イベント2日目#ステージ『いるか×たつな×デレーナ×いくまによる、声真似Yes or No』:4 ギャップ萌えは大事。
あまりにも細かすぎるひっかけ問題でミスった一同。
あのレベルの問題も出てくる可能性があることを考えると、このクイズはかなりの無理ゲーなのではないか、そう思った。
まあ、本当にその通りなのだが。
その後も、数々の爆笑問題が降りかかり、それはもう会場は笑いに包まれていた。
それどころか。あまりにも笑いが次から次へと押し寄せるものだから、今ではほぼ全員が疲労困憊である。
その光景が……
「「「はぁ、はぁっ……くふっ……」」」
それはもう、今にも倒れそうなくらいにふらふらとした様子の三名である。
来場者や配信視聴者たちからは、疲れた表情を浮かべてふらっふらした様子のモデルが見えるのみである。
とはいえ、来場者や視聴者たちの方も三名と同じような感じだ。
なんだったら、みたま耐性保持組の三名も笑い過ぎてかなり腹筋がバッキバキになっているし、ちょっと過呼吸気味。
三名以外にも、超常存在組も同じようなことになっている。
特に天使組が酷いことになっている。
ずっと仕事に次ぐ仕事という日々だったため、いるかの声真似はかなりの衝撃――いや、笑撃だったのだろう。今にも死にそうである。
もっと言えば、笑っていない人がいないほどだ。
それくらい、いるかの声帯模倣クイズは無法であった。
海外のファンもこの配信を見ている、もしくは会場に足を運んでいる者たちもおり、そう言った者たちは何を言っているのかはわからない。
だが、瞬時に、しかも無表情で完璧な声帯模倣をしてくるいるかは、それだけで笑えるようで、言語の壁など関係ないとばかりに笑ってしまうらしい。
「ん、個人的に大分満足した」
「し、死ぬ……こ、これは、人類には早すぎる……」
「人類って言うか……なんか、その、どうあがいても人類じゃ勝てないと思います……」
「わかる……ウチ、マージで酸欠……」
「ん、大丈夫?」
「「「だ、大丈夫に見える?」」」
「もーんだーいない☆」
「「「げほぁっ……!」」」
満身創痍状態でも容赦なく変声をしてくるいるかに、三人は血反吐を吐きそうになった。
というか、三人の表情筋と腹筋は既にズタボロであり、100%筋肉痛になるであろうことが予想され、それはこの三人だけではなく、舞台裏でこのステージを見ている他のライバーたちについても、腹筋を壊されている。
なんだったら、ものすごくレアな、大爆笑しているみたまという光景も見られており、それを見たシスコンとロリコンが別件で死んでる。
尚、そっちの二人についても、いるかの変声で大爆笑していたので、かなりの破壊力と言えるだろう。
【なんかもう、疲れたよ……】
【まさか、本当にほぼ全ライバーの声真似クイズをするとは思わないじゃん……おかげで、こっちは腹筋がヤバいよ……】
【こっちなんて、部屋で見て、一人で爆笑してたら家族に白い目で見られた……】
【これはいるかちゃんが悪い。あれは強すぎてダメ】
「けほっ、こほっ……いやもう、これはダメだ。間違いなくダメだ。というか、クイズ以上に、笑いの方が強すぎる……。慣れたか、とは思っても、一向に慣れる気配がない……」
「ん、初手で破られるようなら、私はまだまだ。技術に磨きをかけなければいけない」
「既に磨かれすぎて、ほぼ鏡よ、それ……」
「あー、もー無理! ウチ、これ以上このコーナーやったら死ぬ!」
「いや、うん、それは同感だね……」
「あたしも……」
「っていうかこれあれでしょ、安地がないマインスイーパー」
「「言い得て妙……」」
「ん、良き評価。みたまが核弾頭なら、私は地雷原?」
「ねぇ、三期生は兵器名があだ名じゃないといけない、みたいな縛りでもあるの?」
「いやまあ……核弾頭に関しては、あれはちょっと可愛すぎたのが行けない……というか、最近はウチのリリスもセットだからね……。核弾頭コンビはちょっと笑うんだよ」
「いるかさんの抱腹絶倒ギャグの前だったらそれで笑えてました」
「うん。ウチも。いるかっちの笑わせスキルが強すぎて、今更それで笑えなくなったっしょ……」
「ふむ。じゃあ、そろそろ最後の問題に行く。いい?」
「「「かかってこい……!」」」
【ノリがラスボスに挑発された主人公サイドなんよ】
【草】
【たしかにww】
【あれかな、魔王いるか】
【魔王っていうか……なんだろうね、あれ。なんて表現するのが正しいんだ?】
【三期生の隠しボス】
【それだ】
【はつきっちが尖兵で、ロリコンが中ボス、みたまちゃんがラスボスってことか……】
【裏ボスの方が弱いラスボスって……】
【みたまちゃんは最強種だから……】
【しかもあれ、陛下っていう強化ユニットがいるからな……】
そんなこんなで、長かった笑いとの戦いを強いられたいるかが主体となった声真似クイズは遂に最終問題に。
三人は、覚悟を決めて最後の戦いに挑む。
「しかし、あらかたライバーはやった気がするんだが……」
「んねー。ウチらは答えがわかっちゃうしー、みたまっちはひかりんパイセンが全力阻止してるしー。誰かいたっけ?」
「……なんでかしら。すごく嫌な予感が……」
「では、最終問題」
デデン(はつきSE)。
ここまで来ると、はつきの人力SEはいるかの強力な笑いを受けまくった者たちからすれば、ただの癒しゾーンと化していた。
それくらいなのだ。
「『はぁ、はぁ……いやぁ、うちのライバーは最高だ……一人一人が思い思いに配信を行い、ファンを得て、その魅力をいつでも引き出している……はははっ! いやもう、ホント好き超好き、世界一愛していると言っていい!』というわけで、最終問題はらいばーほーむの社長、雲切桔梗の問題。ではでは! これが最後の問題! 張り切って行ってみよー! 声真似ぇ~~~! Yes or No~~~!」
「「「―――っ!」」」
最後の問題は、まさかのライバーではなく、社長であった。
予想外の人物の声真似に、三名は思いっきり笑いそうになったが、それ以上に自分の太腿を思いっきり叩いたり、抓ったりすることで何とか回避した。
『『『~~~~っ』』』
それは、来場者たちも同様だったようで、まさかの社長の声真似に、ただでさえ限界な腹筋と表情筋と肺にダイレクトアタックを仕掛けて来る!
【wwww】
【しゃ、社長――――――――!】
【なんで社長】
【遂にライバーにいじられ始めたぞ!?】
【しかもやったのが三期生wwww】
【っていうか、社長メッチャいい声してるww】
【カッコいい声してるのに、やってることはらいばーほーむの運営……】
【あと、言ってることが面白すぎるw】
「くっ、ふぅっ……はぁ、はぁっ……よ、よし、大丈夫だ……」
「ってゆーか、なんで社長?」
「謎すぎる……」
「ん、事前に社長に許可をもらいに行った。OKを貰えた。私をネタに笑いを取りに行っても構わないと言われた」
「「「社長が強い……」」」
ちなみに、その時の社長の表情はそれはもうイッキイキとしており、サムズアップでOKしたほどである。
なんだったら、推しにネタにされるなら本望と言った様子であった。
【草】
【社長ノリ良すぎwww】
【クッソww】
【さすがらいばーほーむの社長だァ……】
【これが嘘でもほんとでも、どちらにせよ社長が面白いと言う……】
「さて、嘘か本当か考えていくわけだが……」
「たしかに社長は破天荒だけど、ここまでするん? ウチ、社長はこう、カッコいいけど頭おかしい、って感じのイメージだし」
「そこは同意ね。そもそも、らいばーほーむを創ったような社長だし……」
「……普段からあの人、結構真面目な顔してるし、いや、一昨日のリハーサルの時とか、昨日の朝とかはちょっと頭がアレだったが……それでも、問題はなかったはず……」
「少なくとも、あんなセリフを言うような人には思えないっしょ」
と、三人は基本的にNoの方で意見が一致する。
会場内の者たちもそれは同様である。
そもそも、らいばーほーむ社長である、雲切桔梗はあまり表に出てこない。
全く出ないと言うわけではないのだが、少なくとも存在を確認できるのは公式サイトくらいだ。
そこにはそれはもう当たり障りのないコメントなどが記載されているのだが……本人についての情報が割と少ない。というか、ほぼない。
今回のイベントで、フードファイターになってる光景やら、各種ミニゲームを全制覇且つ高評価などを得ているという光景が散見されたことで、なんか社長おかしくね? とファンたちは思った。
そう、あの人は露出が少なすぎるあまり、どういう人物なのかわかっていないのである……!
まあ、それはらいばーほーむメンバーもそうなのだが。
今回のイベントではちょっと片鱗が見えたが。
「よし、答えはNoだ!」
「異議なし!」
「あたしもそれで」
「ん、それじゃあ、観客にも聞く。では、Yesだと思う人ぉ」
「「「んごふぅ!?」」」
この最終問題に行くまでの間にも、なんどかここで変声があったが、その大半が実際の声優の声だったり、若い男性の声であったり、妙齢の女性の声であったりした。
だが、今回は違った。
まさかのお婆さんの声であった。
『『『ぶは!?』』』
本日初となる老婆の声は、さすがに耐えきれなかったようで、噴き出す者が続出!
若々しい見た目なのに、なぜか飛び出す老婆の声という凄まじいギャップは、ものすごい笑撃となって、聞いてる者たちを襲った。
【ばかやろうww】
【どっからでたそれぇ!?】
【クソッ、最終問題でもひでぇ……!】
【もう、だめwww】
【げはっ……】
「では、のーだとおもーひとー!」
「「「~~~~~っ!」」」
お婆さんの次はお爺さんだと思っていたら、まさかの幼稚園児ぐらいの女の子の声が出て来た。
舌ったらずに話す辺り、どんだけこの技術を磨いていたのだろうか。
『『『ぶふぅぅぅ!?』』』
【も、もうやめてwww】
【死ぬっ、本当に死んじゃうwww】
【ど、どうしろ、んふふふふっ!】
【――――】
「ん、大体Noが多い。というか、Yesが少ない。それじゃあ、早速答えを発表する。正解は~~~~」
再び流れるはつきSEisドラムロール。
やっぱりはつきのSEは癒しになっているようだ。
それで心を落ち着けている者もいるくらいに。
「……残念! 答えはYes!」
「「「んんっ!?」」」
『『『マジでェ!?』』』
【社長ww】
【あれ本当のことなんかい!】
【いつ言ったんだよwww】
「ちなみに今のは、以前『しゅざみた』というYoutuberにて、最後に社長を取材した後、社長室に一人残った社長が言っていた独り言。ちなみに、続きもあるけど、とりあえず、社長はカッコいいバリキャリみたいな見た目をしておきながら、私たちらいばーほーむメンバー全員が最推しであり、ひたすらに愛しまくっているばけも――んんっ! とてもすごい人。あの人はライバーのためなら何でもする人なので、それはもうすごいことになっている」
「「「えぇぇぇ……」」」
社長のまさかの実態に、それはもう、ドン引きしていた。
あんなにカッコいい見た目していたのに、中身がそれって……と。
「精神はおかしいけど、とてもいい人なのは事実。最近は、もう少し表舞台に出るか? と思っているらしい」
「いやあの人は出しちゃだめだろう……」
「今の話を聞いて確信したけど、あの人って間違いなくひかりさんにタメ張れるんじゃないかしら?」
「そーいえば、ネットでも社長が話題になってたらしいんよ。なんでも、会場内の至る所で存在を確認できたとか」
「珍獣か何か?」
「それどころか、同じ時間に別の場所にいない? って言われてるらしいんよ」
「それはもう化け物じゃないかな?!」
「間違いなく、邪神系ね」
らいばーほーむの新ジャンル、邪神系。
主に、ひかりやふゆりのような存在や行動がおかしい人を指す。
今日から社長も邪神系。
「ん、社長はすごい。……とりあえず、これにて、私の抱腹絶倒変声クイズは終わり」
「本当に抱腹絶倒だったんだよね……」
「ウチ、笑い過ぎた」
「いくま、それはあたしもよ」
「というわけで、感想に行く。たつなさんから」
「あー、そうだね……正直、長く苦しい戦いだったかな、と。正直、もうやりたくないかな……」
「ん、また仕掛ける」
「ちょっとぉ!?」
「次、いくまさん」
「やー……ウチはまたやりたいなーって思うけど、当分はいいかな! なんで、次はウチらじゃなくて、別のメンバーでクイズが見たいっしょ!」
「たしかに。企画する。デレーナさん」
「……笑い過ぎてしんどかった。癒されたい」
「ん、ロリピュアのステージで癒されてもろて。というわけで、最後に私。今日は本当に楽しかった。思いっきり笑わせられたし、何よりいろんな変声ができて満足。笑いも見れたし、何人か本当に気絶したとの情報があったけど、すごく満足」
【気絶www】
【笑い過ぎたか……】
【多分、笑いのツボが浅かったんだろうなぁ、そういう人】
【あれはしゃーない……】
「というわけで、これにて私たちのステージは終幕。最後に一言」
いるかがそう言うと、バッ! と全員が一斉に身構える。
間違いない、これは絶対に笑わせに来る! と。
「今日はとても楽しかった。また、笑ってくれるとすごく嬉しい。またね!」
だが、出て来たのは頭のおかしい変声術などではなかった。
いつもはあまり表情が動かないいるかの、それはもう可愛らしい笑顔と、そんなセリフであった。
しかも、ちゃんといつもの声で。
心なしか声音もいつもより柔らかく、それはもうギャップが凄まじかった。
結果、
『『『――』』』
【え、可愛い……】
【さっきまでとのギャップが半端ねぇ!】
【可愛すぎる!】
【え、そう言う表情できたの!?】
【俺、今日からいるかちゃんも推しになるわ……】
【ギャグだと思ったら、純粋な可愛さだったww】
【一応美人系のキャラモデルなのに、可愛い表情ができるってずるいわ……】
【最高過ぎる】
いるかのギャップにやられる者が大量発生!
いるかが推しになった者もかなり増える結果となった。
「それじゃ、退場しようか。今日のイベントはまだまだ続くから、最後まで楽しんで行ってほしい。では」
「バイバーイ!」
「ロリピュアのステージ前に、レバニラ補給は忘れないようにね」
「それじゃあ」
そう言って、四人は退場して行った。
尚最後に、
「――計画通り」
『『『ばぶふっ!?』』』
という声が響いてきて、笑い出したのは言うまでもない。
【最後ォ!】
【可愛いなとか思ってたらこれだよww】
【まあ、うん。でも推しにはなったわ】
【あれは、ね】
【私、ギャップ萌えに弱いのよっ……!】
【あの笑顔はあかん……】
【いるかちゃんにも可愛い面があったんだなって】
長すぎると判断し、大幅にカット。
流された部分はどこかで書きたい……けど、さすがに一人で一話ずつ使うと、マジで話数がえらいことになるので、泣く泣くカットです。申し訳ない……!
いつか、カットされた部分は書きますんで。
というわけで、次回は館内ボイス、かなぁ。できれば、柊たちの方も混ぜ合わせたい。




