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とある冒険者の話

 ~冒険者ギルドサイド~

 とある冒険者の告白。


 俺はBクラスの中堅冒険者だ。

 その日は依頼が早く終わったから冒険者ギルドで何か依頼がないか探していた。


 そこに受付のリズさんから新人の講習を手伝って欲しいと言われたから気軽にOKした。

 俺は時間もあまっていたし、新人の試験官なんて小遣い稼ぎだ。

 適当にあしらってやるだけでその日の飲み代くらいもらえる。

 楽な仕事だと思っていたんだ。


 最初その少年を見た時はすごく礼儀正しい子だと思った。

 見た目は線が細く、正直、今回は諦めて次の機会に挑戦してもらった方がいいと思っていた。

 まさかこんな感じのいい少年を落とす役をやるなんてとも。


 だけど、いざ試験が始まろうとしたら変熊レノバが現れて無理矢理試験官を変えられてしまった。どうやらレノバの知り合いらしいが、その腕前を見た時に正直驚いた。


 あのレノバが触れることも出来ずに拘束されていたのだ。

 しかもレノバをお姉さんというあたりが、まだ少年は世間を知らないのだろうとわかる。

 あれはお姉さんではなく変態って言うんだよ。

 って教えてあげたがどれだけ理解してくれたかどうか。


 それよりも驚いたのはその後だった。

 結局試験官の報酬がでたので少し冒険者ギルドで飲んでいると、試験を受けた少年がゴブリンを討伐して戻ってきた。


 最初だから諦めたのかと思ったら予想外に沢山の数を狩り、しかもその中にはゴブリンの上位種までいたという事で俺たちも急遽冒険者ギルドで待機命令が出るほどの話になった。


 事態はどんどん悪化していき、ゴブリンキングまでいたらしい。

 ゴブリンキングなんて魔王が生きていた時代でさえ、出現した時点で複数の街がやられる伝説級の魔物だ。

 それをその少年はあっけらかんと所詮ゴブリンですよ。

 と言っていた。


 でも、俺たちの本当の地獄はその後始まった。

 最初は一部の冒険者が彼の実力を試すつもりだったのだろう。

 あんなひょっろっとした少年がゴブリンキングを倒せるならば俺は魔王を倒せると言って訓練場に彼を連れ込んだ。


 そいつらが訓練場に消えていった直後、阿鼻叫喚の地獄へと変わった。

 白いトカゲの無双が始まったのだ。

 俺たち冒険者にだって意地がある。


 最初はほんの腕試しだったはずが、冒険者たちが本気になって円陣を組み。

 複数パーティで白いトカゲを狩りに行った。


 最初は何とか倒そうとしていた。

 でも段々と一撃いれれば。

 あそこの場所から動かせれば。

 最後にはかすり傷でもなんて志が低くなったが、まったくと言っていいほど相手にされなかった。


 もちろん、善戦していた冒険者もいた。


 変態レノバとかはかなり良い戦いをしていた。

 ただお互いに決め手に欠けるようで、よくて引き分けだろう。


 俺たちはたった1人と1匹の従魔にボコボコにされたのだ。

 しかも、その少年は終わってから息もきらさずに


「いい訓練になりましたね。またやりましょう。」


 とにこやかに言ってきた。

 正直化け物だと思った。


 冒険者ギルドの上層部が訓練場を見に来た時に、その少年によって冒険者全員がいい意味でボコボコにされ動けなくなったので結局解散になった。

 あんな状態じゃゴブリン1匹だって倒せない。


 ギルド上層部はいい強化合宿になったなんて冗談で言っていたが、何人かは心が折れそうになっていた。

 ただ、俺たちだって歴戦の冒険者としての意地がある。

 その日を境に俺たちは勝てないとわかっていても何度もその少年に挑み続けることになった。


 その結果俺たちのギルドは王国でもトップクラスにまで登りつめるのだが、それはまだ先の話。


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小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
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