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スライムの津波にのまれた。

 ビッグボールスライムは俺の後をクラウドを頭に乗せたままついてくる。

 この子はこの子としてとにかく他のスライムをテイムしなければ。


 ビッグボールスライムが悪いわけではない。

 だけど、授業で先生があれほど言っていたのにこの子だけを連れて言ったら印象は最悪だ。

 別に反抗するつもりもないのに反抗的だと思われていいことはない。


 うーん。

 よし。こうなればビッグボールスライム囮作戦だ。


 どうやらこの森の中でこのビッグボールスライムは最弱のスライムにすら養分と勘違いしてしまうくらい舐められている。


 現に俺たちが近づくと逃げて行くスライムたちもこいつに絡んでいる時は、我を忘れて攻撃していた。きっとスライムホイホイの才能があるようだ。


「ビッグボールスライムよ。俺は今日の授業で先生の元にスライムを連れていかなければいけないんだ。だから、お前にそれを協力して欲しい。できるか?」


 ビッグボールスライムは一度頷くように大きく弾む。


「よし。じゃあ名前をつけてやろう。スライムのボールだからスラボウだ。いいかスラボウ。できるだけ沢山のスライムをひきつけるんだぞ。俺はその中からテイムするからな」


 スラボウはもう一度大きく弾む。

「クラウドこっちに来て」

「ピギュー」


 クラウドが俺の肩へ移動するのを見届けると、俺たちから10mくらい距離をとる。

 森の木々が邪魔をしてすぐに見つかりそうにない。

 なかなか賢い奴のようだ。

 さすが進化しているだけはある。


 よし、あとはスラボウのところに集まってきたスライムをテイムすればいいだけだ。

 スラボウの様子を見ると、なぜか俺たちと逆方向を向き、空気を吸い込み身体を大きくしている。


 ん? なんだあれは?

 スラボウは徐々に息を吸い込み最初の頃より大きさよりが1.5倍くらい大きくなっている。


 いったい何をするつもりなんだ?

 スラボウの身体が約2倍くらいまで大きくなると、今度はスラボウが思いっきり息を吐き出す。

 スラボウの息は衝撃派となり森を揺らす。


 衝撃波が放たれた方向で大量の鳥がバサバサと飛び立つ音が聞こえる。

 

 いったい何がしたかったんだ?

 スラボウは先ほどのまでのゆっくりな動きではなく、俺の方へ高速で走ってくる。


「どうした? まだスライムは集まっては……!? なんだあれは!?」

 

 スラボウの後ろからは大小様々なスライムがスラボウを追いかけてきている。

 スライムの大群? いやあれはもうスライムの津波だ。

 これほどのスライムが隠れていたのか思うほど、大小様々なスライムがいる。


「クラウド逃げるぞ」

「ピギュ」


 スラボウは俺の股の下にくると俺を乗せて平原まで走り抜ける。


「おい、スラボウ何をしたんだ⁉」

 スラボウは何も答えず平原の中を走り1人で生徒を見守っていたマロン先生のところまで行くと急に止まる。


「おい! こんなところで止まるな」

「アルスくんこれはどういう……うわぁ」


 そして俺と先生はスライムの津波にのまれた。

 スライムなんて……。

ご覧頂きありがとうございます。

『テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件』

第1巻が3/12(木)に宝島社様より発売となります。


ぜひお手にとって頂ければと思います。

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小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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