#140 お昼時、広場へ行った結果は
「まずはお昼ご飯にする?」
「そうじゃなぁ……あ、あっちの屋台おいしそー!」
「お、牛串。いいねいいねぇ。うちもあれは食べてぇですね!」
「にゃは! じゃあ、あれとコンビニのご飯ってことで!」
自由時間が始まり、四人は会場内をを歩きつつも会場の外に出ると、みおりが最初に昼食を食べようと提案する。
ミリスたちとしても、朝ご飯を食べてからほとんど何も食べていなかったし、外にある屋台の中の一つである、牛串に目を奪われたミリスが爛々とした表情で美味しそうと声を出す。
それに対し、他の三名は特に反対することはなく、むしろあれにしようとすぐに決め、早速列に並ぶ。
突如としてやたら可愛いロリっ娘コスプレイヤーが並んで来たとあって、先に列に並んでいた者たちはどきりとしたし、ちらちらと四人を見る者も多かったが、四人は特に気付いていない。
というか、会話に夢中なので、それで気付いていないのである。
少し長めの列ではあったものの、案外すぐに四人の順番が回って来た。
「らっしゃい!」
「んっと、牛串四本くださいなのじゃ!」
『『『ごふっ!』』』
大本は大人気VTuberの神薙みたまなのに、衣装が相方のリリスという、かなりのギャップがある存在が、口調ものじゃろりだった上に、それはもう見る者を魅了してしまうほどの可愛らしい笑顔を浮かべるミリスに、周囲の参加者やらコスプレイヤーやら、ついでに牛串屋台をやっているおじさんすら血を吐いた。
が、そこはプロ。
肉に血がかからないよう、全力で顔を逸らし、地面に吐くことに成功。
「いい匂いじゃな~」
「うんっ! いい匂いだね!」
「やー、お腹がすきますぜぇ」
「にゃはっ! さっきまでずぅ~~~っと売り子だったからにゃあ。早く食べたいにゃぁ~」
「そうじゃなっ!」
と、四人は和気藹々と牛串が焼けるのを待つ。
その様があまりもロリロリしていたものだから、さらに甚大な被害を周囲に及ぼした。
というか、火力が高すぎるのである。
まあ、何をしても殺戮兵器になってしまうロリピュアの二人と、ファ○ネルのような存在のママ二人がいる状態であることも相まって、それはもう凄まじいことになっている。
「お、お待たせ嬢ちゃんたち。これ食って、この後も目いっぱい楽しめよ! 一本ずつ、肉を一つサービスしといたぜ!」
「わっ! ありがとうございますっ! あ、じゃなかった。んと、ありがとうなのじゃあ!」
「げふっ……」
「ありがとうございます!」
「やー、太っ腹! ありがとう、おじさん!」
「にゃは! 嬉しいサービスだにゃ! ありがとうにゃあ!」
「ぐっ、うぅ……い、いいってことよ……」
牛串の店主、四人のロリによる攻撃で、既に満身創痍!
だが、やはりプロ!
四人が離れるまで、なんとか耐えきった。
そして、四人が離れたのを確認すると……
「ごふっ……」
店主は血に膝をつくことになった。
ロリ火力は高いのである。
「あ、いっぱいあるのじゃ! んっと、みなさんは何を食べるかのう?」
「んっと、うちはおかか!」
「お~、結構な種類があるようで。ん~、じゃ、うちは明太マヨを貰いますぜ~」
「ワタシは~……あ、筋子がある! 筋子にしよ~っと!」
「僕はえんがわ寿司にする~!」
「しれっとミリスさんの好物があるのは、さすが先生だね」
「これ、一つのコンビニにしか置いてねぇんですけど、回ったのか、弟愛妹先生」
「妹のためなら全力投球! それでこそだにゃあ!」
適当に空いているスペースを見つけ、そこでお昼ご飯を食べる四人。
周囲でも屋台で買った物や、コンビニで買ってきたおにぎりやサンドイッチなどを食べる参加者もおり、なかなかに賑わっている。
「あ、でも先に牛串じゃよねっ! 温かいうちに食べたほうがいいもん!」
「それもそうだね! それじゃあ、食べよ食べよ!」
「「「「いただきますっ!」」」」
というわけで、ロリ四人が揃っていただきますをすると、やっぱりというかなんというか、萌えの破壊力を周囲にもたらしていた。
まあ要するに、萌えの爆撃をくらったのである。
「あむっ…………ん~~~っ! おいひぃ!」
「確かに美味しいね!」
「お~、こりゃなかなかいいお肉を使ってる感じじゃねぇですかね? 美味い!」
「はむはむ……ん~~~! やっぱり、日本の屋台はいいにゃあ」
「わかるのじゃ~。それに、きっとお外でみなさんと食べてるからもっと美味しいのかなって思うのじゃ」
「やっぱり、友達と一緒に食べるご飯は美味しいよね!」
「うちら的には、母娘って感じですがね! まあ、それでも美味しいことには変わらねぇですけどねぇ!」
「にゃは! わっかるにゃぁ! やっぱり、シチュは大事! シチュこそ重要!」
などなど、ロリたちはロリロリしい食事風景を繰り広げていた。
特に、牛串を一番美味しそうに食べるミリスに、一番視線が集まっている。
「はむっ……んん~~」
串に刺さった一つの肉を、小さな口いっぱいに頬張り、幸せそうな表情で食べる姿を見るだけでほっこりするし、何より……ぐぅ、とお腹が鳴る。
古今東西、美味しそうに食事をしている人を見ると、ついついその料理が気になる、もしくは食べたくなってしまうのが人間と言えよう。
しかも、日本人という、食に対して妥協しねぇ! とか言うタイプの人種からすれば、余計に、である。
可愛いロリが、牛串を美味しそうに、幸せそうに食べる様は、周囲にいる者たちの胃を大層刺激した。
その結果として……
「おわぁ!? な、なんだなんだ!? 俺の屋台に急に人がぁ!?」
先ほどの牛串屋台に、とんでもない数の人が並び始めたのである。
これには店主のおじさんも驚く。
「あ、さっきの牛串屋さん、いっぱい並び始めてるのじゃ」
「早めに買って正解だったね!」
「だねぇ」
「運がいいにゃぁ」
などと、呑気に言っているが、行列形成をした原因はこのロリたちである。
特にミリス。
やはり、ロリ×美味しいご飯=招き猫、ということなのだろう、飲食店的に。
まあ、ミリスに関しては学園祭の時に前科があるのだが。
「それで、この後はどうするのじゃ?」
「うちとしては、コスプレを見て回りてぇですね。うちのキャラクターに扮した人を見てぇです」
「あ、それワタシもワタシも!」
「でも、僕たちがそうだよ……じゃよ?」
「うんうん。うちたちが嫌?」
「「娘は別枠というかTier1なので」」
「「てぃあー……?」」
ママ二人の謎の単語の意味がわからず、娘二人は首を傾げた。
「ようするに、二人はうちらにとって一番の存在なので、うちらが見たいと思っているの二番目以降ってことです」
「それはそれで失礼なような……」
「いやいや、そうじゃないんだにゃぁ、ミリスにゃん。二人はほら、リアルであれだから、一番なので!」
「リアル魔法少女は至高ということですぜ!」
「なる、ほど?」
「うーん、わからない!」
二人の考えは、二人には伝わらなかったようである。
まあ二人は二人ほどの知識はないし、純粋なので……。
ただ、みおりについては、普通に声優業をしているのになぜ知らないのか、というのもあったりはするが……まあ、当人がピュアなのを知っている同業者たちが教えていないだろう。
ある種の天然記念物であるが故に。
「んっと、それでこの後はコスプレを見る、でいいのかのう?」
「二人がよければですがね」
「全然いいよ! 面白そうだし!」
「にゃは! さっすが娘ぇ!」
とまあ、そういうことになった。
◇
昼食を食べ終え、四人はコスプレイヤーたちが多く集まる場所へやって来ていた。
「わぁ! 本当にいっぱいなのじゃ!」
「本当に色々な人がいるんだね! 仕事で関わったキャラクターのコスプレをしてる人もいて、不思議な感じ!」
初めて見る大勢のコスプレイヤーたちの姿に、ロリでピュアな二人はそれはもうはしゃぐ。
男女関係なくコスプレイヤーはいるが、どちらかと言えば女性のコスプレイヤーの方が多いように感じられる。
というか、二人的には露出がそこそこあるコスプレイヤーを見ると、そこそこ赤面する。
特にミリスの方。
「ほっほう! こりゃまた素晴らしい光景じゃねぇですか! いやぁ、やっぱりコスプレはいいですね!」
「にゃはは! これぞ素晴らしい文化! あ! あれは、メルフィアナちゃん! おー、実際のキャラクターより背は高めだけど、胸が大きくて大変いいですね! 十分ロリの範囲!」
「リルさんのロリ巨乳好きは筋金入りだけど、あれはいいんですねぇ」
「150くらいまでならセーフ!」
「なるほど!」
「なんの話しなんじゃろうね?」
「なんだろうね?」
「好きなもののお話かのう?」
「多分?」
二人以上にコスプレイヤーたちを見てはしゃいでいるママ二人を見て、娘二人はなんだろうね、と顔を合わせて首を傾げる。
「それにしても、やっぱり写真を撮る人とか取られる人もいっぱいいるんじゃね!」
「うんうん、ちょっとした撮影会みたい」
「んまあ、そう言う側面もあるよね。実際のとこ、レイヤーさんの写真を撮るために来てる人もいっぱいいるし。カメラを持ってる人は大体そうですぜ」
「ワタシたちもコスプレしてるから、案外撮られるかもしれないけどにゃー。ちなみに、三人は撮られてもOK派?」
「僕は大丈夫じゃ!」
「うちも大丈夫だよ!」
「うちも問題ねぇですね」
「おっ、こりゃまた珍しい。ちなみに理由とかある感じですかね?」
「んっと、前にモデルさんをしたことがあるからかな」
「うんうん。それに、今は素の姿じゃないから、そこまで恥ずかしくないかなって」
「うちも、別にいいかなーって。本職が知られなければモーマンタイ!」
「にゃるほど~。たしかに、髪色とか目の色が変わってるのは大きいにゃあ。あと、たもにゃんの理由はわかるにゃあ。ワタシもそうだし!」
とまあ、四人は別に撮られることに対して特に忌避感などはなかった。
特に、ミリスとみおりの両名については、過去にモデルの仕事をしたことがあったし、それに普段とは髪色も目の色も変わっているために、身バレしにくいというのもある。
なんだかんだ、変身は最大の変装なのかもしれない。
まあ、人によっては声で『あれ?』となる人もいるかもしれないが。
そして、イラストレーターな二人については、元々イラストレーターとして顔出しをしていたわけじゃないので、別に顔やらなんやらを見られても問題はなかった。
あとはまあ、折角のコスプレだし、何より自分たちの娘がそのVTuberのコスプレをしているのだから、一緒にやらないのは頭がおかしい、とか思っているのである。
つまるところ、母娘の想いで作りてぇ!
である。
実際には、血のつながりなんて何一つない、リアルでは赤の他人なのだが……。
とはいえ、イラストレーターからすれば、自分の娘であるVTuberを使ってもらっている本当に母娘の関係と思うものなのだろう。
全員ではないだろうが、少なくとも、この二人はそうなのだ。
「「「可愛い~~~~!」」」
コスプレイヤーがいるエリアを歩いていると、ふと、背後から可愛いという声が聞こえて来た。
「「んぅ?」」
「「お?」」
「え、待って待って! ちょー可愛いんだけど!」
「これ、みたまちゃんとリリスちゃんのコスプレだよね!? え、似すぎ!」
「でもでも、衣装は交換してるみたい!」
「こっちの二人も可愛いし!」
突如として、四人に近づいて来たのは、コスプレをした女性三人組である。
格好的にはかなりばらけているが、一人は執事服、一人はどこかSFチックな服、一人はバトル物の作品に登場しそうな服を。
三人は、あまりにもそっくりすぎるミリスとみおりの両名に興奮し、一緒にいるたもとリルの二人についても可愛い可愛いと褒めちぎる。
「あのあの、写真撮っていいかな!? あ、ダメだったら全然断ってくれていいので!」
あまりにも可愛かったからだろうか。
三人のうちの一人がスマホを取り出すと、写真を撮りたいと申し出てきた。
これに対し四人はと言えば……
「んっと、僕たちでよければいいのじゃ!」
「ポーズも取るよ!」
「うちらも構わねぇですよ!」
「にゃは! いくらでも撮っていいにゃぁ!」
まあ、断るわけがなかった。
さっき話していた通り、快く撮影を許諾した。
「えっ……萌えの大渋滞……!?」
「待って待って、のじゃろり僕っ娘でリリスちゃんの衣装を着たみたまちゃんに、元気っ娘口調でみたまちゃんの衣装を着たリリスちゃんとか属性盛り盛りすぎぃ……!」
「こっちの二人もちっちゃくて可愛いし、何より口調がイイッ! 個人的には、ねぇです口調が好きぃ……」
「金髪碧眼ロリで語尾がにゃあも強すぎるよぉ! 写真! 写真撮ります!」
そして、属性過多な四人に三人組は感極まっていた。
「あ、あの、自分もいいですかね……?」
「お、俺も!」
「私も撮らせてくださいっ!」
「わわっ! い、いっぱい来ちゃったのじゃ!?」
「え、えーっと、ここだと邪魔になっちゃいそうなので、あっちに行こっ!」
「やー、これは色々人が来る予感!」
「にゃは! 楽しいにゃあ!」
三人組を皮切りに、撮りたいと言って来る参加者たちが増え、すごいことになったので、四人はあまり邪魔にならないところへ移動することにした。
そりゃあそうなるよね!
ちなみに、ロリコンは三期生メンバーと一緒に同人誌を手に入れまくった後、コスプレイヤーがいる広場の方に来ております。今頃は、ロリの気配!? という感じに、ロリレーダーの赴くままに向かってんじゃないですかね。
二期生+αの方は、自由気ままに見て回ってますが、恋雪が瀕死です。奴は力を使い果たしたのだ……。




