#127 騒がしい車内、脊髄反射プロロリコン
目的地の旅館に向けて車を走らせ始めると、車内はかなり騒がしくなりました。
「いやぁ、大人数での旅行っていいよねぇ。うち、大人数での旅行なんて、修学旅行以来だぜぇ」
「たしかに。あたしも、修学旅行が最後だぞ! っていうか、友人間でも旅行なんて行かなかったなぁ」
「まあ、友達同士での旅行って、ある意味ハードル高いからね。それくらい仲が良くないと行かないと思うわ」
「たしかに。あーしも、高校自体は色々あったし、友達なんて一人しかいなかったしー。友達で旅行! とか、ちょっと憧れてたんだよねー」
僕は柊君と一緒にお出かけすることはあったけど、今回みたいな人数は初めてかなぁ。
そもそも、旅行なんて家族で行くくらいだったもんね。
「うへへ、ふへへへぇ……ロリが一人……ロリが二人……はへぇ……」
「あの、なんか後ろからとても気持ち悪い声が聞こえてくるんだが。それ、千鶴君だよね? 彼女、どうなってるの? 隣の人いるかい?」
「ん、私が隣。千鶴なら、大人の女性として見せてはいけない顔で気絶中。気持ち悪いから殴っていい?」
「あー……まあ、うん。あまりにも気持ち悪かったら……」
「さ、皐月、さん、そこは、その、止める所、では……?」
「いやまあ、変態だしいいかなって」
「その理屈で行くと、愛菜もいいってことになるな!」
「たしかにそうですねー」
「はっはっは! いい度胸じゃないか! 俊道に、冬夜君! スクリューパイルドライバーキメルゾ☆」
「愛菜なら本当にできそうなのが嫌だな……」
あっちはあっちで、すごく騒がしくて楽しそう。
「もむもむ……こくん。椎菜さん、これ食べる?」
「あ、ありがとう、栞お姉ちゃん!」
騒がしい車内を見ていると、ポ○キーを食べていた栞お姉ちゃんが一本差し出してきました。
お礼を言ってぱくり。
「久しぶり食べたなぁ」
「んまぁ、椎菜さんはあんまり好きやないからなぁ。普段はあんまり食べなさそうやからなぁ」
「えへへ、正解です。チョコは比較的食べられるんだけど、やっぱりあんまり食べないんだよね。どちらかと言えば、酸っぱい物が多いからね」
「ふふ、そうかぁ。あ、みまちゃん、みおちゃんも食べる?」
「「たべるー!」」
「元気ええなぁ。じゃあ、はい。食べてなぁ」
「「あむっ! おいしー!」」
「そらよかったぁ。まだまだあるよぉ。あ、おせんべいの方がええかな?」
「それなら、僕もおせんべいが欲しいです!」
「おせんべーたべるー!」
「……欲しい、です!」
「ふふっ、神薙家は可愛えぇなぁ。ほい、おせんべいや」
栞お姉ちゃんからおせんべいを貰って、母娘仲良くぱくぱくと食べる。
醤油のおせんべいっていいよね!
割れせんべいとか大好きです。
「がはっ……」
「し、しっかりするんだぞ! 小夜さん!」
「こ、これ、後ろから数えて二列目の席、地獄、じゃねぇ、ですかね…………?」
「そのために、千鶴っちを前に座らせたのにねぇ。これ、意味なくなーい?」
「くっ、あたしもある意味後ろの方がよかった気がッ……!」
「ミレーネさん、それ多分死にますよー」
「違いないな! ってか、俺らは前の方でよかったな、冬夜」
「ですねー。っていうか、後ろとか確実にデッドゾーン的なアレでしょうねー」
「しゅ、シューティングゲーム、で言うと、ぜ、全方位、から、みっちみちな、弾幕が飛んでくる、感じ、です、よね……!」
「ん、言い得て妙。とりあえず、残機数が少ない人が後ろに座ると、広範囲爆撃で死ぬのは確か」
「くっ、私も後ろに行けばよかったか……!」
「愛菜、さすがに死ぬよ? 君の家の妹と姪だよ? 死ぬよね? しかも、栞もセットなんだよ? 間違いなく死ぬよね?」
「否定はしない☆」
「……個人的には、少しでも声が聞こえて来たら、意識を持っていかれそうで、内心冷や冷やしてるんだが……」
『『『頑張ってもろて』』』
何のお話をしているのかはわからないけど、すごく楽しそうだなぁ。
楽しいのはいいことです。
おせんべいおいしー。
「この貧乏くじ感。いやまぁ、運転手になった理由自体は、私が悪いんだが……」
「そう言えば、皐月さんの失言が原因でしたっけ」
「失言って言うか、本当のことを言っただけでなんかこうなった感じかな……」
「ふふふ、椎菜ちゃんを悲しませる人は、私にとって敵だぜぇ……!」
「あー……胃が痛い……」
「皐月、後輩呼ぶか?」
「今から呼べるとでも思うかい?」
「呼べる呼べない関係なく、皐月先輩の本音はー?」
「すっごい呼びたい。傷の舐め合いがしたい」
「……あの、皐月さん。皐月さんはあたしのことを死んだ常識人って言いますけど、最近の皐月さんも同類では?」
「? 私にそんなところはあるだろうか?」
『『『うわぁ……』』』
あれ、みなさんが何かにドン引きしてる……?
何かあったのかな?
「え、ちょっと待って? なんでみんなドン引きしてるんだい? え、私、少なくともおぎゃってるミレーネ君よりはマシだと思うんだが!?」
「皐月ちゃん、この言葉を知ってる? どっちもどっち」
「え、私アレと同類なのかい!?」
「いやー……正直に言っていいなら、皐月、お前わりとどっちもどっちだぜ?」
「え!?」
「うんうん。ボクを襲おうとした人たちと同じ感じがするよねー。まあ、幸いなのは彼がまんざらでもなさそうな所だけどねー」
「そんなバカなっ……!」
「れ、恋愛ゲーム、では、その、せ、先生と、生徒、って関係はあります、けど、実際はその、犯罪ですから、ね……」
「いや私、別に性的に迫ってないが!?」
「ほほう、私は知っているんだよ? 皐月ちゃぁん……」
「な、何をだい?」
「一昨日の打ち上げの後、ふらっふらになった状態でホテルへ戻った際、なぜか柊君の部屋に行ったことを……!」
「な、なぜそれを!? っていうか、あの時の記憶がないんだけど私。愛菜、何か知ってるのかい?」
「うんまあ、とりあえず……柊君が卒業しちゃうところだったらしいかな」
「……なんっ、だとっ……!?」
「お、おおぅ……なんかその、皐月先輩、色々とすごいことしてたぞ……」
「ん。さすが、らいばーほーむの人間と言うべき。たとえ常識人であっても、何かしらがらいばーほーむってる」
「本当に何をしたんだい、二日前の私ぃ!?」
皐月お姉ちゃん、何かあったのかな?
なんだか叫んでるみたいだけど……。
「前は楽しそうやなぁ」
「そうだねぇ。僕は見てるだけでも楽しいって思うけどね。栞お姉ちゃんは?」
「うちもやなぁ。らいばーほーむは、みぃんな、おもろいからなぁ」
「あはは、そうだね~」
「おかーさん、おなかすいたー」
「……み、みおは、へってない、ですっ……!」
くぅ~~~~……。
くいくい、とみまちゃんが袖を引っ張ると、お腹が空いたと訴えて来て、みおちゃんの方は強がるように減ってないと言ったけど、二人揃って可愛らしいお腹の音を鳴らしました。
うん、可愛いです。
「ごふぁっ……!」
「ちょっ、なんか千鶴さんが血を吐いたぞ!? 気絶中なのに!?」
「ん、きっと萌え殺しの波動を感じ取ったと思われる」
「さっすが千鶴っち! 多分、可愛いロリに対して脳で反応しているんじゃなくて、脊髄反射って感じ!」
「なんかもう、さすがプロのロリコンよね……」
「ん、変態はどこまで行っても変態」
「んっと……あ、あったあった。二人とも、おにぎりとサンドイッチどっちがいいかな?」
「おにぎり!」
「……サンドイッチがいい、ですっ」
基本的に趣味嗜好は同じ二人だけど、こういうところでは別々だったりします。
「そっかそっか。じゃあ、みまちゃんにはこっち。みおちゃんにはこれね~」
「「わーい!」」
二人が食べたい物をそれぞれ渡すと、嬉しそうに受け取ってぱくぱくと食べ始めました。
うん、可愛い。
「栞お姉ちゃんも食べる?」
「ええの?」
「うん! たくさん作って来たからね! おにぎりとサンドイッチがあるよ~」
「そうやなぁ……なら、おにぎりがえぇなぁ」
「はーい! じゃあ、これをどうぞ!」
「ありがとなぁ。……ん、美味しいなぁ」
「えへへ、それならよかった。あ、みなさんも良ければどうぞ! たくさんありますよー」
「やったーーー! 椎菜ちゃんのご飯! 今日は幸先いいぜぇ!」
「――椎菜ちゃんの手作りごはんですかぁ~~~~!? ど、どこに!?」
「うわびっくりしたぁ!? きゅ、急に起きないでください、千鶴さん!」
起きるなり、すごい勢いで周囲を見回しながら、手作りのご飯を探していました。
千鶴お姉ちゃん……。
「そんなことよりも、椎菜ちゃんの手作りご飯はどこにぃ~!?」
「千鶴お姉ちゃん、起きたんだね! えっと、おにぎりとサンドイッチ、どっちがいいかな?」
「おにぎりでぇ~~!」
「はーい! んっと、寧々お姉ちゃん、これ、千鶴お姉ちゃんに回してくれるかな?」
「おっけー! ほい、千鶴さん! 椎菜ちゃんお手製のおにぎりだぞ!」
「ひゃっふぅ~~~! 早速いただきますぅ~~~~~! ふぉぉぉぉぉぉ~~~~~! 今まで食べてきたどのおにぎりよりも美味しぃ~~~~~っ……!」
「な、泣くほど、です、か……!?」
「おにぎり食べて泣くとか……千鶴君だけ戦時中なのかい?」
「何を言うか、皐月ちゃん! 椎菜ちゃんのおにぎりは至高のおにぎりぞ! 世界で最もおいしいおにぎりと言っても過言ではない!」
「過言だよぉ!?」
お姉ちゃんは何を言ってるんだろう……。
というより、世界一美味しいおにぎりってどういうのを指すんだろう……。
そんなことを思いながら、みんなでお弁当を食べました。
プロのロリコンは、脊髄反射で血を吐きます(なんで?)。
補足ですが、皐月は中型免許を持ってます。他には、愛菜が持ってたりしますね。というか、あれか。車の免許持ってる人書いとくか。
えー、というわけで、らいばーほーむメンバーの免許事情!
・桜木愛菜→中型自動車免許所持
・城ケ崎皐月→中型自動車免許、大型二輪免許所持
・四十万俊道→普通自動車免許、普通自動二輪免許所持
・東雲栞→原付免許所持
・四季ミレーネ→原付免許所持
・獅子王冬夜→原付免許所持
・戸隠恋雪→なし。そもそも、外出ないし、大体タクシー使ってる
・友成杏実→普通自動二輪免許所持
・琴石寧々→普通自動車免許所持
・百合園千鶴→普通自動車免許所持(車は持ってない)
・桜木椎菜→あるわけがない
・不知火双葉→普通自動車免許所持
・雨寺美鈴→なし。けど、なぜか大体の乗り物は運転できる
・四月一日小夜→なし
・高宮柊→あるわけがないんだよなぁ
大体こんな感じ。
シスコンは、取れる免許は全部取りたいとか思ってます。
ヘリとか。




