表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嫌われ魔眼保持者の学園生活 ~掲示板で実況スネーク活動してたんだけど、リアルで身バレしそうwww~  作者: ぺぱーみんと
【死の谷】探索開始なう!【着いた(*・ω・*)wkwk】
6/42

煙がはれ、視界が戻る。

現れたのは、滅茶苦茶になった遺跡の残骸。

そして、その残骸の上に横たわる巨大な蟻。

通常の大蟻系モンスターよりも遥かに大きい。

その姿はまさに、


「これって、伝承の中に出てくる【神様】だよな?」


そう、昔話に伝わる【神様】そのものだ。

なにせ、大型トラックくらいあるのだ。

ただ、頭は先程のユートの魔法によって半分ほど吹き飛んでいる。

呆然と呟くユートに、エルフが声をかけてきた。


「君、さっきの魔法はSSSランクのものだろう?

かなり研鑽をつまなければ、いいや、そもそも一人で発動できるものでは無い。

君は、いったい??」


(あ、やっべ!)


ユートは咄嗟に嘘をついた。


「え、えとえと!

死んだ、ばーちゃんが、魔法詳しくて!!

昔、梅干し漬けながら教えてくれたんです!!」


「梅干しを漬けながら、魔法を?!」


支離滅裂な解答だった。

明らかに嘘とわかるだろう。

そもそも梅干しと魔法に関連性など皆無だ。


「は、はい!

そ、それで、その本当なら使っちゃダメだったんです!

我が家の秘伝なので!!

これがバレると学校にもいられなくなっちゃうんで!!

あの、なにも見なかったことにしてもらえませんか?!」


「い、いや、そうは言ってもだな」


ユートのあまりの剣幕に、エルフは戸惑う。

その時だった、瓦礫の下から呻き声のようなものが聞こえてきたのだ。

2人は周囲を見回す。

すると、すぐ側の瓦礫から腕が一本生えていた。

テントの中にいたであろう人間族の警備員だった。

魔法のことは後回しにして、ユートとエルフはその人間族を助け出した。

人間族は、重症だった。

血まみれで、骨があちこち折れていて内臓を傷つけているらしかった。


「これは……っ」


エルフはその状態を見て、回復魔法や治癒魔法を掛けたとしても、この同僚は助からない。

死を待つばかりである。

ユートは、そんなエルフと人間族を交互に見る。

そして、迷わず指を空中に滑らせた。

展開するのは、伝説の聖女が得意とした癒しの魔法である。

伝説ではそれこそ、死者をも蘇らせたと言われている魔法だ。

しかし、現代でその魔法を使える人間はいない。

あくまで聖女専用の魔法である。

その光景を見て、エルフはひとつの答えにたどり着いた。

人間族の警備員、その怪我がみるみる治っていく。

ユートが彼を治し終えるのをまって、エルフは声をかけた。


「君、まさか」


「あ、いや、これも死んだばーちゃんにっ」


ユートの言葉はしかし、途中で遮られる。

肩をガッと掴まれ、


「聖女の血筋なのか?!」


「……へ?」


「先程の魔法陣だ!彼を治した魔法陣!!

あれは、魔神を倒したとされる聖女が使っていた魔法だ!!」


ユートの頭の中で諸々の情報が処理されていく。

そして、話を合わせることにした。


「そ、そうなんですよ!

つーても、傍流の傍流なんですけどね?!

けど、こういう魔法使えちゃうと悪い人に利用されるから、秘伝ってこともあるけど、とにかく内緒にしなさいって、死んだばーちゃんに言われてるんです!!」


その説明でエルフは納得してくれたようだ。


「わかった。

そういうことなら、仕方ない黙っていよう。

君は亡くなったおばあさんの言いつけを破ってまで同僚を助けてくれた。

その礼だ」


そう言って、魔法のことは秘密にしてくれると約束してくれた。

どんどんキャラ付けが進む、架空の死んだばーちゃんだった。


とにかく緊急事態ということで、こういう時のマニュアルに沿って、エルフはユートを【死の谷(デス・バレー)】の入り口まで避難させることとなった。

人間族の同僚もあっという間に回復した。

三人で転移魔法で、そちらに転移する。

すると、そこには他の観光客でごった返していた。


「とにかく、君はもう帰りなさい。

ほら、あのバスに乗るんだ」


エルフが、何台も停まっている輸送用のバスを指し示した。

この地を管理している観光協会が手配した、この時のための移動手段である。

さすがにこんな大人数を転移させるには、人手が足りないためだ。


「わ、わかりました」


頷くユートに、人間族の警備員が礼を口にした。


「助けてくれてありがとう。

君は命の恩人だ」


人間族の警備員は言うだけ言って、そのままエルフと共に荒野へと戻って行った。

面と向かって礼を言われたのは初めてだったので、なんだか照れくさくなってしまう。

頭をポリポリと掻きながら、ユートは携帯端末を取り出して掲示板を表示させた。

ユートの帰還に、スレ民のおかえりコールが書き込まれる。

簡単に、ユートはいまさっき起こったことを書き込んだ。



■■■


808:考察厨兼迷探偵

おやまぁ


809:特定班

梅干しwww

秘伝www梅干しwww

しんwwwだwばーちゃんwww


810:底辺冒険者

上手く誤魔化せて良かったでござるな

それと、遺跡を壊したことも咎められずに良かったでござるなwwwwww

魔眼保持者氏www


811:名無しの冒険者

しっかし、伝承の【神様】と同じ種類の蟻が出てくるとは


812:考察厨兼迷探偵

その蟻が出てくる前に、緊急要請が警備員達に入ってたから

まぁ、なにかしら奥地とかでトラブルがあって

蟻が出てきたってところだろうな


813:名無しの冒険者

なんで、奥地ってわかるん?


814:考察厨兼迷探偵

死の谷(デス・バレー)】の強力なモンスターは、基本奥地にしかいない

行方不明者を探していたエリート校連中のこともある

もしかしたら、行方不明者を探索するうちに奥地に入り込んで、巨大蟻が出てくるようなトラブルが起きたのかもしれない

まぁ、ただの妄想だけど


815:魔眼保持者

とりま、行ってみるか!


816:名無しの冒険者

行ってみるかって

簡単に言うけど、荒野は広いんだろ?

奥地だってそうだ

奥地のどこでトラブルが起きたかなんてわからないだろ


817:魔眼保持者

へ(゜∀゜へ)フッフッフッ

緊急要請が来た時に警備員達が使った転移魔法

その術式を魔眼を使って、解析してある

術式には転移先の座標が組み込まれてるからな


818:名無しの冒険者

なるほど


819:名無しの冒険者

よぉ、やるわ


820:名無しの冒険者

よくバレなかったな


821:魔眼保持者

だって、バレないように気をつけたし


822:考察厨兼迷探偵

そういうギリギリな事してるから

身バレしそうになってんだろwww


823:名無しの冒険者

いつもやってるんかいwww


824:名無しの冒険者

常習犯っぽいな


825:魔眼保持者

このギリギリ感が楽しいんじゃないか!!

ヾノ。ÒдÓ)ノシ バンバン!!


826:名無しの冒険者

筋金入りのバカだなぁ


827:名無しの冒険者

とりま、コートは着たか?

スレ主??


828:魔眼保持者

もちろん♡


■■■


ユートは、早くこの場から離れようとする人混みから抜け出る。

無人になった屋台の影で、素早くコートを着用する。

フードを目深に被り、準備を整える。

それから指を空中に滑らせて、コピー、解析した転移魔法陣を描く。

魔法陣が輝き、発動する。


ユートは一瞬で、警備員達が転移したであろう場所へやってきた。

キョロキョロと周囲を見回す。

そこは、荒野に似合わず木々が生い茂っているはずの森だった。

本来なら鬱蒼とした森が広がっているはずだった。

しかし、ユートの目に映るのは、木々が焼かれなぎ倒され、地面がえぐれている光景だった。


■■■


901:魔眼保持者

\( ゜д゜)/!!

マジやべぇwww

つ【地面が抉れてる画像】


902:名無しの冒険者

おやまぁ


903:名無しの冒険者

こwwwれwwwはwww


904:考察厨兼迷探偵

ドラゴンのブレス並の破壊力だな


905:底辺冒険者

ドラゴンか、蟻か、はたまたそれ以外のモンスターか

とにかく、見る限りで判断するなら

広域破壊系の攻撃魔法が使われたようでござるな


906:特定班

っしゃ!

レンジャー達の通信魔法傍受できた!!


907:名無しの冒険者

>>906

お前はお前で、なにしとんねん


908:名無しの冒険者

>>906

有能すぎるやろ


909:特定班

犯罪ギリギリだから、方法は教えらんないが

精度は保証するぜ


910:名無しの冒険者

なるほど、そうやって情報をすっぱ抜いたりしてるわけか


911:名無しの冒険者

>>909

それでそれで??

なにかわかったん??


912:909

情報が錯綜してるが

とにかく、わかっているのは


奥地で行方不明者の遺体(食べカス)が発見された

それを持ち帰ろうとしたら、モンスターに襲われた

レンジャーや生徒たちが、状態はともかく連れ去られた

何人かは遺体を回収することに成功

そのままレンジャー本部が設置されている、デス・バレーの出入口付近まで転移魔法で逃げることに成功

回収しきれていない観光客が襲われまくっている

てんてこ舞い(イマココ)


こんな所だな


913:名無しの冒険者

お仕事、お疲れ様です(`・ω・)ゞ

って気分になる


914:考察厨兼迷探偵

あ、だから死体がないのか


915:名無しの冒険者

>>914

どゆこと?


916:考察厨兼迷探偵

>>915

転移先で、こんだけの被害が出てるんだ

にも関わらず、行方不明者の捜索をしていたレンジャーや生徒の死体が転がってないのは不自然だろ

モンスターに連れ去られたってんなら合点がいく


917:名無しの冒険者

言われてみれば


918:名無しの冒険者

魔眼保持者が死体を写してない可能性は?


919:考察厨兼迷探偵

>>918

もしも、そうなら『死体がある』って書き込んでるはずだ

あとはモザイクかけて貼り付けてるはずだ

倫理上の問題で、そういう画像はモザイク無しでここに貼り付けると秒で消される仕様になってるから


920:名無しの冒険者

なるほど


921:魔眼保持者

死体は、無いな

魔眼でも確認したから、それは確実だ

今は、過去視使って何が起きたか見てる


922:名無しの冒険者

>>921

過去視?


923:名無しの冒険者

>>921

それも魔眼の能力??


924:魔眼保持者

まぁなー

一定の範囲内なら、過去と未来を視ることができるんだ

普段使いしてると、疲れるし、魔眼保持者ってバレる危険度爆上がりするから、こういう時にしか使わないけどな

あ、でも【未来視】は天気が怪しい時とかに使うと滅茶苦茶便利


925:名無しの冒険者

もうスネーク活動やめて天気予報士になれよ、お前


926:名無しの冒険者

占い師でもいいかもな

大当たりしそう


927:魔眼保持者

未来って、ちょっとした事で変わるからなぁ

俺の今の練度じゃ、せいぜい一時間以内の未来を見ることしかできないし

だから、直近の天気の確認くらいにしか使えない

ぎゃくに、確定してる過去なら数年単位で見ることができる


928:名無しの冒険者

へぇ


929:名無しの冒険者

そういうもんなのかぁ


930:魔眼保持者

さて、と

んー、こいつぁ、どうしたもんかな


931:名無しの冒険者

なになに?


932:名無しの冒険者

なんか問題??


933:魔眼保持者

あー、問題っつーか

過去視したらな?


934:名無しの冒険者

うん


935:魔眼保持者

ここで襲撃受けて攫われた生徒の中に、同級生がいたっぽい

ほら、ドラゴン襲撃事件の時の手柄、譲った子


936:名無しの冒険者

マジか(´・ω・`)


■■■


「マジなんですわ、これが」


困り顔で、ユートは過去視の中の光景を確認する。

やはり、なんど確認してもイーリスとその仲間達が蟻の吐き出した糸でぐるぐる巻きされて、お持ち帰りされる光景が映し出される。


「急いだ方がいいな」


遅かれ早かれ餌になることは明白だった。

とりあえず、戦闘になると書き込みが出来なくなるので、そういった意味で一旦落ちることをスレ民に伝える。

とたんに、スレッドがいてらコールで埋まる。


「ほんじゃ、ま、身バレしないように気をつけつつ頑張りますかっと」


ユートは、携帯端末をコートのポケットに仕舞うと、大蟻が去った方向を見据えた。

魔法で身体強化を施す。

そして、ダッシュした。

奥地に向かう。

常に過去視を発動させているので、体力と魔力の消耗に気をつけなければならないのが、めんどいことこの上ない。

ユートの目には、巨大な軍隊蟻の姿が映っている。

やがて、その巣が見えてきた。

それは、先程見学し、やむを得ない事情から破壊してしまった遺跡にそっくりな岩山だった。

ただ、サイズは若干こちらの方が大きく見える。


その巨大蟻塚の中へ、足を踏み入れる。

さすがに中は暗かった。

そのため、魔眼を使い暗視ゴーグルのように視認できるようにする。

中はくり抜かれており、壁にそれぞれ小さな小部屋があった。

通路のようなものも築かれている。

そこを、巨大蟻が行き交っていた。

キョロキョロと巣の中を見回す。

すると、新しい群れが外から帰還してきた。

その口には、糸でぐるぐる巻きにされた卵のようなものをくわえている。

過去視で見た通りだ、また餌を捕らえて来たのだろう。

モゾモゾとぐるぐる巻きにされた者は、動いているように見えた。

その群れへ気づかれないように、尾行する。

とある小部屋に入ったかと思うと、すぐに出てきた。

慎重に、ユートはその小部屋に入る。

見張りはいないようだった。

そこには、何個もの餌が積まれていた。

いくつかは、やはりモゾモゾと動いている。


「ありゃまー」


ユートは携帯端末を取り出して、フラッシュを焚いて画像を撮った。

すぐさま、掲示板へ貼り付ける。

貼り付けようとして、気づいた。


「あ、スレッド終わってる」


画面に映し出されていたのは、


【1001:このスレッドは1000を超えました。

もう書けないので、新しいスレッドを立ててください】


という表示だった。

新しく、掲示板を立てなければならない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ