表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロリ巨乳美少女にTSしたら、Vtuberなお姉ちゃんにVtuber界に引きずり込まれました  作者: 九十九一
2023年 12月(下)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

363/477

閑話#32 可変式体質になったかもしれない例の彼

 私が我慢できなかった。反省もしなければ後悔もしてない。

 時間は本編から少し進み、温泉配信があった日の翌日。


「……は?」


 その日、普段とは違う違和感で柊は目を覚ました。

 具体的には、普段は感じない箇所にある重さだとか、妙に首とか顔がむずむずするとか、そんな違和感。


 基本的に優等生な柊は、土日のような普通の休日でも惰眠を貪ることはしない。

 だが、冬休みや夏休みの様な長期の休みはまた別である。

 土日において、柊が惰眠を貪らないのは、平日の学園に支障が出ないようにするためだ。


 だが、冬休みや夏休みのような場合であれば、途中までは惰眠を貪っても問題がないのである。

 故に、冬休みに入って、一週間が経過しようとしていた今日という日も、惰眠を貪ろうと考えていたのだが……。


「……え、は? ちょっと待ってくれ……え? いや、はぁぁぁ……?」


 そんなことを考える余裕がないくらいの出来事が、朝から柊を襲った。


 違和感で目を覚ました柊が、もぞもぞ、と上体を起こして自分の体を確認すると、そこには側頭部から垂れ下がる明るい茶髪に、不自然に膨らむ胸部。

 どこかだぼつくパジャマ。

 手を目の前に持って来れば、白い肌といつもより一回り小さい手が視界に飛び込んでくる。

 これがどういう状況なのか、柊は思考が停止したことで頭が働かず、状況の理解ができなかったが、ふと頭の中に自分にとって最も仲が良く、そして無駄に可愛い幼馴染の顔が浮かんできた。


「……まさか、俺…………お、女になってるぅぅぅぅぅぅ!?」


 まあ、そう言うことだった。



 お、おかしい、おかしいぞ……!?

 一体全体、これはどういうことだ!?


「な、なんで俺が女になってるんだ!? 俺は椎菜じゃないぞ!?」


 何をどうしたらこうなるのかわからず、俺は思わずそう叫んだ。

 自分でも酷いことを言ってるとは思うが、こういうのは俺ではなく、椎菜の担当だと思うんだが!

 なぜ、俺がこんなことに!?

 あと、やっぱり声も変わってる!?


 椎菜のように、女よりの声ではなく、れっきとした男としての声だったはずの俺の声帯からは、聞いたことがない妙に綺麗な声が発せられる。


「い、いや、落ち着け、俺……。夢かも知れない。そうだ。きっと夢だ……さすがに俺が女になってるわけが……」


 むぎゅり、と自分の頬を抓った。


「……い、痛い……」


 痛覚は何の問題もなく働いていた。

 抓ったところがじんわりと痛むし、抓ったことで熱を感じる。


「……俺、TS病になった、のか……?」


 え、えぇぇぇぇぇぇ……?


 自分でも色々と受け止めるには難題過ぎる状況に、俺は困惑した。

 むしろ、いきなり女になって困惑するな、という方が無理だと思う。


「と、とりあえず、あれだ。まずは自分の状況を認識した方がいい……まずは、どの程度変化しているのか、そこからだ」


 冷静になると、俺はベッドから降りて、自分の部屋に置いてある姿見の前に立つ。


「……う、うわぁ……」


 そこに映っていた今の姿を見て、俺は何とも言えない気持ちになった。

 自分で言うのもなんだが、今の俺は普通に美少女だった。

 腰元まで伸びた明るい茶髪に、くりっとした茶色の目。

 顔立ちは……あー、可愛いと綺麗の中間だろうか。

 普通に整っているし、体の方も普通にスタイルがいい……いやこれ、下手なモデルよりもよくないか……?

 胸は、椎菜ほどじゃないが普通に大きい、か……。


 どうしてこうなった???


 お、おかしい。

 一体どこに、俺がこうなる状況があった……?

 少なくとも、あの頭のおかしいイベントから数日経過しているが、その間に何か問題になるようなことはなかったはず……。

 あったとすれば、それはらいばーほーむ関係しかない。


 だが、椎菜曰、TS病はかなり特殊で、どうして発症するか、ということがわかっていないらしい。

 である以上、今回の俺のこれも原因不明。


 もし、理由付けをするとすれば……運が悪かった、これ以外にないだろう。


 ……いやあの、なんで?


「……と、とりあえず、あれか。国に連絡する必要がある、んだったか……?」


 たしか椎菜は……『朝起きたら女の子に』って打って出たんだったか。

 じゃあ、俺も……うわ、本当に出て来たな……。

 とりあえず、ここに連絡するかぁ……。


 突拍子のない出来事が起こり、俺の頭はそれはもうびっくりするほどに混乱しまくりだったが、先達がいたことで最初にやるべきことを知っていたのが大きい。

 俺は、国の方に電話をかけた。



「えーと、高宮柊君、だったね」

「は、はい」


 あれから最寄りの医療機関を紹介され、俺はこの体でも問題なく着られる服に着替え、早速検査をしに向かった。

 検査内容は至ってシンプルであり、したことと言えば、ほとんど健康診断と変わらなかった。

 そうして、検査を終え、診察室にて結果を聞かされることとなり、目の前の女性の医師に名前を呼ばれたので、俺は少し緊張気味に返事をする。


「君は多分、TS病だね」

「え、多分? あの、多分なんてあるんですか? 俺の幼馴染、普通に断定されたって聞いてるんですが」

「ん? 君にはTS病の幼馴染がいるのかな?」

「あ、はい。今年の八月に……」

「八月と言うと……あぁ、桜木椎菜君か。なるほど、君はあの子の……しかし、そうならば話は早い。君は、TS病の判断方法は知っているかな?」

「いえ……何か、わかる方法とかあるんですか? これ、結構ファンタジーですが……」


 少なくとも、身体能力がバカみたいに高くなるような病気だ。

 科学で解明することは無理なのではないか? と思ってるんだが……。


「うんまあ、そうなんだけど。まあ、それはいいとして。検査中、とある紙にあることをするように言われたね?」

「あ、あー……はい、まぁ……」


 あること、ということを思い出し、俺は顔を赤く染めながら、困惑気味に肯定する。

 その検査は、正直、つい昨日まで男子高校生だった自分からすれば、かなり刺激の強い行為だった。

 というか椎菜、よくあれできたな……。


 ……いや、あれか? 知識が保健体育で止まってるから、よくわかってなかった、のか?

 ……ありえる。あの幼馴染なら間違いなく。

 いやまあ、ある意味トイレの延長と考えればそうでもない、か。


「あの紙はね、特定の箇所の体液を付着させると、色が変わるんだ。TS病発症者であれば、青く変色し、何もなければそもそも色は変化しない」

「じゃあ、俺も青色だったんじゃ……?」


 というか、体液とか生々しいな……。


「いや、君は赤色だった」

「赤色?」

「うん、赤色。これは初めてのことでね。発症した初日に生理が来るなんて聞いたことがないから、そう言う意味ではありえない。というか、血の色じゃなかったし。じゃあ、この赤色は? となるんだが……」

「原因不明、っていうことですか?」

「そうなるね。だから、多分TS病。少なくとも、DNA鑑定の結果で言えば、間違いなく君は高宮柊君だ。けど、従来のTS病とは違うものを君は発症しているかもしれない」

「え、えぇぇぇ……」


 なんか、とんでもないことになってないか……?

 女になった、というだけでも驚きだというのに、従来とは違うTS病って……しかも、俺だけ?

 そういう主人公属性は椎菜だけでいいんだが。


「というか、DNA鑑定ってすぐにできるものなんですか?」

「科学の進歩さ。元々、TS病発症者用に開発された物も色々あってね。それで確認できるんだよ」

「な、なるほど……」

「それで、君なんだが、現状多分TS病としか言えない。だから、経過観察が必要になる。なので、これ、私の連絡先だ。もし、今後何かあれば、こっちに連絡してほしい」

「あ、ありがとうございます」


 電話番号が書かれたメモを財布に仕舞う。


「本来ならば、役所で手続きをする書類を渡すんだが……君の場合、本当によくわからないので、一旦一日~三日ほど様子を見てから書類を送らせてもらうよ」

「わかりました」

「よし、それじゃあ今日はこれで終わりだ。いいかい? 些細なことでも連絡するように。こちらも情報が欲しいからね」

「はい」

「では、もう帰ってもらって大丈夫だよ」

「ありがとうございました」

「お大事に。あぁ、そうだ。いくら美少女になったからと言って、初日からナニをするのは控えるようにね」

「しませんよ!?」


 真顔でとんでもないことを言われ、俺はいつもの調子でツッコミを入れた。



 それから家に帰宅し、両親に今日のことを伝える。

 二人はそれはもう驚いていたが、我が家の両親は基本的に楽観的というか……


「「娘ができたみたいで面白いからヨシ」」


 こんな反応だった。

 それでも親なのだろうか。


「はぁ……」


 それはそれとして、なぜこうなった……。

 というか、俺だけ従来とは違うTS病ってなんだよ……。

 そういう主人公みたいな状況は椎菜だけでいいだろうに……もしくは愛菜さん。

 いやでも、愛菜さんがTS病を発症させたら、犯罪臭が半端じゃなくなるから絶対になってほしくないな……。


「ともあれ、しばらくは大人しくしてないと、だなぁ……」


 経過を見ると、とは言われたが、まあ何もないだろう。

 そんなことを思いながら、TS病発症初日が終わった。



 そして翌日。


「……えぇぇぇぇぇ」


 俺の体は、元の男の姿に戻っていた。

 昨日のあれが嘘だったんじゃないか、そう思ってしまうほどに、見事に元の体に戻っていた。


 散々困惑したのに、寝て起きたら元に戻っていた……いや、本当にどういうことなんだこれ。


 早々異変は起きないだろうと思っていた矢先にこれだ。

 些細なこと所のレベルじゃない問題が起こった以上、電話をしないわけにはいかない。


「……さっそく電話するかぁ……」


 というわけで、俺は昨日の女性医師、神さんに電話をかけた。


『もしもし、この電話番号は、高宮柊君かな? 朝早いが、何かあったのかな?』

「なんか、男に戻りました」

『……え、マジ?』

「マジです。聞いての通り、男の声がしてると思いますが」

『……はー、なるほどねぇ……うん。とりあえず、今すぐ病院に来てくれ。検査だ検査』

「わかりました」


 昨日の今日で病院に行くことになり、俺は着替えて昨日行った病院へ。

 そこで再度検査を行った結果……。


「うん、なるほどね」

「何かわかりましたか?」

「少なくとも、その状態でも反応が出ているね」

「つまり……」

「君のそれ、TS病に似て非なるものだと思う」

「えぇぇぇぇ……」


 TS病に似て非なるものだと言われた。

 これ、TS病じゃないのか……。


「まだ確証は持てないんだが……おそらく、男女が入れ替わる、そんな症状の新型TS病だと思う」

「ま、マジですか」

「マジだね。それ以外言いようがない。まあ、まだ昨日の今日だし、今後も確認が必要だが……」

「ということは、今後は通院した方がいい、ということですか?」

「そうなる。というか、今のうちにその辺りを調べておかないといけないからね。君の生活が大変なことになる」

「そう、ですね……」


 少なくとも、今の仮定が本当だったとた場合、俺の生活は椎菜以上に大変なことになるだろう。

 それに、どのタイミングで女になって、どのタイミングで元に戻るのか……そこも知らないといけない。

 仮に、一度変化したら長くなる場合も考慮すると、女性服もある意味必要になるだろうしな……。

 嫌すぎる……。


「というわけで、だ。そうだね……次また変化したら私に電話してほしい」

「電話した後、また病院に来れば?」

「いや、今度はそうではなく、また男に戻った時に来てほしい。周期を把握したい」

「わかりました」

「頼んだよ。私としても、前代未聞過ぎるから、データが欲しい。今後、君の様なタイプが出ないとも限らないからね」

「なるほど、それはたしかに……」


 少なくとも、俺が発症させた時点で、今後出ないとも言い切れない、か。

 ……本当に、なんでこうなったんだ。


「それに、案外昨日だけで、実は今後異性の体になることはない、なんてこともありえるからね」

「個人的には、そっちの方がありがたいですよ……」

「だろうね。ま、その状態で反応が出てる以上、まず間違いなく今後も女性になると思うけどね」

「……ですよね」

「だが、君の場合はある意味幸運だよ」

「どこがですか……」

「考えても見てほしい。他のTS病発症者とは違い、君の場合は生来の性別に戻れるんだ。言ってしまえば、恋愛的なあれこれの問題が起こりにくいと言える」

「それはまぁ……」


 俺としても、普通に女性と恋愛したいからなぁ……。

 ……まあ、俺の場合、ちょっと食われかけた前例があるというか……本当にギリギリだった例があるんだが。


「というわけだ。幸い、今の君は冬休み。出来る限り、この間でデータを集めよう」

「わかりました」

「じゃ、今日の検査は終わりだ。もう帰っていいよ」

「ありがとうございました。これから、よろしくお願いします」

「あぁ、よろしくね。特殊な付き合いにはなると思うがね」

「ははは……」


 できることなら、女にはなりたくないなぁ……。

 強く、俺はそう思った。

 というわけで、可変式TS体質になった(しゅう)君改め、(ひいらぎ)ちゃんです。

 我慢なんてできるわけがねぇ! まあ、元々やろうと思ってたしね。

 体質変化の周期とかは……まだ決まってないけど、まあ、ランダム制でもいいかなとは思ってるけど、その辺りは適当に考えます。

 らいばーほーむの男枠は今後、TSっ娘が入らなきゃいけなくなりそう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
あれマジ?if?、、、???? 柊ちゃんできちゃったwww マジでありがとうございます! もう最高 コロコロ変わるのほんとに良き
これ「司(つかさ)なら女の子の名前でもいけるよね」 とかいう理由で既に女性態アバターが用意されてたら笑う。 しかも、らいばーほーむ側じゃなく絵師(ママ)側が言い出してたら尚良し
曰くが曰だけになってません? 「だが、椎菜曰、TS病はかなり特殊で、どうして発症するか、ということがわかっていないらしい。」 のところです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ