イベント2日目#ステージ『ラストステージ! どの箱にも配信者にも負けない重大発表のシークレットステージ!』:5 VTuberのイベントなのに革命が起こってるステージ
遂にジャンルが行方不明に。
ステージ上がそれはもうカオスになり、お披露目であるはずの司はなぜか既にかなりの疲れを見せ始め、たつなの方は恥ずかしさで瀕死になると言う事態が発生しつつも、ステージは進行する。
「くっ、殺せっ……!」
「たつなさん、くっころ騎士になるのはいいんですけど、さすがにあたしだけで司会進行は無理です」
「それが普段から味わっている私の苦悩だよ、デレーナ君。こういう時くらい、私に頼らず、おぎゃらず、そしておぎゃらずに一人で司会進行してくれてもいいんだよ?」
「おぎゃらないのは無理です。みたまママが魅力的過ぎるので、みたまママの母性や可愛いの攻撃を耐えることなど、人類には不可能です」
「司君。どうだい? 今すぐ私と一緒に司会進行、しないかい?」
「新人の俺に何無理難題ふっかけようとしてんですか!?」
【やべぇ、たつな様がちょっと壊れとるwww】
【どんだけ信頼してるんだよ新人君のことww】
【しれっととんでもない地獄をやらせようとしてて草生える】
【ツンデレちゃんはもうだめだろ、これ】
【人として終わっちゃったもの】
「まあ、今後全員コラボの際は司に司会進行をたつなと一緒にしてもらうとして」
「社長!?」
「まあ、司君なら適任だよね☆」
「うんうん、司っちなら問題ないっしょ」
「むしろ、そっちの方がいいまであるぞ!」
「なんで俺への信頼がそんなに高いんですかッ……!」
最早新人にする期待ではない。
司の両肩には、らいばーほーむの先輩たち全員からの期待と言う名の重しがのしかかりまくる。
【マジで期待されまくってるww】
【未だかつて、ここまで期待された新人ライバーがいただろうか。いやいない】
【他の箱でもここまでの信頼はないなぁ……】
【新人君、何者】
「さて、雑談もいいが、これ以上話すと次の発表ができなくなるのでここで一旦切らせてくれ」
「あっ、そ、そうです、ねっ! わ、わたしが喜ぶ、もの、が気になり、ますっ……!」
「そうですねぇ~。私も少し興味がありますねぇ~」
「それを言うならあたしもね。うさぎって時点で、間違いなくゲーム関連ではあるでしょうけど……」
「ふむ、いい線行ってるね。ともあれ、だ。まあ、なんだ。正直なところ、四期生を先に出すか、次の情報を先に出すかで実は迷ったんだ」
「そうなんですか?」
桔梗のその発言に、みたまがこてんと首を傾げながらそう返す。
「まあね。というかまあ……うん。下手したら炎上しかねないというか……」
「ちょっと待ってください。社長、本当に何を発表しようとしてるんですか?」
「あたしたちらいばーほーむですら炎上するレベルなんですか?」
「うん。人によっては炎上する。まあでも、大半は興奮するんじゃないかな。あ、誰か。うさぎがいつぶっ倒れてもいいように、近くにスタンバっててくれるか?」
「あ、じゃあ、私が支えるよ☆ 私なら、余裕だしね!」
「安心感が違うな……」
「あの、そこまですごいものなのですか? わたくし、あまりこういうことには疎く」
「あー、うん。そうだねぇ……おそらく、このステージを見ている人たちの中には、ライトノベルが好きな人もかなりいることだろう。その内のジャンルの物がなんか実現しちゃったと言うか、ね。うんまあ、そんな感じ」
どうにも煮え切らない言い方をする桔梗。
それだけじゃハテナしか出てこないのだが、うさぎは察しがよかった。
「へ!? ま、まさか、ほ、本当にそう、なんですか!?」
「うさぎさん、何かわかったのー?」
「あらあら、うさぎ様がかなり驚かれておりますね。よほどなのですか?」
【うさぎちゃん察しがいいのかな?】
【ん~、わからん!】
【ラノベ、ラノベかぁ……ラノベのジャンル……】
【何かあったっけ?】
【実現って言ってる以上、間違いなく今まで実現すらしていなかった物ってことだよね? なんだろ】
【方向性的にはSFとか?】
「さて、準備が終わったようなので、こちらの映像を見てくれ」
とりあえず、みりゃわかるよ、と言わんばかりのセリフと共に、再び会場内の照明が落ちた。
証明が落ちてからほどなくして、画面に何かが映し出され始める。
それは映像のようだが、まだ暗く、よくはわからない。
が、次第にそれの存在がはっきりと映し出されていく。
そこに映し出されたのは、何かのゴーグルと手袋だった。
その時点で何かを察したようで、会場内でどよめきが起こる。
【なんこれ?】
【VRゴーグルっぽいけど……】
【……VR?】
【あっ、えっ、そっち!?】
【ちょいちょいちょいちょい!? え、本気でそれ言ってんの!? マジでェ!?】
そこから場面は切り替わり、一人の男性が現れ、そのゴーグルを頭に装着し、手袋を付け、ベッドに横になったシーンが映される。
この時点でどよめきがさらに強くなり、中には悲鳴のようなものも上がるほどである。
この時点で察しのいい人たちは気付いており、目を丸くしてポカーンとした表情を浮かべて映像を見つめる。
尚、うさぎはものすっごい興奮してるのか、ものすごく震えている。
そして、プツン、と画面が暗転。
何かの事故かと思ったのも束の間、今度は近未来な世界が映し出され、そこに大勢で且つ多種多様な外見をした人たちが楽しそうに動き回る様子が映し出された。
それだけではなく、どこかの草原や城のような場所、果ては宇宙やら、かと思えばファンタジーな世界だったりと、それはもう色々な場所が映像として流れた。
しかもよく見ればそれらは全て、一人称で動いているようで、誰かの視点であった。
そして映像が再度暗転し、先ほどのゴーグルと手袋が映し出され……
『仮想現実体感型ゲーム機、New Era 三月二十日発売』
と表示された。
その瞬間、会場内から一気に歓声やら悲鳴やら、どよめきやら、それはもう様々な反応がそこかしこから上がる。
そこで映像が終了し、照明が点く。
「えー、はい。というわけで、世界初のフルダイブ型ゲーム機、New Eraが発売されます」
【ハアァァァァァ!?】
【いやいやいやいや!!? え、えぇぇ!? うえぇぇぇぇぇ!?】
【待って待って!? マジで頭が追い付かないって!】
【とりあえずこれだけは言わせてくれ! マジで発表する場所間違ってんだろ!?】
「社長! これマジなのか!?」
「あぁ、マジだよ、刀」
「ん、これは予想外……いや待って、本当に予想外過ぎる。現実?」
「現実だ。いるか」
「うっそぉ……え、本当にこんなことが? いやもう、ラノベ作家だし、たまにそっち方面書いてたけど……いやほんとになでここで発表してるんですか!? これ、絶対違いますよね!? 普通、VTuberのイベントでこんな世界的にも重大な情報発表しますか!?」
「あぁっ! さすがのデレーナ君も本気のツッコミを! いや、本当におかしいのは同意だが!」
「うん、そう言われるのは織り込み済み。で、ひかり。うさぎの方は……」
「――我が生涯に一片の悔いなし。きゅぅ……」
「社長、うさぎちゃん、死にました」
「だよね!」
【いやそりゃそうなるでしょ!?】
【だって、うさぎちゃん無類のゲーム好きじゃん!? 廃人じゃん!? こんな夢のようなもんが出て来るってわかったら、そりゃあそうなるでしょ!?】
【うさぎちゃーん! まだ始まってすらいないよー! 起きてーーーーー!】
「えーはい、騒がしくなったが、一旦落ち着いてくれ」
「落ち着く方が無理だぞ!?」
「そ、そう、だよねっ……わたしも、その、驚き過ぎちゃって、えと、心臓が……」
「わかるぞ、みたまよっ! 我も驚き過ぎて、素の方が出そうになったのじゃ!」
「あらあら、このような物が実現したのですね。人の子の進歩は目覚ましい物があります」
突如として発表された、フルダイブ方ゲーム機の発表に、らいばーほーむの面々もそれぞれの反応を示したが、うさぎは死んでいた。
らいばーほーむで一番のゲーム好きなうさぎなので、ある意味当然と言えるだろう。
「あー、うさぎ。とりあえず、起きるように。まだプレイしていないだろうに。というか、ここからが本番だから」
「ハッ!? す、すみませぇん……その、感極まって心臓が停止しちゃいましたぁ……」
「おおぅ、やっぱりらいばーほーむは心臓が止る人が多いぜー。まあ、うちもみたまちゃん相手なら止まるけども」
「それはそれでおかしいと思うなぁ、いなりおかぁたま……」
【心臓が止まるのって、よくあることなんだなー(遠い目)】
【らいばーほーむではまあ、よく見かけるし……】
【少なくともこのステージでたつな様も止まってたんだよなぁww】
【おかしいww】
「さて、ここから説明と行こうか。まず、大多数が思っているであろう、なぜらいばーほーむのイベントで発表したかだが……元々、VTuberとのタイアップを考えていたんだ」
「む? それならば、我ら以外でもよかったのではないか?」
「そうですわね。少なからず、らいばーほーむでなくともよろしかったのではなくて?」
「リリスとかざりの言う通りだ。だがまあ、ほら、世界初、しかも電脳空間にフルダイブするような得体のしれない技術。いくら創作物の中ではそれが数多く存在しているとはいえ、現実でいざタイアップしてください! と言われても、難色を示すのが普通だろう。実際、他の所には断られたそうでね。で、ウチが受けた」
「社長、それって他の事務所は自分たちのライバーの身の安全を思って断った感じに見えるんですが……社長はなぜ受けたんですか?」
「利益もそうだが……ぶっちゃけた話。君らほぼ全員、ノリノリでやりたがるだろう」
たつなの質問に桔梗がそう返すと……。
「そりゃそうじゃろ! ある意味、アニメ好きの夢じゃろ!」
「こんな面白そうなことが出来るとか最高だぜ!」
「まあ、楽しそうではあるかな」
「いやぁ、ウチもこーゆーのはほんとに実現して嬉しいし、真っ先にやりたいし!」
「こんな楽しそうなの、安全性の心配でー、なんて理由で安全性が広まるまで待つとかオタクとしてはどうかと思うなー」
「人類の進歩を一番乗りで味わおうとしないのはちょっと神経を疑いますぅ!」
「あたしもラノベ作家だし、憧れがあったから参加したいわ」
「絶対参加するぞ! 面白そうだし! 夢だったからね! むしろ、参加しない理由なんてないぞ!」
「ん、断るのは絶対ない」
「電脳空間ならなんでもありですからねぇ~~~!」
「わ、わたしはちょっと怖いけど、でも、すっごく楽しそうだなって思いますっ」
「大丈夫だよみたまちゃん! 私が安全性を速攻で確かめるからね!」
「ほらね? ちなみに四期生の諸君は?」
「最高ですわ!」
「うふふ、このようなとても楽しそうなことに参加できるのであれば、参加しない手はありません」
「もち! うちもクリエイターだし、参加しねぇわけがねぇですよ!」
「あー、まあ、俺も楽しそうかなと」
らいばーほーむ全員が前向きどころかノリノリに返した。
【全員ノリノリで草】
【そりゃあらいばーほーむだもんなぁww】
【安全性がわからない? うるせぇ! 楽しむんだよ! とでも言わんばかり】
【さすがだぁ……】
「これが理由だ。そして、タイアップと言うからには当然、らいばーほーむのメンバーは優先的に入手が可能と言うか……まあれだよ、器材譲るから、広告塔になってね! とのことらしい」
「え、くれるんですかぁ!?」
「あぁ。このNew Eraだが、実は自前の3Dモデルでダイブすることが可能になっていてね。それを活用して中で遊べるんだよ。そこで、配信をしてもらいたいらしい。つまり、VirtualYoutuberから、Virtualidolに変化するようなものかな。なんせ、電脳空間内ではそのモデルと握手などの行為が実現するわけだからね。そう言った背景もあり、タイアップの契約をしたらいばーほーむに所属するメンバー全員に、器材が送られるらしい」
と、桔梗がそう言った瞬間、会場内が一気にざわついた。
それはコメ欄も例外ではない。
【たしかにそうか!】
【つまり、何か? 今までは画面の中の存在だったVTuberが、この機械を通すことで実際に触れ合えるようになる、と?】
【何それ神かよ!?】
【マジで革命じゃねぇか!?】
【絶対欲しぃぃぃぃ!】
「ちなみに、私が3Dモデルを作ったのもそれが理由だし、四期生のモデルがあるのもこのイベントのためでもあるが、そのタイアップのためでもある」
「赤裸々ですね!?」
「俺たちのモデルの用意の早さってそれが理由なのか……」
「というわけで、ここからはこの情報について話そうか。というか、時間も大分ないからね。これが最後になる。心して聞いて欲しい」
真面目でありつつも、どこかワクワクとした様子で桔梗はそう切り出した。
というわけで、フルダイブ型ゲーム機です。
VTuber物とは? まあ、既にファンタジーってたし、元々かなり前からやるかもしれない、みたいなことは言ってたのでね! あと、私が我慢できんかった! もう、好き勝手自由にやってるから、今更だね!




