閑話#34 別側面の冬コミ前日の話。知ってる人からすれば、ただのママ友の集まりでは?
桜木家で最強の売り子を確保したシスコンから一転して……
「というわけで、対面は初めましてってところですかね? 初めまして、わたもちこと、四月一日小夜です!」
「にゃはは! こちらこそ! 宵闇亭のじゃろりこと、アリス=リー=リトルだよ! 初めまして! 小夜にゃん!」
とある喫茶店の個室にて、そこでは身長140センチ半ばの黒髪くせっ毛長髪のロリと、身長140センチくらいでかなり長い金髪に碧眼、それから慎重には不釣り合いなほどに大きく膨らんだ胸が特徴的なロリと、計二人のロリが対面していた。
「いやぁ、まさかリリスちゃんのママに会えるとは」
「にゃはっ、こっちこそ、みたまちゃんのママに会えるとは思ってなかった!」
「いつもうちのみたまちゃんがリリスちゃんにお世話になってます」
「いつもワタシのリリスちゃんがみたまちゃんにお世話になってます!」
「「……あははははは!」」
お前らは二人の母親か、とツッコミを入れたくなるほどの言葉を交わしてから、お互いに見つめ合って……声を上げて笑い合った。
どちらも幼い風貌をしているので、傍から見ると小学生が楽しく笑い合ってる光景にしか見えない。
信じられるか? この二人、こう見えて二十歳越えてるんだぜ!
……バグかな?
「いやぁ、今までトワッターやらディスコードでのやり取りだけで、リアルで会話したことがなかったからちょっと心配だったけど……やー、杞憂杞憂! 全然緊張なんかしねぇですし、むしろ前から友達だった感じってもんですぜ!」
「わっかるぅ! ワタシもそう思ってたんだー! やー、お互いロリ系のママだからかにゃー?」
「それ以外ねぇ気がするですねぇ。やっぱ、ロリキャラは最高!」
「うんうん! ワタシもロリっ娘だけど、それでも好きなもの好きー! 特にのじゃろりがツボ!」
「うちは……和服系ロリが好きですねぇ! 特に、耳とか尻尾が生えてて、隠れ巨乳であると尚ヨシ!」
「にゃはっ! やっぱ小夜にゃんいい趣味しってるぅ!」
「ふっ、そういうアリスちゃんも同様じゃねぇですか……」
「「……ふっ」」
ガシッ! と二人は不敵な笑みを浮かべて固い握手をした。
この二人、今まではネット上でのやり取りしかしてない上に、今日が初対面だというのに、かなり仲が良いようである。
「そう言えば、アリスちゃんは冬コミにサークルとして参加しねぇんですか?」
「ん~、参加したくはあるんだけどにゃ~……」
「何かある感じ?」
「いやほら、ワタシってこんな見て目でしょでしょ? だから昔から変な男の人に声をかけられることが多くてにゃ~。それに、リリスちゃんのママがこーんなロリ巨乳美女だーってバレたら、大変だしにゃー」
「ほほう、それはたしかに」
小夜の質問に、アリスは過去のことに触れつつ、参加しない理由を答えた。
実際、小夜の娘がロリ巨乳美少女でそれはもうモッテモテになりそうだなー、なんて思っていただけに肯定する。
尚、ロリ巨乳美女とかいう矛盾したワードについてはスルーである。
「そう言う小夜にゃんはどうなのかにゃ~?」
「んま~、うちも同じ理由ですねぇ。実は高校時代からイラストレーターしてたんだけどねぇ。それに、あんなエロ絵描いてるのがダウナー系な見た目のロリっ娘だったら絶対声かけられますからねぇ。あと……うちの場合、身バレの危険がね」
「あー、いなりちゃんになったしねぇ」
実際問題、小夜はらいばーほーむ入りしたことで身バレの危険が高まった。
わたもち名義でコミケに参加しようものなら、一気に連鎖的に身バレをするので。
仮に名前を変えて参加したとしても、多分声でバレる。
世の中、ダメ絶対音感持ちは割といるのだ……!
「そゆことよ。なので、うちは参加しねぇ……などということはなく、実は代理人に頒布してもらうことにしたってわけよ!」
「あー、それいいにゃぁ! うむむぅ、ワタシも信頼できる人にやってもらおうかにゃ?」
「やっぱり、イラストレーターたるもの、コミケには参加してぇんでね! ここは代理人という奥の手を使ったんですぜ!」
「なるほどねぇ~」
「それに、冬コミはある意味前座……うちは来年の夏コミ、ひかりさんと合作する予定なんでねぇ!」
「あ、いいないいなぁ! ワタシもそういうのしたいにゃぁ」
今年の冬コミを前座と言い切ってしまう辺りがわたもちである。
「お、興味ある?」
「ありあり!」
「んじゃあ、うちが打診してみるぜ!」
「やったぜー!」
「いやいや、絶対面白くなりそうなんでねぇ」
「なら、ネタを考えなければ! まあ、リリスちゃんは絶対出すけどにゃぁ!」
「うちはみたまちゃんを出す!」
「やっぱり、娘が一番だよねぇ」
「わかりみが深い」
「そして、娘同士が百合百合してるのはぁ~?」
「「最高ッッ!!!」」
いえーい! と二人でハイタッチ。
ずっとテンションが高い二人である。
決して自分の娘が一番可愛い! いやうちが!
というような我が子自慢し始め、言葉での殴り合いならないのがすごい所である。
まあ、娘同士が物凄く仲がいいので、結果的に母親の方も仲良くなってしまったのだろう。
「やー、それにしても、明日明後日は冬コミ……なんかもう、楽しみすぎってもんです!」
「うんうん、ワタシもめっさ楽しみ! あ、そいえばひかりさんがみたまちゃんの同人誌出すんだったっけ?」
「そうそう! ちなみに、らいばーほーむ全員買いに行くらしい!」
「さっすがぁ! じゃあ、当然小夜にゃんのお目当ても?」
「ふっ……みたまちゃんが出てる同人誌……しかも、あのひかりさんの同人誌とあらば、買わないわけがないっ! あと、ここだけの話、みたまちゃんとリリスちゃんの中の人がコスプレをするそうでねぇ!」
「ほほぅ!?」
「二人の中身は最高にロリ……ならば、コスプレをする二人のロリをしっかり目に焼き付けねば、ロリ系専門イラストレーターの名が廃る!」
「みーとぅー!」
「なので、明日はひかりさんの同人誌を買いに行きつつ、二人のコスプレ姿を焼きつけようかと」
「ワタシも見たい!」
「だよねだよね!」
ママ二人、自分たちの娘がコスプレすると知って大はしゃぎ。
まあ、見た目だけなら小学生なので、違和感などはないのだが……。
尚、アリスの方はぶるんぶるんと胸が揺れまくってるので、もしこの場に慎まし組三名がいたらノックアウトされていたことだろう。
それから、小夜も慎まし組に入るには入るが、本人は一切気にしていないので無傷である。
「ただねぇ……」
「む、何かあるのかにゃ?」
「いやさぁ……二人のコスプレとか見た日には死人が出るんじゃねぇですかねぇ……なんて」
「たしかに」
「だって、考えてもみよう? ボイスだけで萌え殺してくるみたまちゃんと、みたまちゃんと組むことで無限の萌えインパクトをぶっ放してくるリリスちゃんのコンビ……どう考えてもやばいきがするんですよねぇ」
「わかるぅ……コミケ会場、血まみれになりそうだにゃぁ」
「だよねぇ。……あ、そう言えばアリスちゃんはリリスちゃんに会ったことがあるんで?」
「いやぁ、実は声だけなんだよねぇ。あんまり予定が合わなくて」
実はアリスは一度もリリスこと栞と会ったことがなかった。
デビューしてからかれこれ二年以上活動しているのだが、なんだかんだで予定がかみ合わなかったのだ。
通話などはしたことがあるのだが。
「なるほど」
「そういう小夜にゃんは会ってるよね? やっぱり可愛かったかにゃ?」
「最高のロリ百合が見れた」
「ほっほ~ぅ! それはつまり、めちゃくちゃ可愛いってこと……! うむむ、余計に明日が楽しみになって来たにゃぁ……!」
「いやぁ、なんのコスプレするのかなぁ……」
「何着ても可愛いのは確定!」
「それはそう! あの二人が可愛くないわけがねぇです!」
「だよねぇ。あ、そだ。明日はどうやってコミケに行く感じで?」
「一応、この後近くのホテルに宿泊して、そのまま行こうと思ってんですがね。アリスちゃんどうで?」
「いいねいいねぇ! ワタシも泊まるぅ!」
「おっけぃ! ならば、二人で予約っと。これにより、明日の朝速攻で行けるってもんよ!」
ノリノリな二人は、このまま二人でホテルに宿泊することになった。
「あれ? そう言えばサークル参加なんだよね? 小夜にゃんって」
「そだねぇ」
「サークル入場なの?」
「そだねぇ。あ、アリスちゃんも一緒に入れるから安心してOK!」
「やったぜ~!」
「まあ、冬だし全然並んでもいいんだけどねぇ」
「脂肪があると温かいからにゃ~」
「アリスちゃん大きいしたしかに……」
「あんまりいいことはないけどにゃー」
「それ、絶対に慎まし組の三人は言わねぇ方がいいですよ」
「娘を傷つける母親など、母親にあらずぅ!」
「同感」
皮肉なことに、慎まし組のうちの一人であるリリスのママである宵闇亭のじゃろりママは巨乳……間違いなく、リリスは膝から崩れ落ちることだろう。
ちなみに、リリスは当人が巨乳であることを知らない。
仮にこの状態で会った場合、間違いなく色々なダメージを受けるだろうが……なんだかんだ、自分のママなので普通に流すと思われる。
というか、普段からずっと気にしてるわけじゃないので。
「あ、コミケで必要な物って何かにゃ?」
「冬コミだからホッカイロのような暖を取れる物かな~。あとは、コートとか?」
「なるほど。とりあえず、温かければOKということだね!」
「イグザクトリー」
「あ、でも、明日って冬にしては温かい方らしい?」
「ラッキー。寒すぎるとコスプレに支障が出そうだしねぇ。まあでも、あの二人のことだから何かしでかしそうだけども」
「うむむ~……抱き合うとか?」
「それは温泉旅行の就寝時にやってかなぁ」
「マジかにゃ!?」
「マジだにゃ」
「プライベートでも百合ってるとか、最高過ぎる……」
「やはりロリピュアしか勝たん」
「それにゃ!」
配信中でも百合百合している二人が、プライベートでも百合ってると知り、アリスはそれはもうものすご~~く見たくなった。
尚、小夜はしれっとスマホで写真を撮ってあったりする。
「もしや、明日は二人の百合百合を見るチャンスかにゃ……!?」
「そりゃあもう。あの二人の百合は最高ですぜ……!」
「おおっ! 俄然楽しみになってきたぁぁぁ! 早く! 早く明日になってほしいにゃぁぁぁ!」
「それな! まあでも、うちらがするべきことは一つ……明日に備えて、全力で語り合い、全力で休むこと! 以上!」
「おうともー!」
「というわけで、ホテル行こ! ホテル!」
「おっけぃ!」
バチクソ高いテンションで、二人はコミケ開場近くのホテルへ向かうことに。
代金を支払って喫茶店を出たら、一旦それぞれの家に帰宅し、荷物をまとめてから再度集まり、そのまま予約したホテルへと向かうのであった。
肩書的にはある意味ママ友がランチしてるみたいな状況なのに、二人とも見た目がロリなせいで、背伸びしてお洒落な喫茶店に入った小学生、みたいなことになっているのを、当人たちは知らない。
何はともあれ、宵闇亭のじゃろりママこと、アリスが本格的に登場!
今後はちょこちょこ出したい。
キャラは何と言うか、猫っぽい話し方のロリ巨乳ちゃんですかね。22歳だけど。地味にリリスとタメ……だからこそ、ダメージが半端じゃないのだ!
余談ですが、わたもちママは12月が誕生日なので今は、わたもちおばーちゃん(20歳)です。




