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武器屋でレノバの追い込みが怖かった。

「アルス様、次はここですね」

 そこは王都のメイン通りから少し入った武器屋だった。

 いたって普通の武器屋で特に変わった様子はない。


「なんでここの武器屋なんだ?」


「まず、ここはバルモノ国から来た門の近くにあります。もし逃げてきたなら装備を整えたいと思うのが普通です。冒険者ギルドの方のもありますが、ギルドの武器屋は表通りで目立ちます。あとは個人的にここは王都で一番掘り出し物が多いからです。おもに店主がやる気ないんで」


「やる気がない?」

「入ればわかりますよ。さぁいきましょ」

 ドアを開けると店の奥から大きないびき声が聞こえてくる。

 なるほど。本当にやる気がないようだ。


「すみませーん」

「あっ……寝てないすっよ。ちょっと酒を飲んでただけで」

 店主を見るとあきらかに酔っぱらっており、目の焦点があっていなかった。

 やる気がないとか以前の問題な気がする。

 店の中からはエールの匂いがただよってきた。


「レノバ店主って……」

「アルス様それ以上は大丈夫です。今日はまだ起きたのでいいほうだと」

 起きたからっていいって普段はずっと寝ているってことだろうか。


「店長起きてください。ちょっと聞きたいことがあります」

「ん? うわぁ! 顔の怖いオッサン!」

 レノバの顔を見ると店長と呼ばれた男はそのまま気絶してしまった。

 なんだ、寝起きのレノバの顔を見て毎回意識を失っていただけか。


「アルス様本当にひどいと思いませんか? 毎回これをやらないといけないんですよ。ん? 何か失礼なこと考えてません」

「……いや、まったく」

 どうやら俺は顔にでやすいらしい。気を付けなければ。

 心なしか気絶している店主がうなされている。


「大丈夫ですか?」

「……ん?あぁひどい夢を見ていた気がする」

 店主がむくりと起き上がり俺の方を見て声をかけてくる。


「悪かったな。ちょっと居眠りを……ギャー怖い顔」

 俺の横にいたレノバの顔を見るとまた気絶してしまった。

 もしかしてこのくだりを何回もやらないといけないのか。


     ◇◇◇


「もう完全に起きたか?」

「あぁ大丈夫だ。もう二度と仕事中にエールは飲まないとかあちゃんに誓うよ。あっかあちゃんに逃げられたばっかりだった」


「そっ……そうか。頑張れ。それよりも聞きたいことがあるんだが」

 武器屋のおやじにもダールン王の娘の情報を聞くがとくに変わった情報はなかった。いや情報がなかったというか……。

「いや、悪いな。ほとんど仕事している時の記憶がなくてな。気が付くと夕方になってることが多いんだ」

 酔いつぶれてるってことだな。


 レノバはその間にアウトレットの武器を見ている。

 この店にはアウトレットの剣や弓がかなり多く陳列されていた。


 だが、手入れもされていないので、どれも商品状態があまりいいとは言えないようだ。


 まぁ店主がずっと寝てるようではそれもそうだろう。

 試しに俺も手に取ってみるが錆びてる剣や槍が多くこの中からまともな物を探すのは大変だ。

 

 レノバはその中から変わった剣を取り出した。


「ご主人この短剣はいくらですか?」

「あっそれか? それ抜けないぞ。洞窟から冒険者が拾ってきたガラクタの中に入ってたんだが古いし使い道ないぞ」


「いいのよ。これいくら?」

「そうだなぁ。レノバさんはなんだかんだ買ってくれるからな。1万ミノモでいいよ」

「それで? これっていくら?」

 レノバは同じトーンでもう一度同じことを聞く。

 店長の言葉を聞いていなかったようだ。


「デジャヴ。わかったよ1000ミノモだ。これ以上はまけられない」

「そう。わかったわ。ところでこれいくら?」

 レノバは店長に顔を近づけ聞くと、店長は顔をそむける。


「レノバさんその顔で詰めるのやめてもらえるかな。泣きそうになる。わかった。俺が売ったて言わないでくれよ。300ミノモでいいよ」

「ありがとうこれもらうわ」


 レノバの交渉は有無を言わさない威圧感がある。それにしても1万ミノモが300ミノモってぼったくりすぎだろ。


 その剣は2本の剣が鞘の部分で交差し、2本で1本になっている変な剣だった。

「レノバずいぶん変わっている剣だね?」


「この剣は双縁の剣と呼ばれる剣です。説明は後でしますね。それじゃ親父さんまた寄らせてもらいます」


「うぃ~頼むから次は俺が起きてる時にきてくれよな」


「なに言ってるんですか、アルコールはいってない時は適正値段までしか値引きしてくれないから、それは無理かな」


「レノバさん、それやっぱりなにか貴重な剣なんじゃないの!?」


「さぁてなんでしょう? それじゃあまた~」


 レノバは嬉しそうにお店からでていってしまう。

 俺はお礼を言って慌ててレノバのことを追いかけた。

 結局レノバの買い物につきあってるだけな気がする。


「アルス様、ちょっと公園に行きましょ。そこでこの剣のこと説明しますね」

「いや、その剣はいいんだけど。それより人探しを」

「終わったらちゃんと付き合いますから」


 まぁレノバにも何か考えがあるのかもしれないし、もう少し付き合うか。

第1巻が発売中です。

お近くの本屋さんに置いていない場合にはAmazonなどでも購入できますのでぜひネットからも購入して頂ければと思います。

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小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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