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夜間の襲撃

 俺たちは途中でいくつかの村により、食料と薬を渡していった。

 村々からは感謝されたが、すでに放棄されてしまった村もあった。


 本当にこの国は大変な状況になっているようだ。


 俺たちが王都を目指し、あと少しで王都というところで、火を囲みながら食事の準備をしていると、森の中から気配がする。


「父さん、レノバ……」

「あぁ」

「囲まれてますね」

「ピギュ」


 少し距離を保ちながらこちらの様子を見ている者たちの気配を感じる。

 狙いが何かわからないが、警戒をするにこしたことはない。

 動きからしてただの素人ではないらしい。


「だっ大丈夫なのか? 私はこんなところで死にたくないぞ」

「大丈夫だ。普通にしてろ。お前のことは俺たちが守ってやる」


「アルス……どうする?」

「父さんとレノバはここでリコロを守ってて、俺とクラウドで暗闇に乗じて1人ずつ消してくるから、クラウド行くよ」

 

 クラウドは無言でうなずいてくれる。

 気配を消し、俺たちを見張っている男の元へ行く。


 できる限り気づかれないように気絶させていく。

 1人目……2人目……3人目……。

 かなり順調に倒せている。


 あと何人くらいいるだろうか。


 俺たちを一周囲むように監視しているが、何が目的かわからないが殺すわけじゃないので、一人ずつ意識を刈り取っていく。


 うーん。結構いるな。

 俺が8人目の男を気絶させたところで森の中から号令がかかった。


「かかれ!」


「うおぉー」

 叫び声をあげながら父さんたちに走って行く男。


 しまった! 間に合わなかった。


 だが、よく見るとかかれと言った男と飛び出したのは1人ずつだけだった。

 指揮をしていた男はレノバに蹴り上げられ、一瞬で気を失い。


 声を出しながら飛び出した男は、自分だけしかでていないのを知って、ビックリして森の中に戻ろうとしたが、時すでに遅し。


 父さんに捕まえられ、手に持っていた剣は蹴り飛ばされていた。

「さて、なんのために俺たちを襲って来たのか教えてもらおうか」


「食べ物を奪おうとしたんだ。俺たちは盗賊なんだ」

 男はそんな言い訳をした。


 だが、自分で自分から盗賊だという奴はまずいない。

 それに格好は盗賊のような姿をしているが、持っている剣や使っている武具は今汚したかのようにキレイなままだった。


「そうか。盗賊なら仕方がないな。レノバこの国の盗賊の処罰はどうなっている? 処刑か?」

「そうですね。盗賊なら、処刑か犯罪奴隷で一生働かさせられると思います。あとは家族全員が犯罪者の身内として処罰がされるでしょうね」


「そうか。じゃあ明日にでも全員盗賊として引き渡そう。少しは報奨金がでるだろうしな。ただ、うっかり本当のことを言えば見逃してやらないこともないけど?」


「本当のことなんて言う訳ないだろ。俺たちは盗賊だ。今さら奴隷になるなんて怖くないぞ」

 口ではそう言っていたが、身体が震えており、あと少し脅せば自白しそうだ。


「レノバ盗賊って殺しても賞罰つかないんだっけ?」

「えぇ、今回みたいに敵意を持って襲ってきた場合は殺してしまっても問題ないかと思います」


「じゃあ奴隷にするにしてもこんなにはいらないから、一人ずつ始末していくか」

「それがいいと思います。全部で10人くらいいますから1人でも吐けば十分ですからね」


「じゃそういうことで、お前は名の無き盗賊としてここで人生は終わりだ。仲間が白状したとしてもお前は食料難から盗賊になったって報告しておくからな。お前の家族も全部追い込んでやるよ」


 レノバと2人で自称盗賊を脅していたが、段々どっちが悪者なのかわからなくなってきた。

 悪ノリに気をつけなければ。

 

 俺は無言で剣を抜き男の首筋に剣を突きつける。


「これが最後だ。言い残すことはないな」

 俺はゆっくりと剣を振り上げる。男の目には怯えと迷いが浮かんでいる。


「わっわかった! 言うよ! 全部言うから。命だけは助けてくれ」


 それから、男は聞いていないことまでペラペラと話しだす。

 どうも、この国の人間はあまり忠誠心と言うのが高くないようだ。


 男は国の兵士で、今回特別な極秘任務だと言われたそうだ。

 ここの森を抜ければ王都まで襲撃しやすい場所がなく、最初からここで待ち伏せをするように指示があったそうだ。


 標的はレノバとリコロ、それに護衛の排除。

 全員は殺せなくても最低限リコロは殺すようにということだった。


 本来なら、リコロだけでも最初に毒矢で殺すはずだったが、いつまでも立っても弓矢が放たれないので怖気づいたのかと思い一斉攻撃になった。


 とはいえ、一斉攻撃が、たった1人になるまで人数を減らされていたなんて思いも知らなかったようだが。


「私はもう……国には必要がない人間だったのか」

 話を聞いたリコロはショックを隠せないようだった。


「さて、こいつらどうしようか? ここで殺すのも忍びないけど、戻られて敵になるのも厄介だ。でも敵の捕虜になった時点でこいつらもう終わりか」


「頼む殺さないでくれ」


 馬車の場所を聞くとここから進んで先に置いてあるとのことなので取りに行き、全員を縛ったまま兵士へ突き出すことにする。


 格好が盗賊の格好をしているので、兵士だと言っても信じてもらうまでに時間がかかるだろう。


 俺たちは馬車を持ってきて手足を縛ったまま暗殺者を収容する。

 ふがっふがっと何か文句を言っているが殺されないだけマシだと思ってもらおう。


 そして王都へ俺たちがやってくると王都には痩せ細った門番がうつろな目で許可をだしていた。門番に盗賊だと言うと報奨金は後日支払われると言われ、取り調べもないまま牢獄に入れられていた。


 可哀想だとは思うが……。

 街の中は酷い状況だった。


 みんなが痩せ細り食料の供給が上手く行っていないのはあきらかだった。

「本当にまずいな。父さん食料とかどうする?」

「まずは王様に会うのが先だ。戦争さえ止められれば、食料はいくらでも提供できる」

「わかった」


 城の受付の兵士は門番よりは血色が良く、しっかりしていたが王様へ御目通りを依頼するとあっさりと許可がでた。リコロの顔を見た門番は少し驚いているようだった。


 ずいぶんとすんなりいくが……レノバは顔を変装したままなので門番にもバレルことはなかった。俺たちは応接室へ案内されリコロも一緒にそこで待たされる。


 あとは、レノバと王様が会えば終わり。

 そのはずだったが……そこへやってきたのは防衛大臣だった。

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小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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