#139 蘇生しつつも、同人誌完売
いつもより短め!
男二人を皮切りに、他のらいばーほーむメンバーも同人誌を買いに来た。
男たちの次にやって来たのは、一期生の皐月と、二期生の三名。
どうやら合流して一緒に来たようであった。
「やっぱり、みなさんも来てくれたんだね……じゃなくて、えと、来てくれたんじゃな!」
「えっ、の、のじゃろり、だとっ……!?」
「なんか、私たちが知らない人がいる気がするんだが……」
「んねー。でも、一緒にいるってことは関係者っしょ?」
「う、うぅ、ひ、人が多すぎて、ど、動悸が……し、死んじゃい、そう、ですぅ……」
とりあえず、おぎゃる阿呆は、のじゃろりと化していたミリスを見て絶句。
皐月は、見知らぬロリがいることに頭を悩ませ。
杏実は、少なくとも一緒にいる時点で関係者もしくは知り合いで有ろうということを看破。
恋雪に関しては、コミュ障且つ引き篭もりな恋雪からすれば、圧倒的な地獄と言ってもいいこの状況に、同人誌欲しさで頑張って来ていたのだが、今に死にそうであった。
四人はそれぞれの列で同人誌の入手に成功。
その後皐月が、
「……とりあえず、後ろにいる千鶴君が確実に死にそうだし、一応止めるためのLINNでも送っておこうかな……」
そう言って一緒にいる藍華に来ない方がいい的なことが書かれたメッセージを飛ばした。
そしてその結果が……。
ドパァァァァン!!!
ドサ……。
という、いやお前ショットガンか何かで殺されたん? ってくらいの凄まじい音と血をまき散らして死亡した。
尚、その表情はものすごく穏やかな顔であり、それはまさに菩薩の如き笑みであった。
まあ、口と鼻と耳から血を流す光景はあまりにもスプラッタすぎるのだが。
「まずい! 千鶴さんが死んだぁ!」
「蘇生!」
「おっと、やはり死んだか……あ、千鶴ちゃんはこっちで回収するからとりあえず、二人は三人分の同人誌受けとっちゃってー。あ、ついでに裏に来てもらえると助かります。一人で帰すの心配だし」
「「OK!」」
とりあえず、即死した千鶴を三人で裏に運び込み、千鶴の蘇生が始まった。
尚、肝心の蘇生方法については……
「止まった心臓は、一点集中で拳を叩きつければ動くッ!」
という頭のおかしい弟愛妹の蘇生理論が実行された。
弟愛妹の引き絞った拳が千鶴の左胸に直撃し、ズドンッ! というとんでもない音が鳴ったが……
「……ハッ!? とても素晴らしいロリがカルテットしてた気が!?」
何事もなかったかのように千鶴は蘇生された。
お前それでいいのか。
「はい蘇生OK」
「さすが弟愛妹先生……!」
「なんでもあり」
「いやぁ~、なんだか素晴らしい桃源郷を目にした気がするんですがぁ~……あ、そう言えばまだ同人誌を買えてないんですけどぉ~」
「あ、それなら、こっちで受け取ったぞ。早く行こう」
「ん、これ以上ここにいたら、間違いなくここら一体が赤く染まる羽目になる」
「それは一体どういうぅ~……」
「いいからいいから! どうせ、あとで見ることになるんだぞ」
「???」
「あ、ついでにこのレバニラバー持ってってー。どうせ後で必要になるから」
「あ、これはご丁寧にどうもぉ~」
何が何だかわからないと言った様子だが、これ以上死なせたら間違いなくやばいということは寧々と藍華の両名は理解していたために、また死なないように千鶴を連れてサークルから去って行った。
最後に、弟愛妹から50本くらいレバニラバーを貰っていたが。
「大丈夫かな……?」
「いつも通りだから大丈夫だと思うよ!」
「平常運転ですからねぇ」
「にゃはー。あれが平常運転はすごいにゃぁ……」
なお、ロリ四人は千鶴を心配しつつも、いつも通りだし大丈夫じゃね? ということを言い合っていた。
ちなみに、先ほどの一連のやり取りを見ていた者たちの中には、こう思った者がいた。
『さっきの人、ロリコンじゃね……?』
と。
とはいえ、それを確信してしまうと、芋づる式でとんでも事実が発覚し、同時にやばい邪神に殺されるのではなかろうか、そう思った者たちは気のせいということで記憶の中から血まみれで死に、蘇生した女性の存在を抹消することにした。
◇
そんなこんなで、ひたすらに同人誌の頒布をしつつ、同時に握手会的なことをしていると、あっという間に時間が過ぎて行き……。
「……えー、というわけで……我がサークルの同人誌、全部捌けましたーーーー!」
「「「「いえーーー!」」」」
かなりにペースで頒布した結果、14時くらいでなんとか同人誌を全て捌くことに成功。
弟愛妹の言葉に、四人は両手を上げて喜んでいた。
「ごふっ……レバニラバーレバニラバー……」
「やー、長いようであっという間でしたねぇ。くっ、インドア派故に、ちょっと足がいてぇです」
「にゃはは! わっかるわっかるぅ! なんかもう、踵辺りが痛いよね!」
「僕は大丈夫かも」
「うちも」
イラストレーター組は足が痛くなっているのだが、VTuber組は変身している関係で、あまり痛みがない。
まあ、変身するとそもそも人外に片足突っ込むので……。
「と、言うわけで、これからの流れやら注意点やらについての説明を行いますので、よーく聞いてください」
「「「「はーい!」」」」
「げぶふっ……くっ、やっぱり狙ってやってんじゃないかなこれ……まあいいや。えー、コミケ開始前にも言いましたが、広場に出る際には注意してください。変態が大勢いますので。まあ、その辺は既に手を打ってますからね、問題ないです」
「さすが弟愛妹先生だぜ」
「にゃはっ! ぬかりないってことかにゃー」
「「???」」
やはり注意点についての理解が及んでいないピュア二人である。
イラストレーター組は理解しているが。
「はい次。お昼ご飯についてですが、事前にコンビニでおにぎり等を購入してあるのですが……屋台なんかもあるので、そっちを利用してもいいです。混んでる可能性もあるけどね。それでも、最大10分とか、それくらいじゃないかな? 場合によりけりだけど。ただ、レストランはお勧めしません」
「どうして?」
「めっちゃ混んでる。多分、ゆっくり食べられない。なので、パスした方が大変良き」
「なるほど」
「あとは、知らない人から声をかけられても、ついて行っちゃだめです!」
「あの、僕もう高校生……」
「うち、卒業間近の大学生……」
「うちも大人なんですが」
「同じくにゃー」
「あ、ごめん。ロリだからつい」
まあ、四人とも実年齢以上に幼く見えるので、致し方ないと言えば致し方ないのかもしれない。
ただ、一人は高校生で、他三人はすでにお酒が飲め、煙草を吸うことができる年齢なのだが……。
「それと、コスプレをしていると写真を撮らせて欲しい、なんて言う人も出てきます。嫌じゃなければ受けてもいいけど、ちょっと怖いな、と思ったら全然断ってくれてもいいからね。そこから逆上してくるような輩がいたら、やっぱり校舎裏なので安心してください」
弟愛妹の言う校舎裏=制裁なのは言うまでもない。
「んまあ、この高クオリティー且つ、姿も本人そっくりだし、かなり来そうだよねぇ」
「そうだにゃぁ。ワタシ的にも、たくさんの写真を撮って、アルバムを作りたいくらいだしにゃあ」
「みなさん可愛いから、いっぱい撮られそうじゃな!」
「ミリスさんも可愛いよ?」
「ふにゃ!? そ、そう言う、みおりお姉ちゃんも、可愛いのじゃ」
「そ、そうかな? え、えへへ……」
「……むぅ、なんだか照れるね」
「「……えへへ」」
「「娘たちの百合が尊い……」」
「――( ˘ω˘ )スヤァ(レバニラバーサクサク)」
死人の顔をしながらも、無意識化でレバニラバーを食べる様は、なんかもうプロである。
ちなみにこの行動、脳を一切介していないため、肉体が自然と行っているものである。
人間じゃねぇ。
「っと、尊さ我が魂が百合園行ってしまっていた……と、まあ、そんなこんなで、コスプレをしていると色々あります。なので、簡潔にまとめると……変な人にはついて行かない。変態には気を付ける。撮影については断ってもいいし受けてもいい。以上! 四人はめいっぱい残り時間の冬コミを楽しんできてください!」
「「「「はーい!」」」」
「あ、でも、先生はどうする、のじゃ?」
「私? 私はあれだよ。朝も行ったけど裏で護衛」
「お金の方は大丈夫なの? 盗みとか」
「既に金庫に入れてるからモーマンタイ。その金庫についても、常に持ち歩くしね。レバニラバーと一緒に」
「何度も登場するレバニラバー……魔法の食品ですねぇ」
「実際味もいいしにゃあ」
「あれ、そんなに美味しいんだ……」
レバニラバー、現在進行形で商品化への道のり辿っている。
今回の奴は試供品というか、ほぼ完成系なのだが。
「それじゃ、四人は気を付けて楽しんで! では、いってらっしゃい!」
「「「「いってきまーす!」」」」
四人は元気いっぱいにそう言うと、コミケを楽しむべく、会場内を歩き始めた。
本当はもうちょっと書くか? と思ったんですが、なんか切り所がちょうどよかったので、短めになりました。許して☆
あと、どう考えてもロリコン、もう一回死ぬよね、これ。




