#132 就寝前、修学旅行っぽい何か
夜ご飯を食べ終えて、のんびり過ごしていると、夜も更けて来て、そろそろ寝ようということに。
大広間なので、みんなで雑魚寝をすることになったんだけど……。
「なぁこれ、俺らがいるのってまずくないのか?」
「うんうん。一応男なんだけど?」
俊道お兄ちゃんと冬夜お兄ちゃんの二人が、女性だけの空間で一緒に寝るのはどうなの? と聞いていました。
「大丈夫じゃないかい? そもそも君たちが何か良からなぬことをするとは思えないし」
「うんうん。ってゆーか、変なことしないって信じてるしー?」
「ん、問題なし」
「ん~、そう言う事なら、俺たちは外側で寝るか。その方がいいだろうしな」
「ですねー」
特に反対意見がなかったので、二人も一緒に寝ることになりました。
「というわけで、寝る場所を決めるわけですが……はい、ここがいいっ! って人いるー?」
二人が一緒ということになった後、お姉ちゃんが寝る際の場所を代表して訊くことに。
「わ、わたしは、その、お、奥の方が……」
「あたしは入口! 遠出すると、なんでかおトイレに行きたくなっちゃうので!」
「ふむふむ、そういうことなら、恋雪ちゃんは奥の方で、寧々ちゃんは入り口側、と。はい、ほか!」
「ん、私はどこでもいい。余ったところで」
「あたしは……まあ、入り口側で」
「あーしは奥側」
「ん~、うちも別にどこでも構わねぇですよ」
「おっけおっけー。ところで、みまちゃんとみおちゃんは椎菜ちゃんの隣でいいのかな?」
「んぅ~……せっかくなので、べつのとこ!」
「……みおも、たまにはそうする、です」
「わ、珍しいね? でも……そっかそっか。今日はいろんなお姉ちゃんがいるからね。どこで寝たい?」
珍しく、二人が僕と一緒じゃなくて、別のところで寝たいと言い出したので、僕は小さく笑いながらどこで寝たいのか尋ねる。
「んっと~……ちづるおねーちゃん?」
「はびょわぁ!?」
みまちゃんは少しだけ考える素振りを見せた後、千鶴お姉ちゃんの名前を口にしました。
その千鶴お姉ちゃんは変な声を出してたけど……。
「ちょっ、さすがにそこのどへん――んんっ! 犯罪者は不味いと思うわよ!? みまちゃん!?」
「犯罪者は酷くないですかぁ~!?」
「で、でも実際危ない、のでは……?」
「何を言いますかぁ~!? プロのロリコンは、決して至高のロリに手を出すことはないのですよぉ~!」
「千鶴君。それ、至高じゃなかったら手を出すって言ってない?」
「ロリに貴賤なし」
「いつもの間延びした話し方なしで言うのか……」
「ちなみに、みおちゃんは誰がいいのかなー?」
「……こゆきおねーちゃん」
「わ、わわっ、わたし、ですかぁっ!?」
「……だめ?」
「い、いいっ、いえぇぇ!? わ、わたしなんかで、よ、よければ……!」
みおちゃんの方は、恋雪お姉ちゃんの名前を出しました。
ふむふむ、みおちゃんは恋雪お姉ちゃんなんだ。
「……なんだろう。あたし、選ばれた二人を見て、色々と察したぞ……」
「……奇遇ね、寧々さん。あたしもよ」
「……二人はええやん……。うち、ぺったんこなんよ……?」
「みまちゃんとみおちゃんは、どうして二人なのかな?」
「んっと、おっきーから!」
「……おかーさんみたいだから、です」
「そ、そっか……」
「「「げふぅ……っっ!」」」
「あぁっ! 残酷な格差に、三人がまた死んでる!?」
「やっぱ、慎まし組のそう言う反応、最高っしょ」
「ん、杏実さんがすごくニチャァとした笑みを浮かべてる」
「貧乳ヒロインがコンプレックスで死んでる光景は最高」
「結構酷いよねー、杏実さんってー」
「ギャルゲ好きならば当然ってもんよー!」
「わかる! うちも同じですぜ! なんかこう、落ち込むところが可愛いんですよねぇ!」
とりあえず、あの……栞お姉ちゃんたちが倒れちゃったんだけど……だ、大丈夫なのかな……?
「えー、というわけで、慎まし組三人が死亡しましたが……とりあえず、あと決まってないのは、私と栞ちゃん、皐月ちゃんに、椎菜ちゃんかな? あ、千鶴ちゃんもか。とりあえず、私は椎菜ちゃんの隣がいいです。姉特権使います」
「そんな特権無いと思うが……まあいいか。私も割とどこでもいいんだが……とりあえず、栞は椎菜ちゃんの隣でいいんじゃないかな」
「どうして?」
「……極力、小さい人は小さい人でまとめた方がいい気がして」
「つまり、椎菜ちゃんと栞さんを内側にして、その両隣にみまちゃんとみおちゃん。その外側に、恋雪さんと千鶴さんって感じですかねぇ?」
「そうなるねぇ。んじゃあ、ちょうどここに紙とペンがあるので、これにさらさら~っと。こうかな」
奥
俊 千 ま 椎 栞 お 恋 杏
冬 皐 藍 寧 愛 小 ミ
入 口
「……私が隣じゃなくなっているゥゥゥゥゥ!?」
「いや気付いてなかったのかよ!?」
「いやだって、ナチュラルに皐月ちゃんが幼女組をまとめた方がいいって言うからァ!?」
「でも、ちゃっかり椎菜さんの上に来てるじゃないですか」
「そこは譲れん」
お姉ちゃん……。
でも、なるほど、こういう感じになるんだ。
「くっ、しれっと栞ちゃんが椎菜ちゃんの隣にいるのがっ……! 妬ましいっ……!!」
「なんでや!?」
「んまあ、この中で愛菜さんを除いたら、栞さんが一番仲いい気がしますからねぇ」
「ちな、二人はどうなん?」
「僕は大丈夫! ちょっと恥ずかしいけど、でも、栞お姉ちゃんだからむしろ、嬉しいよ!」
「うちもまぁ、椎菜さんやからなぁ。嬉しいわぁ」
「そ、そっか。えへへ、なんだか照れるね?」
「そやなぁ……」
えへへ、なんて二人揃って照れ笑いを浮かべる。
やっぱり、栞お姉ちゃんとはすごく相性がいいのかもしれません。
お互いちっちゃいし、歳もそこまで離れてるわけじゃないしね。
「……ふむ」
「ん? どうしたの? 藍華?」
「百合の波動がした」
「百合の波動て。でも、二人ってすごくいい感じだし、間違ってない気もするぞ」
「ん、できればゴールインを目指して欲しい所」
「でもさー、二人が仮にゴールイン! なんてことになったら、死人がめっちゃ出そうだよねー。いろんな意味で」
「間違いねぇですね。ロリピュアが実際に彼女彼女の関係になろうものなら、ファンが全員尊死しかねねぇですし」
「あたしもそう思うわ。ってか、普通にネタにしたい。……ロリ×ロリの新作、出そうかしら?」
「ミレーネさんって、百合系書けるんで?」
「んまあ……裏名義で少々……」
「あっ、ふーん……今度教えてくれれば、挿絵を提供しますぜ」
「え、マジで? お願いしますッ!」
「まっかせぃ!」
「今度、一緒にお仕事がしたいものね」
「ふっ、こっちこそ」
ふと、ミレーネお姉ちゃんと小夜お姉ちゃんの二人が、なぜかガシッ! と固い握手を交わしていました。
何かいいことでもあったのかな?
「んっ、ふわぁぁ~~~……んゅぅ……」
「……ねむぃ、です……」
「あっ、二人とももう眠いよね。あの、二人がそろそろ限界みたいなので……」
「おっとそりゃいかん! はーい! 全員布団敷くよー! 明日帰宅なんだから、早く布団を敷いて、今日失った血液とか理性とか体力とか、その他諸々回復するぜー!」
『『『うーい!』』』
「……血液という単語が出て来ても何も思わなくなったなぁ……私……」
「ま、血生臭くなったからな!」
「普通はないんですけどねー。まあ、楽しいのでおっけー」
「……そうだね」
お姉ちゃんの号令をお布団を敷くことに。
せっせせっせとお布団を敷いて、さっきお姉ちゃんが書いたとおりの場所にそれぞれが横になる。
すると……
『『『( ˘ω˘)スヤァ……』』』
お姉ちゃん、ミレーネお姉ちゃん、小夜お姉ちゃんの三人はすぐに意識が落ちてそのまま眠っちゃいました。
「あれ、千鶴さんは起きてるんだ」
「ん、てっきりすぐ死ぬかと」
「あ、いえ、その……みまちゃんが気持ちよさそうに私の胸に顔をうずめながら寝てるのでぇ~……全力で本能を総攻撃してるところですねぇ~。あ、仮に間違いがあってもいいように、いつでも舌を噛み切る準備はできてますよぉ~」
「ねぇ、それ睡眠前に取る行動かい? 明らかに情報を引き出される前の覚悟ガンギマリの捕虜だよね?」
「ふっ……既に、死ぬ覚悟はできてますよぉ~」
「椎菜っち、みまちゃんとみおちゃんと寝るのって、命懸けなん?」
「そんなことないですよ……?」
というより、千鶴お姉ちゃんは一体何と戦ってるんだろう……。
みまちゃんと一緒に寝るだけなんだよね……?
「なんか、修学旅行みたいやなぁ……」
「わかる。大勢で旅行ってのはいいもんだよな! 俺的には、男がもう一人欲しいとこだが」
「まあ、柊君はまだですからねー。あ、俊道先輩。今度、親睦会って感じで、三人で集まって泊まるってのはどうですかねー。場所は普通に自宅とかで」
「おっ、そいつはいいな! なかなかに楽しそうだぜ! 椎菜ちゃん、柊はどんなことが得意なんだ?」
「んっと……基本的に何でもできるけど……ゲームはよくやる、かな?」
「おっし、じゃあ某友情破壊ゲームこと、桃太○電鉄でもやるか!」
「いいですねぇ!」
「こう、男同士だと、男子高校生みたいなノリになりがちな気がするよ、私は」
「間違っちゃいねぇな!」
男子高校生のノリかぁ……なんだか羨ましいなぁ、柊君……。
僕もそう言うことがしたいです。
「ところで、恋雪っちの反応がないけど、どしたん?」
「……え、えと、わ、わたしの贅肉袋で、み、みおちゃんを潰さない、ように、し、してますぅ……」
「「……贅肉袋……」」
「え、えと、栞お姉ちゃん……?」
「……やっぱ、ずるいわぁ……」
「ひゃ!?」
じぃっと栞お姉ちゃんが僕の胸元を見て来たと思ったら、ごろごろと転がって来て、ぎゅっと僕に抱き着いて来ました。
「お、おおぅ……なんやろう……すごく、落ち着くわぁ……」
「し、栞お姉ちゃん?」
「ん~、こらぁ、眠くなってまうわぁ………………くぅ……すぅ……」
「え、このまま寝ちゃうの!?」
僕に抱き着いたまま、栞お姉ちゃんが寝ちゃいました。
「おおぅ、個別の布団が早速意味をなさなくなったぞ」
「ん、最高の光景」
「ど、どうしよう?」
「とりあえず、そのままでいいと思うんよ。問題なし! とゆーか、そっちの方が最高だし」
「なんか、杏実君、最近ギャルゲ脳になってきてないかい?」
「そこに理想の光景があるならこうなる」
「そ、そうか……ふわぁ……っと、私も眠くなってきたし、おやすみ。明日も運転だしね……zzz……」
「じゃあ、あたしも寝るぞー。おやすみぃ! ( ˘ω˘)スヤァ」
「ん、寧々、寝るのが早い。じゃあ、私もぐんない。zzz」
と、あまり長く話すことはなく、みなさんすぐに寝息を立てて眠っちゃいました。
「んっ、僕も寝よ……おやすみなさぁい……」
栞お姉ちゃんに抱き着かれたままにはなっちゃったけど、僕の方も栞お姉ちゃんが温かかったからか、すぐに夢の世界に落ちて行きました。
気が付くと、椎菜と栞が百合百合してる……なぜだろうか。




