#128 ある意味やらかしてる恋雪、とんでも方向に進む話とか
色んなことはありつつも、道中は楽しくお話ししたり、ちょっとしたゲームをしたりしてる内に、目的地付近に。
『『『( ˘ω˘)スヤァ……』』』
……ただその、なぜか運転手の皐月お姉ちゃんと栞お姉ちゃん、みまちゃんとみおちゃん以外のみなさんがその、なぜか気絶してしまったと言いますか……。
まあ、はい。
色々ありました……。
「やっと、着いたッ……! いやもう、本当に私は頑張ったッ……!」
「さ、皐月お姉ちゃん、あの、大丈夫……?」
「大丈夫か大丈夫じゃないかで言えば、まあ、大丈夫じゃないよね」
「えらいしんどそうやなぁ」
「……普通に考えよう? 君らの破壊力で、お菓子のあーんとか、甘える双子ちゃんとか、眠り始める双子ちゃんに、それを優しく見守る椎菜ちゃんと栞とか、完全に殺しに来てるよね、それ」
「んまぁ、うちはともかく、椎菜さん母娘は強いからなぁ」
「強いって何!?」
「そのままの意味や」
「それはいいんだが、しれっと栞も耐性獲得してないかい?」
「うちは椎菜さんといる機会が増えたし、慣れやなぁ」
「慣れで獲得できるんだったら、三期生や愛菜が獲得で来てそうなんだがね……」
「そら知らんわぁ」
「だろうね。……っと、やっと旅館が見えて来たか……」
そうこうしている内に、旅館が見えて来て、ほどなくして旅館に到着。
旅館はかなり大きくて、いかにもな雰囲気がありました。
なんでも、老舗旅館らしいです。
「さ、みんなを起こそうか」
「うん!」
「せやなぁ」
旅館に到着したところで、寝ているみなさんを起こしにかかります。
「二人とも、着いたよ~。起きて起きて」
「「んぅ~~……ついたのぉ……?」」
まずは僕にくっついてすやすやと寝息を立てている二人を起こすと、二人は目をこすりながらむくりと起き上がりました。
「うん、着いたよ~。目の前の建物がそうだよ」
「……んっ! おっきー!」
「……おっきい、です」
「ふふ、だから降りる準備するよ~」
「「はーい!」」
「なんと言うか、二人は目覚めがいいんだね」
「みたいです」
こういうところはすごく助かってます。
楽しみなことがあると、猶更すぐに起きるみたいだからね。
「ほれ、みんな起きてや。旅館に着いたよぉ」
「なかなか起きないな……まあ、無理もない、か。ともあれ、叩き起こそう」
なかなか起きないと言うことで、皐月お姉ちゃんが力ずくで起こすことになりました。
大体の人は皐月お姉ちゃんに軽く叩かれるくらいで起きたけど、全く起きない人(お姉ちゃんと千鶴お姉ちゃん、小夜お姉ちゃん)がいたので、その人たちにはその……デコピンとかで起こしてました。
ちょっと痛そう……。
ともあれ、なんとか無事に起きたので車から降りる。
「へぇ~! こりゃ、かなりよさげな旅館だな!」
「ですねー。かなり広そうだなー」
「こういう旅館はいいですよねぇ~。ホテルもいいですけど、やっぱり日本人なら旅館ですよねぇ~」
「わかるわかる! あーしも、ホテルより、こっちのほうが断然好き! 畳がいいんよ!」
「そう言えばここって、栞さんの実家に関係があるとか言ってませんでした?」
「そうやぁ。なんでも、うちの家系と昔から親交があるらしいくてなぁ。せやから、うちもここの女将さんや、支配人さんなんかと知り合いなんや」
「そ、それ、じゃあ、栞さん、が、チェックイン、した方がいい、です、ね?」
「その方が手っ取り早いからなぁ。任せてやぁ」
「おー、すごいぞ、栞先輩……!」
「ん、さすが老舗旅館の一人娘」
「らいばーほーむメンバーって本業と言うか、出自が普通じゃねぇ人が多いですよねぇ」
「それ、小夜君が言うかい?」
「おかーさん、はやくはやくっ!」
「……い、いきたい、ですっ」
「ふふっ、そうだね。僕も早く見て回りたいかな」
みまちゃんとみおちゃんは目を爛々と輝かせながら早く早くと僕のお洋服の裾をくいくいと引っ張ってきました。
「はいはい、ここで固まってないでさっさと入るよー! 我が家の妹ちゃんと、姪ちゃんたちがそれはもう楽しみにしてるから!」
と、お姉ちゃんが手を叩いて入るように促すと、たしかにとみんなで旅館の中へ。
「いらっしゃいませ。ようこそ、湯桜へ。ご予約の方でしょうか?」
中に入ると、優しそうな雰囲気の女性がお出迎えしてくれました。
すると、栞お姉ちゃんが前に出て、その女性に話しかける。
「ご無沙汰やなぁ、小鳥遊さん。東雲栞や」
「まぁ! 東雲さんの所の! 大きくなりましたね」
「うち、そんなに大きくなってないと思うんやけどなぁ」
「いえいえ、私が見た時に比べれば大きくなっておりますよ」
「数センチっぱかしやけどなぁ。……っと、今日はちょっとした同僚と一緒に来とってなぁ。多分、十五人で予約を入れておると思うんやけど、入っとる?」
「はい、入っておりますよ。お待ちしておりました。というより、本日は貸し切りとなっておりますね」
貸し切りになっていると言うと、栞お姉ちゃんが固まりました。
というより、栞お姉ちゃんだけじゃなくて、ほとんどの人が固まったと言うか……僕も固まりました。
貸し切りって何……?!
「ちょっと待って、貸し切り? それほんまに?」
「はい」
「そ、そうなんか。あー、ちなみに料金は……」
「既にお支払いいただいておりますのでご心配なく」
「スゥ――――……うん、せやったら、まぁ……お部屋、案内してもらえる?」
「こちらでございます」
色々と言いたいことはあったみたいだけど、栞お姉ちゃんは長く息を吸うと、色々と飲み込んでお部屋に案内するように言っていました。
僕たちも靴を脱いでついていくことに。
「今回は十五名のご宿泊ということでしたので、広間をお使いください。もちろん、他のお部屋をご利用いただいても問題はありませんので、その際は従業員にお申し付けください。それでは、ごゆっくりどうぞ」
ぺこり、と一礼して小鳥遊さんが去っていきました。
とりあえず、みんなで荷物を一ヵ所にまとめたところで、皐月お姉ちゃんが口を開きました。
「えー、はい。というわけで……貸し切った犯人、手を上げるように」
前置き無しに、皐月お姉ちゃんは直球でそう言いました。
すると、スッと手が上がりました。
「わ、わたし、ですぅ……」
『『『ですよね!』』』
「ひぅ!? す、すすす、すみませぇぇん……!」
「うさぎ、あんたなんで貸し切りなんてしたの!? というか、なんでできたの!?」
「そ、そこは、その、ま、マネーパワーで……」
「そう言う事じゃなくね!? いつもなら普通に流すけどよ、俺でもこれはマジで想定外だぜ!?」
「わかりますよー。というか、恋雪さんの財力どうなってるんですかねー。一度残高とか見てみたいですよー」
「うち、旅館貸し切る人初めて見たぜ……っていうか、リアルにはいねぇと思てたんですが」
「わかるわぁ……うちの実家でも、こないなことはなかったなぁ……」
「普通はないと思うぞ……」
「ん、明らかに恋雪がおかしい」
「個人的に、出遅れたんですよねぇ~」
「あー、わかるー。あーしもやろうとしてたんだけど、なんか先に支払われてたんよねぇ。くっ、さすが恋雪っち」
「いやいやいやいや!? なんで同じことを考えてる人が二人もいるんだい!? やっぱりおかしいよ!? セレブ娘ども!?」
「いやー、照れるっしょー」
「これくらいならなんてことないですからねぇ~」
「む、むしろ、経済を回した、ので……」
「経済を回す規模がでかすぎるっ……!」
「なんというか、お話についていけないよぉ……」
「んまあ、普通はそうだと思うよ? 椎菜ちゃん」
「ひろーい!」
「……たたみ、きもちー」
らいばーほーむメンバーでお話している横で、みまちゃんとみおちゃんの二人が楽しそうに広間の中を歩き回っていました。
ごろごろ転がったり、小走りで走っていたりと、かなり微笑ましい。
ただ、室内で走るのはちょっと心配……。
「みおちゃん、たんけんしよー!」
「……んっ!」
「おかーさん、探検して来ていーい?」
「……いい、です?」
なんて思っていたら、二人は僕の所に来て旅館内を探検したいと言ってきました。
「あ、うん。して来てもいいけど……入っちゃいけないところは入っちゃだめだよ? もしわからなかったら、従業員さんに聞くこと」
「「はーい!」」
「あ、でも、迷子になったら大変かも……」
子供だけで歩かせるのもさすがに心配、かなぁ……。
「だいじょーぶ! おかーさんのばしょはわかるから!」
「……んっ、おかーさんわかりやすい、です」
「そ、そうなの?」
「かみさまはいろいろできるのー!」
「……もんだいなし、です」
「そ、そっか。それなら……気を付けてね? それと、旅館内では走らないように!」
「「うんっ! いってきまーすっ!」」
元気な声でそう言うと、二人はとててて、と足音を立てて旅館の探検に行きました。
「「「「( ˘ω˘)スヤァ……」」」」
二人を見送ったところで、みなさんの方を向けば、お姉ちゃん、千鶴お姉ちゃん、ミレーネお姉ちゃん、小夜お姉ちゃんの四人がすごく安らかな顔で倒れていました。
なんで!?
「何があったの!?」
「まあ、あれだよ。無邪気な双子ちゃんたちが可愛すぎて死んだんだ」
「大丈夫なのかな?!」
「まあ、その内蘇るよ。……しかし、まさか貸し切りとは……ちなみに、恋雪君。貸し切り理由は?」
「そ、その、ふ、不特定多数の人に、お、お風呂で見られるのが嫌だった、ので……は、恥ずかしい、ですし……む、胸、すっごく見られて……」
『『『あぁ~~~……』』』
恋雪お姉ちゃんが口にした理由に、倒れてる四人以外は僕も含めてそんな風に納得したような声を零しました。
恋雪お姉ちゃんおっきいもんね……。
それにその、僕も修学旅行の時にすごく見られたし……恥ずかしいのはわかるかも。
「そ、それに、その……せ、折角全員参加、なん、ですし、配信もできたら、って……」
「たしかにそりゃいいな」
「旅行配信かー。うんうん、すごくいいと思うなー」
「面白そうだぞ!」
「ん、でも、機材はあるの?」
「そこは大丈夫、です。持って来てる、ので」
「さっすが恋雪っち! なんだかんだらいばーほーむっしょ!」
「でも、配信ってどういうことをするの?」
やるにしても、何ができるんだろう?
「……まあ、雑談とかじゃないかい?」
「せやけど、折角の旅行でそれはおもろくないんやない?」
「あ、じゃあ、音声オンリーでお風呂配信とかどうどう? よくなーい?」
どんな配信をするかとなったら、杏実お姉ちゃんがとんでもないことを提案していました。
お風呂配信って何!?
「さすがにBAN食らいそうだが!?」
「ん、それ以前に、お風呂場に機材を持ってくのはアウトだと思う」
「そこは交渉次第っしょ」
「圧倒的非常識ッ……!」
「まあでも、ほら、お風呂シーンがあるYoutuberもいるじゃん? がっつり映像があるけど、こっちはイラストのみ映して音声オンリーにすればよくない? むしろ、実写を映すわけじゃないじゃん?」
「それはそう、だが……だが、許可が貰えるかどうか以前に、機材が壊れるだろう」
「そ、そこは、大丈夫、です。わ、わたしの機材、ぼ、防水加工されてる、ので……」
「用意周到すぎる!?」
「おっ、じゃあ、あとは許可をもらうだけ! 栞パイセン、交渉できる?」
「言うだけ言ってみるわぁ」
「いや、風呂配信って、俺ら混ざれないぜ?」
「男ですからねー。さすがに無理じゃないですかねー」
「頑張れば行けるっしょ」
「おおう、根性論」
「ん、でも、たしかにそこは気になる」
「そう言う話の前に、許可をもらうことが先決だ。とりあえず、やるやらない以前にまずは聞いてから決めようか。出来なかったら、普通に雑談配信と言うことで」
そう言うことになりました。
旅行に来ても配信……このほうがらいばーほーむらしいよね!
恋雪もらいばーほーむってる。
あと、前回のあとがきにて、免許関係を載せましたが、過去の話しで、栞が原付に乗って大学に行っているというあれがあり、原付免許持ちに修正しました。やっちまったぜ……。
バス内の座席表
愛菜 皐月
藍華 恋雪千鶴
ミレ 寧々小夜
杏実 冬夜俊道
栞椎菜みまみお
わかりにくいけどこんな感じです。




