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父からの人を探しの依頼がムチャブリだった

「父さん、それってかなり詳しく聞いてるけどバルモノ国にとって外部に知られたらまずい内容とかあるんじゃないの?」


 自国の姫が他国の王子をボコボコにしたなど、本当にあったとしてもそれを広めていいことはない。父さんはグラスを片手に飲み物を飲みながら話を続ける。


「もちろんだ。これ他言したら一生バルモノ国から追われるから気を付けてくれな。まぁアルスもこれで共犯ってことで秘密にしていれば大丈夫だから。普通は言っても信じてもらえないレベルの話ではあるけどな」


「おいっ! なに勝手に息子を巻き込んでるんだよ」


「大丈夫、大丈夫。もし、その子がこの国で死んだりしたら因縁つけられて、ちょっと大変になるくらいだから」


「ちょっと……なのか?」


 父さんのちょっとというのはあまり信用できない。

 基本的に俺と感覚が違うのだ。

 この人の常識って言葉は非常識だというのを身をもって経験した。


「王は問題ないんだけどなー。気さくでいい人なんだけど押しが弱くてなー。自分たちで姫を逃がしておいて、今度はそれで戦争をさせたいみたいなんだよ」


「戦争ってちょっとの問題じゃないからな。それに意味がわからないでしょ」


「今バルモノ国は非常に国内が不安定になっているんだ。民の間で病気が流行り、国力が落ちている。だから、それを戦争で領土を奪って挽回したいんだと」


「戦争したからって領土を奪えるともわからないだろ。むしろ非効率だろ」


「もちろん。でも姫がこの国で死んだという理由があればいいんだよ。勝てなくても飢えて大量の死人がでるなら戦って領土拡大し食料もゲットすればいいと誰かが国の重鎮に吹き込んだらしい。それを信じてしまう奴らも相当アホだが、さらに問題なのは、ご丁寧に姫をこの国で殺すために暗殺者を送り込んできてるらしいんだよ。」


 ものすごく物騒なワードを吹き込んできた。

 暗殺者って……。

 その暗殺者はいったいどうやって姫を見つけるつもりなんだろうか。


「父さん聞かなかったことにしていいかな。どうやって暗殺者は姫を見つけるんだよ」


「いいぞ。戦争になってもいいならな。あの国には追跡に特化した部隊がいるらしいんだ。逃げる時には姫は痕跡を消して逃げたからいいけど、今回はいる場所が知れているとは気が付いていないからな。同じ国中とかでならしらみつぶしに探していけば見つかるらしい」


 いつも突拍子もないことをする父だったが今回のは非常に笑えない冗談だ。


「で、どこまでが本当?」


「ん? もちろん決まってるだろ」

 

 どうやら俺は父さんにからかわれていたようだ。

 こんな年になっても父さんは俺のことを子供扱いしたいようだ。


「だよね。そんなことあるわけないよな。父さん冗談にしてはきついよ」


「もちろん全部本当だ。とりあえず、姫を探すの手伝ってくれるか? これが姫の特徴な」


 信じたくないが……冗談じゃないならどうにかするしかない。

 戦争? そんなのはまっぴらごめんだ。

 父さんから渡された紙には青い髪、華奢な身体、可愛い顔、戦闘能力が高いとしか書かれていなかった。


「いや、こんなんで見つけられるわけないでしょ。重鎮もアホだけど、これを書いた王様も相当アホでしょ」


「父さんもそう思う。だからアルス助けてくれー」

 よく見ると父さんの顔は真っ赤になっており、手にはお酒のグラスが握られていた。

 父さんは基本的に弱点はないがお酒と母さんには非常に弱い。

 

「一応探してみるけど期待はしないでくれよ」


「おぅ大丈夫だ。父さんもしっかり探すからな。ところでアルス分身の術でも使えるようになったのか。アルスが5人見えるぞ。これなら早く見つけることができそうだな」


 それはただ酔っぱらってるだけだから。

 しかし、あんな情報で父さんもこの王都で人探しとかムチャブリが可愛そうに思えてくる。

 ご覧頂きありがとうございます。

 あなたのお応援のおかげでついに今月の3/12(木)に第1巻が発売されることになりました。

 内容は……結構変わっています。

 楽しんで頂けるように色々悩みながら書かせて頂きましたが非常に楽しい時間でした。

 ぜひ、お手に取って頂ければと思います。

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小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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