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そだ☆シス  作者: Mie
幼児編
40/744

35 ご飲食中の方はお控え下さい

 途中で吹き出す恐れがありますので、ご飲食中の方はPC(キーボード含む)や携帯を透明のビニール袋で覆うか、お食事を終えて片付けた後にお読み下さい。


※ご注意:今回も下ネタを含みます。

 たぶん大丈夫かと思いますけど、万一の際は二回目のタイトル画像が出てくる(挿絵非表示の場合は「★★★★」の)所までスキップして下さい。

挿絵(By みてみん)




「……」


 ごくっ。

 春の日差しが暖かい部屋の中で、四角い物体を目に固唾を飲む男が一人。

 って、俺なんだけどね。


 この部屋には、多くの本が置いてある。

 元々本棚があって色々な本が入っていたんだが、俺が早く情報が欲しいので、本を読んでもらった時にちょっとオーバー気味のリアクションを取るようにしていたら少しずつ増えて、ご近所さんからのお祝い? の時にとうとう新しい本棚が追加された。

 しかし、残念ながらというか当然ながら、幼児や子供向けの本がほとんどのため、本当に俺が求めているようなこの世界に関する詳しい本はない。

 なので、絵本の物語などからかろうじて勉強している状態だ。

 ただ……ここで嬉しい誤算というか、犬も歩けば、というか。

 「地雷」でお馴染みの『チャロちゃんコレクション』である。

 必ずブックカバーがついている、あまりにもランダム……というより、フリーダムと形容すべきなこのラインナップのおかげで、これだっ! という異世界情報が時々手に入る。 文字通りの地雷率も高いが。

 そのため、俺としては分かっていても手に取らざるを得ないのである。

 例えるなら、ダンジョンに入った冒険者一行(パーティ)が、行き止まりで『押すな!』と書かれているボタンを見つけて、


『……明らかに怪しいよな』

『押すなよ! 本当に押すなよ!?』

『でもでも、押すなって言われたら無性に押したくなるよねー♪』

『いやだから押すなっての!!』

『そうです、そんなの罠に決まってます!』

『そのボタン以外、本当に何もない部屋みたいだね』

『仕方ない、一旦引き返して――――』

『あ、ゴメン。 押しちゃった♪』

『だから押すなってあれほど……わああああああああっ!!??』

『『『あーーーーーーれーーーーーーーー』』』


 ――とかいう、お決まりのコントを繰り広げるアレと同じような心境なのである。



「しゃて。 ……びしゃもんてんにょかごじょあゆ!」


 どこかの武将みたいなセリフを叫んで覚悟を完了させ、目の前にある厚めの本を開く。


「えーーーっと、たいとりゅは……」





肥溜(こえだ)めに落ちた先は異世界でした』




「っておいっ!?」


 異世界トリップもの!!?

 こっちにもあるのか、そのジャンル!? つーか肥溜めって!

 ある日、突然う○こ(まみ)れで見知らぬ異世界とか、最悪なトリップだな……。 逆にちょっと興味出てきたぞ。

 読んでみるか。



『ある日、私、アリサは畑の肥料をもらいに肥溜めに行きました』


 主役、女の子なのっ!? それで肥溜めって……。



『私が持ってきた桶に肥料(う○こ)をすくっていると、後ろから声がしました』

『「うわーーー! 誰か! その馬車を止めてくれーーーー!」』


 おいおい、これってもしかして。



『私が、えっ? と振り返ったその瞬間――』

『私は暴走馬車にはねられてその衝撃で身体中の骨が折れ、その上飛ばされて肥溜めに落ちてしまったのです』


 やっぱりかーーーっ!?

 しかも、全身骨折でう○こ塗れって!

 当初に予想してた最悪の、更に斜め上を行く最悪っぷりだな……。

 これならいっそ、轢かれ死んで異世界転生した方が良くね?



『――私が目を覚ますと、そこは知らない天井でした』


 おおっと、俺さえ言ってなかったテンプレが来たよ?


『「――やあ、目を覚ましたようだね」』

『聞き覚えのない低い声が聞こえて、私が部屋の扉の方へ目を向けると扉が開かれ、そこから背の高い、黒い髪と黒い瞳に白衣姿の精悍そうな男性が――』


 おおっと、これもアレか? お約束の展開か?




『鼻を摘みながら入ってきましたw』




「ぶふーーーーーっ!!!!???」


 う○こ臭かったのか!?

 いや、臭かったんだろうけど!!

 でもちょっと酷いだろそれ!

 つーか主人公も「w」とか、笑ってんじゃねぇよ!!?



『「えっと、あなたは」』

『「ふがふが」』


 摘むのやめい!


『「おっと失礼。 僕はしがない、一介の天才科学者かぶれさ。 ところで身体は大丈夫かい、えんが……ちゃん?」』


 おいなんだ、その「えんが」ちゃんって呼び名は?

 ……まさか、「えん○ちょ」って言いかけて、咄嗟に変えたんじゃないだろうな?

 こいつの肩書きもツッコミ所満載だが、まずそれが気になった!


『「あ、あれ? そう言えば。 私、全身ポッキンチョだったのに」』


 ポッキンチョって。


『「ああ、身体の方は適当に治しておいたよ。 違和感はないかな?」』


 もう、「適当」程度のフレーズじゃ、ツッコむ気にもならんよ。


『「ええ、多分大丈夫だと……ああっ!」』

『下半身にかすかな違和感を感じた私が、急いで毛布に潜って確認してみると、なんと――』


 ま、まさか、このパターンはT……。



『ふた○りになっていましたwww』



「おおおーーーーーーーーーいっ!!!??」


 性転換(TS)じゃないんかっ!? 増築かっ! 改築じゃなくて!

 まさか、さっきの「適当」って、こいつの伏線だったのか!!?

 しかも主人公! お前、何笑ってんだよっ!!? 草ボーボーだし!!!

 本当に良いのかそれでっ!!!!??



『「どうだい、それ……大きいだろ? はぁ、はぁ」』


 しかもBLキターーーーーーーーーッ!!!!!!?





★★★★★★★★★★

挿絵(By みてみん)





 はあっ、はあっ、はあっ、はあっ……。


 も、も、も、もうダメだっ! 耐えられない!!

 こ、こここれ以上読んでしまったら、俺はもう後戻りできないレベルで汚染されてしまうッ!

 な、何て濃ゆい小説なんだ……。

 元日本人の俺にとってはアレなタイトルだったが、『ひょっとしたら、こっちではそうでもないのか?』と思って少し期待してみたのに、まさか俺の頭で考え得る最悪を軽くブッ千切って来るとは。

 主人公じゃなくて読者をトリップさせる小説だな、コレは。

 ダメだコイツ、早く何とかしないと。



「……ふぅ」


 触手を使って、例の危険物(ブツ)を本棚の上の奥の方へ、見えないようにして置く。

 これで大丈夫だろう……。



 万が一にもセーレたんが手に取ってしまう可能性を極力排除し、大仕事を終えた俺は……もうライフはゼロに近かったが、気力を振り絞って再度本棚と対峙する。

 なんかもう、本棚がパンドラの箱に見えてきた……。

 しかも、たったひと欠片ならまだしも、俺にとっては割と希望に満ちているだけに始末に負えない。

 セーレたんの為の地雷処理というか、毒味的な役割も必要だし。

 こ、これが孔明(チャロア)の罠だったとしたら、本当に恐ろしい策士だぞ。




 さ、さあ、次に手に取ってみたのは、かなり薄めの本である。

 これはこれで罠の可能性を相当孕んでいるが、今の俺のHP(ヒットポイント)ではこれが限界だ。

 すぐに本を閉じれば、死にはすまいッ!


「――――ごくっ。


 しゃ、しゃあ、たいとりゅは……」





『週刊 かいわれを育てよう 第二号』



 二号来たあああああーーーーーっ!!?


 あったんだ二号!? まさかあるとは!

 恐るべし、異世界版ディア○ス○ィーニ。

 だが、さっき読んだアレ(こえだめトリップ)に比べれば全然大した事がないので、割と安心して読むことにする。

 まずは目次から。


『美味しいかいわれレシピ十選』

『意外な落とし穴! かいわれがうまく育たないワケ』


 う、うん? 意外に普通だな。


『エッセイ特集:「かいわれと私」 人気エッセイスト三人登場!』

『緊急対談:カリスマかいわりゃーが熱く語る八(とき)!「かいわれの曲線に見るエロティズム」』

『連載小説:「かいわれ伝説殺人事件(1)」 あの大御所作家、渾身の最新作!』


「……」


 な、なんというか……。

 むしろ、こんな企画をいくつも思いついた出版社の人を褒めてあげたい。

 ……これ、順番にツッコんでいかないとダメなのかな?


 まずエッセイ。

 なんか、爽やかそうな感じがして意外に悪くないかも知れないと思う。

 ただ、書かされた三人の作家さんにはご苦労様、と。


 次に対談。

 「かいわりゃー」って何だ? なんか名○屋っぽいな……て言ったら向こうの人に失礼か。

 しかもエロって。 どこにカリスマ性があるのか知らんが、単なる怪しいマニアにしか見えんぞ。

 そんな人の話を八(とき)――って、十時で一日だから、ほとんど丸一日かよ!?

 恐らく寝ないで聞かされ続けたのであろう社員の人が可哀相だ……。


 最後の小説。

 伝説って何だ、伝説って。 しかもそれで殺されるって、被害者哀れ過ぎるだろ。

 そして何より、書いてるのが大御所作家って……。

 斜陽なのか? そんなに崖っぷちなのか? 仕事ないのか?

 最低限は仕事選べよ!




 ――――はぁ。

 すっごく疲れた。 燃え尽きたよ。

 外もすっかり斜陽だし、今日はこれくらいにしておこう。

 ところで。



「きゃ~~っ♪ きゃああ~~んっ! おにぃ~~~っ♪♪」ぱちぱち!



 俺が本を読みながら七転八倒する姿。

 見てて、楽しかったかい?


「あい~~~~~♪」



 そ、そうか……。





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― 新着の感想 ―
[一言] ふたなりはBLではないのですよ(˘ω˘ ) ほら、顔を上げて?よく見て見てください、それはアレなるものが生えているだけのレディではありませんか。 嗚呼!しかしながら!アレなるものが生えて…
[良い点] うーん、未だにこっちの世界にこのチャロちゃんシリーズを超える導入ないんじゃないだろうかw [気になる点] そういえば週刊かいわれってこのあとどうなったんだろう?
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