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そだ☆シス  作者: Mie
幼児編
38/744

33 現代の驚異 進化する触手

 触手。

 それは、俺達兄妹にとって、最早なくてはならない物である。

 今日は、そんな現代における最新の触手事情について、取り上げてみたいと思う。




挿絵(By みてみん)



 風を切り裂く。

 景色が後ろへ流れてゆく。

 俺の前を行く者はなく、後を付いて来る者もいない。

 速度を極めし者の行き着く先にあるのは、世界の果てなどではない。

 孤独である。


 そんな事を考えながら、俺は――――



「あーーーああーーーーーーーっ♪」



 ――――部屋の中心の天井に触手を貼り付けてぶら下がり、空中をぐるんぐるんと回っていた。



「きゃあ~~! おにぃ~♪」


 部屋の中心で、俺への愛? を叫んでいるセーレたん。 俺のテンションは天井知らずだ!

 気分はまるで、高層ビルの間を高速で飛び回るヒーローである。

 端から見ると、ジャングルの王者っぽいと思うが。 ……俺のハニー(セーレたん)は太ってなんかいないぞ!


 まあとにかく、俺の魔力……つーか最早触手修行と化しているこれだが、順調? に腕を上げている。

 今では、両手両足から同時に最大で四本まで出して同時に操れるし、長さも一本だけなら天井くらいまでは伸ばせる。

 しかも先端まで器用に動かせるので、本当の手のように……とまでは行かないが、象の鼻レベルくらいには使える。 例えば、ドアのノブを捻って開けたりとか。

 また、ある程度の粘着性を持たせる事もできるので、さっきの○ーザンみないな事や、カメレオンの舌みたいに狙った物をくっつけて手元に取り寄せたりも可能。

 まあ、ター○ンの真似をするには腕の筋力が全然足りないので、実際にはブランコを作ってそれに乗ってるんだけどな。 だから……


「きゃあああああああああ~~~~ん♪」


 ……こうして、妹様を一緒にブランコに乗せてあげる事もできる。

 さすがに二人支えるのはキツイんだけど、そこはお兄ちゃんの意地。

 いやあ、それにしても便利だよなー、触手♪ もう最強じゃね?

 俺いっそのこと、顔にピエロの化粧とかしちゃう? タトゥーは断るが。


 もうね、ここまで突き抜けてしまうと逆に便利すぎてヤバイよ。

 これがこの世界の住人のスタンダードだったらかなり嫌だが、うちの家族を見る限りそんな事はなさそうだし。

 本物の魔法とやらがどんなのかはまだ知らないけど、これはこれで改良を続けて決して損はないと思う。


 ということで、今日は一日触手で遊ぶのだーーっ♪



「ひゃっほーーーーーーーーーー♪」


「きゃあああああ~~~~~~~ん♪」


 しっかり二人の身体を固定して、またぐるんぐるんと回す。


「おひょーーう! わおーーーーぅ!」


「やああああん♪ にゃああああん♪」


 バンジーみたいに上下にびろろーん。

 急激にやると首を痛めるのでゆっくりとね。


「わわわわあああぁぁぁぁーーーー!?」


「あやぁ~~~~~~~~~~~♪」


 天井から緩やかな斜面を作って滑ってみる。

 ぬあ!? ちょっと角度が急すぎた!

 急いで床にくっついている部分を上に曲げ、崖っぷちで止まるようにする。


「……ふーーーっ。 ひょっと、あしぇったぁ」


「きゃあんきゃあんっや~~~~ん♪♪」ぱちぱち!


 かなり肝が冷えたが、何とかセーフ。

 セーレたん……けっこう絶叫系とかイケるタイプ?


 コンコン、ガチャ!


「ハーイ♪ 遊びに来たわよ二人と……――――」

「……あ゛」

「んゃ~?」



 ……。



 半透明の触手(なにか)の上に転がっている双子。

 ドアを開けた状態のまま固まるエルネちゃん。

 見つめ合う高さはほぼ同じ、顔と顔とは約五十センチ。 つまり目前。


 ……。


 半分笑顔で硬直中の彼女。

 頬が引き()っている俺。

 きょとーんとしている妹様。


「……」


「……ぇっと」

「ゃ?」


 彼女の目が段々とまん丸になってきた。

 同時に口も。



「…………」


「えっと……えへ♪」


 そして。



「ァ゛――――――――――――――――ッッッ!?!?!?!?!?!?」

「うぉっ!?」

「う~?」


 声にならない悲鳴を上げる。

 彼女の形相が、楳○かずお調になって俺もビックリ!


 ――バタンッ!!


「まっまままママぁあああああっ!!!??? ママぁーーーーーーーーーーっ!!!!!!

 う、うううう浮いてっ!! ふたっ! ういっ! うぃっ!?

 ううううぅいういうぅうぇうぇうぇうぇっ――――!!!???」


 思いっきりドアを閉めて走り去っていく彼女。


「あー……」

「おにぃ~?」


 最後の方、もう錯乱し過ぎてエライ事になってたな……。

 だ、大丈夫か?



「……しゃーて」


 俺も呆けてないで、何とか誤魔化す手を考えないとなー。

 何とかなんのか、これ?




『なに、訳の分かんない事を言ってんのよ、この子はっ!! 静かにしなさいっ!!!!』

『うぎゃんっ!!??? いっ、いっっひゃぁーーーーーーーい……』


 リビングから聞こえてくる母娘(おやこ)の声。 アナさんにゲンコツでも落とされたか。

 す、すまん、エルネちゃん……。


 涙目で帰ってきた彼女を、何食わぬ顔で出迎えて誤魔化しつつ。

 今日一日、俺は特に温かく接してあげようと思いました。




「わー♪」すりすり

「きゃんっ♪」ぴとっ。


「ね……ねぇ? あんた達……さっき、ち、宙に浮いてた……わよ、ねぇ?」


「んー?」かくん。

「ぅゆ~?」かくん。


「あ、あれ? き、気のせいだったのかしら……?

 あれ…………?」


 誤魔化せました。




 今日、学んだ事。

 やれば何とかなる!



「あ、あれ?

 あれーー?」





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