旅の途中で食料を集める。
「それじゃあスラボウは留守番して母さんの言うことよく聞いてるんだよ」
スラボウは上下に頷くようにポヨポヨと動いている。
「大丈夫よね。スラボウちゃんは優秀だし強いからね」
スラボウの頭を母さんがなでるとスラボウも嬉しそうにしている。
「それじゃあ母さん行ってくるよ」
「気を付けてね」
父さん、レノバ、リコロ、クラウドと俺でバルモノ国へ向かう。
最初は警戒していたがリコロは父さんの言うことを素直に聞いてくれているので今は縛ったりしていない。
ただ、何かあった時にはすぐに対応できるように警戒はしているが、リコロは戦闘向きではないようなので逃げられる心配はほとんどない。
レノバ単独でもA級冒険者であり、父さんもかなりの凄腕だ。
馬車を借り御者に運転してもらいながらバルモノ国を目指す。
一応今回の件に関してはアスリアには伝達鷲便を使って連絡をしておいた。
国が戦争に巻き込まれるかもしれないというのを何も知らないというのも問題だろう。
馬車の中では父さんがリコロに色々質問をしていた。
リコロは白を切るかと思ったがペラペラと話だした。
今回の首謀者は防衛大臣が仕組んだことだとあっさり白状した。
バルモノ国は今未曽有の食糧難に陥っているとのことだった。
バルモノ国の周辺では魔物の数が異様に減り、農作物も育ちが悪くなっているとのことだった。バルモノ国へ向かう途中で休憩の度に俺は近くの魔物をクラウドと狩りマジックボックスの中に入れていく。
食糧難の国を全部助けるなんてことは無理でも行く途中の村に少しくらいは支援できるはずだ。夢の中では戦争をして戦い続けたがそれを避けるためにできることはなんでもする。
途中でクラウドと夜の警戒中に近くで猛牛の群れを見つけたので群れの半分、数百匹を狩っておいた。猛牛は凶暴で獰猛だが、狩る人が少ないので数が増えやすい特徴がある。
猛牛の肉は非常に油が多く舌の上にのせるととろけるようになくなっていく、肉も柔らかくて調理も簡単だ。
ただ、当たり前だが狩れる人間が限られているので市場に出回るのはかなり少ない。
それ以外にも回復薬の元になる薬草もあったのでそれも回収していく。
食べられるものはとにかく集められるだけ集めていく。
もちろん生態系には注意をして。
バルモノ国の次に自分の国まで食料危機になったら本末転倒だからな。
アスリアからもらったマジックボックスはかなり優秀だ。
どれだけいれても限界がみえない。
途中で俺の行動がおかしいと思ったレノバが協力してくれると言ったがリコロの方の警戒をお願いしておいた。
リコロの逃亡の警戒よりも口封じにやってくる可能性もある。
もちろん、レノバを狙ってくる可能性も。
俺のその予想は5日目の夜になってやってきた。




