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そだ☆シス  作者: Mie
まだ乳児編
28/744

25 前田こよみちゃんは萌えキャラですか?

挿絵(By みてみん)





 年末が近づくにつれ、なんとなく落ち着かなくなる俺。

 やる事いっぱいあるんじゃないの? 大丈夫か!? って思ってしまうのは、元日本人の性か。

 でも、この国の人はそんな事もないようで、サラッと十二月が終わり……。


 十()月になった。


 そう! こっちの一年は十三ヶ月あるのだ。 

 時間や分なども地球と違うと知った時は少し驚いたが、今となってはふーんって感じ。

 だって国どころか世界が違うんだから、暦が違っていても当たり前田のこよみちゃんである。 誰だ?



 最近は、お袋かメイドちゃんズか、ほぼ一日中誰かしらがこの部屋にいる。

 メイドちゃんズは大体どちらかがいて、本を読んでくれたり、歌ってくれたり、積み木で遊んだり、追いかけっこしたりしてくれる。

 「一日中女の尻を追いかけ回しているプレイボーイな生活」と言っても過言ではない! いや過言だろ。

 まあそんな感じで、彼女達は俺達を常に飽きさせないようにしてくれる。

 将来、きっといいお母さんになるだろうなー。 ……結婚相手が憎らしい。

 よし誰か、バールのような物持って来い!


 お袋はその時によって、いたりいなかったりする。

 それなりの身分の奥様だ……用事や付き合い等もあるんだろう。

 近頃毛糸の編み物に嵌っているらしく、次々に編んでは俺達の身に着ける物が増えていく。

 俺のお気に入りは、三角耳付きの白いニット帽。 ……当然、セーレたんのな? 俺のもあるけどさ。

 あの、つぶらな瞳に耳付き帽子を被って、ハイハイで目の前に寄って来られてみてみん? 誰だって一発KOだぞ。

 デジカメ持ってたら画像投稿したいくらいだ! もちろん目線は入れるがな。


 ちなみに親父だが、相変わらず忙しいらしい。

 たまーに来るが、その度に妹様に怯えられ、しょぼーんとしている。

 仕方ないので、俺がとことこ歩いて行って足にしがみ付いてやったら……また叫び出して俺をジャイアントスイング。

 危うく、食った物をスプリンクラーしそうになった……。 もうやってやらん!

 首への貫手(ぬきて)一発で親父を沈……止めてくれたお袋には感謝。

 蝶のように可憐な外見に反して、蜂のように鋭い突きであった。

 親父、泡吹いてたけどなー。



 ……まあこんな感じで、最近は過ごしている。

 俺達が赤ん坊として目を離せない時期だからなのか、単純に冬場はする事が少ないから団らんが増えたのかは分からない。

 ま、両方なんだろう。 たぶん。

 なんか今までイメージしてた、如何にもヨーロッパの一般家庭的な冬の過ごし方……みたいな、すごくアットホームな感じが非常に心地良い。

 その代わり、秘密のトレーニングの時間がほとんど取れなくなってるが。


 あと、アナさんはここに来る日が減ってきた。

 俺も妹様も、大半が離乳食になってるからなー。

 遠くない内にお役御免か……?

 だとしたら、ちょっと寂しいな。


 食事については、俺に至っては既にコップでミルクを飲み始めていたりする。 

 両手に木製のマグカップを持ってこくこく飲んでいると、いつも三人がじーーっと見つめてくる。

 特に、マールちゃんのうっとり具合が半端ではない。 若干心配。


 勿論、妹様の成長も負けてないぞ?

 メイドちゃんズが手伝って掴まり立ちを始めたり、言葉っぽい言葉も出すようになってきた。 あーうーである。

 俺の発声練習によく似た喋り方? で、ひょっとしたら本当に俺の真似をしてくれているのかも知れないな。

 ……同じあーうーでも、セーレたんのそれは萌え度の次元が違うぜ!

 俺も一緒にあーうーしてたら、偶然揃っていた三人が抱き合ってきゃーきゃー言ってた。

 なんというか……スゴイ空間だった。 アレは。




 いよいよ年の瀬も迫り、こっちでは〈年終わりの日〉と言われるらしい大晦日。

 リビング兼食堂に連れられ、マールちゃんの膝の上で離乳食をはぐはぐ食っていると、見守ってたお袋がメイドちゃんズに声をかけた。


「そうそう、今夜はジャスちゃんとセーレちゃんと一緒に部屋で寝ますから、準備をおねがいね~♪」



「畏まりました、奥様」

「はーい、奥さまー」


 そういえば、一緒に寝た事ってなかったな。

 寝る時は基本あの部屋で兄妹二人だけで、何かあるとすぐにメイドちゃんズが―― 八割くらいはマールちゃんだけだったが―― 飛んで来るって感じだったし。

 まあ折角の大晦日……もとい、年終わりだし、俺達兄妹も夜泣きとか全然ないから安心して一緒に寝られるだろう。

 食事が終わると妹、俺の順番で風呂に入れられ、全身から歯磨きまで一通りして綺麗にもらって準備完了。

 妹の風呂上がりハァh……しないって! さすがにゼロ歳児なんだから。 可愛いなとは思ったが。


 で、メイドちゃんズに抱っこされて階段を上がり、初めて来たお袋……と、恐らく親父も兼用の寝室。 爆発しろ。 C-四(プラスチック爆弾)とかで。

 もっと豪華な部屋なのかなーと思っていたが、割と普通。

 全体的にブラウン系の色で統一されており、タンスや鏡台等まあそこそこ良い仕事している物が揃っているが。

 唯一目立つのがベッド。 天蓋とかはないが、ダブルより大きくて長さもある。 クイーンサイズか? 初めて見た……。 


 そんなベッドの毛布――足側から見て左側の上半分が三角にめくられ、外側から俺、セーレたんと寝かされて、その横にお袋が横たわる。

 俺達に毛布が掛けられ、いつもの、花のようなお袋の香りが周りを包み込んだ。

 相変わらず、お袋の着る白いネグリジェはドレスみたいだ。 可愛さよりも綺麗さが先に来る。

 まあ、こんなグラビアアイドル級の美少女中学生なルックスで、更に前の世界にあったような可愛いパジャマなんて着て隣に寝られた日にゃ……ドキドキして同衾(どうきん)どころではなくなると思うので、ある意味こっちで助かったが。


「おやすみなさいませ、奥様、ジャス様、セーレ様」

「おやすみなさーーい♪」


 メイドちゃんズが揃って頭を下げると、ドア横の操作板(スイッチ)で照明を切り、静かに出て行った。

 ベッドの側にあるスタンドから弱い光が俺達の周囲を照らす以外、部屋は真っ暗になった。


「さあ、湯冷めしない内に、早くねんねしましょうね~♪」


 お袋は横になったまま左腕を伸ばし、毛布の上からぽんぽんと俺達を優しく叩く。



 ~~~♪~~♪~~~~♪~♪ ~~♪~~~~~♪~~♪




 優しい体温とリズム、そして子守歌に包まれて。

 俺の初めての異世界生活一年目は、ゆっくりと幕を下ろしたのだった。





 ――――と、思ったのだが。



 どれくらい経ったか……真っ暗な闇の中、ベッドが揺れて、お袋がベッドから出て行く気配がした。

 偶然眠りが浅くなってた時だったからそれに気付いた俺だが、まートイレか何かだろうと、深く気にせずに目を閉じたまま。

 が、予想していたドアの音はせず、近くで何かごそごそとしている音が聞こえる。



「……はぁ。 やっぱり、赤ちゃんの体温は高いわね~」


 物音に混じって聞こえる、小さなお袋の呟き。


『? 何をしてるんだ……?』


 そう思ったが、まだまだ眠かったので耳を澄ますだけにする俺。

 ……と、そこに、パサッという音と共に、毛布の上に何かが乗せられる音。

 大した重さの物ではない。 音からして、布っぽい何かだ。


 ……?



 ……布?




 ――布だとーーっ!!??



 まさかと思って目を見開くと!

 ベッドの横には、暗闇の中でさえ光り輝くような、それはそれは眩しい純白の天照(アマテラス)様が――――っ!?



「ぶはあぁぁああああーーーーーっっっっ!?!?」



 ちょ!? ちょ! ちょーーーっ!!

 薄いどころか、両舷共に弾幕ナッシーーング!?


 なななな何やってんのーーーーーー!?!?



「……あらあら~? ジャスちゃん、起きちゃったの~?

 怖い夢でも見まちたかぁ~~♪」


「ひっ!? ぃ……ぁ……!!」


 いあ! いあ! はす○ぁー!!

 這い寄らないで! 四つん這いになって這い寄らないでぇーーー!!

 ベッドも揺れてるけど、それ以上に違う物がぁぁぁあああああ!?

 そりゃ何度も見たことあるモノだけど、このシチュはあまりにエロ――――ら、らめぇえええ~~~~~っ!!?



「あら……こんなに汗かいちゃって。

 よほど怖い夢を見たのね~。 よしよし~♪♪」


 え、え、な、な、なな、なんで、毛布を取るんですか?

 その、俺に向かって伸ばした両手ハ何デスカ?

 ゼンブ見エマスヨ? ソノ体勢ハ、上カラ下マデ、ゼンブ見エマスヨ?


 ――Warning! Warning!

 十一時の方角より、連()の白い小悪魔が急速接近中!

 接触まで距離、三〇、二〇、十……艦長! 接触します!!


 全艦、耐ショック防御ーーーーーーっ!!




「アッーーーーーーーーーーーーーー!!!♪」





 ――――日付の変わったその時。

 俺は、トンでもない『初日の出』を拝んでしまいました。





こよみ「……ほぇ?」

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