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急に襲われてしまいました。

 王宮の中はかなり広かった。

 どこをどう歩いたのか正直覚えていない。

 帰り道一人になったらば確実に迷う自信がある。

 コボルトたちと客間に案内されると部屋には先に一人の女性がいた。

 青いロングの髪に青い目。どこかのお姫様と言われてもうなずいてしまうくらい美しい。

 アスリアとはまた違った感じの美人だが、なぜか目を離せなくなる魅力がある。

 どこかで会ったことのあるような不思議な既視感を感じる。

 その時アスリアが部屋にやってきた。


「アルス君来てくれてありがとう」

「こちらこそお招きありがとう」

「今日はかしこまった席じゃないから楽にしてて」


 それからアスリアと話をしていたが、どうしてもあの女性が気になってしまう。

 誰だろう。でも確実に見たことはない。

 確証のない第6感のようなもので何か感じる。


「ピギゥー」


 クラウドも不思議そうに彼女を見ている。

「アスリアあそこの……」


 その時室内に窓ガラスの割れる音が響く。

 いきなり室内の明かりが消え部屋の中を暗闇が支配する。

「キャー!」

「コボルトたちアスリアを守れ!音と鼻に集中して誰一人アスリアに近づけさせるな」

「「「「「わかりました」」」」」

 複数のガラスの割れる音が聞こえ俺の方に暗闇の中から何かが飛んでくる。

 よけたらばコボルトたちに当たる!魔法障壁を……


「うっ」


 自分の認識が一瞬遅れ、魔法障壁をはる前に左肩に鈍い痛みが走る。

 魔法ではない。暗器のようなものが身体にささる。

 魔法障壁をはらなければ!


 いつも通り魔力をコントロールしようとするが上手く操ることができない。

 エールを飲んで酔っ払ったおっさんのように急に目の前が回転しだす。

 くっ……毒でも仕込まれたのか!?


「クラウドここにいる人全員を守るように魔法障壁をはってくれ!」


「ピギゥー」


 とにかく今はアスリアを守らなければならない。

「アスリア大丈夫か?」

「はい。アルスさんは?」

「だっ大丈夫。」

 できるだけ動揺をみせてはいかない。


「レオン!敵がどこにいるかわかるか?」

 俺の魔力感知が使えない以上コボルトに頼るしかない。

「マスターからみて左斜め前方向に3人の気配があります。」


「ピギゥー」


 クラウドがそちらの方向に口から炎を吐く!

 一瞬部屋の中が明るくなり暗器を持った者たちの姿が見える。


 姿が見えればこっちのもんだ。間合いを詰め殴りかかる。

 だが予想外に身体の動きが鈍い。自分の感覚は先にいっているのに身体が後からやってくる。

 なんとなく気配のする方へがむしゃらに手をだすが一向に手ごたえがない。


「クラウドもう一度!」


「ピギゥー」


 クラウドの吐く炎により部屋の中が一瞬明るくなるが敵の姿はもう見えない。

 何が目的だったんだ!?

「コボルトまわりはどうだ?」

「マスター今部屋から逃げていきました。追いますか?」

「いや、そのままアスリアを守ってくれ」


 廊下から武器を装備した兵士たちが走ってくる音が聞こえる。


「アスリア様大丈夫ですか?」


 部屋の入口からランプを持った兵士たちが入ってくる。

 アスリアの姿を確認すると震えてはいるがコボルトに守られながら立っていた。

 アスリアに怪我はないようだ。本当に良かった。

 1歩足を進めようとした時、あれ……目の前が急に真っ暗になる。

 すぅーと意識を失った俺はそのまま床へと倒れてしまった。

 かすかに声が聞こえる……

「マスターしっかりしてください。」

「アルス君!」

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小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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