イベント2日目#ステージ『ラストステージ! どの箱にも配信者にも負けない重大発表のシークレットステージ!』:2 軽めのジャブの発表なのになぜかちょっと濃い人
初手から既に騒がしい自己紹介を終えた一同は、たつなとデレーナの進行でステージが進む。
「というわけで、全員の自己紹介が終わったとことで、シークレットステージを進めて行こうと思うんだが……私たちがそもそも何をするのか伝えられているわけではないからね。正直、進めようがなかったりする」
「マジで知らねぇんだよなぁ。ってか、社長何も言わなかったしな!」
「んねー、ウチ、めっちゃ楽しみだったんだけど、ぜーんぜん情報が無くて、ドッキドキだし!」
「ん、きっと大きな何かがあるはず」
たつなのセリフに、刀、いくま、いるかの三名がそう答える。
会場内でも未だに何も知らされていないライバーたちに、来場者たちがざわざわする。
【まだ知らされてないの!?】
【マジで何するんだ、このステージ……】
【てっきり、誰か一人は知ってるんじゃ? と思ってたのに、全然知らないところを見ると……うぅむ、本当にヤバいのかも?】
【とりあえず、物販を売ってほしいなぁ。オンラインで】
【それはマジでわかる】
「あ、たつなさん、カンペが来ましたよ」
「本当だね。どれ……なるほどなるほど? ……えっ、第一陣? 第一陣って何!?」
「どしたん? たつなちゃん」
「な、何か、ありました、か……?」
「あ、いや、なんと言うか……どうやら、今日この場では複数の発表があるらしい」
「へぇ! 複数! すっごく気になるぞ!」
「だねー。でも、らいばーほーむだし、きっとすごいんだろうなー」
複数の発表がるとわかると、らいばーほーむ全員がわくわくとした様子に。
反対に、会場と視聴者たちの反応と言えば、わくわくもあるにはあるのだが、それ以上に恐怖心が勝っていた。
【あの、小出しに出される情報がめっちゃ怖いんですけど】
【まあ、うん、たしかに怖い】
【にしても複数かぁ……】
「えー、まあ、はい。とりあえず、一番軽い情報から発表して行こうか。スタッフの方、準備は大丈夫かな? あ、大丈夫。では……えー、まずは一つ目の発表から! 最初は……これだ!」
デンッ! と言う効果音と共に、とある告知が映し出された。
「らいばーほーむ公式オンラインショップが開設決定――――――!」
『『『おおおおおおおおおおお!?』』』
【マジでェェェェェ?!】
【オンラインショップ開設されんの!? ほんと!?】
【ヤッタァァァァァ!!!】
【ありがてぇ、ありがてぇっ……!】
「オンラインショップ、できるんですね」
「どうやらそうらしい。……さて、これについての説明をするわけだが……えー、まあ、うん」
「たつなおねぇたま、すっごく変な顔をしてるけど、どうしたの?」
「なんだか苦い顔ですねぇ~。何かあったんですかぁ~?」
何やら微妙な表情をしているたつなに、みたまとロリコンの両名がそれに疑問符を浮かべつつ、どうしたのかと尋ねる。
「これに関しては私も想定外なので……はい、というわけで、出てきてくださいーい」
「たつなさん、すごい適当ですけど、一体誰が……」
と、たつなの言葉に首を傾げるデレーナだったが、その直後である。
突然、謎の3Dモデルが画面の中に現れた。
黒髪ポニーテールの美人系モデルであり、服装はなぜかスーツであった。
地味にスタイルがいいのもアレ。
『『『うん!?』』』
その謎の人物が出てきた瞬間、たつな以外のメンバー全員がそのモデルに注目し、同時に驚きの表情を見せた。
『え、誰?』
『誰だろ、あの人……』
『でもなんか見たことがある気が……』
【なんか知らん人が出て来てワロタwww】
【誰ェ?】
【どうしよう、マジで知らん人が出て来たんだけど】
「ふむ、驚き半分疑問符半分と言ったところかな。さて、らいばーほーむメンバーは私を知っているだろうが、きっと会場、そして配信でこれを視聴している人たちは知らないだろう。初めまして。こうして公の場に出るのは、おそらく今回が初な……らいばーほーむ社長、雲切桔梗だ」
そのモデルは、口を開くなりそんなことを告げた。
そう、この謎のモデルの中身は、らいばーほーむの社長、桔梗だったのである。
『『『ええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』』』
結果、それはもう会場内では驚愕の声が上がりまくった。
まさか、社長本人が出るとは思っていなかったので。
【社長―――――――――!?】
【なんで社長!? いやマジでなんで!?】
【イベント会場の主が遂にイベントにも干渉して来たぞ!?】
【社長なんだからイベントには最初っから干渉してるんだよなぁ……】
【何する気だ、社長!?】
「ははは! なかなかに驚かれているようだね。というわけで、このシークレットステージのプレゼンターとして出演させてもらうよ。というわけなので、たつな、デレーナ、二人ともこのステージ中は頑張ってくれたまえ。私のことは、同じライバー……いやそれだと私が邪魔だな……路傍の石ころだと思ってくれたまえ」
「社長相手にできるわけないですが!?」
「あと、自分のこと路傍の石ころは言い過ぎたと思います!」
「いや考えてみよう? 推しと同じ空間でいるだけで、らいばーほーむを一番のファンと言っても過言ではない私からすれば、畏れ多いんだよッ……! 私など、君たちと言う至高の存在たちと比べると、そこら辺の石ころだ!」
胸元を握りしめる素振りをしつつ、桔梗はそう叫んだ。
【草】
【草】
【あ、これガチな奴だ】
【社長が一番ファンなのは、まあ、うん。社長だし……】
【あれ? この社長面白いぞ?】
【どんな人かよくわからなかったけど、これはあれだ。シスコンのみたまちゃんへの愛がらいばーほーむ全員に行ってるパターンのあれだ】
「ってか、社長、自分の3Dモデルあったんだねぇ」
「そうじゃな。予想外なのじゃ」
「これも、私の夢……というのもあるにはあるが、実際のところは今日発表する物の内の一つが大きく関わっていてね。それに、情報を全て知っているのは、今のところ私のみだ」
「そ、そんなに、すごい、んです、か……?」
「もちろんだとも。そうだね……軽くぽろっとすると、おそらくその発表に関して、一番喜ぶのはうさぎだと思うね」
「わ、わたし、です、か……?」
「あぁ。なので、楽しみにしていて欲しい。あとはまぁ……別の方面では、たつなが狂喜乱舞するかもしれないね」
「私も……? 社長、本当に何する気ですか……」
うさぎとたつなの両名が名指しで喜ぶだろうと言われ、うさぎはどこかおどおど。
たつなの方は全く意味がわからず、どこか訝しんだ表情である。
【なぜにその二人】
【ってか、社長の言い方からして、二人が喜ぶ物は別々っぽいな……】
【気になるゥゥゥ!】
【それよりも、オンラインショップの方!】
「なんか意外な二人が喜びそうなんだな」
「ですねー。うさぎさんはともかく、たつなさんが喜ぶって何でしょうねー」
「ん、わからない」
「はは! それはまた後で、だ。それよりもまずは、オンラインショップについての概要を説明させてもらうよ。あぁ、都度聴いてくれていいからね、諸君」
にこっとそう言う桔梗は、とても楽しそうである。
実際のところ、桔梗の心の内はそれはもう狂喜乱舞しているので、それはそうなのだが。
「元々公式オンラインショップというのは、昨年の段階で存在していてね。どのような形にするか、何を売り出すか、ということで話し合いが続けられていたんだ。そして、企画が先に進んだのは大体八月頃」
「それって、私たちが入った月ですよねぇ~?」
「たしかに! じゃあ、はつきたちって結構いいタイミングだったってこと?」
「いや、実は先に進んだ理由は三期生が入ってくるからだったんだよ。もっと言えば……我が社のリーサルウェポンがいたからかな」
『『『あぁ~~~~』』』
「あ、あの、なんでみなさんわたしを見るんですか……?」
桔梗の説明に、みたま以外のライバー全員が納得と言わんばかりにみたまを見ながら納得の声を零す。
みたまは理由がわからず、どこか困り顔だ。
【リーサルウェポンは草】
【みたまちゃんの扱いが兵器なのはほんとに笑うんよ】
【VTuberにする扱いじゃないんだよなぁ】
【↑それもう散々言われまくってるので……】
「ともあれ、オンラインショップだったね。オンラインショップでは、昨年のグッズも販売する予定だ。そして当然……昨日今日で、会場内で販売されていたグッズ、全てをオンラインショップで販売する予定だ!」
『『『うおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』』』
【ヤッタァァァァァ!!!】
【マジですか! いいんすか! オンラインショップで買ってもいいんすか?!】
【あなたが神かッ……!】
【マジで神過ぎる!!】
【グッズ欲しかったのに行けなかったから、ほんとに嬉しい……!!】
「すっごい歓声ですね……」
「まあ、かなり人気があったからね。特に個人グッズ系は」
「うんうん、やっぱいろんな人に行き渡ってほしいし! さっすが社長っしょ!」
「ふふふ、お褒めの言葉ありがとう、いくま。そして、おそらく気になっているのは、数量限定かどうか、だね。基本的に、通常のグッズ、クリアファイルやペンなどと言った、汎用グッズ系は常に売り続けるつもりだが、個人グッズの方については……一定周期での受注生産となる。第一陣は今日から一月末まで受け付けるつもりだ」
「ほほう! 受注生産であれば、あぶれる者も少なくなりそうじゃな!」
「ん、これなら転売ヤーも湧かないはず」
「ですねぇ~。転売ヤーという害悪は放置してはいけませんからねぇ~。受注生産であれば問題も出ないでしょうしねぇ~」
【オンラインショップで売り出してくれるだけでなく、受注生産で転売ヤー対策もしてくれてるの!? さすが、らいばーほーむだっ……!】
【なんかもう、どこまでもついていくわ】
【常にファンたちを考えてくれる姿勢がいいよね】
【わかる】
【しかも、ちゃんとライバーたちも大事にしてくれてるのもほんとポイント高い】
「ふむ、かなり喜んでもらえているようで何よりだ。私としても、喜んでくれるファンが多いと言うのはすごく嬉しいものだからね」
目に見えて喜ぶ人が多数いるという光景に、桔梗はそれはもう満足そうな表情を浮かべる。
「詳しい情報については、このあとらいばーほーむの公式サイトを確認してほしい」
「そこは投げるんですね!?」
「いや、この後本当にいっぱいいっぱいでね。正直、やることが多すぎてね。投げさせてほしい」
「そんにいっぱいいっぱいなのか」
「そうだよ、刀。今日のために、色々準備もして来た。そんな中、私のやることは常に膨大……一度は過労死しますよ、と診断されたが、そこはらいばーほーむへの愛だけで過労死という人間の脆弱性を乗り越えたからね」
「「いやそれはおかしい!」」
「「「どうやるの!?」」」
桔梗のとんでも発言に、たつなとデレーナの両名がツッコミを入れた。
が、ひかり、うさぎ、ロリコンの三名が乗り越え方を訊いていた。
【何言ってんだこの社長!?】
【脆弱性? 脆弱性って言った!?】
【過労死するレベルの仕事をしておきながら、脆弱性……? 妙だな……】
【あの、すみません。普通は過労死するレベルの仕事を普通の人はしないし、それを脆弱性とは言わないと思うんですが……】
【なんか、らいばーほーむのライバーと同レベルの狂気を社長から感じるんだけど】
【社長もらいばーほーむであったか……】
【ってか、うさぎちゃんが混じってて草なんだが】
「シスコンとロリコンはともかく、うさぎ君は何を言ってるんだい!?」
「え、だ、だって、か、過労死が無ければ、その、RTAとかで、じ、人外の動きを、習得、できるかな、って思って……ほ、ほら、一生のうち二十五年は睡眠時間、らしい、ので……! そ、その時間が、あれば、TASを超えられる、かな、って思った、ので……」
「君のその廃人思考は不味いと思うよ!?」
「たしかに! はつきもそれなら教えてほしいくらいだぞ!」
「はつきさんまで何言ってるの!?」
「あぁっ、今回はデレーナ君がちゃんとツッコミを……!」
このステージにおいて、ちゃんとツッコミをしてくれているデレーナに、たつなが歓喜した。
「どこで感激してるんですか!?」
「感激ではなく、感涙だよ」
「ん、たしかに泣いてる」
「よ、よっぽど大変だったんだね、たつなおねぇたま……」
ガチで涙を流しているたつなに、みたまは苦笑いである。
たつな的には、みたまは別に悪くないと思ってるし、そもそもやらかさない(萌え殺すことは除く)ので、特に何も思っていないのである。
「普通に考えよ? こんなバケモンみたいな連中のツッコミを一人でやったら、私は過労死するよ? ちょっとは私の胃を考えるとかさ? しようよ、君ら。特に、一期生のアホ共」
「「「無理(じゃな)(だな)!!」」」
「ハハハハハ! 社長、やっぱり私にも過労死しない方法、教えてください」
「なんか、君も大分限界化してないかい?」
「私はデレーナ君がおぎゃった瞬間から、限界化していました」
「にっこり顔で言う事じゃないよね、たつなちゃん」
【たつな様ァっ……!】
【これもう、さっさと四期生の常識人に入ってもらわないと死ぬだろ、胃に穴が空いて】
【酷すぎるwww】
【なんて清々しい笑みなんだ!】
【清々しい笑みなのに、言ってることが本当に酷いww】
「ともあれ、オンラインショップの発表もしたことだし、ここからが本命だ! 全国のらいばーほーむのファンの諸君! 心の準備はいいかーーー!」
『『『Yeahhhhhhhhhhhhh!!!』』』
【いつでも来いッ!】
【心の準備などできてない! だが問題はない! なんとかなる!】
【バッチコイ!】
【社長テンションたけぇぇ!】
【さすがにワクワクして来たぞ!】
【何が来るかな♪】
「いや、なんかすっごいノリいいな……」
「なんで社長がちょっと引いてるんですか……」
「いや私、ライバーではないからね。ちょっとびっくりした」
【草】
【草】
【草】
【待って、やっぱこの人クッソおもろいぞ?】
【もうあんたもライバーやれよwww】
この回を書いて気付きました。これ、絶対5話以上使う奴……多分。頑張って5話くらいに収めたいです。
それから、昨日人気投票の結果を活動報告に上げました。
こちらでは、殿堂入り組がいる上でのトップ3といない状態でのトップ3を書いておきます!
4位以下が気になったら、見てみてね!
【殿堂入り組がいる場合】
1位:神薙みたま
2位:魔乃闇リリス
3位:神薙みま/みお
【殿堂入り抜き】
1位:魔乃闇リリス
2位:春風たつな
3位:高宮柊
となりました!
協力してくださった皆様、本当にありがとうございました!




