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そだ☆シス  作者: Mie
まだ乳児編
27/744

24 赤いからといって3倍という訳ではない

挿絵(By みてみん)





 十二月。

 年の瀬と言えば、日本人にとってはイベント目白押しな時期である。

 歌○師匠だって走り回る。 走らないか。


 そういえば……こっちの世界には、クリスマス的なものはあるのだろうか?

 煙突がバリバリの現役だと思われる世界だ、出っ歯なサンタクロースとしては働きやすい環境だと思うのだが。 人工衛星に追跡される心配もないし。

 てか、そもそもキリストがいないか。


 ……まさか、○ッダと一緒に転生してきて、下町で庶民な生活とか送ってないよな!?

 俺自身が転生してるだけに、絶対ないとも言い切れないんだが……。

 本当にいたら五体投地するぞ?



 ――てな事を考えながら、俺はセーレたんと一緒に、暖かい床で五体投地している最中だったりする。

 ころんと寝返りを打つ姿が可愛らしい。

 そんな妹のあられもない寝姿を堪能していると、速いノックとほぼ同時に部屋のドアが開いた。



「はぁーー~~~っ♪ この部屋もあったかーーーーーい♪♪」



 赤いセーターとショートパンツに、黒いマフラーと厚手のニーハイタイツを身につけた、先端をカールさせた赤茶なロングヘヤーの女の子。

 手には黒いコートを持っている。

 ……その色の組み合わせと絶対領域に、何かこだわりでもあるのだろうか?

 パート乳母さんことアナさんの娘さんである、エルネスタちゃんだ。 推定六、七歳。


 彼女は入口で靴を脱ぎ、大股でのっしのっしと部屋に入ってくると、外したマフラーコートをソファーに放り投げ、俺達の横に大の字で寝転んだ。 見事な五体投地である。

 しばらくじーーっと彼女の顔を見ていると、彼女もこっちを向いてニカッと笑った。


「えへへっ♪ ……もう少ししたら学校に行く時間だからさ、ママのお迎えついでに遊びに来たんだよー」


 こっちが何も言わずとも答えてくれるエレネちゃん。

 相変わらず、俺の思っている事を察してくれる良い娘である。


「それにしても、やっぱりこのお家はあったかいねー! うらやましいよ~~」


 うーんと伸びをしながら喋り続ける彼女。

 少し広がった絶対領域に無意識に目が行く。


 ……いやいやだから! それはアブナイってーの!!

 慌てて視線を逸らす俺。

 まだまだお子様なクセして、妙に大人っぽいというか……色気があるんだよなー、この娘。

 決して俺がロリコンなのではない!

 向こうの世界だったら、カリスマ読者モデルとかになっていそうだ。




「――――でね? 同じクラスにいつも変にカッコつけたヤツがいるんだけど……」


 で、彼女は眠っている妹様に毛布を掛けてくれると、うつ伏せで両肘を立てて両手に自分の顔を乗せた状態で、正面に座っている俺にガンガン話しかけてくる。 足をバタバタさせながら。

 文字通りのマシンガントークだ。


「――でさあ、あんまりおバカなこと言うもんだから、あたし電気アンマ食らわせて撃退してやったのよ!

 そしたらさー? ソイツ、泣きながら『せくしゃるばいおれんすだー』とか言うの!

 あははっ、意味分かんないよねー」



「……なんれやねん」



 いやいや、君こそ何やってんの!?

 告白しに来た男の子を返り討ちにするとか、そっちの方が意味分かんないから!

 まさしく、バイオレンスナンバーワンだよ!! うまい事言ったなぁーそいつ!



「えぇー? だってソイツ、他にあと三人も―――――。

 ――――……え゛?


 い、今、『なんでやねん!』って……ツッコまなかった??」



 ……。



 …………。



 ――――!!



 しまったぁーーーーーー!!??

 思わずツッコんでしまった!

 そんなゼロ歳児、いる訳ねぇーーーー!!


 「んーーんーーんーーっ!!!」

 ぶんぶんぶんぶん! と、首が取れんばかりに振って必死に否定する俺。



「――――そ、そうよねー! そんなハズないわよねーー♪

 あははははは……。


 ……い、いたら怖いわよ……」



 ほっ、何とか誤魔化せたか。

 せっかく喋れるようになってきたから、どこか良いタイミングで喋って皆を驚かすつもりだったのに。

 これじゃあ、サプライズを通り越して最早戦慄レベルだ。

 ――今の全力の否定が更に墓穴を掘っている事に今気づいたが、本人が気付いてないならそのまま流せっ!!



 コンコン。


 ガチャ。


「エルネー? そろそろ帰るわよー!」


 よ、よっしゃーーーー!!

 試合終了のホイッスルである。


「あっと、もうそんな時間なんだ!?

 じゃ、また遊びに来るねーー♪」


 ブンブンと勢いよく手を振って、母親と共に出て行くエルネちゃん。




「ふ~~~~ぅ……」


 弱々しく振っていた手を下ろし、一気に脱力する俺。

 そのままひっくり返る。

 あ、危なかったぁ……。



 赤ん坊が初めて人前で喋った言葉が『なんでやねん』とか、嫌すぎるっての。





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