#144 道中で追加しつつ、配信スタジオへ
「さて……えー、こちらの鰤なんですが……椎菜ちゃん的に捌けるの? これ。もちろん、物理的にも、包丁的にも」
「んっと、捌けるよ? 包丁の方は……たしかに、言われてみれば向こうにはないかもしれないし……まあ、そこは多分変身でなんとかなる……かな?」
「あー、霊術?」
「うん。なんというかこう、包丁の刃を伸ばすというかそんな感じで……」
試したことはないけど、なんとなくできるような、そんな気がします。
仮にできなくても、その時は近くのお店とかでいい包丁を買えばいいしね。
……できれば、マイ包丁でやりたいけど。
「なるほど。でも椎菜ちゃん的にそれって大丈夫なの? ほら、椎菜ちゃんって争いごととか危ないことって好まないし」
「そんなことを言っちゃったら、包丁が扱えなくなっちゃうよ~。危険なものでも扱い方次第で便利になるのです」
「なるほど。さすが椎菜ちゃん。椎菜ちゃんの言うことは正しい……つまり、椎菜ちゃんの発言一つ一つはこの世の真理であり、正しい、そういうことだね!」
「全然違うよぉ!?」
普通に僕だって間違えるのに、お姉ちゃんはなにを言っているんだろう……。
僕が正しいのなら、みまちゃんとみおちゃんも正しい、ということになっちゃいます。
「んまあでも、大丈夫ならいっか」
「うん。ところでお姉ちゃん」
「どったのー?」
「重くないの?」
「え? どこが?」
「……あのね、お姉ちゃん。普通の人は、鰤が一匹入った発泡スチロールを木材を運ぶみたいに持っていけないし、一緒に十キロのお米が入った袋を小脇に抱えることはできないと思うの」
「でも、現に私ができてるし?」
「……それもそうだね!」
たしかに、お姉ちゃんができてるから、不可能じゃないのかも。
でも、それはそれとしてやっぱりすごいと思います。
お姉ちゃん、全然筋肉があるようには見えないのに、すごいよね。
「いやぁ、これ見たらみんな驚くなー」
「あ、あははは……お鍋とお蕎麦かと思ったら、鰤が出てくるんだもんね……」
「というか、椎菜ちゃんの幸運がすごすぎるんだけどね。いやほんとに」
「僕も、まさか一等と四等が同時に来るとは思わなかったよ」
そもそも、ああいうのって一緒にあたるものなのかな?
そういう人を見たことがないし、僕自身も体験したことないからよくわからないけど……少なくとも、二つも同時に当てるってなかなかないことなんじゃないかなぁ。
「だろうねぇ。ちなみにこれ、どうやって調理するの?」
「うーん、お刺身は当然として……鰤しゃぶと……あ、でも、どうせならお寿司もいいなぁ……お米あるし!」
僕、鰤のお寿司は好きです。
それに、折角お米が10キロも当たったんだし、有効活用したいよね!
「たしかに。あ、じゃあ私あれ食べたい。ぶり大根!」
「じゃあ、ぶり大根も作ろうかなぁ……でも、そうなると材料が足りないね……主に、生姜と大根」
「んまあ、それはあれよ。らいばーほーむメンバーの誰かに買い出しに行かせればいいんじゃないかな」
「それはそれで申し訳ないんだけど……」
「いやいや、何を言うんだい椎菜ちゃん。そもそも……椎菜ちゃんという至高の存在に、至高の料理を作ってもらうんだよ? 椎菜ちゃんの料理が食べたければ、働かねばならぬ……!」
「えーっと、僕は気にしないけど……食べてもらえるだけで嬉しいし……」
恩着せがましく、作ってあげるんだからこれくらいしてね! とは、言いたくないし、言うつもりもないし、そもそも考えることもないです。
もともと、僕が好きでやることだしね、お料理。
「だろうね。まあでも、もともと買い出しに行く予定はあるし、そのついでだよ、ついで」
「あ、そうなんだ。じゃあ、その時にお願いしようかなぁ……ある程度の下準備はしちゃうし」
「やったぜ!」
「というより……こう、大きな鰤一匹が丸々って考えると……すごいよね……12人以上ある気がするし……」
「そこはほら、スタッフさんにも食べてもらうというか……ね? どうせ、社長もいるだろうし」
「社長さん来るの?」
「大晦日だからくるっぽい。ついでに、間近で爆笑したいんだって。笑い納め、的な?」
「な、なる、ほど?」
でも、かなりの量になる予定だし…………あーでも、それだったらエビももうちょっと買っておけばよかったなぁ……スタッフさんの方に気が回らなかったよ……むぅ、悔しい。
でも、それ以外の材料はいっぱいあるから、それでなんとか……。
「あ、お寿司をやるのはいいけど、寿司酢もないよね?」
「確かに……うーん、もともと予定になかったからね……まあでも、ここまで来たら美味しいものをいっぱい食べてほしいので、頑張ります!」
「うんうん、私も楽しみにしてるよ! ……って、お? 椎菜ちゃん、ちょうどあそこにスーパーが」
「あ、ほんとだ。……お姉ちゃん、僕ちょっと追加の材料買ってくるので……待っててもらっていい?」
「おうよ!」
「ありがとう! じゃあ、行ってきます!」
というわけで、一度荷物をお姉ちゃんに見てもらうという形で、僕は道中にあったスーパーへ。
買うものは決まっているので、大根、生姜、寿司酢、あと卵を購入。
「ただいま!」
「早かったね」
「うん、決まってたので! じゃあ、行こ!」
「おうよー」
追加のお買い物も済ませて、僕とお姉ちゃんは再度駅の方へ向かいました。
◇
それから電車に乗って、浜波駅へ。
事務所から近いのっていいよね、なんて思いつつも、目的地のスタジオの方へ。
ちなみに、電車内ではすごく目立ちました。
主にお姉ちゃんが……。
だって、すごく美人さんな人が、大きな発泡スチロールとお米の入った大きな袋を持ってわけだし、目立つのも当然と言えば当然だよね……。
※椎菜も負けず劣らずの荷物を持っていたので同類です。
「よーし着いたァ!」
「はふぅ、さすがに疲れたね。お姉ちゃんは大丈夫? その、いっぱい荷物を持ってるけど……」
「問題なし問題なし! これくらい、普段自身に課している修行に比べれば、遥かに軽いですとも! というか、岩とか丸太に比べたら羽のように軽いよね、これ」
「そ、そうなんだ」
何をどうしたら、岩とか、丸太を持つような人生になるんだろう……。
でも、お姉ちゃんいつの間にそんなことをしてたんだろう?
危ないことはあんまりしないでほしい……んだけど。
なんでだろう……お姉ちゃんの場合、めったなことじゃ怪我もしない気がするんだよね……。
お姉ちゃんって、どういう時に怪我するのかなぁ……。
「さてと、そろそろ入ろっか。あ、椎菜ちゃん両手がふさがってるよね、私が開けるよ~」
「あ、うん……って、え、でもそれ、お姉ちゃんもな気が――」
「ほいさぁ!」
僕が言葉を言い終わるよりも早く、お姉ちゃんは両手に持っていた発泡スチロールとお米の入った袋を上に投げると、落下してくるまでの間にドアを開け、そのまま足で閉じないように抑えました。
あの、えと……すごい!
「ほい開いた」
「お姉ちゃんすごい……!」
「ふっ、私、だからね。じゃ、入ろー」
「うん!」
お姉ちゃんが開けてくれたドアから中に入る。
前とは違うお部屋ではあるんだけど、基本的な内装は全部同じだそうなので、なんだか久しぶりに来た感覚。
「やっはろー! 桜木家でーす!」
「こんにちは!」
それから、廊下先のもう一つの扉を開けて、中に入るなり、僕とお姉ちゃん挨拶を一つ。
「お、来たか! って、なんだその大荷物!?」
「前の焼き肉パーティーでも驚くような状況があったけど、今回もなんかすごそうですね―」
「……なんというか、君たちはその、驚くような要素を持ってこないと死んでしまうのかい?」
「なんや、えらい大荷物やなぁ……」
「えぇ、何あれ……。さすがにあたしも困惑っていうか……うん、何あれ」
「す、すごく、大荷物、です、ね……!」
「おおぅ、なんてゆーか、前回はみまっちとみおっちの二人だったけど、今回はでっかい箱! なんなんそれ? あーし、めっちゃ気になる!」
「でっかいぞ! あと、椎菜ちゃんもすごい荷物」
「ん、明らかにおかしい」
「あらあらぁ~、本当にすごい量ですねぇ~」
などなど、お買い物をしていたからか、今回も僕たちが最後となっていました。
そして、入って来た僕たちを見るなり、みなさんは僕たちの……というより、お姉ちゃんの方の荷物に興味が行ってるみたいです。
だよね!
「いやー、実は商店街で夜に使う用の物を商店街で買ってたら、福引券をもらってねー。んで、椎菜ちゃんが引いた結果がこの二つの荷物。あ、椎菜ちゃんが持ってる方は、普通に買い物したものね」
「……今日の配信内容的に食材系なんだろうけど……椎菜ちゃん、君、いったい何を当てたんだい……?」
「あ、あー、えっと、見てもらった方が早いと言いますか……お姉ちゃん、お願いできる?」
「おっけー! はーい、どいたどいたー。道開けてねー。はいよいしょと。えー、まずこちら、お米が十キロでございます」
「おお、すっごい定番な景品だぞ」
「そういえば、商店街で福引やってたわね……なるほど、そこの……あれ? そういえば一等ってたしか……」
「お、ミレーネちゃんは知ってる感じかな? はいというわけで、刮目せよ! これが! 椎菜ちゃんという幸運の女神が引き寄せた……食材だぁぁぁぁぁぁぁ!」
そんな感じで、すごく高いテンションでお姉ちゃんがテーブルの上に置いた発泡スチロールのふたを開けました。
「というわけで、鰤一匹です!」
『『『なにをどうしたらそうなる!?』』』
「え、えと、その、七回引いたら、一等と四等を当てまして……あ、一等が鰤で、四等はお米です」
ツッコミ? が入ったので、僕はちょっと照れながら、そう答えました。
「いやいやいやいや!? マジ? これマジぃ!? びっくりなんだけど!」
「うわぁ……うわぁ! あたし、福引を当てる人とか初めて見たぞ!?」
「あらあらぁ、立派な鰤ですねぇ~」
「え、千鶴さんそれだけ!?」
「むしろ、それ以外に言いようがない気はしますよぉ~?」
「こ、幸運、です、ね……! びっくり、しまし、た……!」
「ちなみに、椎菜ちゃんは椎菜ちゃんは捌けるのー?」
「あ、うちもそれ気になったわぁ」
「うん、一応捌けるよー」
『『『お、おう……』』』
あ、あれ、なんだかおかしな反応になったような……?
「ん、椎菜は鰤が捌ける……なぜに?」
「椎菜ちゃん、ちなみに、なんで捌けるんだ?」
「んっと、中学生ぐらいの時に、大きなお魚を捌く動画を見つけて、やってみたい! ってお父さんたちにお願いしたら買ってくれまして」
「え、そうだったの?」
「なんで愛菜が知らないんだい?」
「わからん……」
「んっと、その時は確か、お姉ちゃん遠方に出張に行ってた気がするから、その時かな……?」
「あぁ、なるほど! そういう理由! 納得!」
あの時は出張って言われて、なんと言うか……すごく泣いてたっけ……。
本当に僕と離れるのが嫌なんだなぁ、なんて思ったものです。
「というか、しれっと椎菜ちゃんの頼みを快く引き受けた挙句、鰤を買ってきた椎菜ちゃんの両親がすごいぞ」
「「それはそう(ですね)」」
今にして思えば、なんで買ってくれたんだろうなぁ……。
憶えてる限りだとたしか……普段わがままを言わない僕からのお願いだったから、だったかな……?
だとしても、そんな理由で買うかなぁ。鰤。
「あ、うち、質問があるんやけど」
「お、栞ちゃん。なんだいなんだい?」
「椎菜さん、何作るん?」
「あ、そうだね。それは先に言っておかないと。もしかしたら、食べられないものがある――」
「え? 椎菜ちゃんが作る料理だったらなんでも食べるに決まってるよね? 仮にそれが、自分の嫌いな料理だったとしても。そうだよね? み ん な ?」
『『『うっす……』』』
「そ、そう? でも、無理しないでね?」
無理して食べるのは辛いもん。
やっぱり、無理なら無理で仕方ないことだからね。
「それで、何を作ってくれるんでしょうかぁ~?」
「あ、うん。えっとね、お刺身とお寿司、ぶりしゃぶ、ぶり大根……それから、お蕎麦にそれようの天麩羅……あとは、パーティー用のお鍋のベース……くらいかな? あ、おまけも貰って来てるから、大根サラダに、レバーの唐揚げ……くらいかな?」
『『『ちょっと待って?』』』
「ふぇ? どうしたの?」
「いや、うん……あのね、椎菜ちゃん」
「うん」
「それ全部……作るの?」
「うん。時間もあるし、これくらいなら作れるよ?」
(((あれ、なんかおかしい……)))
「???」
なんだろう、みなさんが固まっちゃったような……。
僕、何かおかしなこと言ったかな?
「……なぁ、今更ながらに思ったけど、椎菜ちゃんのスペックおかしくねぇ?」
「いやまあ……料理好きなのは知っていたが、なんというか……うん」
「……女子高生で魚を捌けるんはすごいわぁ……」
「いやそう言う問題じゃないと思うんですけど……」
「明らかに女子高生が作る範疇超えてるっしょ。いや、ガチ尊敬だけど」
「やー、ボクの知り合いにもあそこまではいなかったかなぁ……」
「なん、というか、椎菜さんも、十分、愛菜さんじみたスペックしてます、よね……」
「うぅむ、女として負けた気分だぞ……」
「ん、あれはもう、男女関係なく家事が化け物スペック」
「美味しければいいのではぁ~?」
『『『それはそう』』』
「んーっと、もしかして、嫌、でした……?」
何かこそこそとお話しているのを見て、もしかするとこんなにいっぱいあって迷惑なのではないか、そう思うと申し訳なくなってきました……。
「――ほほう、貴様ら、椎菜ちゃんの好意を無下にすると申すか?」
『『『椎菜ちゃんの料理楽しみだなァァァ!!!』』』
「あ、あの、えと、無理してない……?」
「いやでも、実際楽しみだよ」
『『『うんうん』』』
「ほ、本当に?」
「普通に考えよう、椎菜ちゃん。料理上手な女の子が、なんか魚捌いて、いろんな料理作ってくれて、年越しそばも作ってくれて、しかも天麩羅付き……且つ、他にも色々なおかずも作ってくれるとか……控え目に言って、これを拒否る人はありえないぞ」
「そ、そこまでかな?」
「むしろ、ここで死んでもいいくらいですねぇ~」
「というか、今回の配信の間に千鶴さんは何度か死にそうね……」
「え? 椎菜ちゃんと栞さんが一緒の時点で死亡するのは義務ですよねぇ~?」
(((最早義務の域なのかぁ……)))
なんでだろう、最近死亡するという状況に対して、あまり驚かなくなった自分がいます……。
「まあ、なんかもう凄まじい変態は置いておくとして……そろそろ準備を始めようか。とりあえず、役割分担だね。料理組と、買い出し組の二手に分かれよう。どうせ、まだ買う物もあるわけだしね。特に……鍋関係です」
『『『当然だよなぁ?』』』
「去年の惨劇が頭をよぎるわ……」
「で、です、ね……」
「あたしは楽しみだぞ!」
「ん、私も」
「同じくですねぇ~」
去年の配信……たしか、闇鍋だったよね。
今にして思えば、お姉ちゃんが僕に辛い肉団子を作ってほしいって言ってきた理由が、あの配信のためだったというのがわかるよ。
……そう考えると、今あの光景を見たら多分……笑っちゃうかなぁ。なんて。
ふふ……。
「と、いうわけで、料理できる人は挙手」
皐月お姉ちゃんのその言葉に、手を挙げたのは……。
「えー、椎菜ちゃんは当然として……あとは、俊道、栞、冬夜君、ミレーネ君、寧々君に千鶴君……ちなみに、私もできるが……まあ、なんだろうか……とりあえず、男手は欲しいので、俊道は買い出し組に来てもらえると助かる。あと、ミレーネ君」
「おう、任せろ!」
「なぜあたしも!?」
「……私も買い出し組に混ざるつもりだからだよ。だって、いなかったら……私がヤバイ……!」
「あ、ハイ」
皐月お姉ちゃん大変だなぁ……。
「それと、来年のことも考えると……寧々君も一緒に来てほしいかな」
「了解だぞ!」
「とりあえず、椎菜ちゃん、栞、冬夜君、千鶴君の四名は料理組、かな? で、まだ名前を呼ばれてない人たちはまぁ……うん、愛菜は私たちと一緒で」
「チィ!」
「あと残ってるのは……杏実君と小雪君、藍華君の三人かな?」
「あ、じゃー、あーしもこっちの準備で! もしくは、人手がどこも足りてる! ってゆーことなら、あーし、ちょっちプログラム進めとくよ」
「ん、それなら私もモデル作成を進める」
「あぁ、それがあったか……しかし、いいのかい? こんな時までゲーム作りで」
「本音を言えば味見役がしたいでーす」
「同じく」
「うん、清々しい本音をありがとう。まあでも、杏実君は実家がお金持ちだし美味しい物も食べて来ただろうから、舌は確かそうだし……じゃあ、恋雪君も同様に居残り組で。というか君、外に出れないだろう、この時期。人多いし」
「死にますぅ……」
「そこまでか……。じゃあ、藍華君も同様で」
「了解」
「うんまあ、とりあえず、私、俊道、愛菜、ミレーネ君、寧々君の五人は鍋用の買いだし。椎菜ちゃん、栞、冬夜君、千鶴君の四名は料理を。杏実君と藍華君の二人はゲーム制作の傍ら味見役を。恋雪君も味見役……ちなみに、とんでもない食材を持って来てる人はいないよね?」
「「「――(さっ)」」」
皐月お姉ちゃんの質問に、杏実お姉ちゃん、恋雪お姉ちゃん、千鶴お姉ちゃんの三人が目を逸らしました。
……なんだろう、すごく嫌な予感というか、また何かすごい物を持って来てるような、そんな気が……。
「そこのシャトーブリアントリオはあとで問いただすとしても……他はまともそうだね。まあ、椎菜ちゃんはある意味とんでもないけど……というか、椎菜ちゃんに関しては土台メインでやってもらうから持って来てもらってないけどね」
「その代わり、美味しいスープ、作りますね! あと、お料理も!」
「ぶっちゃけ、そこが一番の癒しになりそう。……んんっ! と、いうわけで、はいじゃあ全員行動開始! あ、居残り組は普通に普段着に着替えておいてほしい。それじゃあ、買い出し組は行くよ」
「「「「うーい」」」」
「男子校のノリかな? いや、別に知らないが……」
なんて、そんなやり取りをしながら、五人は買い出しに行きました。
「じゃあ、僕たちの方も作っちゃいましょー!」
「「「「おー!」」」」
「味見楽しみ~」
「ん、仕事も進める」
「も、申し訳、ないですぅ……」
こっちも、いっぱい頑張らないとね!
あ、お着替えしなきゃ。
衝撃の事実。実は千鶴、料理ができる――!
まあでも、実際以外でも何でもないとは思いますけどね。
というかあの人、普通に家事出来るし。なんだったら、椎菜と初めてコラボ配信する時とかこう、ね。内装描写あったけど、結構お洒落な部屋らしいですからね。変態なのに。変態なのに!
ついでに、折角なんで料理事情でも書いておきましょう!
【1期生】
・愛菜→才能お化けなので、実は頑張れば料理はできる。というか、極められるけど、面倒だからしないし、なか合わないからやらない。椎菜限定だが、椎菜の作ったものを一度食べただけで完璧再現できる。なんなんだお前。
・栞→実家の関係もあるが、和食系は得意。特に煮物。あと、東雲家直伝の漬物はすごく美味しい。実は椎菜の好きな料理の一つが煮物系なので、ここもすごく相性がいい……なんだお前ら前世から赤い糸でも繋がってるの?
・皐月→何気に料理はできる。というか、自分の体型・体調管理を行う関係で出来る。ヘルシー系な物が得意であり、地味に鶏肉を使った料理をよくやる。鶏むね肉とかささみは、低脂質、高たんぱくだからね。
・俊道→男の料理って感じだが普通に料理はできる。炒め物とか、揚げ物系が得意。自身はジムのトレーナーもやっている関係で、そういう料理もできる。魚料理が地味に苦手。あまり作らないからとのこと。
総評:ほぼ全員料理ができる。ただし、愛菜は頑張らなきゃやらない。もっと頑張れよお前。
【2期生】
・ミレーネ→料理出来ないと思ってました、とか言われてたけど、こいつは料理できる。そもそも、お婆ちゃんと二人暮らしぞ。できんわけがない。洋食と和食を得意としているが、どちらかというと洋食に寄っている。結構美味しいとか。
・冬夜→こいつに関しては、料理が得意ってよりかはお菓子作りが得意、の方が近い。こいつの作るお菓子は結構好評。過去に、ホワイトデーでお返しをしたら争いになったとかなってないとか……まあ、学校での話だけど。
・杏実→できないことはない。けどやらない。大体外食で済ませる系女子。そもそも、実家にいた頃がね……こう、雇ってるシェフだったというか……うん。今は一人暮らしなので、最低限はできるって感じ。ただし、こいつは太らない。何を食べても太らない。皐月はちょっとキレた。
・恋雪→こいつができるわけない。なんだったらこいつは、焼く・煮るしかできないぞ。料理ができない理由の一つが、油跳ねが怖いですぅ……とのこと。料理舐めてんのか。
総評:半々で料理ができるけど、お菓子方面か料理方面かで分かれてるので、なんかバランスがいい。
【三期生】
・寧々→一人暮らし中なので人並みにできる。まあ、平凡。最近は筋肉を付けようとしてるためか、ささみとか鶏むね肉を使った料理が多いとか。ちなみに、お米とかしじみが好き。理由? 太陽神。お米食べろ!!!
・藍華→こいつもできない。そもそも、父子家庭だったからね……。お父さんもあまり料理が得意な人じゃなかったんですよ。あ、ちゃんと仲は良いですよ? 愉快なお父さんだったとかなんとか。まあ、料理で失敗するので、大抵お弁当か、お惣菜、出前、外食だったらしいんですけどね。それもあって、一人暮らしし始めて、ブラック企業で虚無って、今に至ります。大体カップラーメンすすってる。だから椎菜に怒られるんだよ。
・千鶴→いつか理想のロリの方に我が手料理を食べさせたかったんですよねぇ~。私が作った料理を毎日食べるということは、その体を作ったのは私ということになりますのでぇ~。つまり、そのロリは私の物であり、相思相愛ですよねぇ~! とか言うヤバい理由で料理ができる人。ちなみに、味は普通に美味しい。子供が好きな料理が得意。誰かこいつ逮捕してェ!
・椎菜→塊肉を解体。魚を捌く。お菓子も作れるし、料理も得意。というか、料理は基本得意。失敗したことは料理を始めた頃くらいなレベル。すなわち、ママである。一度に複数の料理を並行して調理ができるほどの熟練度を持ち、その料理の味は『お母さん……』と思わず言ってしまうほど。母の味である。これで元男のTSっ娘。実は、エプロンの有無で料理の出来に変化があるとかいう、変わった存在。エプロンがある方がすごく美味しい。エプロンがない状態は美味しい。とのこと。ちなみに、下手なお店より美味しいです。
総評:椎菜がハイスペック過ぎて霞む。
【四期生】
・双葉→できるわけがないんだよなぁ……箱入り娘ぞ。でも、練習はしたいとか。
・美鈴→なんかやけに古い料理を作る。そう、それこそ歴史の教科書に出てくるような……まあ、最近は普通に現代料理がちょっとは作れるんですけどね。なんでだろうなー。
・小夜→できないわけじゃないけど、かといって美味しいかと言われると……みたいなタイプ。まずくはない、でも美味しくもない、なんだろうこれ……みたいな感じ。
・柊くんちゃん→ハイスペック男子ぞ? 文武両道、性格イケメン、実は料理もできるし、普通に美味しい。なんだこの優良物件。お前どこの少女漫画のヒーロー?
総評:まともに普通な料理が作れるのが柊くんちゃんのみ……イケメンは得だね! ケッ!
こんな感じですかね!




