表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/75

夢の中での

『やっとつながった。ここが分水嶺ですよー。今から夢を見せますので回避できるように頑張ってくださいねー』


 なんだっけ?

 どこかで聞いた覚えがある。


『必ず助けますからねー。痛いのは少しですよー』

 そうだ。あの時レノバが襲われる前に断片的に声が聞こえた。

 

 すべて白い世界が目の前に広がっている。

 上も下も何もない世界。


「いったい誰なんだ? それにここはどこだ?」

『僕ですよー。僕。って言っても僕の声はずっとアルスさんにブロックされていたので会話するのは初めてですねー。今姿を表示させますねー』


 その白い空間の中にあらわれたのはスラボウだった。

「これはいったいどういうことなんだ? スラボウは途中で……あれ? どうしたんだっけ?」


『まだ、意識がはっきりしないようですねー。もう、アルスさんの精神耐性がありすぎて介入するのに時間がかかってしまいましたよー』


「精神耐性?」


『そうです。僕のスキルに遠見の夢というのがありまして、それはこの先に起こるだろうっていう未来を断片的な夢として先に見せることができるスキルがあるんですよー。もう、普通の人なら数十分先の未来を見せるだけなんですけどねー。アルスさんもうアホみたいな魔力に引っ張られるし、精神耐性が高くて介入も大変だし、僕の魔力がつきる前に終われてよかったですー』


「ということは……戻れるということか?」


『戻るのというのは正確ではありませんねー。アルスさんの未来約3年分を夢に見た感じになりますー。本来ならこんなことにはならないんですが、かなりの情報量に起きたらきっと激しい頭痛になりますが頑張ってくださいねー』


 前にマロン先生が言っていたことを思い出す。

 スライム学者のルーバーが未来から過去に戻ったという話をしていた。

 もしかして過去に戻ったというのはスラボウのスキルのことなのか。


「前にも同じようにスキルを使ったことがあるのか?」


『よくご存知ですねー。もうかれこれ数百年前になりますねー。かつての魔王サルバド様にも使いましたよー。あの頃は楽しかったなー。ジュリ様にドラン様もいて。でもサルバド様は未来を変えないという選択をしましたがねー』


 サルバド……スライム学者のルーバーと名前が微妙に似ているが何か関係があるのだろうか。

 魔王が生きていた時代、スラボウはどれだけの時間を生きているのだろう。

 スライムは死ななければ長生きだとはいうが。

 

「そうか。ありがとう。まだ未来は変えられるってことだよな?」


『もちろんですー。僕のはただの夢を見させるスキルですー。今回はアルスさん自身の魔力によってこんなことになりましたがー。こんなのは異常ですよー。おっとそろそろお時間です。ぜひ次は幸せな夢であいましょうー』


「わざわざここで俺にスキルを使ってくれたってことはある程度スラボウにも見えていたってことでだろ? ありがとう。助かったよ」


『いえいえー従魔として当たり前のことをしただけですよー』


 目の前からスラボウが消え、白い光が弱くなっていく。

 それにともなって頭痛がしてくる。

 スラボウが言ったとおりだ。この痛みはかなりまずい。


 でも、あんな最悪な未来を変えることができるなら頭痛くらいなんてことはない。

 それじゃあレノバを救いにいこうか。

 もう救えないと後悔して何度も泣いて叫んだあの日を取り戻しに。

新しい物語も書いています。傘を持った主人公が異世界のんびり旅していますので、もしよろしければ作者名から探して読んでみてください。よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
― 新着の感想 ―
[一言] 過去に戻るわけでもなくそのまま進むわけでもなくまさかの夢オチw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ