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そだ☆シス  作者: Mie
幼児編
35/744

31 2さいしゃべりばぁ

※前半の会話について、念のためタイトル画像のリンク先に翻訳Verを用意してあります。

挿絵(By みてみん)





 昼下がりの部屋の中。 ぽかぽか陽気が心地良すぎてヤバイ。

 間食でちょっとお腹いっぱいな俺は、運動以外の事をしようと考えた。

 急に動くと、ぽんぽん痛くなるしねー。


「ひょうは、ひゃべう(しゃべる) れんしゅー ひゅるじょー!」

「ひゅ~じょ~?」

「うむ、せーれたんも しゅるかー?」

「ひゅるは~♪」


 うむ、セーレたんもやる気満々のご様子。

 ならば眠気を吹っ飛ばす勢いでやろうではないか!


「よーひ! じゃ、いくじょー!

 しゅいー、ちゅー、わーん、へい!」


「……おにぃ~?」


 急にリズムを取り始めた俺を、きょとーんとしたお顔で見つめる妹様。

 まあまあ、ちょっと見ていて下さいな。


「きゃう~♪」ぱちぱち!


 軽く身体を左右に振りながら、イントロを口ずさむ。

 俺様のイカしたサウンドに、セーレたんもノリノリである。

 ……じゃあ、行ってみようか♪ 


にゃまうぎ(なまむぎ?)にゃまごえ(なまごめ?)なまたみゃぎょ(なまたまご?)

 にゃ、ひゃあぅぃ(※翻訳不能) やぁぉぇ、ぁ、ゃ…………」

「ぅ?」きょとん。


 げふぅ。 一回目すらまともに言えてねぇ!

 セーレたんも、いきなり意味不明な事を言い始めすぐに意気消沈した俺を、不思議そうに見ている。

 やはり二歳になったばかりで、早口言葉はハードルが高かったか……。


「……やっぱ、はやくちことびゃは(はやくちコトバは) むいかぁ~。

 じゃんえん(ざんねん)!」

「しゃんねん~? おにぃ~?」

「うぐ。 ……まうで、おれが じゃんねんい きこへるぅ」がっくし。

「おにぃ~!」ぺしぺし。

「うぅ~、ありあとーな。 ……ちうか、おれ おちこんら(おちこんだ)の、せーれたんお しぇい?

 おとひて あげう……なんて、おしょろしーこ!」

「おひょ~ひ?」


 さ、さすが妹様! なんて見事な人心掌握術だ! 将来はきっと大物になるヨ!

 ……胸にグサリと来たけどね。 ぐふっ。


「……まぁ、いーか♪」

「い~か~♪」


 だ、だが、この程度でくじけてはいけないのだっ!

 俺の事はこの際置いておくとしても……うん、後で練習するから。 練習しよ。 ぐすん。

 とにかく、セーレたんの練習が優先なのである!

 皆の知らない間に言葉をマスターして、驚かせてあげよう♪ 名前を呼ぶなんてどうよ?

 さて、誰から教えようか? ……あ、セーレたんって、自分の名前知ってたっけ?


「まじゅは、みんあの なまへから(なまえから) いえうよーに なりょー!」

「なよ~♪」

「さいひょは、せーれたんらー!

 ……せーれ」ぴしっ。


 セーレたんを指差してみるが。


「おにぃ~♪」


 おーう。 やっぱり分かってなかったか。

 じゃあ、そこからスタートだな。


「ちがう、ちあう! ……おにぃ~と、せーれ」

「……おにぃ~?」

「うん♪ おれ、おにぃ。 きうぃ、せーれ」ぽんぽん。

「おにぃ~」


 うん。 俺の事は分かってくれてるから、俺の事は自分を指差して、セーレたんには肩を叩く事で分かりやすく教えてあげる。


「おにぃ。 ……せーれ!」ぽん。

「……へ~れ?」かくん。


 おっ、分かってくれたか?


「そ♪ おにぃ、と、せーれ!」

「おにぃ~。 ……しぇ~え?」

「うん、せーれ」

「へ~れ~……」

「せーれ」

「しぇ~~れ~」


 よしよし! それでいいんだよーと、頭を撫でで褒めてあげる。


「せーれ♪」なでなで。

「きゃう~っ♪ しぇーれ!」

「そ! えーれ! と、おにぃ」

「しぇーれ! おにぃ~♪」


 セーレたん、一度理解すると早いな! 凄いっ!

 あとは繰り返して完全に覚えるのみ。


「いいこだ~!」なでなで。

「やんやん♪」

「せーれ!」

「ひゃい~! しぇーれ~♪」

「うんうん!」

「おにぃ~! おにぃ~♪」ぺちぺち。

「おう、せーれ♪」なでなで。


「きゃんやんやぁ~ん♪」





**********




 ――そして夕方。 その時は来た。


 コンコン。


 ガチャ。


「……ジャスさまー、セーレさまー、起きてますかー?」


 入っていたのはチャロちゃんである。

 フッ、誰が来ても備えはバッチリだぜ。

 さあ、行くのだセーレたん!!


「あいー」

「ちゃお~♪」すっく!


 呼ばれですぐに、チャロちゃんの名前を呼んで返すセーレたん。 と同時に立ち上がる。

 ……だってさー、まだ発音がしっかりしてないから、せっかく名前を言っても分かってもらえないかも知れないでしょ?

 そこで! なんと!!

 名前を呼ばれたら、すぐに立ち上がって抱き付くように言ってあるのだっ!


「あはっ♪ お返事、エライですねー!」

「ちゃお~!」てくてく。


 ほーら。 やっぱり気付いてないよチャロちゃん。

 しかもいきなりセーレたんが近づいてきたから、ちょっと首を傾げている。

 さあセーレたんよ、しっかり教えてあげるのだっ!


「ん? セーレさまー?」

 ぴとっ!「ちゃお~! ちゃお~♪」

「……ちゃお??」

「ちゃお~♪」ぺちぺち!


 チャロちゃんの脚に抱き付いて、何度も名前を呼ぶ。

 さすがに気付いただろう……?


「……ええっ? ま、さかっ……わ、わたし?

 わたしの、名前っ!!?」

「ちゃお~!」


「……きゃあーーーーーーーーっ♪

 スゴイっ! スゴイっ!! スゴイっっ!!!

 キャーーーーーーーーッ!!!!♪♪」


 イエス、やったぜー!

 妹様が足元にいるから、飛んで喜べないチャロちゃんは万歳三唱状態。

 と、そこへマールちゃんがやって来た。


「――――ちょっと、どうしたのよチャロ? そんな大声出して……」


「お、お姉ちゃんっ!! せ、せせせセーレさまがっ! セーレさまがっ!!」

「だ、だから落ち着いて……」



「せせ、セーレさまがっ! わたしのっ! ……わたしっ!! イったの!!


 わたし、イったのーーーーーーっ!!!!!!♪♪」



「ちょっ!?

 ……な、ななななな、何言い出すのよいきなりっ!?!?!?!?」


 ぶっ!!? そ、そのリアクションは想定外だ!!

 俺も吹きかけたわ!


「イったのっ!! わたしっ! セーレさまっ! なまえーーっ!!」

「だからそんな――――え? ……名前?」

「うんっ! セーレさまがっ! 呼んでっ……!」

「ちゃお~……?」

「ふわっ!? セーレ様っ……本当にチャロの……!」

「きゃああぁっ♪ スゴイですっ! セーレさまあぁぁぁーーー!!♪」ぎゅうぅぅ~~っ!!

「きゃうんっ♪ あ~ぅ~!」


 ようやく意味を理解できたマールちゃん、足元のセーレたんをぎゅっと抱き締めて褒めてくれる。 スゴイでしょー?

 と、そこで俺は思いついた。 俺も、マールちゃんを驚かせてやろう♪

 二人の視線が妹様に集中している隙を突き、俺もマールちゃんの所へてくてくと向かい、ぴとっと抱き付いてみる。


「……っ! じゃ、ジャス、様……?」

「…………まーる」



「――――――――――――へっ」



 おっと、いきなりすぎたか?

 ならば、気付いてくれるまで連呼するのみっ!


「まーる」

「え……な…………」

「まーる♪」にっこり。

「じゃ…………じゃ、ジャス、さ……ま……?」

「まーる!」



「ふわわわわあっ!?!?!? じゃ……じゃっ、じゃ……さっ……っ!!?

 じゃ、じゃじゃっじゃっ…………ささ様…………が、が………………わたっ……わた…………し…………の……――――」



 ――――ぱたり。




「…………え゛」

「……お、お姉ちゃんっ!?」

「まーう? ……おにぃ~?」


 ちょ、ちょっと、マールちゃん!?!?

 気付いて満面の笑みを浮かべたと思ったら、段々顔を中心に耳、手、足の先まで真っ赤になり、頭の上から煙でも出るんじゃないかー? と思った途端……倒れたぞ?

 まさか失神したっ!?


「や、やば……」

「おにぃ~? まいうー?」


 いや、「まいうー」は違うぞセーレたん?

 チャロちゃんがマールちゃんの肩を揺するが、彼女は真っ赤な顔に恍惚の表情を浮かべたままぴくりともしない。

 若干白目をむいているのがちょっと怖い……。



「ね、ねえ……? ねえ、お姉ちゃんっ!?


 お姉ーーーちゃあーーーーーーーーーんっっ!!!!???」




 ごめん、やりすぎた。





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