20 これは効いてますよ
賑やかな〈秋の使節祭〉――〈三大国家〉と呼ばれる国の間で行われている定期使節団を送り迎えする期間が終わる頃には、いよいよ本格的な冬が到来する。 ……らしい。 どこかの本で見た。
身体が成長してきて、活動できる時間も空間も広がりんぐな俺達兄妹は大暴れ。
土足厳禁になっているこの部屋で、俺は手押し車等で日々運動能力の限界に挑戦し、触手運動? が功を奏したのかどうかは定かではないが……妹様も匍匐前進で縦横無尽に動き回り、色んな運動や遊びに積極的になってきた。
最初は、妖精でも見てるかのように微笑んでいたメイドちゃんズも、次第に無表情になり――。
「あ、あははははは。 げ、元気なのはいいコトだよね、お姉ちゃん……」
「え、ええ。 お元気そうで、な、何よりですね……」
――段々、妖精でも見るかのような、引き攣った表情になってきた。
『あ、やべ。 やっちゃった……?』
俺は空気の読める元・日本人であるので、ふと素に戻った酔っぱらいの心境で、心の中で遺憾の意を表しつつ以後自粛節電に努めたが……。
残念ながら、妹はまだ空気も漢字も読めないフツーの子である。 多分。
お袋&乳母さんやメイドちゃんズがいる時は、彼女らが止めてくれるからまだ良い。
だが、いない時は……。
「きゃぁう~♪ あ~ぃ! ぃやぁ~~~う♪♪」
「おうっ! おあ! うげーーー!」
普段の余裕ある俺なら『うひょーっ、妹に押し倒されて馬乗りーー♪』とでも言っただろうが、これはどう見ても……。
『ハイハイからの両足タックルと同時にマウントポジションへ移行、そして容赦ないマウントパンチ』
です。
余裕どころか、現在進行形でメッタ打ちで瀕死です。 グレイ○ー一族もビックリ。
見事なコンビネーション、本当にありがとうございました。
「いへへ! いへへ!! い゛べべーーーぅぉ!!?」
当然ロープブレイクなどなく、どこかさん家のゴムホースもない。
まして、クリスタルの灰皿や重そうな花瓶なんて物も……って、あっても使うかっ!
殺す気か!! 殺す気ナリか!?
――――やむを得ん。
この手を使うしかっ!!
うにょろん。
にょろにょろ~。
「きゃあ~は♪ はにゃやにゃにゃやぁ~~ん♪♪」
右手の触手で残酷な撲殺天使を引きはがし、左手の触手で妹の首から頭を包んで転ばないようにそっと床へ寝かせる。
パターン・青に移行を確認。
無慈悲な女王の突きから、無事脱出に成功!
……フッフッフ。
よくも、やってくれたなぁ~~~~~♪♪
拘束具が外れた今、俺のシ○クロ率は限界値を超えるぜ~!
反撃はこれからだっ!!
にゅるり。
にょろろろろ~。
「ふやぁん♪ きゃうんっ♪ ひゃああああああ~~~~~~ん♪♪」
フッフッフー。
ここかっ!? ここがエエのんかぁーーーーっ♪
「やああぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~♪」




