袋』とずっと念じ続けているんだが、それでも目線を合わせられないんですよ!

 その上、お袋の身体を包むいつもの花っぽい匂いが破壊力を増幅、どころかバイキ○トしてくるし。

 それでも何とか耐えられる二歳児の身体に感謝だよ、本当に。



 コンコン。


 ガチャ。


「失礼しまーす♪」


 ドアが開くと、最初に枕を二つもったチャロちゃん、次におまーる子ちゃんを抱えたマールちゃんが入って来た。

 まーる子ちゃんは照明のスイッチから少し離れた所に置いて、マール子ちゃん達はやって来る。 ……おっと、混同してもた。 スミマセン。


「ね、寝間着姿をお二人にお見せする事は滅多にないですから、少し照れますね……」


 マールちゃんが着ているのもネグリジェ。

 ただし色はアイボリーで、デザインもシンプルだ。 半袖ではあるけど生地も薄くない。

 下の丈も足首くらいまであり、彼女の真面目な性格がよく出ている。

 でも、ポニーテールをほどいて普段の紺色とは対照的な色を纏っているので、すごく年齢相応というか少女っぽい雰囲気がある。


「みんなで寝るって、楽しそうですよねー!」


 そしてチャロちゃんはパジャマだ。

 薄いピンクで生地も少し薄め、袖も上下共に肘膝までで涼しそうだ。 胸元の小さなリボンが可愛らしい。

 しっぽの部分は……おっ、なんかお尻の上の部分から円錐状に生地が伸びていて、付け根の部分から二、三〇センチくらいまでを覆うようになっている。

 で、円錐のてっぺんをカットした形で穴が開いていて、そこからしっぽを出している。

 へぇー。 単純に穴が開いてる訳じゃないんだな。

 ちなみに俺とセーレたんは、普通のデザインの夏用長袖パジャマだ。 青とピンクの色違い。

 ……あれ? ひょっとして、この中で男って俺だけ? 一対四ですかっ!? ハットトリックでもまだ同点だよ?


「さあ、ジャスちゃんが眠そうだから、もう寝ましょうか~」


 胸の前で両手をぽんと合わせながらお袋がそう言うと、チャロちゃんが薄暗くなるまで照明を落としに行った。

 実際は眠いどころかギンギンに醒めてるんだが、こんな状況下ではとにかくベッドに入ってしまうに限る!

 見慣れない寝間着姿の年頃の美少女三人とか、見てたら絶対朝まで寝られんよ。 正直惜しいが、毛布で隠してもらわねば。



「――――だけどぉ~。

 そ・の・ま・え・にぃ~♪」


 ぞくぞくぞくっ!!!?



 い、い、い、今……隣のお袋から、ものすごーーーーく不穏な気配を感じましたよ!?


「はい、どうされましたか? 奥様」

「なんでしょー?」


 それぞれのマイ枕を抱え持ち、二人並んで首を傾げるメイドちゃんズ。

 そこに、掛けていたベッドから立ち上がったお袋が、ふら~りと歩いて行く。

 胸の前で合わせていた両手をゆっくりと広げ、十本の指を微妙に動かしながら。

 既に俺からは後ろを向いていて見えないが、お袋の表情は間違いなく、いつもの「にこにこ」から妖しげな「にんまり」に変わりつつあるハズ……!


 や、やばい。 これは……爆発するっ!!



「せーれたん、ふしぇろ(ふせろ)おおおおおおぉぉぉぉっっっ!!!!」

「きゃうんっ♪」



 ――――さあ、ふたりとも。



 脱 ぎ 脱 ぎ 、 し ま し ょ う ね ~ ?



「「きゃあああああぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっっっ!?!?!?!?」」



 ばふっ!



「さあさあさあさあ~♪ みんなで寝ればぁ、すぐにぃ、暑くなるんだからぁ~ん。

 今のうちにぃ~、ぜ~んぶぅ、脱ぎましょ~ねぇ~♪」


「ちょっ、奥さっ、何を……きゃあああっ!!?」

「ひゃうっ!? そこはっ! しょこわあああーーんっ!?」



「見えちゃダメだ、見えちゃダメだ、見えちゃダメだ、見えちゃダメだ、見えちゃダメだ、見えちゃダメだっ……!!!」

「ひゃうっ! きゃんっ! ……おにぃ~♪」


 俺がセーレたんを抱えてダイブするのと、お袋がメイドちゃんズに襲いかかったのは、ほぼ同時であった。

 後ろで繰り広げられているであろう禁断の宴から俺達の身を守るため、俺は妹をきつく抱き締め、ベッドの毛布の中に飛び込んだ!


「聞いちゃダメだ、聞いちゃダメだ、聞いちゃダメだ、聞いちゃダメだ、聞いちゃダメだ、聞いちゃダメだっ……!!!」

「おにぃ~! おにぃ~! ひゃううううぅぅぅん♪」


 見てしまうのは勿論の事、その声を聞いてしまうのもヤバイッ!

 そして、もしセーレたんから離れてしまえば、両サイドから二人の天照様に挟まれて寝かされる可能性があるっ!!

 そんなの、前回の比じゃねぇっ!!! 死ぬッ! 間違いなく俺、全身から血を噴き出して死ぬッ!!

 いやッ! それどころか、爆発して肉片レベルでバラバラに吹き飛ぶ自信があるッッ!!!


 身体中を這い回る戦慄に震えながら、まさしく命綱に(すが)るが如くセーレたんをきつく抱き締めて、なるべく声を聞かないようにすりすりし続ける。

 セーレたんが何か言っているようだが、気にしている場合ではない!



「さあさあさあ、すべてを解き放つの、で・す・よぉ~~~っ♪♪」


「ああっ! ダメですっ奥さ……あっ、あっ、あああっ!!?」

「はうんっ! そんなに全身……やっ、ひゃっ、いやああああーーーーん!!♪」


「がくがくぶるぶる、すりすりぷるぷる……!」

「ひゃぅ、あぅ、はう~~っ♪」




 ――――十数分後。


 叩き付けるような雨と唸るような風の音が聞こえ、木製の鎧戸がガタガタとひっきりなしに音を立てている。

 その一方で、寝室は静寂と熱気に包まれていた。

 大きなベッドの中には、着衣を乱し恍惚の表情で仰向けに倒れている美少女が二人と、美幼女が一人。

 幼女の隣には、白目をむいて気絶しているうつ伏せの幼児が一人。

 そして。


「ふふふふふ~っ♪

 ちょ~っと、おふざけが過ぎたかしら~?」


 ドアの側には、乱れた寝間着を直しながら満足げに立っている美少女が一人いた、が。


「……みんなは、ぐっすりお休みなさいね~」




 彼女を除いて、その夜の事を最後まで覚えていた者は誰もおらず。

 嵐が過ぎ去った翌朝、整えられた自分の着衣を確認して心から安堵する一同であった。





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