配信#26-3 らいばーほーむのみんなで、温泉配信だよっ!:3
風呂紹介も終わったので、男側の配信は音声のみに切り替わり、画面には刀と暁の両名がガシィ! と向かい合って腕を組んでいるイラストを表示した。
腐の者たちが歓喜した。
それはそれとして、視点は主人公こと、みたまの方へ戻り。
「さてさて、紹介も終わったところで……こっからは、いつも通りおふざけターイム!」
『『『イエェェェェ!』』』
「あぁっ、私の胃が死ぬ時間がやってきてしまったっ……!」
「たつなおねーさん、だいじょーぶ?」
「……おなか、いたいいたい、です?」
いくまの言葉にテンションを上げる光景を見て、腹部に手を当てながら苦々しい表情を浮かべるたつなに対し、心優しい双子幼女神がたつなを心配する。
お腹が痛いのかなぁ、と思っているようである。
「ゆあちゃんとゆいちゃんは優しいね……さすが、慈母神とか言われているみたまちゃんの娘だよ……」
「僕、そんな呼ばれ方してるの!?」
【草】
【いやまあ、みたまちゃんマジで優しいし……】
【少なくとも、生活のあれこれが悪い先輩の家を掃除する上に、料理も作るからなぁ……】
【そもそも、あって間もない人の健康を心配する時点で……】
【たしかにww】
「んじゃ、ましゅまろ行こ! ましゅまろ!」
「そうじゃな。やはり、ましゅまろが無難じゃからのう」
「あたしたちの場合、その無難が一番おかしな時があるんだけどね……」
【それはそうw】
【あんたらのましゅまろでまともな回答が返って来たことなんて、ほとんどねぇよww】
【まともなのは……まあ、みたまちゃん、陛下、たつな様くらい?】
【夜久嬢かざり:学ばせていただきますわ!】
【弩めい:私もどのようなお返事をすればよいのか、学ばせていただきます】
【真面目だなぁオイww】
【でも参考元があれらなんだよなぁ……】
ともあれ、ましゅまろを返すことになった。
コメ欄では、かざりとめいの新人組がどのような返事をすればいいのか、ということを重点的に学ぼうとしている。
真面目である。
『なぁ、これはあれか、男女交互に引いた方がいいのかー?』
「おうともさ☆ せっかく、二チャンネル使って配信してるんだし、それくらいはしよう☆」
『はいはーい』
【本当に壁越しで会話してるよww】
【こういう時、モニターが二つあると便利。両方同時に流せるし!】
【そうか、これって単純に別視点なだけで、二窓も実質OKということか……!】
【まあ、単純に諸々の事情でずらしてるだけだしなぁ】
【しっかし、温泉配信でのましゅまろ……絶対まともじゃないだろ、それ】
「ん、それで、どっちから引く?」
「男組からでいいっしょ! んじゃ、二人、引いて引いて―!」
『よっしゃ任せろ! んじゃ、記念すべき、最初のましゅまろはこれだ!』
『……あ、なるほどねー』
「何を引いたんだい?」
「へ、変なの、じゃ、ない、です、よね……?」
『おう、んじゃ、言うぞー! えー、温泉旅行に来て早々あったアクシデントを教えてほしい、だとさ!』
『『『アクシデント……』』』
「え、あ、あの、なんでみなさん、僕のことを見るの……?」
刀が口にしたましゅまろの内容に、らいばーほーむのメンバーは、全員みたまに視線を向けていた。
みたまは極力見ないようにしつつも、ほんの僅かに薄目を開けて自分に視線が集まっているのを確認。
【映像がないからわからんが、どうやらみたまちゃんが見られているらしい】
【そもそも、みたまちゃんって存在自体がアクシデントみたいなもんだから……】
【いるだけで常に殲滅兵器として働くからなぁ】
【公式からも兵器呼ばわりだしな。まあ、陛下もだけど】
『あー、これ、俺たちは知らないんだが、あっちの女性陣の方で色々あったらしい』
『らしいですよねー。なので、この話題はそっちにパスしますねー』
「とゆーわけで、こっちに回って来たんよ。んで、誰が話す?」
「あ、じゃあ、はつきが話すぞ!」
「まあ、はつき君ならマシかな……ロリコンだと、ちょっとアレだし」
「私の扱い、酷くないですかねぇ~?」
「妥当だと思うわ」
「あらぁ~」
【ロリコンの扱いよ】
【まあほら、ロリコンだから】
「で、何があったかだったね。えーっと、まあ、あれです。いざ温泉配信! ってなった段階で、みたまちゃんが駄々こねたぞ」
【草】
【草】
【草】
【みたまちゃんが駄々こねてたのかよww】
【絶対可愛い】
【夜久嬢かざり:み、みたま様が駄々を……!? 心の底から見たかったですわっ……!】
【弩めい:さぞかし、可愛らしいお姿をお見せになられていたのでしょう……とても口惜しいです】
【お前らwww】
【新人がみたまちゃん好きすぎな件について】
【四期生はみたまちゃん関係ばっかだし……?】
「といっても、あれだぞ。みたまちゃん、元男だから、はつきたちと一緒にお風呂に入るのが恥ずかしいし、申し訳ないから、って理由で入りたくない! ってなってただけだぞ」
「ん、あれは大変だった」
【あー、なるほど、駄々ってそういう……】
【たしかに、元男ならそうなる……いやそうなるか?】
【よく、TSした! よっしゃ女風呂行こ! とか言う奴が出るマンガだとか同人誌だとかあるけど、実際リアルになったら絶対みたまちゃんと同じ反応になる自信がある】
【いや、みたまちゃんの場合はかなりのピュア娘ちゃんだぞ? 多分だけど……顔を真っ赤にして、極力見ないようにしてるんじゃないかな】
「む、正解を言い当てた者がいるのじゃ。現在進行形で、みたまは顔を赤く染め、ぷるぷると震えながら極力見ないようにしておるぞ!」
コメ欄に、現在のみたまの様子を言い当てた物があり、リリスがそれを正解だと言いつつ、今のみたまの情報を話す。
【マジでそうなのかよww】
【まあ、みたまちゃんだもんなぁ……】
【本当に心って言うか、色々綺麗だよね】
「まー、さすがに今回のこれは仕方ないんだけどね☆ けど! 私はこの温泉配信で、みたまちゃんに女の人と一緒にお風呂に入るための免疫を着けてほしいと思っていたのでね! 無理矢理にでもお風呂には入ってもらいました!」
「うぅぅ……」
『そんなことになってたのか。なら、どうやってみたまちゃんを入れたんだ? 嫌がってたんだろ?』
「その辺は、ゆあちゃんとゆいちゃんが、みたまちゃんにきらっきらな目を向けて、一緒に温泉! みたいな感じで、すっごく一緒に入りたそうにしてたんですぜ。二人が大好きなみたまちゃんからすれば、絶対に断れねぇってもんです」
『それ、みたまちゃん以外も断れなさそうだよねー』
『だな。ってか、らいばーほーむメンバー全員断れねぇだろ』
『『『絶対無理』』』
「「んぅ~?」」
刀の発言に、全員が無理だと言った。
気持ちよさそうに温泉に浸かっている双子は、こてんと可愛らしく首をかしげていたが。
【たしかに無理だわー】
【夜久嬢かざり:大変可愛らしいあのお二人のお願いを断ることなど、人類にできるはずもありませんわ……!】
【弩めい:神でも無理かと】
【なるほど、つまり母親としての感情を利用したってことか……】
【たしかに、みたまちゃんってなんかこう、溺愛してそうだし】
「してそう、というより、既に溺愛してるわよね、あれ」
「で、です、ね……!」
「ちなみに、その時の光景を見て一番テンションが上がってのは、いくまちゃんだったりします☆」
【なぜに!?】
【なんでいくまっちがテンション上がってんの?www】
【俺、てっきりロリコンのテンションが上がってるのかとばかり……】
【ロリコンだしな】
「やー、だって考えても見てよ。TSした娘が、初めてできた娘に溺愛するシチュとか……どう考えても最高のシチュっしょ!? これで、あとは眼鏡とか委員長属性があれば完璧だったんよー!」
【いや草】
【さすがギャルゲ好き……】
【いくまっちTS物も守備範囲だったの!?】
【えぇぇえ?】
「ギャルゲーに貴賤なし! 恋愛要素があれば、それは最高のギャルゲ……! あ、唐突なNTR展開とか、BLとか、ファンタジーなバッドエンドは勘弁っしょ」
「わ、わかり、ます……! やっぱり、コンセプトは、守ってほしい、です、よね……!」
「そうそう! ごく普通の学園ラブコメ物をやってたのに、謎にファンタジーが絡んで来た時はマジで萎えるしー……」
【なんでギャルゲの話になってんだww】
【あの話題からどうしてこうなる】
【あらぬ方向に飛び火してて草生える】
アクシデントについての話題だったのに、なぜかギャルゲーの話に転換した。
らいばーほーむにおいて、話題など二転三転するのが当たり前なのかもしれない。
「んぅ~……あ、そーだ。ゆいちゃん」
「……なんです? ゆあおねーちゃん」
「んっとね、きのうのこと、ききたいなーって、おもったの」
「……たし、かに。みおも、きになる、です」
「じゃー、きいてみよー」
「……んっ! きく、です!」
ギャルゲーのことを話す横で、ゆあとゆいの双子が何やら話し合っていた。
それから、何か聞くことでもあるようで、なぜかうさぎのもとへ。
「あり、なんか双子ちゃんがうさぎちゃんの所へ行ったね」
「おっ、何々? なんかある感じ?」
「しかし、なぜうさぎ君何だろうか?」
「うさぎおねーちゃん」
「……ききたいこと、ある、です」
「へっ? わ、わわ、わたし、です、か……?」
「うんっ」
「……いー、です?」
「あっ、え、えっと、わ、わたしで、よければ……?」
「じゃあ、んっと……」
「「おむねって、どーしたらおっきくなるの?」」
ビシッ――。
ゆあとゆいのその質問により、空気が凍った。
これが、リリス、ミレーネ、はつきの三人のうちの誰かが言ったのならば、空気が凍ることもなく、三名に生暖かい視線が向く、もしくは同情的な視線とかコメントが流れるだけで済んだのかもしれないが、これを言ったのは七歳の小学一年生の女の子である。
子供が、
『赤ちゃんってどうやったらできるの?』
とか言ってくるアレに近いだろう。
だからだろうか。
「……はひゅひぇ!?」
うさぎがおかしな声を上げた。
【う、うわぁ……】
【いや、うん、なんというか……これは酷い】
【まさか、双子ちゃんが爆弾を投下するとはなぁ……】
【小さな女の子が胸を大きくする方法を聞いてくる……好きです、そういうシチュ】
【変態がいるww】
【変態はロリコンだけでいいよ!】
「あ、あー、ゆあちゃん、ゆいちゃん……二人はなぜ、うさぎ君にそんな質問を……?」
「んっと、おかーさんとおふろにはいったときに、おかーさんにおっきくするほーほーをきいたの!」
「……でも、おかーさんは、うさぎおねーさんにきけば、わかるかも、っていった、です」
「み、みみみ、みたまさんっ!?」
「す、すす、すみませぇんっ……! そ、その、二人が訊いてきて、僕、七月末まで男だったからわからなくて……だ、だから、その、らいばーほーむで一番おっきいうさぎおねぇたまに訊けばわかるって……」
「ひぇぇぇ!?」
顔を真っ赤にして謝るみたまに、うさぎはあわあわしながら悲鳴を上げた。
「地味にみたまちゃんが酷いスケープゴートをしていたんだが……」
「「「我(あたし)(はつき)も気になる!」」」
そして、貧乳組も食いついていた。
三人とも、とても気にしているのだ。
特にリリス。
「ん、慎ましい組もノリノリになった」
「うちはどうでもいいですねぇ。ロリ巨乳もロリ体型のロリもどっちも最高じゃねぇですか」
「よくわかってますねぇ~! そうですよねぇ~、ロリであれば、大きくとも小さくとも最高ですよねぇ~! やはり、ロリが至高……!」
その横で、普通に慎ましい組ないなりもいたが、いなりは一切胸の大きさについて気にしていなかったので参加せず、むしろロリであれば何でもOKとか言っていたので、ロリコンがそっちに食いついて賛同していた。
【なんか、双子ちゃんの爆弾発言で一気に爆発したなぁ……】
【みたまちゃんがやらかしててほんま笑う】
【これは酷いwww】
【つつましい組は草】
【あーもうめちゃくちゃだよ】
『なぁ、暁。これ、明らか俺らが混じったらまずい話題じゃね?』
『ですねー。ま、面白そうなので、聞いてましょうかー』
『だな!』
【あいつらww】
【やっぱらいばーほーむの男どもは強いわー】
【これ、まだ最初のましゅまろしかやってないってマ?】
【うーんこの】
【面白ければヨシ】
みたまが過去からうさぎに向けてミサイルを発射してました。
うさぎは死ぬ! 羞恥心で!
尚、ロリコンは話題に入る気満々である。あいつもでかいからね。




