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父さんへの報告。

 とりあえず本来の依頼者である父さんに話をつけにいくために家に帰る。

 俺たちを襲ってきた亜人たちはコボルトたちが、

「この子たちはマスターに出会う前の自分たちです。僕たちに指導させてください。必ずマスターのお役に立てるようにします」


 そう言ってきたので亜人は任せることにした。

 ピートがなぜか怪しげな薬を躊躇せずに亜人たちに飲ませ、そいつらは口から泡を吐きながら倒れていたが殺すつもりはないようなので見なかったことにする。


 きっと新しい栄養剤かなにかだと思う。


 人間で協力してきた奴らは兵士につきだした。

 俺たちが聴取してもいいが、人数が増えれば増えるほど思わぬ危険に巻き込まれる可能性もある。せっかく捕まえたのに逃がしてしまっては意味がない。


 バルモノ国の裏で働いていた人間のようなので何か情報を引き出せるかも知れないが、とりあえず大臣の部下だけ連れていけば十分だろう。


 罪にとえるかどうかはわからないが、そんなに沢山の人間がいても邪魔なだけだ。


 なんとしてもリコロを連れていき戦争をおこさせようとした人物を特定して戦争をとめなければいけない。


 家に帰るとちょうど父さんがいたので簡単に経緯を説明しようとしたところでリコロが急に驚き震えだした。


「なんでこんなところにシルバーフォックスがいるんだ! なるほど、だからコボルトのような最弱種でもあそこまで強くなったのか……俺はとんでもない者に目をつけられていたらしい」


 リコロが小声でぶつぶつと言いながら怯えるようなその視線の先には……父さんが座っている。


「子供の前でそんな恥ずかしい呼び方やめろ。それに俺はもう引退したしな。それにコボルトはアルスが面倒をみているだけで俺は絡んでないぞ」


「なっ……子供であれだけの才能を引き出すのか。俺たちはなんてことをしようとしていたんだ」


 なぜかリコロは勝手に納得し勝手に落ち込んでいる。

 忙しい奴だ。


「それで父さん……」

 俺は今までの流れを簡単に父さんに説明した。

 レノバが王女だったことも。


 レノバは認識阻害の魔法を家の中でといてくれるとそこには青い髪をした小顔でキレイな女の子がいた。こんな可愛い子が今までレノバの濃い顔であんな行動をしていたと思うとちょっと引いてしまう。


「父さん、俺は今からレノバとリコロを連れてバルモノ国へ行ってこようと思ってる。なんとしてもレノバを殺させることを止めなければいけないし、戦争をとめなければいけない」


 そこへ奥から母さんとスラボウがやってくる。

 スラボウは俺の姿を見ると思いっきり飛びあがりまたしても俺の肩に乗ろうと飛びかかってくるが、さすがにそう何度もやられはしない。


 俺がさらっと避けると、スラボウは避けた先の壁を三角飛びで方向転換して俺の頭の上に着地した。もちろん、俺の首は耐えられるわけもなく床に頭からダイブした。


 冗談のつもりだろうが、まじで危ない。


「スラボウ……首折れるわ!」

 せっかく助けてもらえたお礼を言おうとしたのに、そんな空気ではなくなってしまった。


 スラボウを思いっきり抱きしめてプヨプヨ感をあじわう。スラボウにだけ聞こえるように小さな声でスラボウに感謝を伝える。

「スラボウ助かった。ありがとう」

 スラボウは嬉しそうにポヨポヨと動いている。


 ふと、リコロの方を見ると母さんの顔を見ながら口をパクパクさせ父さんの方へ視線をうつした。父さんは何も言わずにリコロの方を見て少しうなずくとリコロは下を向いたまま硬直してしまった。


 母さんはいつもと同じようだが何かあるのだろうか?


 レノバの紹介もおえ今後のことを話しあう。

「アルス、バルモノ国へは父さんも一緒に行こう」

「ありがとうございます。私も王女として責任をとります。よろしくお願い致します」

「任せておいてくれ。未来の息子の嫁さんのためなら大船にのったつもりで任せなさい」


 父さんはどさくさに紛れてレノバの手を握っていた。

「私やっぱり変装していった方がいいですよね?」

 レノバがそういうと父さんの目の前でいつもの青髭のおっさんに戻る。

「うわぁ!」


 レノバを見慣れていない父さんはビックリし手を離した瞬間、母さんが、

「息子の連れてきた女の子になんてことしてるの!」

 そう言いながら風魔法をのせた回転蹴りをくらわせた。


 派手な音を立てながら玄関扉ごと破壊され外に飛んでいく父さん。

 あぁーあ。こないだドアなおしたばかりなのに。

「父さん、こないだもやられてたよね?」

「アルスよ……まずは父さんを心配してくれ」


 がっくしと肩を落とす父さんを見ながらレノバが、

「楽しそうな家族でうらやましいです」

 なんて嬉しそうに言っていたが、リコロだけは口を開けたまま固まっていた。

 先が思いやられる。

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小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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