#131 夕食時、普通の雑談
それからほどなくして、片付けの方に行っていたみなさんが戻ってきて、そのタイミングで夜ご飯が運ばれてきたので、美味しい料理に舌鼓を打ちました。
特に、みまちゃんとみおちゃんが大はしゃぎ。
おいしー、おいしー、と言ってぱくぱくと嬉しそうに、楽しそうにご飯を食べる姿はとても微笑ましくて……
『『『ごふっ……』』』
なぜか、何人かの人が鼻血と吐血を噴き出しながら倒れるほどでした。
なんというか、その……なんで倒れるんだろうなぁ……。
なんて、いつも思っちゃいます。
「やー、マジで美味しー! 生牡蠣最高! お酒が進むぅ!」
「魚介類がメインだが、たしかに全部美味しいね。私はワカサギの唐揚げがいいね。ついついビールが進んでしまうよ」
「むぐむぐ……こくんっ。はふぅ、このぶりしゃぶもええよぉ。余分な脂が落ちるしなぁ」
「結論としては全部美味しいぞ! そして、お酒も美味しい! 旅館! すごくいい!」
「ん、温泉も気持ちよかったし、温泉もいい。ここの旅館、また来たい」
「だな! 俺は同僚連れてまた来たいわ!」
「ボクは……友達とかかなぁ。女性と一緒に来たら食べられそうだしねー」
「と、冬夜さん、は、そう、です、よね……! あっ、この天麩羅美味しい……」
「「はむはむっ……!」」
「あぁ、ほら二人とも。急いで食べるとのどに詰まらせちゃうよ? あ、口の周りも付いちゃってるし……ほら、こっち向いて?」
「「んんぅ~~~」」
勢いよく食べる二人の口の周りを拭いつつ、僕も美味しいご飯を食べる。
「なんと言うか……椎菜ちゃん、普通に手慣れて来たよね、それ」
「なんだかんだ、お家でもこんな感じなので」
「あー、椎菜っちが微笑みながら二人の世話を焼いてる姿が見える見える」
「さすが、らいばーほーむきっての母親属性持ちだな」
「母親属性って……たしかに、二人の母親ではありますけど」
でも、らいばーほーむきってっていうのはおかしいような……いやでも、おかしくはない、のかな?
だって、娘がいるのって僕だけだし……。
……普通に考えたら、らいばーほーむで子供がいるのが高校生の僕っておかしい気が……。
いやそもそも、高校生で子供がいること自体がおかしいんだけど……。
なんて、そんなことをお話しつつ、気が付けばご飯が食べ終わりました。
そこからは、のんびりと雑談に。
みまちゃんとみおちゃんの方はと言えば、お腹いっぱいになったからか、僕の膝に頭を預けてぐっすり。
「あ、そう言えば近々冬コミだよねー。みんなは参加するってことでいいのかなー?」
「わ、わたしは、当然、参加、しますぅ……!」
「ってゆーか、愛菜パイセンの同人誌目当てっしょ、全員」
「たしか、小夜さんも出すんじゃなかったっけ? あたし、そっちも欲しいぞ」
「うちも欲しいわぁ。それに、みぃんな行くんやったら、行かんわけないしなぁ」
「ん、そもそも、らいばーほーむメンバーは全員参加すると言っていた気がする」
「それはまあ、そうだろうね。たしか、椎菜ちゃんも参加するんだよね?」
「うん」
「みまちゃんとみおちゃんはどうするんだい?」
「あ、なんでも、小学校のお友達に遊びに誘われてるらしくて、そっちに行くみたい。お泊まりー! ってはしゃいでたよ~」
「へぇ、泊まりか。早速仲良しな友達ができてるようで何よりだな! 入学して二、三ヶ月程度で泊まりに誘われるレベルってのは、なかなかいないと思うしな」
「そうだねぇ。できれば、ずっと仲良くしていて欲しいものです」
まあでも、さすがに冬コミは色々と二人が行くのは止めた方がいい、ってお姉ちゃんが言ってたから、そう言う意味では渡りに船だったかな。
なんでも……変態さんが多いから、とのことだけど。
「しかし……愛菜だからな……」
「皐月お姉ちゃん、お姉ちゃんがどうかしたの?」
「あー、いや。あの愛菜のことだから、コスプレを用意してる気がしてね……」
「コスプレ? お姉ちゃんが?」
「まー、たしかに愛菜パイセンだしねぇ」
「椎菜ちゃん的に、コスプレはどうだったっけ?」
「個人的にすごくしてみたいって思ってるよ? それに、折角冬コミに行くんだから、コスプレしたいなぁ、っていうのはあったり」
「そう言えばそんなこと言ってた。どういうのがしたい?」
「う~~ん…………あっ、折角だから、リリスおねぇたまのコスプレがしたいかも?」
「うち?」
「うんっ! だって、ロリピュアだし、それなら相方の衣装を着てみたいなぁって」
「たしかに。そう言う意味やったら、うちもみたまさんの衣装を着てみたいわぁ」
「でも、今からだと難しいよね」
「せやなぁ……」
「――話は聞かせてもらったァ!」
『『『きゃぁ!?』』』
僕と栞お姉ちゃんがうーん唸っていると、突然倒れていたお姉ちゃんががばぁ! と起き上がって、大きな声を上げました。
それによって、僕たちのほうも思わず悲鳴を上げちゃったけど……。
「よぉし、任せて! この私の伝手という伝手を用いて、椎菜ちゃんと栞ちゃん二人に、最高の衣装を用意してしんぜよう!」
「できるの!?」
「最愛の妹と、その相方のためならば可能……! いやそもそも、出来ないわけがない! それができない姉は姉ではないし、シスコンではない!」
「愛菜。そもそも、シスコンはそう言うものじゃない」
「気のせいだよ、皐月ちゃん! ――あ、もしもし、服部さん? 私私。いやぁ、29日までにコスプレ衣装の製作をしてほしくてねぇ。そうそう。えーっと、身長とスリーサイズは今送ったからこれをベースに。うんうん。で、外見については、色々と大きい娘がリリスちゃんの服で、ミニマムな方がみたまちゃんの衣装を。え? 逆じゃないのかって? はっはっは! そんなこと言ったら、ミニマムな娘の方が死んじゃうので、気にしないで☆ で、どれくらいで出来る? あ、可愛いから、明後日にはできると。うんうん、ありがとありがと! 報酬はいつも通りの口座に振り込んどくねー。はいはーい、よっろしくぅ! はい、というわけで、明後日には届きます」
『『『なんでぇ!?』』』
急にどこかに電話をし始めたと思って、話が終わったと思ったら、明後日には届くということを言われました。
思わず、みんなでツッコミを入れてたけど……。
「私のコスプレ系の知り合いである服部さんって、その界隈では有名な人でねぇ。気分次第ではあるけど、かなりの速度で作ってくれるんだよねぇ。まあ、あれだよ。らいばーほーむだって、たまにとんでも速度でモデルを作る人もいるし? そゆことそゆこと」
「毎度思うんだけどよ、愛菜の人脈も色々ぶっ壊れてねぇか?」
「そうかい?」
「せやなぁ……愛菜は他にどんな人脈があるん?」
「あ、それ僕も気になるかも」
お姉ちゃんって、どんな人たちと知り合いないなのか、前からずっと気になってたんだよね。
「椎菜ちゃんが気になるというのなら、適当に話そっか。といっても、大したことはないんだけどねぇ。そうだねぇ……なんかやたら速くコスプレ衣装を作れる服部さん。ボイス○イド限定だけど、曲を作ればすぐに数十万回再生行くレベルのP。なんか知らないけど、妙に権力を持ってる謎のアニメーターというか、監督的な存在。変態だけど、仕事は確かな3Dモデラー。無駄にお金のある暇人……こんな感じ? 他にも色々いた気がするけど、あんまし覚えてないかな☆」
『『『えぇぇぇぇ……』』』
「あれ、なんか私、ドン引きされてる?」
お姉ちゃんの人脈を聞いた僕たちと言えば、ほとんどが引いていました。
すごいとは思うんだけど、それ以上になんでそんな人たちへの伝手があるのか、気になってしょうがないです。
というか、なんでそんなことに……?
「ひかりさん、何をどうしたらそうなるんだぞ……?」
「んー? いやぁ、あれだよ? 普通に同人活動をしてればこうなるよ? 案外、ああいうのってバカにできないからねぇ。人脈形成に」
「それはそうだろうけど……」
「でも、最後の無駄にお金のある暇人って何ですかー? そこが一番気になるんですが」
「あー、それ? あれだよあれ。石油王的な?」
『『『石油王!?』』』
「とは言っても、本当にそうと決まったわけじゃないからねぇ。ただ、浅黒い肌で、白い服着てて、割と立派な髭を蓄えていて、中東系な感じの顔立ちってだけだから」
『『『いやそれモノホンじゃね!?』』』
「いやいや、まっさかぁ」
「お姉ちゃん、いろんな意味ですごいね……」
なんというか、その、うん……すごいと思います。
でも、同人活動をしただけで、そんな人脈ができるんだなぁ……。
「でも、人脈って言う意味では、恋雪ちゃんと杏実ちゃんの二人も大概じゃない? 片やトレーダーで、片やお嬢様じゃん?」
「わ、わたしは、その、げ、ゲーム企業に、知り合いがいる、だけ、ですので……」
「あーしも似たようなもんだしー。ってゆーか、知り合いって言っても、大企業の幹部とか社長くらいだし、それも、お父さんたちが築いたものだしー」
「なんか、私たちがバカみたいな気が……」
「せやけど、皐月も芸能界に顔が効くんちゃうん?」
「いやまあ、それなりには……」
「うぅむ、この中で考えると、学生組がそう言う伝手がない気がするぞ。あ、はつきもないぞ!」
「ボクもないねー」
「僕も……」
「いや、椎菜っちって、普通に神様に伝手がある気がするんよ。あと天使」
「……そう考えると、一番伝手がおかしいのって、椎菜ちゃんなのでは?」
『『『たしかに』』』
「ふぇ!?」
なんで僕!?
たしかに、神さんと天使さんとは知り合い……なのかはわからないけど、その、何故かちょっと関わりがあるけど……。
「で、でも僕、天使さんには会ったことはあるけど、神様にはみまちゃんとみおちゃん以外に会ったことないよ……?」
「まあ、あくまでもその組み紐の送り主が神様ってだけだしねぇ。でも、案外椎菜ちゃんが助けてー、なんて言ったら来そうではあるよねぇ。神様だし」
「神様関係あるかな……?」
「ん、でもありえそう。椎菜は存在が最強。故に、神に見守られてそう」
『『『それはそう』』』
「そ、そうかなぁ……」
なんて、そんなお話をしつつ、時間は過ぎていきました。
そう言えば、ミレーネお姉ちゃんと千鶴お姉ちゃんの二人、起きなかったなぁ……。
神様に会ったことないと思ってる椎菜ですが、普通に会ってるんだよなぁ……。
まあ、誰とは言わないけど。




