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ビッグボールスライムが仲間になりたそうな顔でこっちを見ている。

 一度魔笛がなり先生の元へ戻ると半分以上の生徒がスライムをテイムしていた。

 よかった。まだスライムをテイムできていないのは俺たちだけじゃない。


 それにしても、みんな一様に小さくて将来有望そうなスライムばかりだ。

 俺もうかうかしてはいられない。


 休憩を挟んだあとは、マリアと別れて森の中に入る。


 平原の方が小型のスライムが多いが森の中は隠れられる場所が多いので小型から中型が多くなってくる。


 森の中では木に擬態しているものや、池の真ん中でぷかぷか浮いている水を吐き出しているもの、羽が生え空を飛んでいるものなど変わったものが多い。


 平原のスライムが少し進化したものたちだろう。


 森の中を探していくと、バランスボールくらいのスライムを発見する。

 そのスライムはなぜかノーマルのスライム複数から体当たりをされていたり、進化しているはずなのに、他のスライムから格好の的にされいじめられている。


「これは……ビックボールスライムか?」


 確か、スライムの最終進化と言っていたはずだ。

 そのスライムは全然気にしていないのかボヨヨンと上下に動いているだけで逃げようとしない。


 今回の講義で先生からは小さくて、未進化の方がいいと言われていた。

 テイムするつもりはないが、なぜかバカにされているスライムを見て可哀想になってくる。


「お前も大変だな」


 俺たちよりもそのスライムをいじめるのに気が向いているのか、俺たちが近づいてもいじめるのを辞めないスライムを払いのけ、そのスライムを助けてやる。


「それじゃあな。もう小さなスライムに絡まれるなよ」


 俺とクラウドがその場を離れようとすると、後ろからビックボールスライムがついてくる。

 いや、スライムテイムしたいとは思ってたけどさ。

 ビッグボールスライムってたしかスライムが大きくなっただけで……。

 スライムを見ると非常に可愛いい。


 抱き枕にしたらいい大きさだ。


 ちょっとだけなら……そっとスライムの頭をなでてやると気持ちよさそうにすり寄ってくる。

 どうしよう。可愛いけど……。

 こんな感じでこられた魔物を全部テイムしていたらきりがなくなってしまう。


「クラウド。頼む」

「ピギュー」


 クラウドに魔力障壁をはってもらってこのままお別れしよう。

 ごめんな。俺には君を飼うことはできないんだ。


 クラウドは元気に鳴いたあと、なぜかスライムの上でじゃれついている。


「えぇ! 今まで意思疎通がとれていると思っていたのに。クラウド魔力障壁は……」


「ピギュ?」

 クラウドは『何か問題があったの?』といった感じで首をかしげている。

 そんなクラウドも可愛い。


「わかったよ。クラウドおいで」


 クラウドを呼んだはずが、ビッグボールスライムがクラウドを乗せたままジャンプして俺の上にのしかかってくる。

「イッテェ。お前じゃないよ」


 でもクラウドが楽しそうな顔をしているのでいいとする。

「でもとりあえず俺の上から降りてくれ。お前の重さは凶器だぞ」

ビッグボールスライムはゆっくりと俺の上から降りていった。

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小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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