イベント2日目#ステージ『ラストステージ! どの箱にも配信者にも負けない重大発表のシークレットステージ!』:3 サプライズで喜ばされると、人は夢と現実の境がわからなくなる
「では、早速大本命の一つの発表と行こう! まずは、こちらの映像を見てくれたまえ!」
そう言うと、館内の照明と画面が消え、一気に暗くなる。
「ひぃ!? な、なな、なんですかぁっ!? く、暗く、なっちゃい、ましたぁ……!?」
「お、おおぅ、ものすごく真っ暗だぞ」
「あの社長、すっごい暗いです」
「まあまあ、静かに。ほら、始まるよ」
【なんも見えねぇww】
【っていうか、照明を消す意味は!?】
【何が始まるんだ?】
【やっぱらいばーほーむメンバー全員何も知らんのかww】
と、突然暗くなったことで、会場やコメ欄が一気に騒がしくなる。
らいばーほーむにおいて、こういったイベント自体は昨年のイベントくらいであり、それでも今回のように館内の照明を落とすほどには至っていない。
そのため、今回はかなり異色であると言えよう。
そんな真っ暗になった画面に、何かが映し出され始めた。
『あ、なんか出て来た』
『ん? 人かな? なんだろあれ』
『なぜにシルエット』
【あれ? らいばーほーむメンバーじゃなくて、なんか見たことないシルエットが四つ並んでない?】
【というかこれ……え、まさか!?】
【オイオイオイ!? マジで!? マジで言ってますぅ!?】
【なんだなんだ!? 何が起こるってんだ!?】
先ほどまで映っていたらいばーほーむメンバーではなく、全く知らない謎の人型のシルエットが四つ映し出された。
よく見ればそれらはかなり特徴的なシルエットをしている。
こうした状況から、来場者や視聴者たちは四人のシルエットが四期生なのではないか、と予想がされ始める。
その結果は……。
「さぁ、現在画面には四つのシルエットが映っているかと思う。ここで焦らしに焦らしてもいいとは私も思うのだが……正直、私が一番この四人が見たい! なのでちゃっちゃか進める! 既に予想している人もいることだろう。では解答と行こう! 四人とも、出番だ!」
社長がそれはもう高いテンションでそう叫ぶと、シルエットが外れ、画面には別の場所が映し出された。
そこは、らいばーほーむメンバーが映し出されていたパーティールームのような場所ではなく、どこかファンタジーな場所であった。
そこには三名の女性アバターと、一名の男性アバターが表示。
するとどうだろうか。
会場内が一気に湧いた。
『マジかぁ!?』
『え、あれ四期生? 四期生だよね!? このタイミングでぇ!?』
『相変わらずクオリティがたけぇ!?』
【やっぱこれ四期生じゃねぇか!?】
【マジでマジで!? だって、四期生の募集があったの、先月だよね!? なんか動きが早すぎるだろ!】
【こっわ!? マジでこっわ!?】
【らいばーほーむだけ絶対物理法則とか違う世界で生きてるだろ……】
【何はともあれ、どんなキャラだこれ!?】
【っていうか、約一名見たことがあるデザインしてる気がするんですが】
「というわけで、見ての通りではあるが……って、ん? どうしたんだい? らいばーほーむの諸君」
「――――」
「社長! 大変です! たつなさんが安らかな笑みで倒れました!」
「たつなよ、しっかりするのじゃ! まだ自己紹介すらされとらんぞ!? おぬし、楽しみにしておったではないか! 一人宴するレベルで!」
「ちょいちょいちょい! ほんとに息してないんよ!? しゃちょー! これ、やりすぎっしょ!」
「~~~~~っ!?」
「なんかみたまちゃんもすっごいぷるぷるしてるぞ!?」
「みたまちゃんどうしたの!? 何かあった!? もしかして、あの中に不埒物でもいるの!? お姉ちゃん、処してくるよ!?」
「ち、違うからっ! だ、大丈夫だよぉっ……!」
「いやぁ、サプライズだったんだが……まさか、たつなが死ぬとは」
現状、画面にはらいばーほーむの面々はうつっていないが、声はバリバリに入っている。
その間、社長が固まりまくったらいばーほーむの面々に声をかけると、たつなが安らかな笑みで倒れると言う事態が発生し、それはもう大騒ぎになっていた。
【たつな様ぁ!?】
【あれか、サプライズ常識人追加で感極まったのか!?】
【お労しすぎるだろwww】
【表示されるだけで死亡するのはほんとに面白すぎるwww】
【たつな様しっかり!】
【何気にみたまちゃんも何かあったっぽいんだが】
【もしかして知り合いでもいたのかな?】
【だとしたら、左から二番目のアレとか……】
「――ハッ! す、すまない、自分に都合のいい夢を見てしまったようだ……。夢の中で、私が待ち望んでいた四期生の常識人がいたように見えてね。どうやら疲れているようだ……」
「たつな、夢ではなく現実だ。ほら、見るといい。君がずっと欲しがっていた。壊れない常識人だ」
「おもちゃみたいな言い方になってます、社長」
「らいばーほーむの常識人はほら、壊れたらデレーナになるから」
「どういうことですか!?」
「というか、先へ進んだ方がいいんじゃないかなー。ほら、新人さんたちを待たせるのはねー」
「おっと、それもそうだ。たつな、一旦深呼吸」
「すぅ、はぁ……すぅ~~~~~、はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~」
【吐きが長すぎるwww】
【よっぽど動転しているらしい】
【こういうところを見ると、たつな様もらいばーほーむだと思わされるわぁ】
「よし、覚悟の準備はできた」
「なんか違う気がするぞ」
「ん、あれは本気。気にしたら負け、はつき」
「たしかに!」
「では、早速自己紹介をしてもらおうか! まずは、正面向かって右手の君! はい、自己紹介!」
一瞬死んだたつなに関するあれこれの後、社長が話を戻し、画面向かって右にいる紫色の髪に、両肩が剥き出し状態になっているデザインの着物を着た女性アバターに振られた。
「らいばーほーむファンの皆様、ごきげんよう! この度、らいばーほーむ四期生として活動をさせていただくことになりました、夜久嬢かざりですわ! これからよろしくお願いいたします!」
「というわけで、四期生の夜久嬢かざりだ。モチーフはまあ、極道」
【極道系なのかww】
【その割に話し方がお嬢様言葉で笑う】
【綺麗系の声かな? 可愛いってよりはそっちっぽい】
【いいねいいね!】
【どんな配信をするか楽しみだ!】
「では続いて、その隣のメイド服の君、自己紹介」
続いてふれられたのは、黒髪ボブカットのメイド服を着た女性アバターである。
デザインとしては、クラシカル系のメイド服がベースになっており、とても落ち着いた雰囲気がある。
「皆様お初にお目にかかります。らいばーほーむ四期生として活動をさせていただくことになりました。弩めいと申します。お見知りおきいただければ幸いでございす」
「というわけで、四期生の弩めいだ。モチーフは見ての通りメイドだね」
【メイド! メイドだぁぁぁぁ!】
【すっげぇ綺麗な声してる!】
【なんか癒されるわぁ……】
【なんだろう、メイドなのに、どこか神々しさがある気がするぜ】
【露出が少ないタイプのメイド服アバターは珍しいなぁ】
【すっごい綺麗でいいね! 似合ってる!!】
【極道お嬢の次がメイドは面白いなww】
【ってか、弩めい……あっ、メイドってこと!?】
「さぁ、その隣の明らかにどこかで見たことがあるようデザインの君、自己紹介を」
次に振られたのは、黒髪セミロングで、どこか神薙みたまの面影がある狐耳に狐尻尾が生えた可愛いと綺麗の中間のデザインな女性アバター。
「なんかうちだけ適当じゃねぇですかね! まあいいですけど! というわけで、みなさん初めまして……ではなく、こんにちは! 四期生として活動することになりました、神薙いなりです! よろしくお願いしまーす!」
【ちょっと待てや!?】
【おいこれ、どう見てもわたもちママじゃねぇか!】
【何してんのアンタぁ!?】
【神薙いなりって、隠す気ないやんけ!】
【くっそwww】
【なんで既に所属してるライバーのママがライバーになってんだよwww】
「はい、お気づきの人も多いだろう。見ての通り、この狐巫女は三期生神薙みたまのママである、わたもちさんだね。四期生として、正式に活動することになった。まあ、思うところはあるかもしれないが……正直、らいばーほーむ適正高いのでね」
まさかの人物が四期生にいたとあって、会場内だけでなくコメ欄でも大きくざわつく。
なんせ、まさかのライバーのママが四期生になっているのだから、それはもう騒ぎになるだろうが……まあ、らいばーほーむだし、そもそも今までの配信でも普通に混ざってたのもあり、大して問題視されていないのだが。
「というわけで、最後。一番左に君。自己紹介を頼むよ」
わたもちこと、いなりの自己紹介が終わり、次に振られたのは、神主のような衣装を着た、少し長めで癖のある青みがかった銀髪をした、高校生くらいの男性アバターだ。
「会場内、もしくは別の場所から配信を見ている人たち、初めまして。らいばーほーむ四期生として活動することになりました。凪神司です」
「はい、彼は四期生の男性ライバー枠の、凪神司だ。見ての通り、神主がモデルだね」
【男! 今回はちゃんとした男がいるぅぅぅぅ!】
【結構いい声してる!!】
【イケメンの声っ! 素晴らしいわ!】
【刀君と暁きゅんとは違う方向性のイケメン君! 最高じゃない!】
【やべぇ! 腐の者が既に湧きだしたぞ!?】
【可哀そうに……】
【それにしても、なぜかこの男性ライバー、妙にこう、落ち着いてるな?】
【たしかに】
【らいばーほーむに入ってくる男性ライバーは基本イカレてるからなぁ。この新人君もきっと何からいばーほーむってるんだろう】
「以上が新規にらいばーほーむで活動していく、四期生諸君だ。はい、画面戻してー。はいOK。というわけで、スタッフ。3Dモデルの方に変更」
【もう3Dあるのか!?】
【なんであるんだよwww】
【マジで仕事が早すぎて草】
【やっぱ時間の流れとかおかしくなってません?】
募集と選考が先月末までだったにもかかわらず、既に3Dモデルがあると言う状況に、会場やらコメ欄で総ツッコミが入る。
しかも、本当に画面に四人の3Dモデルが映し出されている辺り、ガチである。
「えー、というわけで、四期生の四人、適当に座ってくれたまえ。場所的には三期生の横……まあ、一番端っこにいるみたまの隣から先がいいかな。まあ、順番は適当に……」
「「「……」」」
「あー、君たち。なぜ、睨み合ってるのかな?」
桔梗がみたまの隣から先に座るように言うと、かざり、めい、いなりの三名がなぜかにこやか~に睨み合っていた。
【なんで睨み合ってるんだよwww】
【わたもちママこと、いなりちゃんはみたまちゃんのママだからあれだけど……他の二人はなぜ!】
【みたまちゃん好きか!?】
【どう見てもそうだわこれ】
【ってか、男の方は苦い顔になっとる】
【誰が常識人枠なんだろうって思ったがこれ、まさかとは思うが……】
「なんか、みたまっちの隣の席を取り合う感じになってんね?」
「わたもちさん改め、いなりちゃんはみたまっちゃんのママだからねぇ! あと、みたま警察のトップだし、仕方ないよね! 他の二人は……ふむ! 熱烈なみたまちゃん推しと見た! 素晴らしい!」
「いやそれなにも素晴らしくないよ!? 主に私が!」
「なるほどぉ~、みたまちゃん推しですねぇ~。であれば、さぞかし素晴らしいみたまちゃんマニアなのでしょうねぇ~」
「わたしのマニアって何!?」
「んまー、みたまちゃんだからねー。マニアはいっぱいいるよー」
「意味がわからないよぉっ……!」
なぜか自分にマニアがいると言われ、みたまは困惑した。
「全員みたま様を希望しているようですわね……ですがっ! みたま様の隣という、この世で最も尊き席をみすみす逃すなど、わたくしにはできませんわ!」
「あらあら、それは私も同じです。私もそちらの至高の席に座りたく思います」
「あ、うちも! っていうか、うちはみたまちゃんのママぞ! ここはやっぱり、みたまちゃんの隣はうちがいいのでは!」
「な、なんで三人とも僕の隣に行こうとしてるの!? あと、えと、みたま様ってなんでぇ!?」
【草】
【草】
【草】
【これは酷いww】
【おかしい、まだ自己紹介しかしていないハズなのに、既に三人が濃い……!】
【というか、一人みたま様呼びなのが草だし、尊き席はほんとうに笑うんよ】
「……俺、これにツッコミを入れる、のか……」
「地獄へようこそ、司君」
「たつなさん、すっごいいい笑顔ですね……」
「HAHAHA! 何を言うんだい! 私はいつもこんな感じじゃないか!」
「絶対違うと思うんですが!?」
明らかにアレな同期たちを見て、司はものすごく苦い顔を浮かべ、いつの間にか近くにやって来ていたたつながそれはもういい笑顔でとんでもないことを言っていた。
【ねぇ今回の常識人枠ってこれ……】
【言うなっ……】
【そっちかぁ……】
【たつな様メッチャいい笑顔してて草】
【男の方はなんかちょっとアレだけど】
【なんか、四期生ヤバそうだな……】
ようやく、ようやく四期生を出すことができましたッ……!
いやもう、ほんとに長かったっ……3.5期生として出すはずだったわたもちママが、結局四期生として出てきてしまいましたが、まあ、そこはいいでしょう。らいばーほーむが頑張ったと言うことで。
元々、四期生自体はわたもちママくらいしか決まってなかったんですが、ある時柊を入れることになって、残り二人をどうしようどうしようと思っていたんですが、あぁそうだ、お嬢とメイドでいいじゃん、ってなって残り二人が決まった、と言う経緯があります。
四期生が増えて、今まで以上に書くのが大変になりそうですが……うんまあ、未来の私が頑張るよね! 頑張って! 未来の私ぃ!




