表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そだ☆シス  作者: Mie
幼児編
37/744

32 変わらないものが、そこにある

挿絵(By みてみん)




 すっかり暖かくなった日差しが、明るく照らす部屋の中。

 物が、急に増えた。

 なかなか親しそうだったから近所の人だと思うんだが、身なりの良さそうな人がわんさか来て俺達を鑑賞して行った次の日から、なんか色んな物が続々とメイドちゃんズの手によって運び込まれてきた。


 えっ、何この荷物? ……まさか、この直後、いきなり見知らぬ美少女がやって来て同棲が始まっちゃうパターンかっ!?

 よ、よーし! ここはひとつ俺がツンデレ男になりきって――



『オイ、何勝手に押しかけて来てんだよ! しかも一緒に住むだぁ!? 誰が住んで良いなんて言ったよ!』

とか言って猛反対して、すると女の子が、

『……そ、そうよね、ごめんなさい。 迷惑かけたわね。 じゃあ……』

って、肩を落としながら言うと家を飛び出して、

『何だよあの女。 あーせいせいしたぜ!』

って俺は思うんだけど、残された荷物を見て、更に雨なんか降って来ちゃったりして、トドメに彼女出て行く瞬間に涙を見たような気がして、

『……ああっ、くそっ! 何で俺が!!』

とか言いながら、玄関の傘立てから傘を二本掴み取って家を飛び出して、街中散々探すんだけどなかなか見つからず、結局雨がやんで暗くなってから、近所の公園のベンチに座ってずぶ濡れのまま項垂れている彼女を見つけて、

『お前……こんな所にいたのかよ。 風邪引くぞ?』

『……何よ、アタシがどこに行ってどうなろうと、アンタには関係ないでしょ!?』

『関係ないって、お前! ……気になっちまうんだから、仕方ねーだろ』

とか言って一悶着あるんだけど、なんだかんだで、

『……いいよ、ウチ来いよ。 どうせ当てなんて無いんだろ? でも言っとくがな、あくまで、次の行き先が見つかるまでだかんな!』

『う、うん……ありがと。 意外に優しいんだね、アンタ……』

『――「ジャス」だよ』

『……えっ』

『名前だよ、名前! 一緒に住むんだから名前で呼べよ。 俺も今後、お前の事は名前で呼ぶからな。 いいな!』

『う……うんっ! ジャス君っ! これからよろしくねっ!(ニコッ)』

『(ドキッ)っ……!! お、おぅ。 よ、よろしくな、「こよみ」……』

みたいな展開があって、二人の同棲生活が始まるんだっ!!

 んで、二話くらいで一緒に日用品の買い物に言って、三話か四話くらいで俺の学園に彼女が転校してきて――――!



 ……す、スマン。 妄想が爆発した。

 このまま新作一本書き上げる気か、俺は? つーか、こよみって誰なんだ?

 しかし、後悔はしていない。 押しかけ同棲モノもロマンの一つである!

 テンプレなめんなよ!!



 なんか、横で妹様がさっきからもの凄いピュアでイノセントな目差しを向けてきてて、俺の心が本格的に痛くなってきたので本題に戻る事にする。

 とにかく、ぬいぐるみやらオモチャやら本やら、色んなモノが運び込まれてきて、まるで保育園のような様相を呈してきた。

 で、俺達はその恩恵にあやかって、新しいグッズ漁りに精を出している訳だ。

 俺がオモチャ箱の中をガサ入れしていると、オモチャのラッパを見つけたのでセーレたんに進呈してみる。

 ついでに吹き方もレクチャー。 ま、咥えて吹くだけだが。


「きゃう~♪」プープー♪


 うむ、見事なリズム感である!

 将来は、普○館で金賞か豆腐屋かって感じだな。 ……俺も将来はハチ○クを買って、下り最速を目指さねばっ!

 そして、俺は新たに追加されたらしい本に手を伸ばしてみる。

 例の如く、すっごく地雷な気がするんだが……しかし、俺は引く気もないし(かえり)みる気もない!


「んー、なににゃに? えっーと……」


 近くに辞書もあったので、知らない単語を調べながら読んでみる。



『週刊 かいわれを育てよう 創刊号』



「……」


 週刊にする意味なくね!?

 超簡単だし、十日もあればできるよね? ……あ、いや、異世界だから同じとも限らないのか。

 念のため読んでみるか……。


『まずは、ボウルとザルを用意しましょう。ザルの目は少し粗いくらいが良いですよ』

『次に、ザルの底に綿か、柔らかい布を敷きましょう。 布はちゃんと綺麗な水で洗っておきましょう』

『同様に、綺麗な水で洗っておいた種を布の上に散らして、ザルを重ねたボウルに、種が浸る程度に水を入れます』

『あとは、日の当たらない所に置いておいて、毎日水を換えましょう。 ザルを持ち上げると簡単に水が換えられますよ』

『だいたい二週間くらいでできあがり!』


「…………」


 いや、まったく一緒じゃん!?

 こっちの一週間って五日だから、何から何まで変わんね―よ!

 創刊号の最初の二ページで終わりじゃねぇか……あ、残りのページは、半日ごとにかいわれのスケッチ描いてるだけだ。 もう完全に完結してるよなコレ。

 二号目以降って必要あんの? あったら読んでみたいわ! 逆の意味で。




 今日、学んだ事。

 かいわれは、こっちの世界にもある。


 ……だからどーした。 いや、割と好きだからちょっと嬉しいけどさ。





 タイトル画像のリンク先にオマケがあります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ