イベント2日目#6 いつもより大人しい二人による普通の館内ボイス
クソゲーRTAというステージも終わり、残すところステージは二つ。
実質的なステージはロリピュアだけとなっており、現在進行形で会場内ではレバニラ炒めがそれはもう、出まくっていた。
しかも、フードエリア以外にもレバニラ炒めを食べる人たちがたくさんいた。
明らかにVTuberのイベント会場で見る光景ではないだろう。
現在進行形でトレンド入りしており、その中身は主に『VTuber』『らいばーほーむ』『レバニラ炒め』『核弾頭ちゃん』『ロリピュア』『最強の生物兵器』と言った感じである。
最早VTuberに付くあだ名ではない、というのは意味がないツッコミだろう。
そんな会場内では、次のステージまでの間の館内ボイスが流れることとなる。
続いて出て来るペアは……
《会場にいるロリコンと言う名の同志のみなさん、ゆきふりぃ~~~~! らいばーほーむ三期生、雪ふゆりですよぉ~》
《ロリコンを同志って言っていいの!?》
《え? 同志ですよねぇ~? だって、レバニラ炒めを食べている人がたくさんいる、ということはロリコンということですよねぇ~?》
《圧倒的偏見っ……!》
《とか言いながら、デレーナさんも食べてますよねぇ~、レバニラ炒めぇ~》
《……みたまママたちのステージとか、間違いなく死地だもの……って、あ、べ、別に好きで館内ボイスをしているわけじゃないんだからねっ! らいばーほーむ二期生の、デレーナ・ツァンストラよっ》
《適当すぎませんかぁ~?》
《忘れてたのよっ……!》
ロリコン&おぎゃリストペアであった。
なぜこの二人を持って来た、と言わんばかりの状況に、会場内にいる人たちや、会場の様子を配信で見ている者たちは頭を抱えた。
おぎゃる前はツンデレなだけでまともな常識人だったのに、気が付けば年下の女子高生(TSっ娘)におぎゃってしまう現役人気ラノベ作家と、常にロリコンしており、いつだって頭の中にロリを飼っているらいばーほーむ一の変態の職業不詳なヤバい人である。
ちなみに、らいばーほーむ一の変態はシスコンかと思われがちだが、そもそもあれは次元が違うので、変態だとか変態じゃないかどうかの次元にいない。
よって、シスコンにタメを張れるロリコンがらいばーほーむ一の変態と言われている。
《さてさてぇ~、遂にイベントも折り返しを超えて、残り二つになりましたねぇ~》
《そうね。残ってるのが、みたまママたちのステージと、未だに詳細不明なシークレットっていうステージだけど……っていうか、本当に何をするのかしら?》
《気になりますよねぇ~。社長曰く、かなりすごいこと、らしいんですけどねぇ~》
《まあ、わからないことを話してもしょうがないと思うけどね》
《それは言っちゃだめではぁ~?》
《それよりも、あたしたちからすればみたまママたちのステージの方が大事よッ……!》
《激しく同意》
デスヨネー、と誰もが思った。
というか、デレーナの言葉に力が入り過ぎである。
《だって! あの二人のステージとか絶対死人が出るじゃない!?》
《間違いないですねぇ~》
《というか、生き残る人なんているの? いなくない?》
《いえ、どうやらみたまちゃんたちの激萌え殺人ボイスを聴いても平気な顔をしている方が二名ほどいるそうですよぉ~? あと、ダメージは受けていても普通に生きてる人もいたそうですねぇ~》
《え、なにそれ、人間?》
デレーナ、ふゆりから告げられた情報に、明らかに素の反応でそんな言葉を返した。
普通に酷いことを言っている。
だからうさぎにもディスられるのである。
《それ、既にネット上で散々言われてますねぇ~。生体兵器に勝てる人間がいるんだぁ~、って言う感じにぃ~》
《えぇぇ……》
《たつなさんでも耐えることができないどころか、普通に死んじゃいますからねぇ~》
《あたしも死ぬけどね》
《デレーナさんは既に脳が母性汚染をくらってるので秒で死ぬじゃないですかぁ~》
《くっ、否定できないっ……!》
否定しろよ、と言うツッコミがあちこちから上がったし、コメント欄にもそんなことが書かれていたが、当人は知る由も無し。
《あたしたちが知ってる限りでは、二人が歌って踊るステージとしか知らないのよね……いや、知ってたら楽しみが大幅減しちゃうから知りたくはないけど》
《ロリが二人で歌って踊る、というだけで最高ですよねぇ~~~!? 私としては、最高のカップリングが、最高のステージを演出してくれると信じ切っているんですよぉ~~~~! やはり、ロリ、ロリしか勝ちませんよねぇ~~~!》
《あの二人はちょっと強すぎるけどね……少なくとも、見た人たち全員死ぬと思うし、視聴組もアウトじゃないかしら? もちろん、あたしたちも死ぬわ》
《失血死しないよう、既にレバニラ炒めの貯蔵は十分ですよぉ~》
《当然よね。みたまママたちのステージを見るには、レバニラ炒めが必須……無いと死んでしまうもの。知ってる? 舞台裏というか、楽屋ではライバースタッフ関係なく、全員レバニラ炒め食べてるのよ? しかも、全員一人四人前くらい食べてたし、持ち歩きようのレバニラ炒めも持ってるし》
《いえ、ロリピュア組と言う、この世の誰もが勝てるはずのない存在たちのステージを見るわけですから、当然ではぁ~? 私も十人前くらい持ち歩いてますよぉ~?》
《あたしは七人前ね》
会場内にもレバニラ炒めを持ち歩く者たちがいるが、それ以上に持ち歩いているバカたちがいた。
大多数は、二~四人前程度なのだが、変態達はやはり格が違うようである。
《まあでも、みたまの民ならこれくらい当然ですよねぇ~。あ、すみませ~~ん、レバニラ炒め追加で二人前持って来てくれますかぁ~?》
《あ、あたしも三人前追加で》
《いやぁ~、みたまちゃんたちのステージだと思うと、ついついレバニラ炒めを食べる手が止まらなくなっちゃいますよねぇ~》
《わかる。むしろ、ここで食べておかないと間違いなく死ぬ、っていうのがわかり切ってるからこそ、胃腸たちがいつも以上に消化を促してくるのよね》
《吐血用の器官もフル稼働中ですし、いつでも死寝る準備は整ってますよねぇ~!》
《まあ、それまでの間、あたしたちはこうして館内ボイスで繋げなきゃいけないわけだけど……正直、もうよくない? だって、後ろの方とか、話すことないわよ?》
《それを言ったらおしまいですよぉ~?》
《でも、ネタとかなくない? だって、既に暴れた後よ? あたしたち》
《まあ、気持ちはわかりますけどねぇ~……これくらいのタイミングだと、話すことがほとんどみたまちゃんとかみたまちゃんとかみたまちゃんとかみたまちゃんとかみたまちゃんの話くらいですしねぇ~》
《さすがにそれは話しすぎじゃないかしら?》
《じゃあ、デレーナさんはどんなことを話すんですかぁ~?》
《え? それはまあ……みたまママとか、みたまママ……あと、みたまママとかみたまママくらい?》
《同じじゃないですかぁ~》
《し、仕方ないじゃないっ! あたしの魂は既に、おぎゃってしまってるのよっ……!》
完全に人として……というか、大人として行ってはいけない領域に旅立ってしまっているデレーナに対して、未成年たちは思った。
あんな大人にだけはなりたくない、と。
いくら大人で、ラノベ作家で、VTuberをしているとはいえ、年下に母性を求めておぎゃるような人にはなりたくない、と大体は思うのである。
というか、完全に反面教師にすべき人物だ。
少なくとも、普段はおどおどしているコミュ障うさぎが、毒舌時にデレーナをディスるくらいには、今のデレーナの頭はおかしい。
常識人という肩書は、既に母性汚染により腐り落ちているのだ。
《でも、あれよ。あたしたちはまだみたまママたちの配信前だから、予想したり、事前準備をしたり、他にもレバニラ炒めについての話題が出せるからいいけど、みたまママたちのステージが終わった後の館内ボイスが一番きつくないかしら?》
《たしかにぃ~。たしか、残っているのは……たつなさんと暁さんのお二人でしたねぇ~》
《……なんか、意外な組み合わせよね》
《今回の館内ボイスは普段とは違うペアでやってますからねぇ~。あと、男性陣のお二人が女性ライバーを組んでますからねぇ~。いるかさんとのペアは反則でしたけどぉ~》
《あの声帯模倣、本当に異常だからね……っていうか、腐の人たちが軒並みわからないレベルで生態を模倣してるって、やっぱりすごくない?》
《ですねぇ~。あれ、本当に本人なんじゃないか、ってくらいですからねぇ~》
《まあ、だからこそひかりさんの異常性が際立つんだけど……》
知れば知るほど、あのシスコンの異常性が目立ってくる。
なぜ、魂で判断できるのか。
明らかに人じゃないだろう。
《私はまだ修行が足りず、魂レベルでの感知ができないので、いつかあの領域に行きたいですよねぇ~》
《そこまで行ったらただの変態を超えた人外だと思うわ》
《じゃあ、デレーナさんはなりたくないんですかぁ~?》
《なりたいに決まってるじゃないっ……!》
《ほらぁ~》
《だって、魂レベルで感知できるって、最高じゃないっ! そんな二次元のキャラみたいなことが出来るとか、カッコいいし! 何より、その経験を活かした話も作れる! いいことづくめじゃない!》
聴いても一切いいことづくめには思えないのが、これを聴く者たちである。
というか、魂レベルで感知できるのは普通に恐怖であると言うことに、この二人は気付いていない。
むしろ、それが素晴らしいことだと思っているので……。
思考回路が明らかに常人離れしている。
《デレーナさんはラノベ作家さんですからねぇ~。やっぱり、普段の経験を小説にしてるんですかぁ~?》
《そうね。らいばーほーむは常人じゃない人が多いから、変なキャラを作るのに参考にしてるわ》
あんたも十分変だよ……そう思った人たちが多かったが、誰も口にしなかった。
最早、手遅れな人間に何を言っても無駄だからである。
あと、普通に声が届くことがないので。
《ちなみに、ひかりさんとふゆりさんが一番参考になってるわ》
《そうなんですねぇ~》
《えぇ。……っと、そうだった。このボイスを聴いている人たち、とりあえず、レバニラ炒めはしっかり食べておくこと。うさぎやはつきさんが言っていたけど、本当に死んでしまうかも知れないし、レバニラ補給はしっかりすること。これが大事よ》
《ですねぇ~。私たちも死なないようにレバニラ炒めをたくさん食べるので、みなさんもしっかり食べて、ロリピュアのステージに臨みましょうねぇ~~~~!》
《……そう言えば、今はロリコンとしては大人しいのね?》
《いえ、ここで体力を使ったら、ステージ中にロリコンできなくなっちゃいますのでぇ~》
《さすがのプロロリコンね……!》
この後は、時間が来るまで普通に話して、普通にロリコンして、普通におぎゃリストをして二人の館内ボイスは終わるのであった。
ぶっちゃけ、館内ボイスのネタがないよね。
大体前の方たちでやっちゃった感があるし。というか、本当にいつ終わるんですかねぇ! イベント編ねぇ! さぁ、次は遂にらいばーほーむの最終兵器たちの回です! 作中ではきっと死人が出まくる事でしょうが……私も頑張らねば……!




